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最終章【ハーゴンズパレス−試される7日間】
フレヤの試験、それは……
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○○○ フレヤ視点
「おいこら~~~待ちやがれ~~~!!!」
「ぎゃあ~~~来ないで~~~」
【人相の悪い男】だけなら、私もまだ我慢できるわ。でも、全身漆黒のドライスーツに覆われ、肌の出ている箇所が顔だけ、着慣れていないせいもあって歩き方もぎこちない。
全てが……怖いわ、怖過ぎるわ!!!
イザベルの件もあって、私も多くの経験をしてきたけど、ここまでの恐怖は初めてよ!
これって、スキルが封印されいるからなの?
って、今はそんなことどうでもいいわ!
漆黒の男は、あの状態のまま私を追ってくるのよ!
まるで、変質者よ!
絶対に止まりたくないわ!
あ、海の家が見えてきた!
「イミアさ~~~ん、助けて~~~~!!! 変質者が~~~~」
「おいゴラ~~~、誰が変質者だ~~~!!!」
「ぎゃあ~捕まった~~~」
後方から首根っこを掴まれ、そのまま宙に上げられてしまった。
いくら暴れても、ビクともしない。
ちらっと彼の顔を見ると、褐色の肌、鋭い目つきをしている。
「うっさいわよ! フレヤ、なんで戻……はあ~~~」
あ、イミアさんが奥から出てきてくれた。
そして、私と男性を見た瞬間、何があったのかを察したのか深~い溜息をつき、ジト目で男性を凝視しているわ。
「アトカ……あんた、今の自分の格好をこの手鏡で確認しなさい。フレヤが逃げた意味を、嫌でも認識できるから」
「なんだと!? ……げ! これが今の俺かよ?」
アトカさんはイミアさんから手鏡を手渡されると、現在の自分の姿を今初めて知ったのか、驚愕な表情をとる。
「服装だけじゃなくて、変な歩き方をしたまま私に接近してきたんです。怖くなって……逃げました」
「着慣れていない服を着用したままフレヤに近づいたのね。歩き方もおかしいのなら、誰だって変質者だと思うわよ」
イミアさん、天使!?
私の思ったことをそのまま代弁してくれた!
「あ~、すまん。自分の姿を全く見ていなかった。少し待て」
アトカさんがドライスーツの頭部のフードを外してくれたことで、真っ黒い髪の毛が現れた。あ、これなら怖くないわ。
「ふう~これならどうだ?」
「はい、大丈夫です。逃げてしまい申し訳ありません」
そういえば、アトカさんは試験官なのよね?
《顔を見た瞬間逃げる》という失礼極まりない行為を働いたけど、まさかそれで不合格認定されないわよね?
「アトカ、外は寒いだろうし、もうここで試験の内容を発表したら?」
イミアさん、ナイス発言!!!
「ああ、そうする。元々着替えのため、ここへ一度戻ってくる予定だったからな」
着替え?
私の試験って海関連なのかしら?
「それじゃあ、後は2人で話し合ってね」
イミアさんはそう言うなり、店の奥へと入っていく。店の奥から美味しそうな匂いも漂ってくるから、多分イミアさんとクロイス様のおられる場所は厨房かな?
「フレヤ、お前には試験の内容について、きちんと説明しておく」
お前には?
私以外にも、試験を受ける人がいるってことね。
「あの……シャーロット達もここへ転移されているのですか?」
「転移者は俺達を含めて12名、《シャーロット》《フレヤ》《オーキス》《トキワ》《クロイス》の5名が試験を受けている。なお、表向きの理由については全員知らされている。しかし、《シャーロット》のみが課題内容に関して前もって知らされていない。初めに言ってしまうと、意味を為さないからだ」
シャーロットだけ、難易度が高くない!?
ステータスを封印されている以上、条件は私と同じはず!
「正気ですか!! そんな厳しい条件下なら、私よりもシャーロットの方が危険ですよ!」
私は必死で抗議しているけど、アトカさんは冷静に私の言葉を受け止めている。どう答えるべきか、迷っている感じがする。
「奴から全ての事情を聞いた時、俺達は渋々ながら納得した。ステータスを封印されている以上、勿論死ぬ危険性もあるだろう。だが、この試験を乗り越えた時、シャーロットは人間として聖女として高みに登ることができる………とだけ言っておく」
《高みに登る》
シャーロット自身から、アトカさんやイミアさんについて聞いているわ。
ハーモニック大陸で知り合ったメンバーの中でも、2人の信頼性は抜群に高い。
その2人が遺跡の主人と協力しているのなら、何か大きな理由があるんだわ。
「少しだけヒントをやる。シャーロットが世界最強に至ってしまった過程が関与している」
……世界最強に至った過程?
シャーロットは私のせいで、7歳で【世界最強】になってしまった。直接的な原因は、いい加減度ナンバーワン神様【ガーランド】だけど、そもそも私が彼女をハーモニック大陸へ転移させなければ、普通の女の子でいられたのよ。
外見は普通の可愛い女の子、その中身は神様クラスの強さを持っている。
その強さを持つことになった過程が、彼女の試験内容と大きく関わるの?
【遺跡の主人】って何者?
ミスラテル様は、今の状況を把握しているの?
「フレヤ、深く考えるな。7日経過すれば、合否に関係なく全てが明るみになる。お前は、自分の試験に集中しろ」
………アトカさんの言う通りかもしれない。
シャーロット達は、この遺跡内の何処かにいる。
私自身、ステータスを封印されている以上、何もできない。
だったら、自分の出来ることをやるしかないわ!
私はここで応援しか出来ないけど、シャーロット…死なないでね。
お互い頑張ろうね。
「わかりました。試験の内容を教えてください」
「よし! 今から説明する。イザベルの情報に関しては、俺もイミアも【奴】から聞いている。諸事情があったとはいえ、イザベルの行った行為は許されないものだ。しかし、フレヤになって以降、心を入れ替え、現在では多くの人々に慕われている」
【遺跡の主人】は、私の事情の全てを知っている。シャーロットの力をリセットできるのだから、私の身辺調査くらいなら楽に出来るわよね。
「この2年で培ってきた【貴族教育】【聖女教育】【好感度】【信頼度】【周囲への警戒度】【冒険者としての経験値】など、どれも素晴らしいものだ。《外側》だけを見れば【奴】との謁見も十分可能なんだが、フレヤは《内側》に1つだけ問題を残している」
内側?
どういうこと?
心を入れ替えたからこそ、今の自分がある。
それでも、何か問題があるの?
「お前は、《称号》の意味を知っているか?」
称号?
「ええと……その人の《努力》や《経験》が神に認められたことで得られるものでしょうか?」
「一般的な称号の説明としては、概ね合っている。アッシュの【努力家】、シャーロットの【ジストニス王国の救世主】とかが良い例だな。お前も、称号を持っているな?」
「【努力家】・【海女】・【聖女代理】という3つの称号があります」
アトカさんの言いたいことが、なんとなくわかったわ。
「その3つの中で、なんの努力もせず得られた称号があるな?」
「【海女】ですね。元々【聖女】でしたが、シャーロットに構造編集してもらいました」
まさか私の試験って……あはは、まさか…ね。
「海に潜む潮流を全て把握し、自在に泳げることができる効果を持つ。こんなレア称号を何の苦もなく得られて良いと思っているのか?」
イヤイヤイヤ死ぬから!
「ちょっと待って下さい! アトカさんの言いたいことはわかります! でも、ここはランダルキア大陸の北方地方ですよね? 現在の外気温が10度前後なんだから、海水温はもっと低いですよ! 凍死します!」
無理無理無理!
2年間、川で泳ぎの訓練をしていたとはいえ、深い海の中を泳げるわけないわ!
間違いなく、溺死するから!?
「安心しろ。寒さを防ぐため、この【特製ドライスーツ】を着てもらう。これ自体が特殊な魔導具だから、快適に泳げるはずだ。実際、ついさっき俺も試したが、海の中では優雅に泳げることができた」
アトカさんは、自分自身を指差している。
それが【ドライスーツ】であることを、私も知っています。
デザインが地球のものと酷似していますから。
多分、そこに温度を制御する魔法が組み込まれているんですよね?
「寒さを防止できても、激しい潮流の中を泳げません! 溺死します!」
たかだか7日間の訓練で、称号通りの力を手に入れるなんて不可能よ!
「それはわかっている。だから……お前には7日の訓練で【海女】としての力を身につけてもらう。それが、試験の内容だ」
「はあ!?」
待って、意味がわからないわ!
「【海女の力】?」
「奴は、『【海女】という言葉の意味には、2つの意味が宿っています。1つ目は《称号》、2つ目は《海女さん》』と言っていた。フレヤならば、これで全てを理解すると言っていたが?」
わかりました~~~~~!!!
でも、でもですよ!
私の試験って……【海女】になることなの!?
ここまで転移されて、私の試験内容が海産物を採ることなの!?
「全て…理解しました。でも…おかしくないですか? 私と他の人達で、何か差がありませんか?」
私が何を言いたいのかわかってくれたのか、アトカさんも顔を少ししかめている。
「あ~それは俺も思ったよ。クロイスの試験内容なんか、この7日間、俺達を含めた4人分の洗濯・料理・掃除を全部1人でやれだからな」
クロイス様の試験って、全部平民の人達がやることよ!
女王様に、全部やらせるの!
そんな内容なら、絶対死なないわよ!
「アトカさん」
私は、彼の目をじっと見つめる。
「あ~お前の言いたいこともわかる。だが、奴の言い分があまりにも正しすぎたこともあって、俺達も文句を言えないんだ」
そもそも、奴の目的って何なの!?
私とクロイスさまで、試験内容が違いすぎる!
「つうわけで、試験を始めるぞ。更衣室が厨房の隣に用意されている。そこには、フレヤ用の【ドライスーツ】がある。そいつに着替えたら、海産物を採ってきてくれ。ちなみに、朝食と昼食に関してはクロイスの試験が優先されるため、必ず食べることができる」
クロイス様の調理する料理……美味しいのかしら?
途轍もなく、嫌な予感がするわ。
「夕食のメインが、お前の成果次第で変化してくる。《成果なし》だと、全員がタリネと水のみだ。奴曰く、【連帯責任】だとさ。だから……頼む! 何でもいいから採ってきてくれ!」
ええ!?
夕食が、タリネと水だけというのは酷よ!
何がなんでも美味しい食材を採ってこないと!
これって……《半分自給自足生活》になるのかな?
私とクロイス様だけが、何か違う気がする。
「おいこら~~~待ちやがれ~~~!!!」
「ぎゃあ~~~来ないで~~~」
【人相の悪い男】だけなら、私もまだ我慢できるわ。でも、全身漆黒のドライスーツに覆われ、肌の出ている箇所が顔だけ、着慣れていないせいもあって歩き方もぎこちない。
全てが……怖いわ、怖過ぎるわ!!!
イザベルの件もあって、私も多くの経験をしてきたけど、ここまでの恐怖は初めてよ!
これって、スキルが封印されいるからなの?
って、今はそんなことどうでもいいわ!
漆黒の男は、あの状態のまま私を追ってくるのよ!
まるで、変質者よ!
絶対に止まりたくないわ!
あ、海の家が見えてきた!
「イミアさ~~~ん、助けて~~~~!!! 変質者が~~~~」
「おいゴラ~~~、誰が変質者だ~~~!!!」
「ぎゃあ~捕まった~~~」
後方から首根っこを掴まれ、そのまま宙に上げられてしまった。
いくら暴れても、ビクともしない。
ちらっと彼の顔を見ると、褐色の肌、鋭い目つきをしている。
「うっさいわよ! フレヤ、なんで戻……はあ~~~」
あ、イミアさんが奥から出てきてくれた。
そして、私と男性を見た瞬間、何があったのかを察したのか深~い溜息をつき、ジト目で男性を凝視しているわ。
「アトカ……あんた、今の自分の格好をこの手鏡で確認しなさい。フレヤが逃げた意味を、嫌でも認識できるから」
「なんだと!? ……げ! これが今の俺かよ?」
アトカさんはイミアさんから手鏡を手渡されると、現在の自分の姿を今初めて知ったのか、驚愕な表情をとる。
「服装だけじゃなくて、変な歩き方をしたまま私に接近してきたんです。怖くなって……逃げました」
「着慣れていない服を着用したままフレヤに近づいたのね。歩き方もおかしいのなら、誰だって変質者だと思うわよ」
イミアさん、天使!?
私の思ったことをそのまま代弁してくれた!
「あ~、すまん。自分の姿を全く見ていなかった。少し待て」
アトカさんがドライスーツの頭部のフードを外してくれたことで、真っ黒い髪の毛が現れた。あ、これなら怖くないわ。
「ふう~これならどうだ?」
「はい、大丈夫です。逃げてしまい申し訳ありません」
そういえば、アトカさんは試験官なのよね?
《顔を見た瞬間逃げる》という失礼極まりない行為を働いたけど、まさかそれで不合格認定されないわよね?
「アトカ、外は寒いだろうし、もうここで試験の内容を発表したら?」
イミアさん、ナイス発言!!!
「ああ、そうする。元々着替えのため、ここへ一度戻ってくる予定だったからな」
着替え?
私の試験って海関連なのかしら?
「それじゃあ、後は2人で話し合ってね」
イミアさんはそう言うなり、店の奥へと入っていく。店の奥から美味しそうな匂いも漂ってくるから、多分イミアさんとクロイス様のおられる場所は厨房かな?
「フレヤ、お前には試験の内容について、きちんと説明しておく」
お前には?
私以外にも、試験を受ける人がいるってことね。
「あの……シャーロット達もここへ転移されているのですか?」
「転移者は俺達を含めて12名、《シャーロット》《フレヤ》《オーキス》《トキワ》《クロイス》の5名が試験を受けている。なお、表向きの理由については全員知らされている。しかし、《シャーロット》のみが課題内容に関して前もって知らされていない。初めに言ってしまうと、意味を為さないからだ」
シャーロットだけ、難易度が高くない!?
ステータスを封印されている以上、条件は私と同じはず!
「正気ですか!! そんな厳しい条件下なら、私よりもシャーロットの方が危険ですよ!」
私は必死で抗議しているけど、アトカさんは冷静に私の言葉を受け止めている。どう答えるべきか、迷っている感じがする。
「奴から全ての事情を聞いた時、俺達は渋々ながら納得した。ステータスを封印されている以上、勿論死ぬ危険性もあるだろう。だが、この試験を乗り越えた時、シャーロットは人間として聖女として高みに登ることができる………とだけ言っておく」
《高みに登る》
シャーロット自身から、アトカさんやイミアさんについて聞いているわ。
ハーモニック大陸で知り合ったメンバーの中でも、2人の信頼性は抜群に高い。
その2人が遺跡の主人と協力しているのなら、何か大きな理由があるんだわ。
「少しだけヒントをやる。シャーロットが世界最強に至ってしまった過程が関与している」
……世界最強に至った過程?
シャーロットは私のせいで、7歳で【世界最強】になってしまった。直接的な原因は、いい加減度ナンバーワン神様【ガーランド】だけど、そもそも私が彼女をハーモニック大陸へ転移させなければ、普通の女の子でいられたのよ。
外見は普通の可愛い女の子、その中身は神様クラスの強さを持っている。
その強さを持つことになった過程が、彼女の試験内容と大きく関わるの?
【遺跡の主人】って何者?
ミスラテル様は、今の状況を把握しているの?
「フレヤ、深く考えるな。7日経過すれば、合否に関係なく全てが明るみになる。お前は、自分の試験に集中しろ」
………アトカさんの言う通りかもしれない。
シャーロット達は、この遺跡内の何処かにいる。
私自身、ステータスを封印されている以上、何もできない。
だったら、自分の出来ることをやるしかないわ!
私はここで応援しか出来ないけど、シャーロット…死なないでね。
お互い頑張ろうね。
「わかりました。試験の内容を教えてください」
「よし! 今から説明する。イザベルの情報に関しては、俺もイミアも【奴】から聞いている。諸事情があったとはいえ、イザベルの行った行為は許されないものだ。しかし、フレヤになって以降、心を入れ替え、現在では多くの人々に慕われている」
【遺跡の主人】は、私の事情の全てを知っている。シャーロットの力をリセットできるのだから、私の身辺調査くらいなら楽に出来るわよね。
「この2年で培ってきた【貴族教育】【聖女教育】【好感度】【信頼度】【周囲への警戒度】【冒険者としての経験値】など、どれも素晴らしいものだ。《外側》だけを見れば【奴】との謁見も十分可能なんだが、フレヤは《内側》に1つだけ問題を残している」
内側?
どういうこと?
心を入れ替えたからこそ、今の自分がある。
それでも、何か問題があるの?
「お前は、《称号》の意味を知っているか?」
称号?
「ええと……その人の《努力》や《経験》が神に認められたことで得られるものでしょうか?」
「一般的な称号の説明としては、概ね合っている。アッシュの【努力家】、シャーロットの【ジストニス王国の救世主】とかが良い例だな。お前も、称号を持っているな?」
「【努力家】・【海女】・【聖女代理】という3つの称号があります」
アトカさんの言いたいことが、なんとなくわかったわ。
「その3つの中で、なんの努力もせず得られた称号があるな?」
「【海女】ですね。元々【聖女】でしたが、シャーロットに構造編集してもらいました」
まさか私の試験って……あはは、まさか…ね。
「海に潜む潮流を全て把握し、自在に泳げることができる効果を持つ。こんなレア称号を何の苦もなく得られて良いと思っているのか?」
イヤイヤイヤ死ぬから!
「ちょっと待って下さい! アトカさんの言いたいことはわかります! でも、ここはランダルキア大陸の北方地方ですよね? 現在の外気温が10度前後なんだから、海水温はもっと低いですよ! 凍死します!」
無理無理無理!
2年間、川で泳ぎの訓練をしていたとはいえ、深い海の中を泳げるわけないわ!
間違いなく、溺死するから!?
「安心しろ。寒さを防ぐため、この【特製ドライスーツ】を着てもらう。これ自体が特殊な魔導具だから、快適に泳げるはずだ。実際、ついさっき俺も試したが、海の中では優雅に泳げることができた」
アトカさんは、自分自身を指差している。
それが【ドライスーツ】であることを、私も知っています。
デザインが地球のものと酷似していますから。
多分、そこに温度を制御する魔法が組み込まれているんですよね?
「寒さを防止できても、激しい潮流の中を泳げません! 溺死します!」
たかだか7日間の訓練で、称号通りの力を手に入れるなんて不可能よ!
「それはわかっている。だから……お前には7日の訓練で【海女】としての力を身につけてもらう。それが、試験の内容だ」
「はあ!?」
待って、意味がわからないわ!
「【海女の力】?」
「奴は、『【海女】という言葉の意味には、2つの意味が宿っています。1つ目は《称号》、2つ目は《海女さん》』と言っていた。フレヤならば、これで全てを理解すると言っていたが?」
わかりました~~~~~!!!
でも、でもですよ!
私の試験って……【海女】になることなの!?
ここまで転移されて、私の試験内容が海産物を採ることなの!?
「全て…理解しました。でも…おかしくないですか? 私と他の人達で、何か差がありませんか?」
私が何を言いたいのかわかってくれたのか、アトカさんも顔を少ししかめている。
「あ~それは俺も思ったよ。クロイスの試験内容なんか、この7日間、俺達を含めた4人分の洗濯・料理・掃除を全部1人でやれだからな」
クロイス様の試験って、全部平民の人達がやることよ!
女王様に、全部やらせるの!
そんな内容なら、絶対死なないわよ!
「アトカさん」
私は、彼の目をじっと見つめる。
「あ~お前の言いたいこともわかる。だが、奴の言い分があまりにも正しすぎたこともあって、俺達も文句を言えないんだ」
そもそも、奴の目的って何なの!?
私とクロイスさまで、試験内容が違いすぎる!
「つうわけで、試験を始めるぞ。更衣室が厨房の隣に用意されている。そこには、フレヤ用の【ドライスーツ】がある。そいつに着替えたら、海産物を採ってきてくれ。ちなみに、朝食と昼食に関してはクロイスの試験が優先されるため、必ず食べることができる」
クロイス様の調理する料理……美味しいのかしら?
途轍もなく、嫌な予感がするわ。
「夕食のメインが、お前の成果次第で変化してくる。《成果なし》だと、全員がタリネと水のみだ。奴曰く、【連帯責任】だとさ。だから……頼む! 何でもいいから採ってきてくれ!」
ええ!?
夕食が、タリネと水だけというのは酷よ!
何がなんでも美味しい食材を採ってこないと!
これって……《半分自給自足生活》になるのかな?
私とクロイス様だけが、何か違う気がする。
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