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10歳〜アストレカ大陸編【戴冠式と入学試験】

挨拶回り

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現在、私達は王宮2階バルコニー付近におり、外の光景を眺めている。カムイによって半壊された王宮に関しては、さすがにこの短期間で修繕しきれていないものの、戴冠式で利用されるこのバルコニー周辺に限っていえば、ほぼ修繕されているといっても過言ではない。半円形となっているバルコニー自体は、他国の王族達が周囲に座ることもあって、かなり広い。地上の人達からも見れるよう、壁の高さもやや低く設計されている。

明日、大勢の国民達が新たな帝王となる私を見るべく、ここから敷地境界線となる入口付近まで押し寄せてくる。せっかくの記念式典なのだから、私にしかできない戴冠式を皆に披露したい。国民達に観せるアピールはもう決めている。このやり方ならば、気絶者ゼロとなり、圧巻な光景を見て、私を帝王と認めてくれるだろう。

でも、これだけじゃあ少し物足りない。出席してくれる他国の王族達に、前座として《プチドッキリ》を仕掛けてみよう。

「ドレイク、他国の王族達はこのバルコニーを見学した?」
「はい、修繕度合いを気にしておりましたので。それが何か?」
ドレイクが怪訝そうな顔をしている。
よし、見学したのなら、こちらとしても都合が良い。

「今日の夜、ちょっとここを借りるよ。少~し、ここの構造を弄らせてもらうね。ソーマさんや臣下の人達から許可を貰ってから、動く予定だから安心して」

ククク、鳥人族の人達は驚かないかもだけど、出席者リストにはクロイス女王やシンシアさんの名前も載っている。少なくとも、あの2人は驚くはずだ。

「シャーロット様、どう弄るのか聞いても宜しいでしょうか?」
「シャーロット、僕も聞いておきたい」
「俺もだ」
「僕も知りたい!」
「私も……気になる」
ドレイク、アッシュさん、トキワさん、カムイ、リリヤさんに黙って、実行するのはダメだよね。ここにいるみんなが許してくれるのかどうかも気になる。

「このバルコニーを????????するの」

プチドッキリの内容をみんなに教えると……

「帝王としての強さに関係ありませんが、面白いと思います。私は賛成です」
おお、ドレイクから許可が下りた!

「う~ん、その仕掛けなら、バードピア王国の王族達は前座として楽しんでくれるかもしれない。でも、僕達と面識のあるジストニスとサーベント王国の王族達がどう思うか問題かな。トキワさんは、どう思います?」

アッシュさんは、私のプチドッキリに賛成していいのか悩んでいるってところか。

「他国では、絶対にできない所業だ。だが、フランジュ帝国でなら……アリだな。ただ、わざわざ製作しなくても、シャーロットなら魔法で対処できるだろ?」

「ふふふ、それでは面白くありません。本物を体感して欲しいのです」
あの仕掛けを見れば、クロイス女王やアトカさんは真っ先に魔法を疑うからね。あの人達の驚く顔を見たい。

「まあ、前座のインパクトとしては大きいか。驚くのは出席者達だけだが、問題ないだろう」

やった! トキワさんが良いのなら、アッシュさんも良いよね。

「う~ん、面白いけど、な~んか物足りないな~~。でも、前座なんだから、その後に何か仕掛けるんだよね? シャーロットが、どうやってみんなを驚かせるのか楽しみだな~」

カムイだけ、答えがズレている。リリヤさんは何か言いたいようだけど、口を噤んでいる。拷問の件もあって、発言を控えているようだ。でも、せっかくだら彼女の意見も聞いておこう。

「リリヤさん、何か疑問があるのですか?」
「うん……」

リリヤさんからの質問内容、女性として当然気になるものだった。
そこは、抜かりありません。

「床の外側と内側を対処すれば、その問題も防げます。あと、今日中にソーマさん達に進言すれば問題ありません」

ふふふ、明日の戴冠式が楽しみだ。多くの人々に驚いてもらおうかな。


○○○


戴冠式前のプチドッキリの内容を謁見の間にいたソーマさんや大臣達に教えると、大臣達の多くは当初…

「その行為は帝王の強さと関係ありませんし、出席者の方々に対し無礼です」

と強く反対されたのだけど、鳥人族でもあるソーマさんは…

「いや、そうとも限らんぞ。バードピアの王族達とは、俺も面識がある。あの方々なら、シャーロットの趣向も面白がるはずだ。それに、その行為自体が彼女にしかできない芸当だ。出席する他国の王族達には、彼女の力が【強さ】だけでないとアピールできる!」

とプチドッキリを面白がり、反対する人達を説得してくれた。大臣達も、ソーマさんの意見に一理あると判断したのか、最終的に許可してくれた。その後、現帝王や大臣達が揃っていたこともあり、現在までの状況を聞いてみた。今の王宮の状況を考えると、他国の観光客や冒険者達から見れば、一見国力が低下しているように思えるからだ。以前、ドレイクから《帝都周辺の警備を強化させたいので、【従魔召喚】、魔法【真贋】、【マップマッピング】をコネクションスキルでお借りしても宜しいでしょうか?》と通信があった。その後の状況が、気にかかる。

ソーマさんからの情報によると、ドレイクの提案した警備強化の対策は大成功らしい。巨大化した【フロストドラゴンのドレイク(ドラゴン形態)】、【大和人形のドールマクスウェル】、【市松人形のドールXX】、【西洋人形のドールX】、【死神デッドスクリーム】が、帝都全体を定期的に上空から悠然と警備することで、国民達や他国の冒険者達は、《国力が大幅に強化され、脅威が増した》と思われ、皆に強い安心感を与えたのだ。

ちなみに、この功績は私の従魔達にあり、主人でもある私の力は未だに疑問視されている。8歳の私が、あれらの強大な従魔達を力で従えているのではなく、何らかのスキルで服従させていると思われているようだ。つまり、冒険者達はそんな私を武闘会で倒すことができれば、私を利用して、従魔達を自分のものに出来るかもしれないと企んでいるらしい。

また、従魔達は魔法【真贋】と【マップマッピング】を駆使したことで、列席者達の暗殺を企む4名の暗殺者達の捕縛にも成功している。ただ、帝国の人達が尋問しても、4人組は自分達の素性を頑なに話そうとしなかった。そのため、ドールマクスウェルが魔法【スリープ】で奴等を眠らせた後、幻惑魔法【幻夢】を用いて、拷問【ナイトメア】を執行した。拷問といっても、夢の中で悪夢をみせるだけだ。

悪夢の舞台は寂れた監獄施設、4人組は施設入口からのスタートとなる。そこに、ゾンビや侍ゾンビ、ゾンビ犬、ゾンビ巨大マウスといった怪物達が、《暗殺対象誰かな~~~》《目的は~~~》《黒幕は誰~~~》《全部吐いて~~~》《吐いたら脱出できるよ~教えて~》と叫びながら、彼らに襲いかかってくる。ただし、とあるゲームと違い、決定的に違うところがある。怪物達は不死身であるものの、4人組に対し、殺意などは一切ない。普通の犬のように、上記の言葉を叫びながら、和かな笑顔で甘え襲ってくるだけだ。そのため、怪物達は《ペロペロ攻撃》と《甘噛み攻撃》のみとなっており、リリヤさんの鳥啄みやカムイのペロペロの様に激しくない。あくまで、犬が御主人に甘えてくるレベルだ。

自分達の素性全てを吐き出せば、悪夢から目醒める。情報に関しては、寝言で洗いざらい尋問官に話しているという仕組みだ。以前、私が従魔達に【こんなホラー拷問があったら、面白いよね~】と言ったことを参考にしたようだ。

悪夢クリアー時間は37分12秒、呪縛から解放された暗殺者達は、血走った目で再度同じ情報を尋問官達に話したらしい。暗殺対象となっていたバードピア王国の王族や護衛達には、この件を既に報告し、大型通信機を介して、国内の重鎮達に対処を命令している。王族達は反乱分子の中核となる人物名が判明したこともあって、私の従魔や帝国の臣下達に頻りに感謝していたという。

ドレイク達のおかげで、私の信頼度がかなり向上している。これなら挨拶回りに出掛けても、何の問題も起こらないだろう。


○○○《クロイス女王が滞在する屋敷にて》


挨拶回り1軒目は、ジストニス王国クロイス女王となる。私達全員が面識あるため、皆で彼女の滞在する屋敷に出向くと、執事ギャラックさんとアトカさんが出迎えてくれた。そしてリビングに入ると、そこには水色のワンピース風カジュアルドレスを着ているクロイス女王と、もう1人意外な人物がいた。

「皆さん、お久しぶりです」
「シャーロット、アッシュ、リリヤ、お久しぶり~~~~」

私に対し、ウィンクしながら右手で手を振ってくれているのは、サーベント王国のシンシア王太子妃だ。クロイス女王と異なるベージュ色のセパレートドレスを着ている。

「クロイス女王、シンシアさん、お久しぶりです。というか、どうしてシンシアさんがここにいるのですか?」

ここでは私が主要ゲストとなるため、私がクロイス女王達のいるソファー対面に座ると、トキワさん達は2人に軽く挨拶すると、邪魔にならないようアトカさんのいる壁際へと移動した。シンシアさんは、クイズ関係で私達と長く付き合っているため、口調を崩している。

「昨日初めてクロイス様とお会いして、すご~く気が合ったの! あと、私の下に弟がいるのだけど、妹はいないの。クロイス様を見ていると、妹のような感じがしてね」
穏やかなクロイス女王だからこそ、許される発言だよね。

「ふふ、私もシンシア様と話し合っていると、不思議な感じがするのです。私にはお兄様しかいませんでしたが、お姉様がいたら、きっとこんな感じで話し合うのかなと思っています」

この2人からは、緊張感といったものを感じ取れない。2人の相性が合っているんだね。

「シャーロット、ドレイクやクロイス様から聞いたよ~。フランジュ帝国帝都でのスキル販売者捕縛や、従魔お尻ペンペン事件、アストレカ大陸ガーランド法王国での出来事、全てが後世に伝わる大事件ばかりだよ! 近い将来、シャーロットが従魔にお尻ペンペンしているところや、トキワが怒り爆発して、法王を殴っているシーンとかが、絵付きで各国の学園の教科書に載るよ!」

シンシアさんの発言、それは無視できませんよ!?

「文章でならいいのですが、絵だけはやめて欲しいです!」
「俺も同じ意見です」

トキワさんの場合、無理かもしれない。

「う~ん、シャーロットの方は戴冠式の絵になるかもしれないけど、トキワの方は無理だと思うよ? だって、忌み嫌われている魔人族が、1国を滅ぼしたんだよ? しかも、たった1人で! アストレカ大陸全国家も、魔人族の強さを後世の人々に伝えるため、トキワの人物像と法王を殴っているところを絵にすると思う」

私の場合、アストレカ大陸では【聖女】として、ハーモニック大陸では【フランジュ帝国の帝王】として、学園の教科書に載るのね。従魔お尻ペンペン事件の絵だけは、回避したい! 

「トキワ、【大陸間の国交回復】のためにも、ここで起きた事件と、ガーランド法王国で起きた事件全てを、ハーモニック大陸全国家に設立されている全ての学園の教科書に載せることが、昨日の段階で既に決定しています」

クロイス女王、対応が早いよ! 
昨日って、ドレイクにこの情報を聞いたばかりでしょ!?
聞いてすぐに、各国で話し合ったのか!

「ちょ…ちょっと待ってください! せめて、怒りの原因となった部分だけはぼかしてくれないか!」

トキワさんが、珍しく焦っている。
【全て】ってことは、あの部分も載せられるということだもんね。


「うふふ、恋人スミレさんの顔を模したスミレメダルを粉砕されキレて、鬼神変化し国を滅ぼしたことですよね?」

「うが~~~、マジでやめてくれ! 内容までが赤裸々に公表されたら……」
トキワさんにとっては、あまり知られたくないだろうけど、もう遅いと思う。

「私は全部載せても良いと思いますよ? ね、シンシア様」
クロイス女王には、悪意といったものを微塵も感じ取れない。でも、シンシアさんは……

「うん、全部載せちゃおう! これは、魔人族が人間と同じで、【愛のある種族】だとわかってもらえる絶好の機会なんだよ! トキワも、愛ある人物として教科書に載るのだから問題ないよ!」

彼女は真剣な目で訴えているのだけど、私達から見れば、トキワさんをからかっているようにしかみえない。

「問題大アリだよ!」
「トキワ、互いの種族差別をなくすために協力しろ。もう……遅いんだ。諦めろ」

アトカさんがトキワさんの右肩に、そっと右手を置いた。すると、トキワさんは観念したのか床に崩れ、両手を床につけてしまった。

「最悪だ。カクさんが俺にやたら協力的だったのは、こうなることを察していたのか」

今すぐ教科書に載ることはないだろうけど、10年後とかには載っている気がする。その頃には、トキワさんも30代だから、多分許すんじゃないかな? 私も子供の頃の思い出を面白がって、許すような気がする。

「トキワさん、私と一緒に教科書に載りましょう。そして……先日起きた拷問事件も載せましょう。過剰の拷問やイタズラを行うと、神の怒りを受け、身を滅ぼすことを皆に知ってもらいましょう」

「うえ!? シャーロット、それって私の名も載るの!」
ここで、リリヤさんがビクッと身体を大きく動かし動揺する。

「リリヤさんの名は伏せます。《とある12歳の女の子》にすれば、誰にもわかりません」
当時の目撃者だけは、鮮明に覚えているだろうけど。

「「拷問事件?」」

あ、そうか。あの事件のことをドレイクから聞いていないのか。せっかくだし、2人に伝えておこう。拷問に関しては、どの国でも秘密裏に行われているはずだ。過度にやりすぎると、誰にでも天罰が下ることを伝えておかないと。

「……といった内容です」

この悲劇に逸早く反応したのは、シンシアさんだ。彼女もベアトリスさんの件で、サーベント王国に多大な迷惑をかけている。リリヤさんの気持ちが、ここにいる誰よりもわかるのだろう。シンシアさんは、彼女のもとへ行き、自分の両手で彼女の両手をそっと優しく包み込む。

「リリヤ……それはやりすぎだよ。神様だって怒る。それに、起きた悲劇をずっと悔やんでいても、人は前に進めない。私も……そうだった。この悲劇を繰り返さないためにも、自身が強くならないといけない。あなたの場合、普段抱えているストレスや過去の経験とかが関係していると思う。今後、狂気に囚われないよう、仲間達としっかり相談していけばいい。リリヤ、頑張れ! 強くなれ!」

リリヤさんも、シンシアさんの言葉が強く響いたのか、大粒の涙を流す。

「シンシア様、ありがとう…ございます。私…頑張ります…強くなります」

「リリヤ、人は誰であっても、間違いを犯します。その間違いから逃げてはいけません。自分の内に潜む狂気に打ち克ちなさい。そうすれば、あなたは強くなります。後ろを振り返らず、前だけを見なさい」

お父様とお母様は、大陸を離れるリリヤさんに今の状況を心に刻み込ませるため、あえて何も言わず突き放し、トキワさんとアッシュさんにだけ、《戴冠式を頼む》と言った。そして、ここではクロイス女王とシンシア王太子妃から、的確なアドバイスを受ける。彼女は、どう感じるかな?

「クロイス…様、はい…ありがとう…ございます」

よし、拷問の件はいずれバレるだろうと思い、早めに言っておいて正解だ! 

お父様とお母様からの厳しい無言の指導と、クロイス女王とシンシア王太子妃からの助言、これでリリヤさんの心も完全に立ち直れる!

「シャーロット、挨拶回りの際、各国の王族の方々にも教えてあげて下さい。特にバードピア王国の方では、暗殺の件もありますので、おそらく国内でも大きく動いているはずです」

「わかりました」

その後、私はクロイス女王様とシンシア王太子妃に、《アストレカ大陸の隠れ魔人族移住の件》と《グローバル通信機の機能と譲渡》について話し合う。エルディア国王の間違い通信のことを伝えると、皆が笑い、先程までに感じた緊張感がすっかり無くなっていた。しばらく会わない間に、クロイス女王は一回り成長し、女王としての風格が備わってきているように感じたよ。


○○○


アッシュさん、リリヤさんの2人をクロイス女王の屋敷に残し、私、シンシアさん、トキワさん、カムイの4人は、サーベント王国の国王様方がおられる屋敷へと赴く。

この国からの出席者は、《シンシア王太子妃》以外にも、《アーク国王陛下》と《クレイグ王太子》がいる。アレフィリア王妃様は、なんと懐妊のため欠席である。屋敷入口付近にて、私は空戦特殊部隊のイオル隊長を含めた3人の人達と久しぶりに再会した。残念ながら、ミカサ副隊長は王都護衛のため、サーベント王国に残っている。

久しぶりに再会した空戦特殊部隊の面々は、私の帝王即位について、大きく驚いていなかった。イオルさん自身が私の底知れぬ強さを感じているし、トキワさんからも私のことを聞いていたようだ。

私達はイオル隊長に案内され、屋敷の広間にて、クレイグ王太子とアーク国王に再会した。再会の挨拶を行った後、皆がソファーに座り、私はクックイスクイズから現在までの話をしてから、戴冠式の話題に移す。すると、シンシアさんが……

「【デジタルカメラ撮影】と【高感度投影】をフル活用して、戴冠式での映像を、帝都全土に映すね!あれから、私も成長したんだよ。【メモリーエンチャント】ていうスキルを身に付けたおかげで、私の見た映像をステータス内に録画して、自由に編集することが出来るの。しかも、その映像を空間属性の魔石に移せるんだよ! 魔石の耐久力やスキルレベルの兼ね合いで色々と制限があるけど、戴冠式が終わったらシャーロットにプレゼントするね!」

この行為は、私にとっても非常に嬉しいことだったので、きちんと御礼を言っておいた。

「シンシアさん、ありがとうございます。先程の拷問の件ですが、過度のお仕置きも控えて下さいね。アレフィリア王妃様が実行したら、エルディア王国のルルリア王妃様と同じく、【拷問苛烈ババア】の称号が進呈されますからね」

シンシアさん、想像したのか、顔が引きつっている。

「あはは、その称号はお義母様に相応しくないよね」
「母上に、そんな称号は似合わない。皆に、過度の拷問もお仕置きも、控えるよう進言しておこう。父上も控えて下さいよ。一番危ないのは父上なんですから。国王が【酒乱苛烈ジジイ】とか【酒乱苛烈オヤジ】とか進呈されたら最悪ですよ」

「あ…ありえますね」

クレイグ王太子の言葉に、何故かシンシアさんもひいている。
酒乱と言ったよね? 
クレイグ王太子の言葉に、隣にいるアーク国王も青褪めている。

「あれは、勢いで……当分酒を控える」

話を聞くと、王妃懐妊の報せを聞き、その日の夜、仲のいい貴族達と飲み会を決行したらしい。飲みすぎて、ちょっと羽目を外し暴れたようだ。偶に、羽目を外すのも結構だけど、飲み過ぎはダメだよね。1時間程話し合ったところで、3人にお別れの挨拶をした後、私達は最後のバードピア王国の屋敷へと移動する。話の流れをスムーズにさせるため、王族と面識のあるトキワさんも、一緒に来てもらっている。


この屋敷にて、私は意外な人と再会することになる。








○○○作者からの一言

長くなりそうなので、2話に分けます。
次回更新予定日は、2/26(火)朝10時40分となります。

本日昼12時に、漫画版【元構造解析研究者の異世界冒険譚】第9話がUPされる予定です。皆さん、是非読んでみてください(^ω^)

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