僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護

文字の大きさ
上 下
22 / 38
最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる

22話 女の子たちと交流を深めよう

しおりを挟む
シェリル様が僕に礼儀を教えることになったのだけど、リリアナや彼女の家族だけでなく、使用人たちも彼女を見て、優しげな笑みを浮かべている。何か変だなと思ったけど、こういうのって下手に踏み込まない方がいいって気がするから、今は様子を見よう。

「お父様、私が…アキトたちを部屋へ案内したい」
「え…あ…ああ、そうだな。シェリル、頼むよ」
「うん。アキト君、リリアナ、トウリ様、マグナリア様…」
「私はいい。ガルーダ様やアーサムたちと今後の事で話し合うから」

腸内環境を劣悪にして以降の悪党たちの足取りが、気になる。特に、僕を助けてくれた男性、任務を成功させたのかな? 僕は何もできないから、マグナリアたちに任せよう。

「わかりました。2人とも、まずはお部屋へ案内しますね」

僕は右肩にトウリを乗せて、シェリル様の後ろをついていくと、リリアナがそっと彼女のもとへ行き、小声で話し合うようになったから、内容を聞かないよう、少し距離をあけて、トウリの方を見る。

『アキト、あの女の子は両眼に何を付けているの?』

トウリが神妙な顔で、僕に話しかけてくる。

『あれは、眼鏡だよ。目の悪い人をサポートするための道具』
『ふーん、可愛い顔をしているのに、あのださい眼鏡のせいで、全てがだいなしだわ』

言いたいことはわかるよ。
僕が見ても、あの古めかしい黒縁眼鏡の形状は…ね。

『フレームが駄目なんだよ。もっと、ユニークなデザインにすればいいのに』
『たとえば?』

今の僕たちは精霊契約で繋がっているから、イメージを伝えられるかな? 

『あ、貴方のイメージが伝わってきた。可愛い!! ねえ、これを作ってあの子にプレゼントしたら?』

『え、そんなお金ないよ』
『貴方にはギフトがあるから、材料だけ貰って、自分で調整すればいいじゃない』

品質管理だから、そういった事もできるかもしれない。これからお世話になるわけだし、ただで滞在するのは、流石に気が引ける。御礼の意味も込めて、僕にしか出来ない品を作り出して、シェリル様にプレゼントしよう。あとは、消費魔力の件だ。

『ギフトを使用する際、魔力を消費するんだけど、僕は43しかない。トウリは、いくらあるの? ステータスって念じれば、画面が表示されて、自分の強さがわかるよ』

『ああ、あの画面ね。ステータス……これね。文字が読めないけど、幾つか数字で記載されている箇所があるわね』

『僕と同じ構成だから、多分下から2番目の数字だと思う』
『それだと、22657ね』
『高!?』

僕の50倍以上もある。
なんか複雑な気分だけど、それだけあれば、なんとかなるよね。
ふと前を見ると、シェリル様と目が合った。

「今、リリアナから聞いたわ。本に書かれている内容は、真実だった。転生者だけが知る未知なる言語。それ、私にも教えて」

「え!?」

いきなりの発言で、僕は絶句する。

「僕とトウリで教えることはできますけど、覚えても使い道がありませんよ?」
「対等に話したいから、敬語いらない。未知の言語に、興味があるの」

それだけで、日本語を学びたいんだ。

「アキト、仲間外れは嫌だから、私にも教えて」

リリアナも日本語を知りたいの!?

「わ…わかったよ。その代わり、リリアナとシェリルは、僕に魔力の扱い方を教えて」
「うん、魔力循環くらいなら」
「私も、それなら教えられるわ」

やった、取引成立だ!! 僕とトウリが日本語の先生、リリアナとシェリルが魔力循環の先生になって、互いに交流を深めていこう。


○○○


僕たちは邸の2階に上がり、そのまま歩いていくと、シェリルが1つの扉の前で止まる。

「ここが、アキト君たちのために用意した客室」
「ドアを見てるだけで、気後れしそう」
「安心して。邸内に入ってから、ずっと気後れしてるわ」

邸内に入ってから、設置されている絵画や壺などの美術品やその場の雰囲気に終始圧倒されているのだから、気後れして当然だよ。生活環境が、平民の僕と何もかも違う。シェリルが扉を開けると…

「広い!? あ、僕だけじゃなく、リリアナやマグナリア、トウリもいるから、程良い広さなのかな?」

「ちょっと待って!! 女の子が男の子のいる部屋で、一緒に寝泊まりするわけないでしょ!! 私の部屋は、隣よ!!」

リリアナの顔が真っ赤になって、凄い剣幕で怒られた。

「え? 村だと、1つのベッドで一緒に寝ていたって、マグナリアが言ってたよ。僕は寝ていて何も覚えていないけど」

あの後、リリアナに怒られることもなかったから、友達同士なら一緒に寝てもいいのかと思った。

「わ~~いらん事を言わんでいいわよ~~。私だって起きたら、添い寝状態で驚いたんだからね!! 村長様の家に、余っている部屋が1つしかないから一緒に寝ただけで、本来は別々で寝るものなの!!」

理由が違うけど、突っ込まない方がいいよね。
そうなると、ここは僕たち3人の部屋になるんだ。
僕の家の寝室の3倍くらい広いと思う。

「気難しいリリアナが素で話せる程、アキト君と打ち解けているのね」
「え…そりゃあ…まあ、誘拐されて生き残った仲だし」

どんな仲だよ。

「シェリル、あなただって、ずっと塞ぎ込んでいたのに、急にどうしたのよ?」

「さっき答えたでしょ? 男の子がカーテシーするところを初めて見て、興味を持ったの。それに、トウリ様とアキト君から嫌な視線を感じない。だから、話し合いたいと思った」

嫌な視線? 
初対面の女の子に対して、嫌な視線を向ける男の子っているの?
よくわからないけど、この調子ならシェリル様とも仲良く暮らしていけそうだ。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

うどん五段
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

石しか生成出来ないと追放されましたが、それでOKです!

うどん五段
ファンタジー
夏祭り中に異世界召喚に巻き込まれた、ただの一般人の桜木ユリ。 皆がそれぞれ素晴らしいスキルを持っている中、桜木の持つスキルは【石を出す程度の力】しかなく、余りにも貧相なそれは皆に笑われて城から金だけ受け取り追い出される。 この国ではもう直ぐ戦争が始まるらしい……。 召喚された3人は戦うスキルを持っていて、桜木だけが【石を出す程度の能力】……。 確かに貧相だけれど――と思っていたが、意外と強いスキルだったようで!? 「こうなったらこの国を抜け出して平和な国で就職よ!」 気合いを入れ直した桜木は、商業ギルド相手に提案し、国を出て違う場所で新生活を送る事になるのだが、辿り着いた国にて、とある家族と出会う事となる――。 ★暫く書き溜めが結構あるので、一日三回更新していきます! 応援よろしくお願いします! ★カクヨム・小説家になろう・アルファポリスで連載中です。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...