僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護

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最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる

37話 アキト、辺境伯領間の架け橋となる 

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騒動鎮圧後、僕は出席者の人たちに対して、真っ先に謝罪を入れた。謝罪理由は、僕の女装だ。理由を話したら、全員が納得してくれて良かったけど、女装したままミスリル合金の取り引きについての話し合いがミランダ様たちと始まって、僕にはちんぷんかんぷんだったので退席させてもらい、シェリルやリリアナたちのもとへ行くと、今度は貴族令嬢たちが、僕の女装を気に入ったようで、パーティーが終わるまで、僕は延々とリリアナ、シェリルを含めた女性たちと会話を続けることになった。全てが終わり、皆との別れを済ませて馬車の中に入ると、僕の体力も尽きてしまい、そのまま寝てしまった。

この騒動は精霊誘拐の件と合わせて、世間を賑やかにさせたけど、出席者全員が僕に気を遣ってくれたのか、【悪意を祓ってくれたのは、2体の精霊と契約するアキ・ボルトンという女の子】となり、僕がそっちで注目を浴びることはなくなったけど、ミスリル合金に関しては、僕の手柄となった。表面上、天才鍛治師レンヤにヒントを与えた子供てことで、そこまで注目を浴びてないけど、このミスリル合金自体が幅広い用途があって、そこから莫大な利益が生まれるらしい。

アーサム様やミランダ様から、僕にもわかる範囲内で色々と教えてくれたけど、正直難しい言葉もあって、イマイチ理解しきれていない。簡単に言えば、僕はミスリル合金を発案し、レンヤさんたちと作り上げたことで、2国間の友好関係という繋がりをより強固にし、各辺境伯領の架け橋的な存在になったんだって。

一番驚いたのは、レンヤさんたちと協力して、生活を豊かにさせる新たな合金を開発してくれないかと言われたことかな。しかも、お給料も出すって言われたんだ。お金の価値がいまいちわからないので、そこはお父さんたちと相談だけどね。

僕自身は皆に褒められたことで、心がすっごくポカポカして嬉しかった。だから、僕の知識が皆の役に立ってくれるのなら、今後も何かを開発していきたいと言ったら、アーサム様やミランダ様だけでなく、話を聞いていたシェリルも喜んでくれた。リリアナだけが、何故か不機嫌だったけど。

あの騒動やミスリルの合金のことで色々と騒々しかったけど、僕やリリアナ、シェリルの心も3日程でようやく平穏を取り戻し、現在緩やかな日常生活をティムランド辺境伯邸でおくれている。

精霊誘拐事件の主犯も、僕たちの預かり知らぬところで鎮圧され一安心なんだけど、キャンベル侯爵家を苦しめた魔法薬の件に関しては、テンブルクとソマルトリア両国で影響を与えていたようで、こっちはまだ終息されていない。こっちに関しては、僕もリリアナも全て話し終えているので、そろそろ一度帰って、お父さんたちにこれまでの事を報告したい。


○○○


時間はお昼前。

僕・リリアナ・シェリル・トウリは、2階テラスにてガルーダ様から魔力感知と魔力制御の訓練を2時間程教わり、今は休憩しているところ。マグナリアは昨日から用事で邸にいないけど、出発する際に『明日の昼前後に帰ってくる。その際、アキトとリリアナには、ちょっとしたサプライズをプレゼントするから楽しみにしてほしい』と言っていたけど、何をくれるんだろう?

僕にとって、今一番叶えたい願いは、ここで起きた出来事をお父さんとお母さんに報告することだけど、陸路の安全が確保されるまでは、こっちから行けないし、あっちからも来れないんだよね。

「シェリル、僕とリリアナって、まだ帰れないの?」
「アキトは、ここで働いてくれないの?」
「ちゃんと、両親に事情を話してからだよ。お父さんは発掘士だから、依頼があれば、すぐに遺跡目指して移動するからね。僕もここで働けたら嬉しいけど、許してくれるかな?」

「ふふ、大丈夫。その点は、解決済みよ(というか、お父様、お母様、お兄様、勿論私もアキトを気に入っているから、絶対に逃がさないわ)」

「解決済み?」

どういうこと?

「シェリル、何か企んでいるわね」
「ふふ、ちょっとしたサプライズよ。あ、言ってる側から到着のようね。2人とも、外に出ましょう」

僕もリリアナも訳が分からず、首を傾げる。とりあえず、言われた通り、庭の方へ移動すると、アーサム様、ミランダ様、アレク様がいて、そこから少し離れた位置に使用人さんたちがいる。

これから、何か始まるの? いつの間にかガルーダ様もいて、皆が西の空を見ている。僕とリリアナもそちらを向くと、何かがこちらに近づいているのがわかる。

「リリアナ、アキト、あれは竜種に属するワイバーン。君たちが誘拐時に知り合ったフリオという男の従魔だよ」

アーサム様が、近づいてくる者の正体を教えてくれた。

「初めて拝見します。あれが…ワイバーン」

リリアナも初めてなせいか、その存在感に圧倒されている。あのワイバーン、足に大きな何かを持ってる。あれって、以前僕とリリアナの乗ったものと同型の大きな籠だ。あの中に、誰かいるんだ。

あ、ワイバーンの背中に誰かいる!
あれって、フリオさんだ!
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