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第一章 不遇からの脱出
十三話 王妃の心情 *オクタビア王妃視点
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私は四人から内密に、キューブ内で起きた内容を全て聞かされました。
そして…全てを知りました。
遂に、娘のティアナが覚醒したわ。
私たち家族が、この日をどれだけ待っていたことか。
しかも、あのデモンズキューブが娘の病気を完治させ、その力の一端を娘に継承させるとは。呪いのネックレスとして娘の側にいる以上、今後注目されることは間違いありません。
そもそも、ティアナが《魔力欠損症》と診断されたのは六歳の時でした。
キッカケは王城上空から突如押し寄せてきた小さな暴風、それが庭園に佇むティアナやメイド、護衛たちを襲撃し、皆を上空へ吹き飛ばした。王城で働く者たちは、体術や魔法を嗜んでいますので、十秒ほどで体勢を整えたようですが、六歳の娘だけは無防備のまま荒れ狂う風に翻弄され、激しく回転し、それを見た私は死を覚悟しました。
護衛の者たちが救出に向かおうとしたその時、娘は命の危機を感じたのか、無意識下で魔力を暴発させてしまい、暴風はその反動で消し飛び、全員が地面へと落下するものの、護衛たちが全員を風魔法でゆっくりと着地させましたが、娘の意識はありませんでした。すぐに主治医のトーマスに診てもらった結果、娘の魔力の源となる器官が損傷していることが判明し、《魔力欠損症》を患うようになったのです。
その後の調査で、謎とされてきた風の襲撃の正体は、七日前に起きたウィンドルの魔力暴走が起因となって誘発されたものでした。あの子は自分一人で得意の風魔法を発動しようとし、その際制御できずに膨れ上がった魔力を空高くへと打ち上げた。当時、怒りこそしましたが、息子の無事を再確認して抱き締めたものです。しかし、まさかそれが七日後に同じ場所へ落下してくるなんて、誰が想像していたでしょう。
真実を明るみにすると、ウィンドルの精神に影響をきたすと判断し、表向きは天候不安定による突風事故として処理しましたが……今思えば、それが正しい行動とは言えませんね。
あの日以降、私たちは娘の教育方針を大幅に変更しました。本来であれば、王族としての教育を最優先とするのだけど、この世界の王族貴族は魔力至上主義となっています。どんな事情であろうとも、《魔力なし》となった以上、男女問わず利用価値なしと周囲から思われる。
【これが世界の一般常識なのです】
ティアナは王族という身分である以上、余計目立ちますからどこにいても忌避の目に晒されてしまい、このまま何の対処もせず通常の教育を施していけば、娘の精神に悪影響をもたらします。
だからこそ、私たち家族は心を鬼にして、幼少の頃からティアナ自身に自分の欠陥を強く認識させるため、語気を少し強めて《魔抜け》や《欠陥品》という差別用語を使い、自らの力でその意味を考えさせて、医学や魔法関係の知識を専門職並みに詰め込ませるよう誘導し、この病気の治療方法を積極的に探らせた。そうすることで、仮に平民になったとしても、自力で学園やギルド関係の仕事に就けるからです。
我が国においても、この病気を患った者は少数おり、先天的な者もいれば、後天的に発症した者もいます。ただ、この病気に協力的な者よりも、差別する輩の方が大勢いるため、患者たちが生きにくいと環境となっている。この日常的な差別を少しでも和らげるため、私は内密に小規模ながらも魔力欠損に関わる研究部門を作り、協力者となってくれる研究者たちに研究を実施させていますが、根本的治療可能な魔法や薬剤の開発には成功していません。
また、生活をしていく上で、侍女やメイドといった使用人たちの存在は必須となります。直接的な差別が起きる前に、私は先手を打ちました。
『娘のいないところで、悪口を囁き合うのは認めましょう。しかし、王族である娘に直接罵った者は不敬とみなし、誰であろうとも即刻クビにします。状況次第では、死罪になりうることを覚悟するように!!』
《魔力欠損》と判断された者は貴族であろうとも、成人する歳に必ず平民へ落とされる。これまでにも数多くの子供たちが、中等部の最終試験にて脱落し平民に落とされてしまい、生活に耐えきれず、悲惨な末路に至った者もいます。そういった家系を持つ貴族たちを刺激させないよう、私たちもできる限りの配慮をした上で、ティアナと接してきました。娘は人に利用され傷つきながらも少しずつ強くなり、個性豊かな人間へと成長してくれた。
そして、遂に娘はキューブと遭遇することで、私たちの悲願を達成してくれた!!
キューブの話が事実であるのなら、私たちの魔力で病気を完治させることができる。遠くない未来、この病気を魔法で根絶させることができるかもしれません。ただ、気になるのがキューブ解放の件です。
当時、校庭内の訓練場にて、魔法訓練が実施されていたようですが、複合魔法となる雷を放った者は、誰一人いない。つまり、王都内で放たれた魔法が偶々飛んできた偶発的事故なのか、それとも何者かが悪意を持って放たれた事件なのか、それがわからない。他国の間者が我が国を落とすべく、仕掛けた策の可能性も十分にありえます。
この報告を国王のアーゲイルに早く教えてあげないと!!
あの人は娘を溺愛しています。
しかし、娘の病が判明して以降、夫は心を鬼にして愛する娘を罵り、遠ざけてしまった。定期テストで好成績をとったと娘から直接聞いた時も、周囲に臣下の者たちが常にいましたから、喜びの声を必死に抑えながら『そうか…王族として当然の…結果だ』と震える声を出し、ティアナを褒めようとはしなかった。
病気を発症させた後でも、子供を愛し抜く貴族も稀にいますが、その子供たちの多くが賊の侵入や不可解な事故などの理由で亡くなっています。そういった悲惨な運命を辿った子供を持つ貴族たち、病気となった患者を徹底的に差別する貴族たち、こういった人々がいる以上、国王と王妃が表立って娘を可愛がったり、真っ当な王女教育を施したりしてしまうと、そういった者たちによる逆恨みや偏見で敵意を持たれてしまい、裏で何を画策してくるのかわかりませんし、何よりも国政が不安定となりかねない。敵意が娘に向かないよう仕向けるため、今でもあえて嫌われる行為を取り続けている。
第二王子のクエンタは、表向き差別的発言をしていますが、裏では姉であるティアナを尊敬しているから良いのですが、問題は第一王子のウィンドルです。
あの子は、クエンタとは正反対の行動を取っており、表向きは王として相応しい行動を皆に示し、差別的な発言も滅多にしませんし、皆からそこを追求されても、上手く躱しているため、皆からも非常に支持されていますが、実際は誰よりもティアナを差別化しています。
こういった多くの心配事がこれまであったものの、これからは別の問題が浮上してきます。ティアナの性格を考慮すると、今後キューブの力を悟られないよう、周囲を巧みに操作して目立つ存在になってくるはずです。
キューブからの生還方法に関しては周辺諸国に知られるでしょうが、その力に関しては絶対に知られてはいけません。デモンズキューブの力がどれ程のものなのかは不明ですが、間違いなく一国を揺るがすほどの力を持っているはずです。もしそれが明るみになれば、各国の王族たちがティアナとの婚約を打診してくるでしょう。
○○○
「なんだと!? それは本当…なのか? 周囲の連中に知られていないだろうな?」
この執務室に、臣下の者たちがいなくて良かったわ。
案の定、デスクワークしていた夫は急に立ち上がり、娘の叩き出した実績に衝撃を受けています。
「大丈夫よ。音を完全遮断させる部屋の中で、事情聴取を実施しましたから」
興奮が少し落ち着いたのか、ゆっくりと椅子に座りもたれかかる。
「そうか…まさか…こんな形で我らの悲願が実現しようとは…そうだ!! その後、ティアナの容態は!?」
さっきから興奮したり落ち着いたりと忙しないわね。
まあ、無理もないけど。
「念のため、主治医のトーマスに再度診てもらい、私の研究部門で開発された抗生物質も投与したから、安静にしていれば悪化することもないわ。今は城の私室に移動させて寝かせています」
二日程休養をとれば身体も全開しますが、ティアナにとっては学園復帰日からが忙しくなるでしょうね。
「そうか…良かった。現状、キューブの試験内容に関しては漏らさぬようキツく厳命しているから問題ないだろうが、そのキューブに気に入られている以上、注目を浴びることにかわりない。今後、婚約の件で、貴族や他国の者たちも黙っていまい。キューブの力が何であるか判明したとしても、人前で絶対に披露させてはいかん」
「当然です。それよりも、今後のティアナの対応が問題です。何を言いたいのかわかっていますよね、アーゲイル?」
これまで欠陥品という蔑視で娘を虐げてきた人たち、娘の性格に関しては皆も熟知していますから、娘からの報復に関しては絶対にないと思っているでしょうが、キューブに気に入られている以上、そのキューブからの報復を恐れるはずです。
「わかっている。数日以内に、全貴族に通達せねばならん。そして、私自身が娘を愛していることを前面に押し出せばいい。というか、ず~~~っと我慢してきたんだ。これを実行すれば、多少マシになるだろう」
欠陥品などの蔑視に関しては消失するでしょうが、今度はキューブの存在により、皆から煙たがられてしまうでしょうね。ここからは、力の出し方次第で、評価も大きく変化してくるでしょう。
「娘は、もうすぐ十五歳です。過度の接触は控えるように」
「う……はい」
「それとウィンドルのことだけど……」
ウィンドルは、ティアナの持つ力量を全て知っています。だからこそ、あの子は妹を心の内で認めつつ劣等感を抱いているも、それを知られたくないから、表では蔑称を言い虐げる。
今回、キューブ内での試験結果、これがあの子に何をもたらすのか、それが心配です。妹の魔力も復帰した以上、王位継承権第一位の座が大きく揺らいでしまうことを強く自覚しているでしょう。ティアナの継承権に関しては、自らが放棄しているとはいえ、それが覆るという前例も過去にあります。
今後、どんな行動を起こしてくるのか、予測がつきませんね。
二人の溝が深くなる前に、何とかしなければいけません。
そして…全てを知りました。
遂に、娘のティアナが覚醒したわ。
私たち家族が、この日をどれだけ待っていたことか。
しかも、あのデモンズキューブが娘の病気を完治させ、その力の一端を娘に継承させるとは。呪いのネックレスとして娘の側にいる以上、今後注目されることは間違いありません。
そもそも、ティアナが《魔力欠損症》と診断されたのは六歳の時でした。
キッカケは王城上空から突如押し寄せてきた小さな暴風、それが庭園に佇むティアナやメイド、護衛たちを襲撃し、皆を上空へ吹き飛ばした。王城で働く者たちは、体術や魔法を嗜んでいますので、十秒ほどで体勢を整えたようですが、六歳の娘だけは無防備のまま荒れ狂う風に翻弄され、激しく回転し、それを見た私は死を覚悟しました。
護衛の者たちが救出に向かおうとしたその時、娘は命の危機を感じたのか、無意識下で魔力を暴発させてしまい、暴風はその反動で消し飛び、全員が地面へと落下するものの、護衛たちが全員を風魔法でゆっくりと着地させましたが、娘の意識はありませんでした。すぐに主治医のトーマスに診てもらった結果、娘の魔力の源となる器官が損傷していることが判明し、《魔力欠損症》を患うようになったのです。
その後の調査で、謎とされてきた風の襲撃の正体は、七日前に起きたウィンドルの魔力暴走が起因となって誘発されたものでした。あの子は自分一人で得意の風魔法を発動しようとし、その際制御できずに膨れ上がった魔力を空高くへと打ち上げた。当時、怒りこそしましたが、息子の無事を再確認して抱き締めたものです。しかし、まさかそれが七日後に同じ場所へ落下してくるなんて、誰が想像していたでしょう。
真実を明るみにすると、ウィンドルの精神に影響をきたすと判断し、表向きは天候不安定による突風事故として処理しましたが……今思えば、それが正しい行動とは言えませんね。
あの日以降、私たちは娘の教育方針を大幅に変更しました。本来であれば、王族としての教育を最優先とするのだけど、この世界の王族貴族は魔力至上主義となっています。どんな事情であろうとも、《魔力なし》となった以上、男女問わず利用価値なしと周囲から思われる。
【これが世界の一般常識なのです】
ティアナは王族という身分である以上、余計目立ちますからどこにいても忌避の目に晒されてしまい、このまま何の対処もせず通常の教育を施していけば、娘の精神に悪影響をもたらします。
だからこそ、私たち家族は心を鬼にして、幼少の頃からティアナ自身に自分の欠陥を強く認識させるため、語気を少し強めて《魔抜け》や《欠陥品》という差別用語を使い、自らの力でその意味を考えさせて、医学や魔法関係の知識を専門職並みに詰め込ませるよう誘導し、この病気の治療方法を積極的に探らせた。そうすることで、仮に平民になったとしても、自力で学園やギルド関係の仕事に就けるからです。
我が国においても、この病気を患った者は少数おり、先天的な者もいれば、後天的に発症した者もいます。ただ、この病気に協力的な者よりも、差別する輩の方が大勢いるため、患者たちが生きにくいと環境となっている。この日常的な差別を少しでも和らげるため、私は内密に小規模ながらも魔力欠損に関わる研究部門を作り、協力者となってくれる研究者たちに研究を実施させていますが、根本的治療可能な魔法や薬剤の開発には成功していません。
また、生活をしていく上で、侍女やメイドといった使用人たちの存在は必須となります。直接的な差別が起きる前に、私は先手を打ちました。
『娘のいないところで、悪口を囁き合うのは認めましょう。しかし、王族である娘に直接罵った者は不敬とみなし、誰であろうとも即刻クビにします。状況次第では、死罪になりうることを覚悟するように!!』
《魔力欠損》と判断された者は貴族であろうとも、成人する歳に必ず平民へ落とされる。これまでにも数多くの子供たちが、中等部の最終試験にて脱落し平民に落とされてしまい、生活に耐えきれず、悲惨な末路に至った者もいます。そういった家系を持つ貴族たちを刺激させないよう、私たちもできる限りの配慮をした上で、ティアナと接してきました。娘は人に利用され傷つきながらも少しずつ強くなり、個性豊かな人間へと成長してくれた。
そして、遂に娘はキューブと遭遇することで、私たちの悲願を達成してくれた!!
キューブの話が事実であるのなら、私たちの魔力で病気を完治させることができる。遠くない未来、この病気を魔法で根絶させることができるかもしれません。ただ、気になるのがキューブ解放の件です。
当時、校庭内の訓練場にて、魔法訓練が実施されていたようですが、複合魔法となる雷を放った者は、誰一人いない。つまり、王都内で放たれた魔法が偶々飛んできた偶発的事故なのか、それとも何者かが悪意を持って放たれた事件なのか、それがわからない。他国の間者が我が国を落とすべく、仕掛けた策の可能性も十分にありえます。
この報告を国王のアーゲイルに早く教えてあげないと!!
あの人は娘を溺愛しています。
しかし、娘の病が判明して以降、夫は心を鬼にして愛する娘を罵り、遠ざけてしまった。定期テストで好成績をとったと娘から直接聞いた時も、周囲に臣下の者たちが常にいましたから、喜びの声を必死に抑えながら『そうか…王族として当然の…結果だ』と震える声を出し、ティアナを褒めようとはしなかった。
病気を発症させた後でも、子供を愛し抜く貴族も稀にいますが、その子供たちの多くが賊の侵入や不可解な事故などの理由で亡くなっています。そういった悲惨な運命を辿った子供を持つ貴族たち、病気となった患者を徹底的に差別する貴族たち、こういった人々がいる以上、国王と王妃が表立って娘を可愛がったり、真っ当な王女教育を施したりしてしまうと、そういった者たちによる逆恨みや偏見で敵意を持たれてしまい、裏で何を画策してくるのかわかりませんし、何よりも国政が不安定となりかねない。敵意が娘に向かないよう仕向けるため、今でもあえて嫌われる行為を取り続けている。
第二王子のクエンタは、表向き差別的発言をしていますが、裏では姉であるティアナを尊敬しているから良いのですが、問題は第一王子のウィンドルです。
あの子は、クエンタとは正反対の行動を取っており、表向きは王として相応しい行動を皆に示し、差別的な発言も滅多にしませんし、皆からそこを追求されても、上手く躱しているため、皆からも非常に支持されていますが、実際は誰よりもティアナを差別化しています。
こういった多くの心配事がこれまであったものの、これからは別の問題が浮上してきます。ティアナの性格を考慮すると、今後キューブの力を悟られないよう、周囲を巧みに操作して目立つ存在になってくるはずです。
キューブからの生還方法に関しては周辺諸国に知られるでしょうが、その力に関しては絶対に知られてはいけません。デモンズキューブの力がどれ程のものなのかは不明ですが、間違いなく一国を揺るがすほどの力を持っているはずです。もしそれが明るみになれば、各国の王族たちがティアナとの婚約を打診してくるでしょう。
○○○
「なんだと!? それは本当…なのか? 周囲の連中に知られていないだろうな?」
この執務室に、臣下の者たちがいなくて良かったわ。
案の定、デスクワークしていた夫は急に立ち上がり、娘の叩き出した実績に衝撃を受けています。
「大丈夫よ。音を完全遮断させる部屋の中で、事情聴取を実施しましたから」
興奮が少し落ち着いたのか、ゆっくりと椅子に座りもたれかかる。
「そうか…まさか…こんな形で我らの悲願が実現しようとは…そうだ!! その後、ティアナの容態は!?」
さっきから興奮したり落ち着いたりと忙しないわね。
まあ、無理もないけど。
「念のため、主治医のトーマスに再度診てもらい、私の研究部門で開発された抗生物質も投与したから、安静にしていれば悪化することもないわ。今は城の私室に移動させて寝かせています」
二日程休養をとれば身体も全開しますが、ティアナにとっては学園復帰日からが忙しくなるでしょうね。
「そうか…良かった。現状、キューブの試験内容に関しては漏らさぬようキツく厳命しているから問題ないだろうが、そのキューブに気に入られている以上、注目を浴びることにかわりない。今後、婚約の件で、貴族や他国の者たちも黙っていまい。キューブの力が何であるか判明したとしても、人前で絶対に披露させてはいかん」
「当然です。それよりも、今後のティアナの対応が問題です。何を言いたいのかわかっていますよね、アーゲイル?」
これまで欠陥品という蔑視で娘を虐げてきた人たち、娘の性格に関しては皆も熟知していますから、娘からの報復に関しては絶対にないと思っているでしょうが、キューブに気に入られている以上、そのキューブからの報復を恐れるはずです。
「わかっている。数日以内に、全貴族に通達せねばならん。そして、私自身が娘を愛していることを前面に押し出せばいい。というか、ず~~~っと我慢してきたんだ。これを実行すれば、多少マシになるだろう」
欠陥品などの蔑視に関しては消失するでしょうが、今度はキューブの存在により、皆から煙たがられてしまうでしょうね。ここからは、力の出し方次第で、評価も大きく変化してくるでしょう。
「娘は、もうすぐ十五歳です。過度の接触は控えるように」
「う……はい」
「それとウィンドルのことだけど……」
ウィンドルは、ティアナの持つ力量を全て知っています。だからこそ、あの子は妹を心の内で認めつつ劣等感を抱いているも、それを知られたくないから、表では蔑称を言い虐げる。
今回、キューブ内での試験結果、これがあの子に何をもたらすのか、それが心配です。妹の魔力も復帰した以上、王位継承権第一位の座が大きく揺らいでしまうことを強く自覚しているでしょう。ティアナの継承権に関しては、自らが放棄しているとはいえ、それが覆るという前例も過去にあります。
今後、どんな行動を起こしてくるのか、予測がつきませんね。
二人の溝が深くなる前に、何とかしなければいけません。
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