元構造解析研究者の異世界冒険譚

犬社護

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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】

シャーロット10歳になりました〜入学試験の始まりです〜

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戴冠式から、約2年の歳月が流れた。この2年間、アストレカ大陸とハーモニック大陸において、大きな変革の波が訪れる。

【ハーモニック大陸】
1) 人種差別問題
フランジュ帝国現帝王シャーロット・エルバランは、《アストレカ大陸出身の人間》かつ《偉大な聖女》として大陸中に知られている。現在、彼女やクロイス女王の活躍がキッカケとなり、ジストニス王国の人種差別問題はほぼ解消され、山々に隠れ棲んでいた人間・エルフ・ドワーフ・獣人達は、街や村を堂々と笑顔で歩けるようになっている。

ただし、クロイス女王の求める《奴隷制度廃止》に関しては、現在でも成し遂げられていない。治安が良くなっても、凶悪犯罪というものは必ず発生する。王国の民達から、犯罪者を更生させるためにも、《犯罪奴隷》を無くしてはいけないという意見が多く寄せられたからだ。目的を達成していないものの、不当な奴隷オークションなどは数多く摘発され、人種差別もほぼ解消されたこともあり、違法な4種族の奴隷に関しては、この2年で根絶されている。

2) 料理
各国において、《屑》と称される魔物肉のあらゆる部位が、料理の食材として使用可能となる。シャーロットの開発した料理の中には、サーベント王国でも一部商品化されていたが、オークカツや唐揚げなどの《揚げ料理》だけは開発されていなかった。味も大変美味で安価なことから、揚げ料理は各国でも認められ、新規料理が続々と開発されていき、食糧事情が大きく改善されたこともあり、シャーロットは《聖女》兼《天才料理研究家》として、大陸中の人々に覚えられている。

3)温泉
戴冠式後の誕生祭にて、クロイス女王自らが各国の王族達に【温泉兵器】を宣伝し、温泉を堪能させた。予想通り、皆が温泉を気に入り、3ヶ国全てにおいて、温泉兵器が試験的に導入されることが決まった。試験導入ということもあり、クロイス女王は少数の温泉兵器を無償で各国に譲渡している。日数が進むにつれて、他国から温泉兵器の注文量が徐々に増えていき、1年後には需要が供給を上回る事態となる。工場をフル稼働させ、なんとか各国からの不満を最小限に抑えることができたおかげか、現在ではハーモニック大陸全土において、空前の温泉ブーム到来となっている。これにより、ジストニス王国の国庫はウハウハ状態、各国からの信用を取り戻したことで、国として最盛期を迎えている。

4) 闇組織【ゴルドベーザ】の壊滅
バードピア王国において、長年闇で大きく動いていた闇組織【ゴルドベーザ】が、王族直属の精鋭騎士達と1体のドール族によって壊滅された。ドールマクスウェルはシャーロットの言いつけ通り、後方支援に徹し組織壊滅に尽力する。事件解決後、マクスウェルは騎士団すら知りえない支援魔法や魔法【真贋】、拷問魔法【ナイトメア】を教え、犯罪者達の自白にも貢献したことで、王国の中でも最高と評される【飛翔勲章】が授与された。《魔物が表彰される》、これはハーモニック大陸初の出来事である。翌年、シャーロットとドールマクスウェルは耐久レースに招待され、エメルダの隣席でレースを見学することとなる。この際、余計な騒ぎを防ぐため、2人はレースの設営に一切関わっていない。

5) ドール族の変化
戴冠式以降、全大陸において、ドール族達は人を襲わなくなった。その代わり、ドール族と遭遇したら、必ず【私の望む姿を紙に描いてくれ。評価が高ければ、希少なアイテム類を進呈しよう】と懇願されるようになる。

フランジュ帝国のある冒険者が、1体のマテリアルドールの望む姿を描き、御礼として【ファルコニウムソード】をもらった件が周囲に知れ渡ると、冒険者達はこぞってドール族を探し出すようになる。シャーロットが動いたことで、アストレカ大陸とハーモニック大陸では、逸早くその行動が目立つようになり、何の事情も知らないランダルキア大陸の国々でも、ドール族の変化に気づき、2大陸から遅れること5ヶ月、同じ現象が起こる。現在、ドール族の4割程が、新たな姿を手にしている。

5) フランジュ帝国の現状
フランジュ帝国においては、彼女自身が名ばかりの帝王であるため、大きく発展していない。そして言葉通り、何らかの自然災害が発生した際、従魔達(ドール族やドレイク)が逸早く行動し、未然に防いだり、被害を最小限に抑えていることもあり、シャーロットと従魔の評価は、非常に高いものとなっている。

また、盗賊達がドール族達の縄張りとなる森に侵入した場合に限り、即座に捕縛連行されることもあって、縄張り周辺にある村々の治安も大きく向上し、そこに冒険者達が休息を求め訪れることもあって、小さな村々でも活気がある。村人達は帝王を崇めており2年前に比べ、隠れシャーロット信者数が大幅に増加しているのだが、当の本人は殆どの時期をアストレカ大陸で過ごしているため気づいていない。

帝王即位直後、臣下達はシャーロットに見張られているような錯覚に陥り、政治を行う上で窮屈感を強いられた。しかし、彼女自身や普段王宮に常駐しているドレイクが政治経済に対して何も言わないことから、悪意を除いたこれまで通りの政治を行えば何の問題もないと察したことで、緊張状態も大きく緩和され、帝都内での不正事件に関しては、年々減少傾向にある。


【アストレカ大陸】

1)《ガーラン法王国の滅亡》と《ルニオール連合国の誕生》
彼女の故郷であるアストレカ大陸においては、この2年で劇的な変化が起きている。大陸全土を揺るがせた亡者大侵攻事件、これが解決してから3ヶ月後、ガーランド法王国が滅亡し、新たな国家ルニオール連合国が誕生する。各国の種族が協力し合い、新たな国を統治するという形のため、連合国となっている。現在の王は元エルディア王国の教皇アドルフであるが、王族としての権限は殆どない。フランジュ帝国のシャーロットと同様、飾りの王である。ただし、彼自身は新たに築かれた貴族と共に、政治に参加している。国会に言い換えれば、議長の様な存在となっている。まだまだ危ういものの、この2年で国としての基盤も固まり、経営も徐々に上向きへとなりつつある。

2) 人種差別

エルディア王国に関しては、魔人族への差別意識が完全に消失している。アッシュとリリヤ、トキワの3人がエルディア王国王都を拠点に活動し、多くの人々の依頼を完遂していったことで、魔人族に対する信頼度が大幅に向上したためだ。

ルニオール連合国においても、ほぼ消失したと言っていいだろう。当初、4種族も魔人族側もぎこちなかったものの、少しずつ会話を交わしていくことで、互いの価値観を知っていき、距離感も少しずつ縮まっていく。現在において、隠れ魔人族達は王都を自由に闊歩し、4種族達と笑顔で話し合う仲となり、《隠れ》を脱却している。

残りの国々においても、差別意識はこの2年で大きく改善されている。トキワの起こした事件とシャーロットの亡者討伐が、差別を無くす大きな要因となっているが、これら以外にも、もう一つの別の要因がある。

それが、【ドール族集団タコ殴り事件】だ。

現在、地上の存在する全てのドール族が、シャーロットの配下となっている。彼女のアイデアのおかげで、一部のドール族は自分の望む姿を手に入れた。この恩に報いるべく、全員がシャーロットを手助けしようと考えた。

1) ドール族の誰かが何者かによって虐げられている魔人族達を目撃した場合、その内容が全てのドール族に伝わる。
2) 高位ドールが【マップマッピング】【ポイントアイ】【配下召喚】を駆使することで、目撃地点に大軍を召喚させる。
3) 魔人族を虐げる【馬鹿共】をタコ殴りにし、近くの街へと連行していく。

この行為が、アストレカ大陸中で頻発したのだ。ドール族は魔物であるため、【馬鹿共】が自分の身分を叫ぼうとも、一切怯むことはない。ボロボロにされた《ミルバベスタ皇国のとある皇族》が、何処かの街の冒険者ギルドに転がされた逸話さえある。

なお、ボコボコにする直前、ドール達は両者からきちんと話を聞いている。高位ドールは、相手の魔力の波動から動作や嘘を見分けるスキル【心眼】を所持しているため、誤ってボコる行為は起きていない。こういったドール族達の行為により、アストレカ大陸において、魔人族を差別する者達は激減したといっていい。

3)隠れ魔人族達の移動

2年前、ハーモニック大陸に行きたいと望む者達が大勢いたことから、シャーロットは彼らの望みを叶えてあげることにした。

【魔鬼族の転移先はジストニス王国】
【ダークエルフ族の転移先はサーベント王国】
【鳥人族達の転移先はバードピア王国】

となっている。ただし、家族同然で暮らしている者達も大勢いるので、その場合の転移先は、家族の意見を尊重することになっている。

ハーモニック大陸への移住者は、全体の5割。
アストレカ大陸エルディア王国への移住者は、全体の3割。
アストレカ大陸ルニオール連合国に留まる者は、全体の2割。

ちなみに、シャーロットの知り合いであるネルエルや村の人達はエルディア王国、ベルナデットは長と共にルニオール連合国に残っている。

この2年において、アストレカ大陸とハーモニック大陸との貿易自体は復活していないものの、エルディア王国、ルニオール連合国、ジストニス王国の3カ国にて、王族達はグローバル通信機による話し合いが行われており、現在【とある計画】が水面下で進行中となっている。なお、ランダルキア大陸の西端と東端の国々も、アストレカ大陸とハーモニック大陸の国家情勢の変化を察知しており、この【大きなうねり】を導いた1人の少女シャーロット・エルバランの情報を密偵達に探らせているが、現在でも大きな動きを見せることなく、静観を保っている。


そして現在、多くの国々から注目を浴びている【聖女シャーロット】は10歳となり、エルディア王国王都のフラマリオン学園の入学試験を受けようと、従魔の【ドールマクスウェル】、成長した【リーラ・オーキス・フレヤ】と共に正門入口に佇み、じっと学園を眺めている。


【シャーロットのやらかし冒険譚】、第2幕の始まりである。


○○○ シャーロット視点


遂に、この日がやってきた!

ここフラマリオン学園に初めて訪れた7歳の時から早3年、私は10歳となり、あの時のお兄様と同じ様に、入学試験を受けにきた。しかも、1人ではない。私の隣には、リーラ、オーキス、フレヤの3人がいる。10歳になったことで、私やリーラ、フレヤの背も少し大きくなり、胸だって細やかながら膨らんだ。でも、この4人の中で1番成長したのは、オーキスだ。ハーモニック大陸から帰還し再会した時よりも、少し大人びた男の子へと成長し、筋肉が付いたこともあって、身体も一回り大きくなっている。同年代の女の子にモテモテになるくらいのレベルだろう。

【目標は、やっぱり全員合格だよね!】

今回の入学試験、筆記と実技の2つがある。実技は、その年によって内容も大きく異なる為、4人全員が身軽に動ける服装を着ている。ただ、私は【《聖女》兼《公爵令嬢》】、リーラは【伯爵令嬢】、フレヤは平民だけど【聖女代理】のため、私達3人はかなり上質な服装をしている。オーキスは平民の【勇者】だけど、秘匿扱いとなってるため、一般に出回っている冒険者服となっている。そのため、この4人の組み合わせは異様に目立つ。

ここに到着して数分しか経過していないのに、多くの受験生達が、私達を見ている。これ以上ここに留まっても注目を集めるだけで、後方の受験生達の邪魔になるから敷地内に入ろう。

「入学試験、絶対合格しようね!」

私が皆を鼓舞させると、3人共深く頷いた。

「4人で、この日の為に頑張ってきたもの!マクレン領のドワーフや光精霊様に教えてもらった知識を活かしてみせるわ!」

リーラは2年前よりも、言葉遣いや相手と接する時の姿勢が、貴族のお嬢様っぽくなっている。かくいう私も、立ち振る舞いに関しては、お母様から色々と教育を受けた。来客の際に見せる堅っ苦しい動作や喋り方があまり好きになれないのだけど、時には私も貴族らしく振る舞わないといけないから、この2年でしっかりと勉強しておいた。お父様とお母様からも、お褒めの言葉を頂いている。

「シャーロット様、リーラ様、オーキス、頑張りましょう!」

フレヤは、聖女代理としての立ち振る舞いや言葉遣いを、教会で日夜学んでいるため、この2年ですっかり様変わりし、平民にはとても見えない。そして、イザベル・マインの起こした悲劇にも打ち克ち、今では心も逞しく成長している。また、彼女は私と同じ転生者であるため、私の良きパートナーでもある。現在、周囲には他の受験生もいるからか、私やリーラには敬語を使用している。

「そうだね。リーラ様は筆記で心配だけど」

オーキスは、この2年で大きく成長し、10歳とは思えないほど頼もしく見える。半年前、史上初9歳Cランク冒険者に認定されてから、平民だけでなく貴族にも注目されつつある。現在では、その才能の高さから王族騎士団に拾われたと思われており、【騎士団の秘蔵っ子】として注目されている。

「オーキス、一言余計よ!」

リーラはムスッと怒った顔をしているけど、2人にとってこういう馴れ合いは、日常茶飯事である。オーキスとリーラは身分差があるけど、《幼馴染》ということもあって、相変わらず仲が良い。彼は王城内部にて、英才教育を施されているため、まず心配いらない。私の場合、実技面でやや不安だ。この2年で、制御能力も大きく向上したものの、模擬戦などで相手に大怪我を負わせると失格になってしまう。相手にとって屈辱だろうけど、とことん手加減させてもらおう。

私達4人と護衛のマクスウェルは、学園の敷地に足を踏み入れる。

私がハーモニック大陸に転移される前と比べて、校庭の雰囲気が変化している。一言で言い表すならば、【癒し】かな。正門から正面に見える校舎までの空間には、学生達に休息を与えるようなものが所々配備されている。噴水広場、ベンチ、木々、花々、それらが絶妙な配置となって植えられているため、訪れる人々の気分も不思議と落ち着く。私だけでなく、周囲の受験生達も、この光景を見て、ホッと一息ついている。

この点においては、アッシュさんの在籍しているロキナム学園と大きく異なる。

校庭の校舎付近に設置されている掲示板を見ると、筆記試験の会場は全部で4つ、自分達の受験番号を確認すると、私とフレヤが同じ教室だった。

「シャーロット様とフレヤとは別教室か~。でも、オーキスとは同じ教室だから、一緒に行きましょう。シャーロット様、フレヤ、また後でね」
「ええ」
普段、リーラとはタメ口で話しているから、敬語だと妙にこそばゆい。
日本と違い、この世界では身分差があるのだから仕方ないのか。

私達はリーラとオーキスと別れ自分達の会場へ歩いていく。すると、そこら中から視線を感じる。フレヤも、少し気になるようだ。

「シャーロット様は、この様々な視線に嫌気をささないのですか?」

「もう慣れたよ。私の場合、ハーモニック大陸の街とかでは、何百という視線を常に感じていたから」

フランジュ帝国の帝王のため、最低でも月1回は帝国へ視察に訪れている。現時点において、オーキスとリーラの2人には、私の強さも含め内緒にしている。フレヤだけが、私の事情を全て把握している。

「何百…あはは」
聖女と聖女代理が一緒に出歩く事自体が、珍しい。しばらくの間、この視線は続くよね。この多種の視線に混じって、誰かが私を違った意味で観察しているようだけど、余計な騒ぎを起こしたくないので無視しよう。

「私達は慣れているから良いんだけど、オーキスは大丈夫かな? 私とフレヤと一緒に来ているところを見られたし、【騎士団の秘蔵っ子】として有名でしょ?」

そう、今回の試験では私とフレヤよりも、オーキスの方が確実に目立ってしまう。彼自身も、ある程度の視線には慣れているようだけど、この学園に通う以上、今後平民貴族から奇異の視線をより多く感じてしまうだろう。

「オーキスなら大丈夫ですよ。昨日も、《その程度の視線でビビらないよ!》と意気込んでいましたから」

どうやら精神的にも、彼は一回り成長したようだ。

私達が会場に到着し、教室の扉を開けると、皆が一斉に私達を見た。驚いているものの、それどころではないと思ったのか、すぐに下を向き、受験用のテキストと睨めっこし始める。この空気、大学のセンター試験と似ている。試験会場は、教壇を一番下とし、そこから階段形式となって、4人用の横長の机と椅子が、横4列・縦8列となって並べられている。

「う、緊張してきた。この殺伐とした雰囲気、中学と高校の入学試験に似ています」
「フレヤ、全く同じ意見だよ。マクスウェル、不正を疑われる可能性もあるから、試験の間は教室から出て、従魔用の控室にいてね。呉々も騒ぎを起こさないように」
「は、わかりました!」

10歳の時点で、私と同じく従魔契約を結べている人も、少数ながら存在する。従魔の場合、従魔通信により、心で会話可能となる。そのため、カンニングを防止すべく、従魔の控室にも、監視官が2人いる。従魔が騒ぎを起こした場合、連帯責任で私も不合格となる。

そういえば試験期間中、学生達の授業はお休みとなっている。だから、ラルフお兄様は試験官のお手伝いとして、4つの会場のどれかに配属されていると聞いたけど、さすがに身内のいるここではないよね。お兄様も13歳となり、2年前と比べ男らしくなっている。学園入学以降、剣術や魔法の成績も、ずっと学年3位圏内を維持している。妹の私も、聖女ということもあって、絶対注目されるだろう。この入学試験では、実技において、オーキスと同様に注目の的だ。

フレヤと別れ、受験番号と同じ番号の紙が置かれている席に着席すると、10分程で3人の試験官が教室に入ってきた。3人共、25歳くらいの男性だ。

「受験生達、席に着席しろ。今から筆記試験を始める。わかっていると思うが、カンニングをしている者はその場で失格処分とする」

まあ、当然だよね。試験用紙が私のもとに配られてきた。

「試験時間は60分、始め!」

さあ、試験スタートだ!





○○○作者からの一言


次回更新予定日は、3/25(月)10時40分となります。

明日3/19(火)、【漫画版第10話】が、アルファポリス公式サイト内にて、
昼0時にUP予定となっております(^ω^)
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