婚約破棄を卒論に組み込んだら悪魔に魅入られてしまい国から追放されました

犬社護

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最終章 ティアナの夢

三十二話 卒論発表開始

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 卒論発表で、兄たちの企んでいたことを全て明かすわけだけど、それと同時に私のプライズの力の一部も明かされる。私の力に関しては、もう少し世界情勢が安定してから明かす予定だったけど、兄のバカがやらかした以上やむを得ない処置と言える。

 あれからミルフィア様、父、母、弟のクエンタとも話し合い、中等部卒業後の私の進路も決まった。全員が反対するものだから、納得させるのに苦労したわ。

 これで…私の二つ目の夢が叶う…ふふふふふ。
 でも、それを絶対に口にしてはいけない。
 お兄様の例がある以上、最後の最後まで油断してはいけない。

・私のプライズ
・各諸侯への通達
・兄の蛮行
・爆発事故の真相
・論文発表後の関係者たちの捕縛
・卒論発表と婚約に関わる有無
・卒業後の私の進路
 
 結局、かなりの時間を要してしまったけれど、発表日二日前になって、全ての準備を整えることもできた。

 そして、遂に卒論発表当日を迎える。
 私は卒論発表者の教壇にいて、出席者たちを眺める。

 家族たち、ミルフィア様、クリス様、ベイツ様、魔導具ギルドへ移籍した先輩方、今年と去年の品評会に関わった審査員の方々、全ての面子が揃っている場だからこそ、全てを明かさないといけない。

 私と兄の確執も、ここで終わらせる。
 結局、兄自身は私と和解する道を選ばなかったけど、私は諦めていない。
 私の推測通りならば、奴は発表中に必ず現れる。
 そこで、全ての決着が付く。
 さあ、タイトルを告げましょう‼︎


○○○ 一話冒頭から


 私がタイトルを告げたことで、少し騒がしくなる。
 王族か平民か、この論文の成果次第で、私の行く末が決まる。
 まあ、自分の兄の蛮行を訴えるのだから、もう決まっているようなものだけど、最後まで王族として言わせてもらいましょう。

「まずは、これをご覧ください」

 私は、プライズメニューを壁に貼り付けて、壁の最大面積まで拡大化させ、現在のラプラス経由で映っている映像を見せる。

「今ここで明かしますが、私はデモンズキューブから、既に継承者(仮)として認められており、一年間という限定ではありますが、プライズの一部を行使することができます。その力を利用して、現在の数世代先に位置する魔導具の製作に成功しています。現在、これを教室上空に飛ばしており、そこから捉えた視界を壁に投影させています」

 私の言葉だけでは信じてもらえないだろうから、わざわざ壁に投影しているかのように見せているのだけど、全員が魔導具を探すため、自分の真上の天井を見ているわね。

「ふふふ、開発時に特殊効果を付けていますから、絶対にこの魔導具を見つけられませんわ。さて、この魔導具を何のために開発したのか、そこが重要です。扱い次第で、非常に危険な代物ですからね」

 皆の私の発言の意図を理解したのか、顔色を悪くする。
 兄や審査員の人たちは、顔色こそ悪いけど、魔導具のターゲットが自分たちであることを、まだ理解していないようね。

「魔導具品評会が開催される一ヶ月程前、私たち中等部の校舎で盗難事件が発生しました。私は、事件の犯人を捕縛すべく、この魔導具を開発したのです。そして、犯人とその関係者たちは、今この講義室内にいます‼︎ それが、この方々です‼︎」

 私の横に控えているルミネがラプアスを操作し、《ウィンドル・アレイザード》を映した後、それに続き《去年の審査員の一人とされる男》が壁にデカデカと投影される。どちらも著名な人物であるため、全員の視線が二人へ移る。兄のウィンドルはその場で立ち上がり、私を睨む。

「ティアナ、どういうことだ‼︎ この場で、そんな大それた事を言ってもいいと思っているのか!?」

「お兄様、察してくださいな。許可が得られたから、宣言しているのです。そして、盗難事件以降、私はあなたをず~~~~~っと、この魔導具《ラプアス》で監視していたのです。その意味がわかりますか? あなたが何処にいようとも、ラプアスがあなたを見ていたのですよ。今から、その映像をお見せしましょう」

 私だって、王族の蛮行をこんな公の場で明かすつもりなどなかった。
 でも、あなたは色々とやり過ぎたのよ。

 あの事故の後も、ベイツ様はあなたを心から信頼しているのに、あなたはそんな彼にも真実を明かしていない。自分の保身ばかりを考えて、都合よく友情ごっこができるよう誘導している。

 あなたの築いてきたものを、この場で全てぶち壊します。

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