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最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる
36話 憂いの解消 *マグナリア視点
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アキトとシェリルのもとに、人々が集まっている。
まあ、仕方のない話だ。
悪意の塊がキャンベル侯爵一家の中に入り込み、魔力暴走を起こそうとしていた。知識あるものは、その状態で回復魔法を使用すると、それが引き金となって、大爆発を起こすと知っている。だから、対処にはギフトかスキルを行使しないといけない。アキトはギフトを使い、瞬時に治療したのだから、皆がその力を知りたいと思うのも無理ないことだ。質問されてアキトやリリアナも困り顔となり、今はミランダが私たちの名前を言ってフォローしているから、ギフトが明るみになることもないだろう。
そのせいか、今度はシェリルの眼鏡に関心が移ったようだ。そっちは一部明るみにしていることもあって、ミランダが細かく説明している。まあ、あの合金のアイデアも、アキトが考案したものだから、結局のところ注目を浴びてしまうのだけど。
「マグナリア、アーサムから話を聞いた限り、テンブルク王国セルザスパ辺境伯領には、ソマルトリア王国にはないミスリル鉱山がある。アキトはミスリル合金の件で、ここと隣国の辺境伯領の架け橋的な存在となるだろう。其方は神獣へと昇格したのだから、しっかりと彼を守護しなさい」
ガルーダ様にそう言われても、未だに実感が湧かない。矜恃率が100%となって、真の力を発揮した者の中でも、魔力量10万を超えし者は、自動的に神獣へとランクアップする。元々、私は白虎族の中でも、魔力だけの弱い存在だったけど、アキトと出会ったことで矜恃率も少しずつ高まっていった。100%に到達した要因は、事件が私の目の前で起きたせいだ。
あの時、私はシェリルの件を聞いて、キャンベル侯爵家に警戒を抱いていたけど、いざパーティーが始まると、あの3人は他人の悪意に晒されながらも、出席者全員に対して、真摯に謝罪をくり返していた。侯爵家ともなればプライドも高く、人様に対して、早々に頭など下げない。悪意に精神を擦り減らされていたとはいえ、あの時の謝罪は心からくるものだった。
3人が苦しみ出し、魔力暴走が体内で起こり始め、身体ごと爆散しそうになった時、私は真っ先に主人でもあるアキトを守ろうと動いたけど、それと同時に違和感も覚えた。[純粋な心を持ち、尚且つ魔に対抗できる力量を持つ者を探し出して、主人と認め、その者を生涯守り抜く]、それが白虎族の里で教わったこと。
【主人を守り抜け】
それ以外の者は、どうなってもいいのか?
主人さえ守れば、白虎族としての矜持を保てるの?
仮に、アキトだけを守れたとしても、それ以外の者たちは屍と化す。
そんな事が起きたら、アキトの精神が壊れるのでは?
里に滞在していた時、私自身は今より弱かった。父に矜持を言われても、心の内では違和感を感じても、それを口にはしなかった。
今思えば、その迷いが私の成長の妨げになっていたんだ。
私の主人はアキト。
アキトの全てを守りたい。
アキトの悲しむ顔を見たくない。
ここにいる出席者たちの心は皆比較的清浄で、誰かを蹴落とすような悪意を持つ者はいない。魔に対抗できなくとも、対抗可能な者を育てることが可能な人物だっているかもしれない。アキトも、キャンベル一家に対して、好印象を抱いている。
ならば、私はこの会場にいる全員を守りたい。
それがアキトの身も心も守ることになるのだから。
そう思った瞬間、私の中にある力が目覚めたんだ。そして、自分の力以外に、何か畏怖を感じさせるようなものが、沸々と湧き上がってくるような感覚を覚えた。私の姿形に変化こそないけど、内部の力が劇的に変化し、物理的な力が以前の数十倍以上に向上している事も理解できた。この効果の正体が何なのかも本能的に察してはいたけど、実感が湧かない。
ここ数百年、神獣へと至った精霊はいない。
白虎族にとって、この栄誉は大変素晴らしいことだから、アキトがもう少し成長したら、里帰りして両親に報告しよう。
「はい。あの子を、必ず守り抜きます。ただ、これは私の勘ですが、トウリも近い将来、霊鳥から神鳥へランクアップするかもしれません」
「君も、そう思うか。あの子は2つの姿を持ち、光と闇を扱える存在だ。魔力量も少しずつ増加していることも考慮すれば、アキトが成人するまでにはランクアップするかもしれないな。聖獣、霊鳥の2体と契約出来ること自体が異例である以上、当面の間は、アキトに神獣化のことを伏せておきなさい」
「はい」
アキトが一人前になるまで、絶対に言わない。
「今のアキトには、心強い後ろ盾となってくれる味方が必要だ。ソマルトニア王国側には私の主人、アーサム・ティムランド辺境伯がいるが、問題はテンブルク王国側、リリアナ・セルザスパの両親、セルザスパ辺境伯が味方となってくれるかだ。両国の辺境伯たちが味方になってくれれば、私も安心なんだが」
「面識はありますか?」
「ある。2人とも穏やかな心を持つ良心的な人間だ」
「アキトは、リリアナと私の両方の誘拐に巻き込まれています。私たちが説得すれば、彼女の両親も問題なく味方になってくれると思いますが、事前にこちらから手を打っておきたいですね」
「そうだな……フリオを利用するか」
「アキトから聞きましたが、私を助けようとした男のことですか?」
アキトが、初めてレンヤのもとへ行った時に出会った男フリオ、私自身はまだ彼と会っていない。誘拐時に私たちを助けようとした覆面男が彼だったと聞かされたけど、あの時点では信用に足る者ではなかった。周囲を警戒しながら、自分の言葉を私たちに信じてもらおうと必死に色々と言っていたけど、事情を一切話していないのだから信じろという方が無理だ。アキトの品質管理で、彼の腸内環境は劣悪になったけど、それは彼の落ち度だ。ただ、アキトは彼と再会し話し合ったことで、好印象を抱いている。
「そうだ。彼は、アーサムやセルザスパ辺境伯とも面識がある。ワイバーンを使役しており、辺境伯領間での制空権許可証を両国から貰っているから、両国の辺境伯領内であれば、空を自由に行き来できる。事件がほぼ解決したとはいえ、まだ魔法薬のような犯人側の罠を全て把握したわけではないから、迂闊に馬車での行き来は現状危険だ。彼に、手伝ってもらおう」
「良いアイデア。私も同行して、アキトとリリアナの両親を、シェリルたちのいる邸へ運搬させましょう」
事件も解決したことで緊張感も緩和され、アキトやリリアナも両親に会いたいと思うはず、内緒で私たちからプレゼントしよう。
まあ、仕方のない話だ。
悪意の塊がキャンベル侯爵一家の中に入り込み、魔力暴走を起こそうとしていた。知識あるものは、その状態で回復魔法を使用すると、それが引き金となって、大爆発を起こすと知っている。だから、対処にはギフトかスキルを行使しないといけない。アキトはギフトを使い、瞬時に治療したのだから、皆がその力を知りたいと思うのも無理ないことだ。質問されてアキトやリリアナも困り顔となり、今はミランダが私たちの名前を言ってフォローしているから、ギフトが明るみになることもないだろう。
そのせいか、今度はシェリルの眼鏡に関心が移ったようだ。そっちは一部明るみにしていることもあって、ミランダが細かく説明している。まあ、あの合金のアイデアも、アキトが考案したものだから、結局のところ注目を浴びてしまうのだけど。
「マグナリア、アーサムから話を聞いた限り、テンブルク王国セルザスパ辺境伯領には、ソマルトリア王国にはないミスリル鉱山がある。アキトはミスリル合金の件で、ここと隣国の辺境伯領の架け橋的な存在となるだろう。其方は神獣へと昇格したのだから、しっかりと彼を守護しなさい」
ガルーダ様にそう言われても、未だに実感が湧かない。矜恃率が100%となって、真の力を発揮した者の中でも、魔力量10万を超えし者は、自動的に神獣へとランクアップする。元々、私は白虎族の中でも、魔力だけの弱い存在だったけど、アキトと出会ったことで矜恃率も少しずつ高まっていった。100%に到達した要因は、事件が私の目の前で起きたせいだ。
あの時、私はシェリルの件を聞いて、キャンベル侯爵家に警戒を抱いていたけど、いざパーティーが始まると、あの3人は他人の悪意に晒されながらも、出席者全員に対して、真摯に謝罪をくり返していた。侯爵家ともなればプライドも高く、人様に対して、早々に頭など下げない。悪意に精神を擦り減らされていたとはいえ、あの時の謝罪は心からくるものだった。
3人が苦しみ出し、魔力暴走が体内で起こり始め、身体ごと爆散しそうになった時、私は真っ先に主人でもあるアキトを守ろうと動いたけど、それと同時に違和感も覚えた。[純粋な心を持ち、尚且つ魔に対抗できる力量を持つ者を探し出して、主人と認め、その者を生涯守り抜く]、それが白虎族の里で教わったこと。
【主人を守り抜け】
それ以外の者は、どうなってもいいのか?
主人さえ守れば、白虎族としての矜持を保てるの?
仮に、アキトだけを守れたとしても、それ以外の者たちは屍と化す。
そんな事が起きたら、アキトの精神が壊れるのでは?
里に滞在していた時、私自身は今より弱かった。父に矜持を言われても、心の内では違和感を感じても、それを口にはしなかった。
今思えば、その迷いが私の成長の妨げになっていたんだ。
私の主人はアキト。
アキトの全てを守りたい。
アキトの悲しむ顔を見たくない。
ここにいる出席者たちの心は皆比較的清浄で、誰かを蹴落とすような悪意を持つ者はいない。魔に対抗できなくとも、対抗可能な者を育てることが可能な人物だっているかもしれない。アキトも、キャンベル一家に対して、好印象を抱いている。
ならば、私はこの会場にいる全員を守りたい。
それがアキトの身も心も守ることになるのだから。
そう思った瞬間、私の中にある力が目覚めたんだ。そして、自分の力以外に、何か畏怖を感じさせるようなものが、沸々と湧き上がってくるような感覚を覚えた。私の姿形に変化こそないけど、内部の力が劇的に変化し、物理的な力が以前の数十倍以上に向上している事も理解できた。この効果の正体が何なのかも本能的に察してはいたけど、実感が湧かない。
ここ数百年、神獣へと至った精霊はいない。
白虎族にとって、この栄誉は大変素晴らしいことだから、アキトがもう少し成長したら、里帰りして両親に報告しよう。
「はい。あの子を、必ず守り抜きます。ただ、これは私の勘ですが、トウリも近い将来、霊鳥から神鳥へランクアップするかもしれません」
「君も、そう思うか。あの子は2つの姿を持ち、光と闇を扱える存在だ。魔力量も少しずつ増加していることも考慮すれば、アキトが成人するまでにはランクアップするかもしれないな。聖獣、霊鳥の2体と契約出来ること自体が異例である以上、当面の間は、アキトに神獣化のことを伏せておきなさい」
「はい」
アキトが一人前になるまで、絶対に言わない。
「今のアキトには、心強い後ろ盾となってくれる味方が必要だ。ソマルトニア王国側には私の主人、アーサム・ティムランド辺境伯がいるが、問題はテンブルク王国側、リリアナ・セルザスパの両親、セルザスパ辺境伯が味方となってくれるかだ。両国の辺境伯たちが味方になってくれれば、私も安心なんだが」
「面識はありますか?」
「ある。2人とも穏やかな心を持つ良心的な人間だ」
「アキトは、リリアナと私の両方の誘拐に巻き込まれています。私たちが説得すれば、彼女の両親も問題なく味方になってくれると思いますが、事前にこちらから手を打っておきたいですね」
「そうだな……フリオを利用するか」
「アキトから聞きましたが、私を助けようとした男のことですか?」
アキトが、初めてレンヤのもとへ行った時に出会った男フリオ、私自身はまだ彼と会っていない。誘拐時に私たちを助けようとした覆面男が彼だったと聞かされたけど、あの時点では信用に足る者ではなかった。周囲を警戒しながら、自分の言葉を私たちに信じてもらおうと必死に色々と言っていたけど、事情を一切話していないのだから信じろという方が無理だ。アキトの品質管理で、彼の腸内環境は劣悪になったけど、それは彼の落ち度だ。ただ、アキトは彼と再会し話し合ったことで、好印象を抱いている。
「そうだ。彼は、アーサムやセルザスパ辺境伯とも面識がある。ワイバーンを使役しており、辺境伯領間での制空権許可証を両国から貰っているから、両国の辺境伯領内であれば、空を自由に行き来できる。事件がほぼ解決したとはいえ、まだ魔法薬のような犯人側の罠を全て把握したわけではないから、迂闊に馬車での行き来は現状危険だ。彼に、手伝ってもらおう」
「良いアイデア。私も同行して、アキトとリリアナの両親を、シェリルたちのいる邸へ運搬させましょう」
事件も解決したことで緊張感も緩和され、アキトやリリアナも両親に会いたいと思うはず、内緒で私たちからプレゼントしよう。
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