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10歳〜アストレカ大陸編【旅芸人と負の遺産】
アーバン・クディッチス子爵令息の悩み
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○○○ アーバン視点
(筆記試験後、オーキスに絡んだ金髪の同級生です)
(オーキスの股間を治療した金髪の同級生です)
入学式から1週間、俺は悩み続けている。
シャーロット様は、《物事を1人で抱え込むな》と仰ってくれた。
俺…いやクディッチス家総出となって、解決すべき問題が1つある。それは、妹ネルマの抱えている病気だ。8歳のネルマは3年前から回復魔法の効かない特殊な病に侵されている。
この病の症状は異常だ。妹自身はどこから見ても健康状態なんだ。しかし、周囲の人達に被害を齎してしまう。父の親友が医者であったため、ネルマを診察してもらったが、体内魔力も肉体も全て異常なしだった。ステータスにも【病気】と記載されていないし、怪しげなスキルも魔法も習得していない。
にも関わらず、妹は《周囲にいる者達の生命力を自分に吸収または体外へ放出させてしまう》という症状を持つ病気だ。
その症状についての詳細も、大凡わかっている。妹を中心に半径5m以上離れていれば、何も起きない。この病気を他者に知られてしまうと、妹は化け物扱いされてしまう。だからこそ、接触すべき人材には注意している。
これまで家族や使用人だけで相談し、国立図書館などにも足を運んで、病気の正体を掴もうとした。冒険者ギルドや商人の伝手を使いエリクサーを入手し妹に飲ませたが、効果はなかった。
【あの事件】のせいもあって、自分の異様さを理解し始め、部屋に閉じこもるようになってしまった。お淑やかで可愛かったネルマが…ネルマが………あんな変貌を遂げるなんて……。
とにかく、一刻も早くネルマを病気から解放させてあげたい!
完治さえすれば、元のネルマに戻るかもしれない!
もう…頼れるのは、フレヤ様とシャーロット様しかいない。
だけど!
妹の治療は、学校の領分を完全に逸脱している。本来であれば教会に行って治療を申請すべきなんだが、情報が漏洩すると、妹の居場所が無くなってしまう。最悪、治療出来なければ、ネルマが殺される危険性もある。
それだけは避けたい!
俺自身が抱えている病気でもないから、フレヤ様やシャーロット様に直接お話しするのも疑問に思う。この1週間考え続けた結果、俺は彼女達の幼馴染でもあるオーキスに相談すべきだと判断した。
入学式の少し前、俺はオーキスと校門で再会し、その時の会話がキッカケとなって、俺達は《友人》となれた。今でも再会した時の会話を思い出すと、彼には申し訳ないことをしたと思う。
『君は、オーキスだったか? ……アソコはもう大丈夫なのか?』
模擬戦後の彼の苦しむ姿があまりにも鮮明に覚えていたからか、つい正直に言ってしまい、周囲にいた大半の学生達が吹き出した。
『アーバン様、大丈夫ですからそんなハッキリと言わないで下さい!』
『あ、すまない。悪気があって言ったわけじゃないんだ。あの時の状態を思い出してつい……』
俺が言う程、周囲の学生達が声を押し殺して笑い出す。
あの時、俺が馬鹿正直に話したせいもあって、オーキスに恥をかかせてしまった。彼とは同じクラスだったため、俺は教室で改めて謝罪し、互いの人柄を理解し合ったことで【友】となれた。
彼なら、信頼できる!
今日の授業も全て終わったことだし、早速相談に乗ってもらおう。
帰り支度を整えてから教室を見渡したものの、オーキスの姿はない。
あいつ、もう帰ったのか?
フレヤ様なら彼の居場所を知っているかもしれない。
「フレヤ様、オーキスを知りませんか?」
「アーバン、そのフレヤ【様】はやめて。学校内では平等に…でしょ?」
「う…そうなんですが…わかり…わかった。フレヤ、オーキスを知らないか?」
聖女シャーロット様は身分上【公爵位】、聖女代理フレヤ様は【伯爵位】と同意だ。これまでは自分よりも爵位の高い子息や令嬢達に対して、敬語を使っていたからか未だに慣れない。
「オーキスはミーシャに無理矢理連れられて、訓練場に行ったわ」
「また!」
獣人のミーシャはオーキスのことを気に入ったのか、放課後になったら必ず彼を連れて訓練場に行き、鍛錬を続けているらしいけど、毎日だと疲れだって蓄積するはず。定期的に身体を休ませるべきだろ?
「今回は鍛錬ではなく、《模擬戦》よ。入学式の翌日、ミーシャはシャーロットに模擬戦を挑んで瞬殺されたわ。アレが、相当悔しかったのよ」
「アレか」
あの模擬戦は見学した学生にとって、特に女性陣にとって勉強になっただろう。
初日の1限目の授業が終了すると同時に、ミーシャは隣のクラスに乗り込み、シャーロット様に模擬戦を申し込んだ。聖女様に模擬戦を直談判し快諾された情報は瞬く間に拡散され、多くの見学者がいる中、【体術限定】の模擬戦が放課後に実施された。
試合開始と同時にシャーロット様へ真っ直ぐ突進するミーシャ、その移動速度が同年代よりも遥かに早いことから、誰もが度肝を抜かされた。ミーシャの敏捷性を活かした四方八方から襲い来る激しい攻撃、見学者全員が危険だと判断したが、シャーロット様は息一つ乱さず、全ての攻撃を完璧にいなしていた。
それも最小限の動きだけで!
そして途中から、シャーロット様は攻撃に転じた。ただ、その攻撃は必ず寸止めされている。俺自身も体術を習っているから、寸止め箇所が全て人体の急所となる部位だと、すぐに気づいた。言い換えれば、【寸止め】は《いつでもお前を殺せるぞ》という明確な意思表示だ。彼女は、ハーモニック大陸でどれだけの実戦経験を積んできたのだろうか?
10分程の攻防で、ミーシャは戦闘意欲を無くし降参した。寸止め箇所が全て急所、ミーシャはかなり息を乱しているのに対し、シャーロット様は全く乱していない。力量差が明白だからこそ、彼女は降参したんだ。
ミーシャは【敏捷性】と【力】、シャーロット様は【技】で立ち向かう。心を落ち着かせ、相手の動きを認識し、その力を完全にいなし、人体の急所を正確に知っていれば、相手が強者であろうとも勝利することができる。この模擬戦は、そのお手本のようなものだった。
その日以降、ミーシャはオーキスを連れて訓練所で毎日鍛錬を積んでいる。
○○○
フレヤと共に訓練所へ向かうと、ミーシャとオーキスは丁度模擬戦中だった。今回は互いに木刀で戦っている。
「アーバン、オーキスの動きが少しぎこちないと思うのだけど?」
「確かに、少しおかしい」
特に、下半身の動きが以前見た時よりも、機敏性を感じない。
あいつ、股間攻撃を恐れているんじゃあ?
「あ、動きがいつも通りになったわ」
誰にも指摘されず、自分で気づいたのか。オーキスが動きを取り戻して以降、少しずつ優勢になっていく。ミーシャにも苦悶の表情が出てきた。もう油断することもないから、このままいけばオーキスの勝ちとなるが……
「あ、ミーシャのお尻の尻尾がオーキスの顔に直撃したわ!」
獣人にしかできない意表を突いた攻撃だ。入学試験の時もそうだったが、ミーシャは追い込まれた時の底力が凄い。たとえ模擬戦であっても、【絶対に負けるものか!】という気迫がここまで伝わってくる。だけど、オーキスも負けていない。尻尾でぶたれたことに動揺せず、ミーシャの動きをよく見ている。
『く……ならこれで!』
ミーシャがオーキスから少し距離を置いた直後、木刀の柄の部分をオーキスに向けて回転させずに真っ直ぐに投げて、同時に自分も突っ込んだ!? オーキスに股間攻撃を意識させて、動きを鈍らせたところでトドメの一撃を入れるつもりか!?
『甘い!』
あ……木刀が投げられた瞬間、足が内股となって両手と木刀で股間を隠したまま流れるように回避して、そのまま自分の木刀をミーシャの首に木刀を突きつけた!
「いや、その回避行動はおかしいだろ!!!」
いかん、つい突っ込んでしまった。
『オーキス、凄い。私の負け』
『今度は、僕の勝ちだ!』
確かに勝ちなんだが、他の見学者達も俺達と同じく微妙な雰囲気を漂わせている。
「アーバン、あれってオーキスの勝ちでいいのかしら?」
フレヤは目を細め、彼を見て呆れているように思える。
騎士として、あの勝ち方……というより最後の回避方法に問題がある。実戦ではどんな勝ち方であろうとも許されるだろうけど、学園内の模擬戦では大問題だ。
あれでは例え勝負に勝ったとしても、オーキス自身の評価を大きく下げる。
あんな回避方法をとる必要性は皆無なのに、何故?
まさか……股間を恐れて無意識に回避した?
あの時の股間直撃が、オーキスのトラウマになったのか?
「一応勝ち…かな?」
「私の中の彼のイメージが、ミーシャのせいで崩れていくわ」
フレヤと同じく、俺の持つオーキスのイメージにも、少しヒビが入っている。
これってマズくないか?
俺の予想が正しければ、今後オーキスの戦闘スタイルに多大な影響を及ぼす。友人として、あの回避行動だけは矯正させたい。
もし、妹のネルマがオーキスと知り合い、あの回避行動を見たら……いやいやいや教育上見せたくない! というか、ネルマの件を彼に相談していいのだろうか?
(筆記試験後、オーキスに絡んだ金髪の同級生です)
(オーキスの股間を治療した金髪の同級生です)
入学式から1週間、俺は悩み続けている。
シャーロット様は、《物事を1人で抱え込むな》と仰ってくれた。
俺…いやクディッチス家総出となって、解決すべき問題が1つある。それは、妹ネルマの抱えている病気だ。8歳のネルマは3年前から回復魔法の効かない特殊な病に侵されている。
この病の症状は異常だ。妹自身はどこから見ても健康状態なんだ。しかし、周囲の人達に被害を齎してしまう。父の親友が医者であったため、ネルマを診察してもらったが、体内魔力も肉体も全て異常なしだった。ステータスにも【病気】と記載されていないし、怪しげなスキルも魔法も習得していない。
にも関わらず、妹は《周囲にいる者達の生命力を自分に吸収または体外へ放出させてしまう》という症状を持つ病気だ。
その症状についての詳細も、大凡わかっている。妹を中心に半径5m以上離れていれば、何も起きない。この病気を他者に知られてしまうと、妹は化け物扱いされてしまう。だからこそ、接触すべき人材には注意している。
これまで家族や使用人だけで相談し、国立図書館などにも足を運んで、病気の正体を掴もうとした。冒険者ギルドや商人の伝手を使いエリクサーを入手し妹に飲ませたが、効果はなかった。
【あの事件】のせいもあって、自分の異様さを理解し始め、部屋に閉じこもるようになってしまった。お淑やかで可愛かったネルマが…ネルマが………あんな変貌を遂げるなんて……。
とにかく、一刻も早くネルマを病気から解放させてあげたい!
完治さえすれば、元のネルマに戻るかもしれない!
もう…頼れるのは、フレヤ様とシャーロット様しかいない。
だけど!
妹の治療は、学校の領分を完全に逸脱している。本来であれば教会に行って治療を申請すべきなんだが、情報が漏洩すると、妹の居場所が無くなってしまう。最悪、治療出来なければ、ネルマが殺される危険性もある。
それだけは避けたい!
俺自身が抱えている病気でもないから、フレヤ様やシャーロット様に直接お話しするのも疑問に思う。この1週間考え続けた結果、俺は彼女達の幼馴染でもあるオーキスに相談すべきだと判断した。
入学式の少し前、俺はオーキスと校門で再会し、その時の会話がキッカケとなって、俺達は《友人》となれた。今でも再会した時の会話を思い出すと、彼には申し訳ないことをしたと思う。
『君は、オーキスだったか? ……アソコはもう大丈夫なのか?』
模擬戦後の彼の苦しむ姿があまりにも鮮明に覚えていたからか、つい正直に言ってしまい、周囲にいた大半の学生達が吹き出した。
『アーバン様、大丈夫ですからそんなハッキリと言わないで下さい!』
『あ、すまない。悪気があって言ったわけじゃないんだ。あの時の状態を思い出してつい……』
俺が言う程、周囲の学生達が声を押し殺して笑い出す。
あの時、俺が馬鹿正直に話したせいもあって、オーキスに恥をかかせてしまった。彼とは同じクラスだったため、俺は教室で改めて謝罪し、互いの人柄を理解し合ったことで【友】となれた。
彼なら、信頼できる!
今日の授業も全て終わったことだし、早速相談に乗ってもらおう。
帰り支度を整えてから教室を見渡したものの、オーキスの姿はない。
あいつ、もう帰ったのか?
フレヤ様なら彼の居場所を知っているかもしれない。
「フレヤ様、オーキスを知りませんか?」
「アーバン、そのフレヤ【様】はやめて。学校内では平等に…でしょ?」
「う…そうなんですが…わかり…わかった。フレヤ、オーキスを知らないか?」
聖女シャーロット様は身分上【公爵位】、聖女代理フレヤ様は【伯爵位】と同意だ。これまでは自分よりも爵位の高い子息や令嬢達に対して、敬語を使っていたからか未だに慣れない。
「オーキスはミーシャに無理矢理連れられて、訓練場に行ったわ」
「また!」
獣人のミーシャはオーキスのことを気に入ったのか、放課後になったら必ず彼を連れて訓練場に行き、鍛錬を続けているらしいけど、毎日だと疲れだって蓄積するはず。定期的に身体を休ませるべきだろ?
「今回は鍛錬ではなく、《模擬戦》よ。入学式の翌日、ミーシャはシャーロットに模擬戦を挑んで瞬殺されたわ。アレが、相当悔しかったのよ」
「アレか」
あの模擬戦は見学した学生にとって、特に女性陣にとって勉強になっただろう。
初日の1限目の授業が終了すると同時に、ミーシャは隣のクラスに乗り込み、シャーロット様に模擬戦を申し込んだ。聖女様に模擬戦を直談判し快諾された情報は瞬く間に拡散され、多くの見学者がいる中、【体術限定】の模擬戦が放課後に実施された。
試合開始と同時にシャーロット様へ真っ直ぐ突進するミーシャ、その移動速度が同年代よりも遥かに早いことから、誰もが度肝を抜かされた。ミーシャの敏捷性を活かした四方八方から襲い来る激しい攻撃、見学者全員が危険だと判断したが、シャーロット様は息一つ乱さず、全ての攻撃を完璧にいなしていた。
それも最小限の動きだけで!
そして途中から、シャーロット様は攻撃に転じた。ただ、その攻撃は必ず寸止めされている。俺自身も体術を習っているから、寸止め箇所が全て人体の急所となる部位だと、すぐに気づいた。言い換えれば、【寸止め】は《いつでもお前を殺せるぞ》という明確な意思表示だ。彼女は、ハーモニック大陸でどれだけの実戦経験を積んできたのだろうか?
10分程の攻防で、ミーシャは戦闘意欲を無くし降参した。寸止め箇所が全て急所、ミーシャはかなり息を乱しているのに対し、シャーロット様は全く乱していない。力量差が明白だからこそ、彼女は降参したんだ。
ミーシャは【敏捷性】と【力】、シャーロット様は【技】で立ち向かう。心を落ち着かせ、相手の動きを認識し、その力を完全にいなし、人体の急所を正確に知っていれば、相手が強者であろうとも勝利することができる。この模擬戦は、そのお手本のようなものだった。
その日以降、ミーシャはオーキスを連れて訓練所で毎日鍛錬を積んでいる。
○○○
フレヤと共に訓練所へ向かうと、ミーシャとオーキスは丁度模擬戦中だった。今回は互いに木刀で戦っている。
「アーバン、オーキスの動きが少しぎこちないと思うのだけど?」
「確かに、少しおかしい」
特に、下半身の動きが以前見た時よりも、機敏性を感じない。
あいつ、股間攻撃を恐れているんじゃあ?
「あ、動きがいつも通りになったわ」
誰にも指摘されず、自分で気づいたのか。オーキスが動きを取り戻して以降、少しずつ優勢になっていく。ミーシャにも苦悶の表情が出てきた。もう油断することもないから、このままいけばオーキスの勝ちとなるが……
「あ、ミーシャのお尻の尻尾がオーキスの顔に直撃したわ!」
獣人にしかできない意表を突いた攻撃だ。入学試験の時もそうだったが、ミーシャは追い込まれた時の底力が凄い。たとえ模擬戦であっても、【絶対に負けるものか!】という気迫がここまで伝わってくる。だけど、オーキスも負けていない。尻尾でぶたれたことに動揺せず、ミーシャの動きをよく見ている。
『く……ならこれで!』
ミーシャがオーキスから少し距離を置いた直後、木刀の柄の部分をオーキスに向けて回転させずに真っ直ぐに投げて、同時に自分も突っ込んだ!? オーキスに股間攻撃を意識させて、動きを鈍らせたところでトドメの一撃を入れるつもりか!?
『甘い!』
あ……木刀が投げられた瞬間、足が内股となって両手と木刀で股間を隠したまま流れるように回避して、そのまま自分の木刀をミーシャの首に木刀を突きつけた!
「いや、その回避行動はおかしいだろ!!!」
いかん、つい突っ込んでしまった。
『オーキス、凄い。私の負け』
『今度は、僕の勝ちだ!』
確かに勝ちなんだが、他の見学者達も俺達と同じく微妙な雰囲気を漂わせている。
「アーバン、あれってオーキスの勝ちでいいのかしら?」
フレヤは目を細め、彼を見て呆れているように思える。
騎士として、あの勝ち方……というより最後の回避方法に問題がある。実戦ではどんな勝ち方であろうとも許されるだろうけど、学園内の模擬戦では大問題だ。
あれでは例え勝負に勝ったとしても、オーキス自身の評価を大きく下げる。
あんな回避方法をとる必要性は皆無なのに、何故?
まさか……股間を恐れて無意識に回避した?
あの時の股間直撃が、オーキスのトラウマになったのか?
「一応勝ち…かな?」
「私の中の彼のイメージが、ミーシャのせいで崩れていくわ」
フレヤと同じく、俺の持つオーキスのイメージにも、少しヒビが入っている。
これってマズくないか?
俺の予想が正しければ、今後オーキスの戦闘スタイルに多大な影響を及ぼす。友人として、あの回避行動だけは矯正させたい。
もし、妹のネルマがオーキスと知り合い、あの回避行動を見たら……いやいやいや教育上見せたくない! というか、ネルマの件を彼に相談していいのだろうか?
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