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10歳〜アストレカ大陸編【旅芸人と負の遺産】
天からの助け
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オトギさんの願いを叶えてあげたい。
でも、ゴースト族からニンゲン族へ構造編集すると、多分すぐに老衰を迎え死ぬ。
かといって年齢を構造編集しようにも、128歳のため100歳が限界である。
「シャーロット、やはり君でも無理なのか?」
オトギさんもフレヤも私をじっと見つめてくる。
構造編集するのなら、【ゴースト】と【デュラハン改】を同時に実施して辻褄が合うように編集すればいい。
一層の事……
ゴースト → 高位人間 or カミビト
デュラハン改 → オトギさん改
という感じにしようかな?
人の限界999を超えたという意味合いで高位に進化し、寿命も200歳に延びたという設定すれば、全てをクリアーできる。999を超えた人には、そのままの種族を望むか、高位種族に進化したいかを選ばせれば良いよね。エルフとかなら【ハイエルフ】になって、寿命を400年にすればいい。
オトギさんは4文字限定だから、【高位人間】が妥当だと思う。
【カミビト】も4文字だから、一応候補に入れておこう。
《ピコン》
うん? ステータスの更新音が鳴った?
ステータスを開くと、備考欄にミスラテル様からのメールが入っている。
『シャーロット、メールではなく地球でいう【チャット】です。あなたの考え方は正しいと思いますが、【神(カミ)】という言葉を軽々しく使用してはいけません。【カミビト】ではなく、第1候補の【高位人間】に編集して下さい』
やっぱり、ダメか。999を超えただけで【カミビト】という名称に種族変更したら、その者が増長してしまい、悪の感情を持つかもしれない。私のスキルに【簡易神人化】もあるから、ややこしくなる。
『わかりました。【高位人間】にします』
これが、一番妥当な言葉だよね。
『ええ、それなら私でも変更可能です。【高位人間】の寿命をエルフと同じ設定にするだけですから。ただ、ステータスの数値、スキルや魔法はそのまま継続します』
やった!
これでオトギさんも喜んでくれる!
『あと……申し訳ありません。今回、《死の危険》があなたの仲間の誰かに迫っていたことを、私は事前に知っていました。この件をすぐに伝えたかったのですが、私がシャーロットに直接絡むと、100%の確率で《フレヤ》か《ミーシャ》のいずれかが死んでいたのです』
なんですと!? ミスラテル様が干渉してくれたら私としても心強いけど、誰かが確定事項として死んでいたの!
『原因を探っていましたが、やはり【油断】でしょう。私が干渉することで、あなたの危機意識が緩んでしまう。そのため、必ず仲間の救出に間に合わない。だから、コウヤが加入した時点で、私の評価を意識的に低下させました。しかし、あなたの危機意識を向上させても、今回フレヤの救出に間に合わなかった』
そういえば、コウヤさんと初めて出会った時、ミスラテル様は《シャーロットは挫折を知らない》と言ったよね。あの発言で、私はミスラテル様の評価を下げたんだ。アレって、《自分に頼るな》的な意味で、突き放すためのものだったの! 《仲間の死》を回避するため、あえて自分の評価を低下させ、頼らせないよう仕向けていたのか!
『今回、オトギが偶々フレヤの側についていましたから、彼女は助かりました。もし彼がいなかったら、同じ突発的事故が発生し、フレヤは死んでいたでしょう』
ええ!?
あの事故って、オトギさんの威圧で起きたものだよね?
『今になってわかりましたが、カビバラのスカイドラゴンは恋人に振られ、自暴自棄に近い状態でした。召喚される内容も毎回荷物の運搬であるため、日々の日常に嫌気が生じ、実家に帰りたがっていたのです』
知能の高い魔物達の中には、同種族同士で子を作り家庭を築く者もいると聞いているけど、スカイドラゴンにもそんな事情が絡んでいたとは!?
フレヤとミーシャのどちらか一方に対し、《死》の危険が迫っていた。今回の私達全員の行動が、天秤をフレヤの方へ傾けさせたんだ。
『コウヤが加入した時点では、私もどちらの未来に傾くのかわかりませんでした。そのため、味方となるオトギを早く王都へ進ませるようほんの少しだけ干渉したのですが、まさかこのような事態になるとは予測できませんでした』
ということは、ミスラテル様のほんの少しの干渉により、オトギさんとフェルボーニ達が交差してしまい、このような事態に陥ったの? いや、どのみち『フレヤ誘拐事件』は春蘭祭開催中に起きていた。もしこの事件が祭期間中に起きていたら、多分オトギさんも気づかなかっただろう。最悪、フレヤが衝突死を迎えるか、ミーシャが事件に巻き込まれ死んでいたかもしれない。
ミスラテル様が干渉したことで、誘拐時期が早まり今回の結末に至れた。私は間に合わなかったけど、オトギさんがフレヤを【死の未来】から救出してくれんだ。
『オトギには非常に感謝していますので、彼の望みを叶えましょう。彼の実年齢は128歳ですから、エルフと同じ寿命設定をすれば老化で死ぬこともありません。ただ、彼は16歳で一度死んでいます。肉体年齢は16歳からのスタートとなり、エルフと同じ設定なので、肉体年齢も何処かでストップするでしょう。彼には、ガーランドから《謝罪》と《通達》があったことを伝えておいてください』
『ミスラテル様、ありがとうございます!』
よし、これでオトギさんの願いを叶えられる!
「たった今、ガーランド様から通達がありました。オトギさん、あなたの願いを叶えるそうです。そして、自分の勘違いで申し訳ないことをしたと仰っていました」
「本当か!?」
《いいえ、嘘です。あの馬鹿神はあなたの事を完全に忘れており、現在惑星を追放され、修行の旅に出かけています》と心から言いたい。
オトギさんは悲愴感を漂わせていたけど、私の一言で暗い気持ちが吹っ飛んでいる。
「種族を《ゴースト族・デュラハン改》から《高位人間族・オトギさん改》に編集します」
「え!?」
「ちょっと待て! 《高位人間》はともかく、《オトギさん改》は何とかならないのか?」
あれ? そこにクレームを入れるの?
フレヤも、何か言いたげだ。
「一度構造編集すると、その欄を変更できません。死ぬまでず~~っと、魔物の個体名【デュラハン改】が付いたままとなります。オトギさんは一度死んでいますから、ある意味改造されていることを考慮すると、この名称も合っていますよ?」
ネーミングセンスとか関係なく、高位人間族としての名称ならこれで合っている。
「いや…まあ…そうなんだが…鑑定や真贋で見られたら……まあ、それでいいか」
構造編集の場合、必ず1文字を残さないとけない。デュラハンのいずれかを残すと、適当な個体名となり、高位人間としての由来を全く説明できない。
「種族欄に関しては、我慢して下さいね。それと、あなたは16歳で亡くなっていますので、身体も16歳からのスタートとなり、エルフ族と同じ設定で生きていくことになります。ですから、身体の老化も何処かで止まるでしょう」
その言葉を聞くと、彼は先程までの微妙な顔つきから大きく変化し、笑顔となった。
「おお、最高じゃないか! 俺自身、エルフの変異体と言われているから、それに合わせてくれたのか! 実質128歳のエルフ族と同じだ! よっしゃ~~~~~~!!!」
彼は両拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。夢が叶ったのだから、喜びを爆発させて当然だよね。128歳という年齢を考慮すると、肉体年齢も16歳で止まる可能性が高い。まあ、見た目18歳くらいに見えるけど。
「今後、999を超えた人に限り、種族の進化が可能となります。進化すれば、寿命も2倍に増え、エルフのような老化速度をとります。なお進化しても、レベル・スキル・魔法・ステータス数値に関しては、現状のままです。身体分離【首限定】も残ります」
「そんなのデメリットにも入らないよ! 旅芸人としてギロチンマジックも披露しているから、大した問題じゃない」
感情を爆発させるオトギさんの側で、フレヤはぶつぶつと独り言を呟いている。
「《肉体年齢は16歳……実質128歳のエルフ…年齢も何処かで止まる。彼と釣り合いをとれるようにするには…私も999を超えて【高位人間】になればいいわ。20歳までに達成すれば、その身体を維持できるかもしれない。……いける、いけるわ!》」
フレヤ、オトギさんへの好意を諦めていないのね。
「《あとの問題は、【私自身】だわ。多分、オトギさんは私の正体に気づいている。大丈夫よ……彼なら信用できる! 昔の私(イザベル)と今の私(フレヤ)、真実を知った彼がどんな反応を示すのかわからない。でも、話さないと前に進めない!》」
フレヤには、幸せな生活を送らせてあげたい。
かといって、私がフレヤの事情を話すわけにはいかない。
オトギさんとの距離を詰めれるよう、私もそれとなくフォローを入れておこう。
彼なら、フレヤの心を理解してくれると思う。
「オトギさん、編集しても構いませんか?」
「ああ、やってくれ!」
それじゃあ、構造編集を実行しましょう!
○○○
私達3人は王都上空へ転移した後、【高位人間】となったオトギさんと一時的に別れた。誘拐事件解決の立役者は彼であるため、3日後のフェルボーニ達との会談が終わり次第、王城へと召還され何らかの恩賞が、国王陛下やヘンデル教皇から授与されることだけを伝えている。心願を成就させた彼は、上機嫌のまま宿屋へと戻っていった。
別れる前、フレヤの真実に辿り着いているのか解析内容を確認すると、やはりフレヤ=イザベルであることに気づいているものの、深い事情があることを察知し、《自分からは誰にも話さない》と心に強く誓っていたため、私からは何も言わなかった。フレヤに伝えると、彼女はホッと胸を撫で下ろし、『自分の口からオトギさんに話すわ』と強い決意を抱き何かを考えているようだった。
寮の部屋へと帰還した後、すぐさま国王陛下、ルルリア王妃、ヘンデル教皇、お父様に《フレヤ誘拐事件》、《魔物騒動》についての真相を伝えた。2つの事件の犯人はズフィールド聖王国の竜人族であるため、動機を話したことで皆も納得してくれた。また、ミスラテル様から言われた内容(フレヤ or ミーシャの死の回避)を報告すると、かなり驚かれていたけど、事件を穏便に解決してくれた【旅芸人オトギさん】への評価がうなぎ登りとなった。
4人全員の機嫌が最高潮となったところで、《デュラハン騒動》と《オトギさんの正体》について洗いざらい話すと、国王陛下が『う~ん』と唸り、そのまま気絶した。
『シャーロット、オトギに関わる問題は全て解決したのね?』
気絶した国王陛下の代わりに、ルルリア王妃様が場を進行させていく。
『はい。彼は心願を成就させ【高位人間】族となり、我々に敵対する意志もありません。むしろ、協力的です』
『そう……味方なのは嬉しいのだけど、現状の戦力が過剰すぎるわね。特に【蒼青の悪魔】と呼ばれるオトギ・ミツルマの噂は私達も聞いているわ。あなたから聞いた限り、本人は至って真面目な性格で安心したけど、各国はそう思わないでしょうね』
ルルリア王妃様の懸念事項もわかる。私達の国に、世界最強戦力が揃い踏みである。私がいる時点で周辺諸国も戦々恐々としているのに、そこに【コウヤさん】・【トキワさん】・【オトギさん】が揃ったのだから。何の事情も知らない周辺諸国から見れば、《戦争でも起こす気なのか?》と思うだろう。
『仕方ないわね。私達の方から、各国に事情を伝え安心させてあげましょう。ブライアン、覚悟を決めなさい』
国王陛下、気絶から復帰したんだ。
『ルルリア、私の胃が限界だよ』
『シャキッとしなさい! コウヤ達は、戦争を起こす気なんて微塵もないのよ! 私達がその意思表示を各国に伝えないと、誤解を招くことになるわ!』
『そ…そうだな』
私達が何もやらかさなくても、国王陛下の胃にダメージを与えているようだ。
『3日後、今回の誘拐作戦の指揮を執ったフェルボーニと運び屋カビバラが学園に訪れます。その際、詳細な話を聞こうと思っています。内容次第では、私とコウヤ先生が聖王国に向かうかもしれません』
とりあえず、彼らと話し合うまで国王陛下方も動けない。
それまでの間、国王陛下も休養をとることで落ち着いた。
私で知り得た内容を全て話し終えた後、陽動作戦となった魔物騒動の現状を聞いたところ、こちらは我らエルディア王国の冒険者や騎士達の圧勝に終わったようだ。
【王都北側】
ガロウ隊長は風魔法【フライ】で、上空から魔物の指揮を執るBランクデュラハンの位置を把握すると、飛翔したまま他の魔物には目もくれず、デュラハンのもとへと辿り着き、すぐさま全力で一刀両断した。魔物達は指揮官を失ったことで、統制がとれなくなり何の作戦もたてることなく、冒険者や騎士達に向かってきたため、彼等は難なく魔物達の撃破に成功し勝利を収める。
【王都南側】
コウヤ先生が遠方から剣技【竜爪烈破】(【かまいたち】の上位技)を解き放ち、デュラハンを瞬時に消滅させ、冒険者や騎士達が他の魔物達を一掃し勝利を収める。
北と南の討伐体の人達は1人の死者を出すこともなく、完全勝利したのだけど、魔物達自体が然程脅威でなかったせいか、討伐部隊の皆が少し物足りなさそうにしていたらしい。現在、冒険者による大宴会が市井の酒場で催されており、コウヤ先生も参加している。騎士達は王城内の食堂で宴会を開いており、大変賑やかとなっている。
○○○
グローバル通信機での会談を終わらせた後、私達はクラスメイト達や先生方にフレヤの無事を伝えると、本人が側にいることもあって、全員がフレヤの身体を心配してくれた。
一般人には竜人族の件を伏せておき、【とある誘拐犯が魔物騒動のドサクサに紛れて、身代金目的でフレヤを誘拐した】という設定にしておいた。デッドスクリームの意識も、魔物に集中していたせいで誘拐に気づけなかったと言ったことで、皆も納得してくれたよ。
その後、旅芸人のオトギさんが誘拐犯の後をつけ、犯人達を一網打尽にし捕縛に成功したことを伝えると、皆が喜びを爆発させ、オトギさんの株が一気に急上昇し、学内では有名人となってしまった。
真実を話すと王都中に伝わって、後々面倒なことになる。事前に、国王陛下からも許可を得ているし、クラスメイト達も納得しているので、この対処方法に問題はなかったようだ。
今日は慌ただしい1日となったけど、これで事件もほぼ解決!
あとは、事後処理を残すのみ!
でも、ゴースト族からニンゲン族へ構造編集すると、多分すぐに老衰を迎え死ぬ。
かといって年齢を構造編集しようにも、128歳のため100歳が限界である。
「シャーロット、やはり君でも無理なのか?」
オトギさんもフレヤも私をじっと見つめてくる。
構造編集するのなら、【ゴースト】と【デュラハン改】を同時に実施して辻褄が合うように編集すればいい。
一層の事……
ゴースト → 高位人間 or カミビト
デュラハン改 → オトギさん改
という感じにしようかな?
人の限界999を超えたという意味合いで高位に進化し、寿命も200歳に延びたという設定すれば、全てをクリアーできる。999を超えた人には、そのままの種族を望むか、高位種族に進化したいかを選ばせれば良いよね。エルフとかなら【ハイエルフ】になって、寿命を400年にすればいい。
オトギさんは4文字限定だから、【高位人間】が妥当だと思う。
【カミビト】も4文字だから、一応候補に入れておこう。
《ピコン》
うん? ステータスの更新音が鳴った?
ステータスを開くと、備考欄にミスラテル様からのメールが入っている。
『シャーロット、メールではなく地球でいう【チャット】です。あなたの考え方は正しいと思いますが、【神(カミ)】という言葉を軽々しく使用してはいけません。【カミビト】ではなく、第1候補の【高位人間】に編集して下さい』
やっぱり、ダメか。999を超えただけで【カミビト】という名称に種族変更したら、その者が増長してしまい、悪の感情を持つかもしれない。私のスキルに【簡易神人化】もあるから、ややこしくなる。
『わかりました。【高位人間】にします』
これが、一番妥当な言葉だよね。
『ええ、それなら私でも変更可能です。【高位人間】の寿命をエルフと同じ設定にするだけですから。ただ、ステータスの数値、スキルや魔法はそのまま継続します』
やった!
これでオトギさんも喜んでくれる!
『あと……申し訳ありません。今回、《死の危険》があなたの仲間の誰かに迫っていたことを、私は事前に知っていました。この件をすぐに伝えたかったのですが、私がシャーロットに直接絡むと、100%の確率で《フレヤ》か《ミーシャ》のいずれかが死んでいたのです』
なんですと!? ミスラテル様が干渉してくれたら私としても心強いけど、誰かが確定事項として死んでいたの!
『原因を探っていましたが、やはり【油断】でしょう。私が干渉することで、あなたの危機意識が緩んでしまう。そのため、必ず仲間の救出に間に合わない。だから、コウヤが加入した時点で、私の評価を意識的に低下させました。しかし、あなたの危機意識を向上させても、今回フレヤの救出に間に合わなかった』
そういえば、コウヤさんと初めて出会った時、ミスラテル様は《シャーロットは挫折を知らない》と言ったよね。あの発言で、私はミスラテル様の評価を下げたんだ。アレって、《自分に頼るな》的な意味で、突き放すためのものだったの! 《仲間の死》を回避するため、あえて自分の評価を低下させ、頼らせないよう仕向けていたのか!
『今回、オトギが偶々フレヤの側についていましたから、彼女は助かりました。もし彼がいなかったら、同じ突発的事故が発生し、フレヤは死んでいたでしょう』
ええ!?
あの事故って、オトギさんの威圧で起きたものだよね?
『今になってわかりましたが、カビバラのスカイドラゴンは恋人に振られ、自暴自棄に近い状態でした。召喚される内容も毎回荷物の運搬であるため、日々の日常に嫌気が生じ、実家に帰りたがっていたのです』
知能の高い魔物達の中には、同種族同士で子を作り家庭を築く者もいると聞いているけど、スカイドラゴンにもそんな事情が絡んでいたとは!?
フレヤとミーシャのどちらか一方に対し、《死》の危険が迫っていた。今回の私達全員の行動が、天秤をフレヤの方へ傾けさせたんだ。
『コウヤが加入した時点では、私もどちらの未来に傾くのかわかりませんでした。そのため、味方となるオトギを早く王都へ進ませるようほんの少しだけ干渉したのですが、まさかこのような事態になるとは予測できませんでした』
ということは、ミスラテル様のほんの少しの干渉により、オトギさんとフェルボーニ達が交差してしまい、このような事態に陥ったの? いや、どのみち『フレヤ誘拐事件』は春蘭祭開催中に起きていた。もしこの事件が祭期間中に起きていたら、多分オトギさんも気づかなかっただろう。最悪、フレヤが衝突死を迎えるか、ミーシャが事件に巻き込まれ死んでいたかもしれない。
ミスラテル様が干渉したことで、誘拐時期が早まり今回の結末に至れた。私は間に合わなかったけど、オトギさんがフレヤを【死の未来】から救出してくれんだ。
『オトギには非常に感謝していますので、彼の望みを叶えましょう。彼の実年齢は128歳ですから、エルフと同じ寿命設定をすれば老化で死ぬこともありません。ただ、彼は16歳で一度死んでいます。肉体年齢は16歳からのスタートとなり、エルフと同じ設定なので、肉体年齢も何処かでストップするでしょう。彼には、ガーランドから《謝罪》と《通達》があったことを伝えておいてください』
『ミスラテル様、ありがとうございます!』
よし、これでオトギさんの願いを叶えられる!
「たった今、ガーランド様から通達がありました。オトギさん、あなたの願いを叶えるそうです。そして、自分の勘違いで申し訳ないことをしたと仰っていました」
「本当か!?」
《いいえ、嘘です。あの馬鹿神はあなたの事を完全に忘れており、現在惑星を追放され、修行の旅に出かけています》と心から言いたい。
オトギさんは悲愴感を漂わせていたけど、私の一言で暗い気持ちが吹っ飛んでいる。
「種族を《ゴースト族・デュラハン改》から《高位人間族・オトギさん改》に編集します」
「え!?」
「ちょっと待て! 《高位人間》はともかく、《オトギさん改》は何とかならないのか?」
あれ? そこにクレームを入れるの?
フレヤも、何か言いたげだ。
「一度構造編集すると、その欄を変更できません。死ぬまでず~~っと、魔物の個体名【デュラハン改】が付いたままとなります。オトギさんは一度死んでいますから、ある意味改造されていることを考慮すると、この名称も合っていますよ?」
ネーミングセンスとか関係なく、高位人間族としての名称ならこれで合っている。
「いや…まあ…そうなんだが…鑑定や真贋で見られたら……まあ、それでいいか」
構造編集の場合、必ず1文字を残さないとけない。デュラハンのいずれかを残すと、適当な個体名となり、高位人間としての由来を全く説明できない。
「種族欄に関しては、我慢して下さいね。それと、あなたは16歳で亡くなっていますので、身体も16歳からのスタートとなり、エルフ族と同じ設定で生きていくことになります。ですから、身体の老化も何処かで止まるでしょう」
その言葉を聞くと、彼は先程までの微妙な顔つきから大きく変化し、笑顔となった。
「おお、最高じゃないか! 俺自身、エルフの変異体と言われているから、それに合わせてくれたのか! 実質128歳のエルフ族と同じだ! よっしゃ~~~~~~!!!」
彼は両拳を握りしめ、ガッツポーズを決める。夢が叶ったのだから、喜びを爆発させて当然だよね。128歳という年齢を考慮すると、肉体年齢も16歳で止まる可能性が高い。まあ、見た目18歳くらいに見えるけど。
「今後、999を超えた人に限り、種族の進化が可能となります。進化すれば、寿命も2倍に増え、エルフのような老化速度をとります。なお進化しても、レベル・スキル・魔法・ステータス数値に関しては、現状のままです。身体分離【首限定】も残ります」
「そんなのデメリットにも入らないよ! 旅芸人としてギロチンマジックも披露しているから、大した問題じゃない」
感情を爆発させるオトギさんの側で、フレヤはぶつぶつと独り言を呟いている。
「《肉体年齢は16歳……実質128歳のエルフ…年齢も何処かで止まる。彼と釣り合いをとれるようにするには…私も999を超えて【高位人間】になればいいわ。20歳までに達成すれば、その身体を維持できるかもしれない。……いける、いけるわ!》」
フレヤ、オトギさんへの好意を諦めていないのね。
「《あとの問題は、【私自身】だわ。多分、オトギさんは私の正体に気づいている。大丈夫よ……彼なら信用できる! 昔の私(イザベル)と今の私(フレヤ)、真実を知った彼がどんな反応を示すのかわからない。でも、話さないと前に進めない!》」
フレヤには、幸せな生活を送らせてあげたい。
かといって、私がフレヤの事情を話すわけにはいかない。
オトギさんとの距離を詰めれるよう、私もそれとなくフォローを入れておこう。
彼なら、フレヤの心を理解してくれると思う。
「オトギさん、編集しても構いませんか?」
「ああ、やってくれ!」
それじゃあ、構造編集を実行しましょう!
○○○
私達3人は王都上空へ転移した後、【高位人間】となったオトギさんと一時的に別れた。誘拐事件解決の立役者は彼であるため、3日後のフェルボーニ達との会談が終わり次第、王城へと召還され何らかの恩賞が、国王陛下やヘンデル教皇から授与されることだけを伝えている。心願を成就させた彼は、上機嫌のまま宿屋へと戻っていった。
別れる前、フレヤの真実に辿り着いているのか解析内容を確認すると、やはりフレヤ=イザベルであることに気づいているものの、深い事情があることを察知し、《自分からは誰にも話さない》と心に強く誓っていたため、私からは何も言わなかった。フレヤに伝えると、彼女はホッと胸を撫で下ろし、『自分の口からオトギさんに話すわ』と強い決意を抱き何かを考えているようだった。
寮の部屋へと帰還した後、すぐさま国王陛下、ルルリア王妃、ヘンデル教皇、お父様に《フレヤ誘拐事件》、《魔物騒動》についての真相を伝えた。2つの事件の犯人はズフィールド聖王国の竜人族であるため、動機を話したことで皆も納得してくれた。また、ミスラテル様から言われた内容(フレヤ or ミーシャの死の回避)を報告すると、かなり驚かれていたけど、事件を穏便に解決してくれた【旅芸人オトギさん】への評価がうなぎ登りとなった。
4人全員の機嫌が最高潮となったところで、《デュラハン騒動》と《オトギさんの正体》について洗いざらい話すと、国王陛下が『う~ん』と唸り、そのまま気絶した。
『シャーロット、オトギに関わる問題は全て解決したのね?』
気絶した国王陛下の代わりに、ルルリア王妃様が場を進行させていく。
『はい。彼は心願を成就させ【高位人間】族となり、我々に敵対する意志もありません。むしろ、協力的です』
『そう……味方なのは嬉しいのだけど、現状の戦力が過剰すぎるわね。特に【蒼青の悪魔】と呼ばれるオトギ・ミツルマの噂は私達も聞いているわ。あなたから聞いた限り、本人は至って真面目な性格で安心したけど、各国はそう思わないでしょうね』
ルルリア王妃様の懸念事項もわかる。私達の国に、世界最強戦力が揃い踏みである。私がいる時点で周辺諸国も戦々恐々としているのに、そこに【コウヤさん】・【トキワさん】・【オトギさん】が揃ったのだから。何の事情も知らない周辺諸国から見れば、《戦争でも起こす気なのか?》と思うだろう。
『仕方ないわね。私達の方から、各国に事情を伝え安心させてあげましょう。ブライアン、覚悟を決めなさい』
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『ルルリア、私の胃が限界だよ』
『シャキッとしなさい! コウヤ達は、戦争を起こす気なんて微塵もないのよ! 私達がその意思表示を各国に伝えないと、誤解を招くことになるわ!』
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『3日後、今回の誘拐作戦の指揮を執ったフェルボーニと運び屋カビバラが学園に訪れます。その際、詳細な話を聞こうと思っています。内容次第では、私とコウヤ先生が聖王国に向かうかもしれません』
とりあえず、彼らと話し合うまで国王陛下方も動けない。
それまでの間、国王陛下も休養をとることで落ち着いた。
私で知り得た内容を全て話し終えた後、陽動作戦となった魔物騒動の現状を聞いたところ、こちらは我らエルディア王国の冒険者や騎士達の圧勝に終わったようだ。
【王都北側】
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○○○
グローバル通信機での会談を終わらせた後、私達はクラスメイト達や先生方にフレヤの無事を伝えると、本人が側にいることもあって、全員がフレヤの身体を心配してくれた。
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その後、旅芸人のオトギさんが誘拐犯の後をつけ、犯人達を一網打尽にし捕縛に成功したことを伝えると、皆が喜びを爆発させ、オトギさんの株が一気に急上昇し、学内では有名人となってしまった。
真実を話すと王都中に伝わって、後々面倒なことになる。事前に、国王陛下からも許可を得ているし、クラスメイト達も納得しているので、この対処方法に問題はなかったようだ。
今日は慌ただしい1日となったけど、これで事件もほぼ解決!
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プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

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