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5章 猫の恩返し
47話 猫カフェ建築中
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大樹マナリオの巫女になって以降、私の注目度が飛躍的に上昇した。
でも、【人と猫の噂は75日】と言うけれど……あれ?
そこに、猫は入っていたかな?
まあ、いいか。
1ヶ月もすれば浸透しちゃったのか、次の話題に移っている。
今、人の世間で騒がれている話題は、[建築中の猫カフェ][魔道具ポインター]の2つだ。
[猫カフェ]の外観がユニークな猫の形となっており、そこに大勢の猫たちが午前10時、午後2時、午後5時と定期的に訪れていることで注目を浴びていき、今の時点で営業していない猫カフェが観光の目玉となっている。
[魔道具ポインター]は、[ライトタイプ]と[フラッシュタイプ]の2種類用意されている。ベイツさんを含めた5人の冒険者(テスター)がそれぞれを試験的に使用し、[ライトタイプ]は懐中電灯、[フラッシュタイプ]は目眩しによる撃退という利便性と安価さを皆に広めたことで、発売日には100人程の行列ができ、初回出荷分がなんと2日で完売する事態に陥った。
そして、これとは別件で、私たちの間限定で騒がれているものが存在する。それが、新規開発された[コーティング剤]だ。
ルミングス商会の研究チームが、私とユウキで編み出した手法に改良を施し開発されたもので、木材や金属にコーティングすることで、それらが半透明と化す。その効果は約1年と判明した。アマンガムさんに技術を教えて、たった40日程で実用化させるのだから、研究チームの持つ技術力が凄いわ。これまでの服飾品などを覆う展示ケースは全てガラス製で、ハンマーとかで叩けば、すぐに破壊され盗まれてしまうので、警備の厳重な場所以外での展示は御法度だった。でも、ミスリルなどの頑丈な金属にコーティング剤を仕込み、展示ケースに利用すれば、余程の攻撃を受けない限り、壊れない代物となってしまった。
こういった利用用途以外に、武器にコーティング剤を仕込めば、凶悪な凶器となってしまう。私は気になったので、アマンガムさんに指摘すると、彼もそれは承知のようで、武器に塗布しても、効果が発揮されないよう、特殊な配慮が施されている。スキルには《付与》というものが存在し、その種類は様々あり、コーティング剤には[武器不活]という付与が仕込まれているみたい。元々、[魔剣]と呼ばれる武器の効果を失活させるために使用される付与なんだって。だから、コーティング剤を武器に塗布すると、武器の持つ特殊効果が全て失活されるみたい。
ただ、熱に弱い性質があり、100度を超える液体をかけられてしまうと、かけられた部分だけ半透明化が失われてしまう。この重大な弱点を克服できていないので、まだ販売されていないけど、近日中に[フードフェスタ]というお祭りが開催される予定なので、そこで宣伝も兼ねて大々的に発表するみたい。
これら全部ルミングス商会が関わっているので、アマンガムさんにとっては良いことづくめのはずなんだけど、昨日あった時点ではあまり浮かない顔をしていた。あの時、理由を聞かなかったけど、やっぱり気になる。
人と猫では、関心の持つ箇所が違う。
猫たちの世間で騒がれているのは、[猫カフェの進捗度][ドライ型キャットフード-小粒][ウェット型キャットフード(=高級猫缶)]の3つ、ドライ型に関しては日本産の餌を再現させるため、煮沸でスキルを失活させたコバートノビルを使用すると、餌を上手く包み込んでくれて、理想的な物に調整できた。高級猫缶に関しては、質の良い肉を使用しないと再現できないこともわかり、原価が高くなってしまうけど、なんとか完成に漕ぎ着けた。試食も兼ねて、猫の溜まり場にて、その日に集まっていた26匹の猫たちに試食をお願いすると……
『よっしゃ~~~読みが当った~~~ここで待っていた甲斐があったにゃ~~~~』
『猫カフェ建築中の場所で待っている奴らには気の毒だけど、私たちだけが先行して御馳走を頂けるにゃ~~やっふ~~~』
という鳴き声があちこちから聞こえてきた。そう、試食会がどこで開催されるのか、みんなは[猫カフェ]か[猫の溜まり場]のどちらかに賭けていたのだ。
こうなった要因は、ペロチュールの試食会の時にある。
あの場で、『次の試食会では、1匹につき1食分で用意して欲しい』と猫たちに懇願された。そうなると全員分用意できないことを伝えると、ミケーネに完成したことだけを告げて、何処で披露するかを秘密にしてほしいと言われたわ。
【全ては一人分の分量を少しでも増やすため】
そして、ここにいる猫たちは、その賭けに勝ったのだ。
残念ながら、ミケーネは賭けに負けてしまった。
全員が無我夢中で食いつき、ものの5分で全てを平らげ、『美味いにゃ~~~~』と雄叫びをあげた。
他の猫たちもこの騒ぎを聞きつけて、猫カフェ選抜メンバーの競争率がより激化してしまい、街内の猫たちの教育を進めていることもあって、今では街の至る所に、人の言葉もわかり、小型コミニュケーションボードを駆使することで、人とコミニュケーションを図れる猫たちが急増する事態に陥ってしまった。おまけに、フリードが猫たちに毎日戦闘訓練を施しており、数日前に実施された[ユウキVSミケーネ]の模擬戦では、なんとミケーネが勝ってしまった。
勝負は一瞬で終わったわ。
互いが接近してすれ違った瞬間、ユウキが倒れたんだ。
「そんな…勝ち方…ありか?」
『私は猫なのよ。アリに決まってるでしょ!!』
「ユウキ、あなたは元暗殺者でしょう? 同僚にこういったことを得意としている者もいたはずです」
「フリード…それはそうだが…猫が…それを…するとは誰も思わないぞ」
「ほほほほ、だから良いのですよ。あなたに通用するのなら、攻撃手段はこれで決まりですね。あとは、防御手段でしょう。私が、これから猫たちにどんどん教え込んでいきましょう」
と言う感じの話し合いだった。後で話を聞いたら、全員が油断してやられてしまう攻撃方法だと私も思った。
街内にいる多くの猫たちが戦闘訓練でどんどん強くなっているけど、人の視点から見れば、ただの弱い普通の猫に見えてしまうから、今の時点では誰も猫の強さに気づいていない。あえて言うならば、私の教育の影響で、他の街よりも賢くてお利口と言うことだけは伝わっているのかな。
○○○
私とユウキは、日課となっている早朝の朝練を終えると、2人で大樹マナリオのもとへ向かう。愚痴を聞く時間は、大体午前9時~午前10時の1時間ほど、既に社の建築も始まっているので、私たちは作業者の人たちに挨拶を交わしてからマナリオと話すことにしている。現在のマナリオは精霊で、魔物だった時の目や口もないので、念話で話をしている。そのせいで、傍から見れば、私がマナリオを見ているだけとなる。でも、周囲の人々にとっては、何故かそれが非常に絵になっているようで、到着したばかりなのに、既に3名の画家さんたちが私とマナリオの会話を待ち望んでいる。
「始めは恥ずかしかったけど、もう慣れたよ」
『それならば、愚痴を聞いてもらおうか』
「いいよ」
マナリオも慣れたのか、本日の愚痴も1時間程で終わった。画家さんたちが私に御礼を言ってから離れていき、作業員たちも私たちから離れていることを確認してから、私は自分の商売関係の近況を報告した。
ユウキはスキルを切っているので、愚痴を聞いている間は私の護衛に徹してくれている。今からスキル[同調]を使用するだろうけど、10分という効果時間を最大限に活かすため、相手が喋っている時に限り、スキルをオンにしているはずだ。
『咲耶は、[猫]と[魔道具]の両面で忙しい身の上なのだな』
「今の充実した状況には、凄く満足してるの。全部、やり甲斐があるもの!! 私の開発した食べ物は全部猫用だから、4日後に開催される秋のお祭り[フードフェスタ]には出品できないけど、祭期間の3日間だけは全部忘れて、料理を堪能することにしているの」
毎年リリアムの街で開催されている秋のお祭り【フードフェスタ】、各都市のご当地料理だけでなく、隣国の名産料理も出店されるから、凄く楽しみなんだ。光希たちに伝えると、『お姉ちゃん、お願い!! 異世界の料理を見たいの!! 全ての料理を写真に撮って添付して!!』と懇願されたわ。流石に、出店されている全ては無理だけど、自分の食べる料理だけでも、写真に撮って送ってあげよう。
『猫用なのだから、出品は無理だろうが、別の形で商売することは可能だぞ』
「マナリオ、どういうこと?」
マナリオから提案された商売、それは私もユウキも全く想定していない内容だった。
でも、【人と猫の噂は75日】と言うけれど……あれ?
そこに、猫は入っていたかな?
まあ、いいか。
1ヶ月もすれば浸透しちゃったのか、次の話題に移っている。
今、人の世間で騒がれている話題は、[建築中の猫カフェ][魔道具ポインター]の2つだ。
[猫カフェ]の外観がユニークな猫の形となっており、そこに大勢の猫たちが午前10時、午後2時、午後5時と定期的に訪れていることで注目を浴びていき、今の時点で営業していない猫カフェが観光の目玉となっている。
[魔道具ポインター]は、[ライトタイプ]と[フラッシュタイプ]の2種類用意されている。ベイツさんを含めた5人の冒険者(テスター)がそれぞれを試験的に使用し、[ライトタイプ]は懐中電灯、[フラッシュタイプ]は目眩しによる撃退という利便性と安価さを皆に広めたことで、発売日には100人程の行列ができ、初回出荷分がなんと2日で完売する事態に陥った。
そして、これとは別件で、私たちの間限定で騒がれているものが存在する。それが、新規開発された[コーティング剤]だ。
ルミングス商会の研究チームが、私とユウキで編み出した手法に改良を施し開発されたもので、木材や金属にコーティングすることで、それらが半透明と化す。その効果は約1年と判明した。アマンガムさんに技術を教えて、たった40日程で実用化させるのだから、研究チームの持つ技術力が凄いわ。これまでの服飾品などを覆う展示ケースは全てガラス製で、ハンマーとかで叩けば、すぐに破壊され盗まれてしまうので、警備の厳重な場所以外での展示は御法度だった。でも、ミスリルなどの頑丈な金属にコーティング剤を仕込み、展示ケースに利用すれば、余程の攻撃を受けない限り、壊れない代物となってしまった。
こういった利用用途以外に、武器にコーティング剤を仕込めば、凶悪な凶器となってしまう。私は気になったので、アマンガムさんに指摘すると、彼もそれは承知のようで、武器に塗布しても、効果が発揮されないよう、特殊な配慮が施されている。スキルには《付与》というものが存在し、その種類は様々あり、コーティング剤には[武器不活]という付与が仕込まれているみたい。元々、[魔剣]と呼ばれる武器の効果を失活させるために使用される付与なんだって。だから、コーティング剤を武器に塗布すると、武器の持つ特殊効果が全て失活されるみたい。
ただ、熱に弱い性質があり、100度を超える液体をかけられてしまうと、かけられた部分だけ半透明化が失われてしまう。この重大な弱点を克服できていないので、まだ販売されていないけど、近日中に[フードフェスタ]というお祭りが開催される予定なので、そこで宣伝も兼ねて大々的に発表するみたい。
これら全部ルミングス商会が関わっているので、アマンガムさんにとっては良いことづくめのはずなんだけど、昨日あった時点ではあまり浮かない顔をしていた。あの時、理由を聞かなかったけど、やっぱり気になる。
人と猫では、関心の持つ箇所が違う。
猫たちの世間で騒がれているのは、[猫カフェの進捗度][ドライ型キャットフード-小粒][ウェット型キャットフード(=高級猫缶)]の3つ、ドライ型に関しては日本産の餌を再現させるため、煮沸でスキルを失活させたコバートノビルを使用すると、餌を上手く包み込んでくれて、理想的な物に調整できた。高級猫缶に関しては、質の良い肉を使用しないと再現できないこともわかり、原価が高くなってしまうけど、なんとか完成に漕ぎ着けた。試食も兼ねて、猫の溜まり場にて、その日に集まっていた26匹の猫たちに試食をお願いすると……
『よっしゃ~~~読みが当った~~~ここで待っていた甲斐があったにゃ~~~~』
『猫カフェ建築中の場所で待っている奴らには気の毒だけど、私たちだけが先行して御馳走を頂けるにゃ~~やっふ~~~』
という鳴き声があちこちから聞こえてきた。そう、試食会がどこで開催されるのか、みんなは[猫カフェ]か[猫の溜まり場]のどちらかに賭けていたのだ。
こうなった要因は、ペロチュールの試食会の時にある。
あの場で、『次の試食会では、1匹につき1食分で用意して欲しい』と猫たちに懇願された。そうなると全員分用意できないことを伝えると、ミケーネに完成したことだけを告げて、何処で披露するかを秘密にしてほしいと言われたわ。
【全ては一人分の分量を少しでも増やすため】
そして、ここにいる猫たちは、その賭けに勝ったのだ。
残念ながら、ミケーネは賭けに負けてしまった。
全員が無我夢中で食いつき、ものの5分で全てを平らげ、『美味いにゃ~~~~』と雄叫びをあげた。
他の猫たちもこの騒ぎを聞きつけて、猫カフェ選抜メンバーの競争率がより激化してしまい、街内の猫たちの教育を進めていることもあって、今では街の至る所に、人の言葉もわかり、小型コミニュケーションボードを駆使することで、人とコミニュケーションを図れる猫たちが急増する事態に陥ってしまった。おまけに、フリードが猫たちに毎日戦闘訓練を施しており、数日前に実施された[ユウキVSミケーネ]の模擬戦では、なんとミケーネが勝ってしまった。
勝負は一瞬で終わったわ。
互いが接近してすれ違った瞬間、ユウキが倒れたんだ。
「そんな…勝ち方…ありか?」
『私は猫なのよ。アリに決まってるでしょ!!』
「ユウキ、あなたは元暗殺者でしょう? 同僚にこういったことを得意としている者もいたはずです」
「フリード…それはそうだが…猫が…それを…するとは誰も思わないぞ」
「ほほほほ、だから良いのですよ。あなたに通用するのなら、攻撃手段はこれで決まりですね。あとは、防御手段でしょう。私が、これから猫たちにどんどん教え込んでいきましょう」
と言う感じの話し合いだった。後で話を聞いたら、全員が油断してやられてしまう攻撃方法だと私も思った。
街内にいる多くの猫たちが戦闘訓練でどんどん強くなっているけど、人の視点から見れば、ただの弱い普通の猫に見えてしまうから、今の時点では誰も猫の強さに気づいていない。あえて言うならば、私の教育の影響で、他の街よりも賢くてお利口と言うことだけは伝わっているのかな。
○○○
私とユウキは、日課となっている早朝の朝練を終えると、2人で大樹マナリオのもとへ向かう。愚痴を聞く時間は、大体午前9時~午前10時の1時間ほど、既に社の建築も始まっているので、私たちは作業者の人たちに挨拶を交わしてからマナリオと話すことにしている。現在のマナリオは精霊で、魔物だった時の目や口もないので、念話で話をしている。そのせいで、傍から見れば、私がマナリオを見ているだけとなる。でも、周囲の人々にとっては、何故かそれが非常に絵になっているようで、到着したばかりなのに、既に3名の画家さんたちが私とマナリオの会話を待ち望んでいる。
「始めは恥ずかしかったけど、もう慣れたよ」
『それならば、愚痴を聞いてもらおうか』
「いいよ」
マナリオも慣れたのか、本日の愚痴も1時間程で終わった。画家さんたちが私に御礼を言ってから離れていき、作業員たちも私たちから離れていることを確認してから、私は自分の商売関係の近況を報告した。
ユウキはスキルを切っているので、愚痴を聞いている間は私の護衛に徹してくれている。今からスキル[同調]を使用するだろうけど、10分という効果時間を最大限に活かすため、相手が喋っている時に限り、スキルをオンにしているはずだ。
『咲耶は、[猫]と[魔道具]の両面で忙しい身の上なのだな』
「今の充実した状況には、凄く満足してるの。全部、やり甲斐があるもの!! 私の開発した食べ物は全部猫用だから、4日後に開催される秋のお祭り[フードフェスタ]には出品できないけど、祭期間の3日間だけは全部忘れて、料理を堪能することにしているの」
毎年リリアムの街で開催されている秋のお祭り【フードフェスタ】、各都市のご当地料理だけでなく、隣国の名産料理も出店されるから、凄く楽しみなんだ。光希たちに伝えると、『お姉ちゃん、お願い!! 異世界の料理を見たいの!! 全ての料理を写真に撮って添付して!!』と懇願されたわ。流石に、出店されている全ては無理だけど、自分の食べる料理だけでも、写真に撮って送ってあげよう。
『猫用なのだから、出品は無理だろうが、別の形で商売することは可能だぞ』
「マナリオ、どういうこと?」
マナリオから提案された商売、それは私もユウキも全く想定していない内容だった。
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