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最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる
21話 礼儀で、早速やらかした
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籠の中は意外に広く、人が住めるよう過ごしやすい環境に整備されている。ソファーが1つ、食器棚が1つ、テーブルが2つ、椅子が4脚配備されていて、僕、リリアナ、アーサム様(領主)の3人は椅子に座り、収納鞄から出された紅茶を飲みながら寛いでいて、マグナリアはソファーへ、トウリは側壁に設置されている窓枠に乗り、外を眺めている。
というか、飛んでいる最中、全部が倒れるんじゃないのと疑問に思い、アーサム様に質問すると、全てが魔法で空間固定されていて、中の食器類に関しては、人が触れている時のみ、魔法も解除される仕組みらしい。
ほんと、魔法って便利だよね。
籠の中にいる間は暇なので、僕は飲み物を飲みながら、山1つで分けられている両国の辺境伯領の関係性について、アーサム様から簡単に聞いていく。
テンブルク王国とソマルトリア王国は同盟を結んでいて、貿易も盛んに行われている。ここティムランド辺境伯領とセルザスパ辺境伯領を挟む山間は、道も整備されているため、商人さんや冒険者さんたちが毎日行き来している。そのため、辺境伯同士も密に連絡を取り合っていることから、家族間で仲が良いみたいだ。
アーサム様の家族構成は、妻ミランダ様、長男で10歳のアレク様、長女で6歳のシェリル様となっている。リリアナは、同い年のシェリル様と親友同士だけど、その話をした際、アーサム様もリリアナも暗い表情をしていたのが気にかかる。
「アキト君、領都が見えてきたぞ」
出発してから15分しか経過していないのに、もう到着って早過ぎるよ。アーサム様が椅子を窓の下へと動かしてくれたので、僕はトウリと一緒に窓を覗き、地上を見ると、そこには綺麗な家々が建ち並び、大勢の人々が行き交う光景が目に入る。僕の住む街と同等か、それ以上の活気さを感じる。
『綺麗な景色。私も、早く自分の翼で飛びたい』
トウリが悲しそうに呟くものだから、僕は励ます。
『辺境伯様の家に到着したら、トウリは言語の勉強だけでなく、飛ぶ練習もしないとね』
『え…あ、そっか!! 私の身体、治っているんだから飛べるんだ。そっか、そっか。ふふふ』
トウリが明るくなって、僕にすりすりしてきた。モフモフして気持ちいい。
大きな城壁に囲まれた領都、こうやって人の住む地域を上空から眺めるのは初めてだ。ここからだと、人が蟻のように見えてしまう。
「このまま私の邸へと向かう」
え、ガルーダ様ってかなりの大きさだけど、どうやって着陸するの? 羽のせいで、周囲に迷惑を与えるのでは? あ、一際大きな邸が見えてきた。広い中庭があり、誰かがガルーダ様のことに気づき、駆け足で邸内へと入っていく。
「ここからはガルーダ様の風魔法で、この籠だけが着陸地点となる中庭へ下ろされるんだ」
アーサム様の言葉を聞いて一安心。
僕は今日から、あの邸でお世話になるのか。
初めの挨拶が肝心だから、嫌われないようにしないとね。
籠がガルーダ様の足から離れたせいか、部屋全体が少し動く。
○○○
籠が着陸したので、僕たちが扉を開けると、そこには大勢の人々が勢揃いしていて、僕たちを出迎えてくれた。既に事情を聞いているのか、誰も僕とリリアナに対して、変な目で見ている人はいなかった。出迎えてくれた人々の中でも、貴族服を着た3名の人たちが他の人たちよりも前にいたので、その人たちがアーサム様の妻ミランダ様、長男アレク様、長女シェリル様と理解できた。その中でも、シェリル様は古めかしい眼鏡をかけているせいか、凄く印象的だ。
「あなた、ご無事で何よりです。ガルーダ様、夫を護衛して頂き、ありがとうございます」
なんて優雅で綺麗な所作、これが貴族なんだ。横にいるアレク様とシェリル様の佇まいも立派で、平民の僕と何か違う。ただ、この凛とした佇まいは、リリアナも持っているものだ。
「ミランダ、今帰った。ジークハルトから連絡はあったか?」
ジークハルト? ミランダ様がリリアナを見て、何故か苦笑いを浮かべているから、多分リリアナのお父さんのことだ。
「あったわ……6度もね」
連絡が6度もあるということは、それだけリリアナを心配している証拠だ。
「あいつは…心配する気持ちもわかるが、今日ここを出発する前にも、連絡を入れただろうに」
今は昼前だから……え、2~3時間しか経過していないのに、6回も連絡を入れたの?
「アレク、シェリル。リリアナ嬢は、無事だ。誘拐に巻き込まれたアキト君もな。それと、ここにいる全員に言っておく。アキト君は、霊鳥族ガルーダ様と白虎族マグナリア様の恩人に値する人物だ。リリアナ嬢と同じく、丁重に迎えるように」
全員の視線が、僕に集まる。こういう時、何を言えば良いんだろう? 僕が困っていると、リリアナが先に動いてくれた。
「ミランダ様、アレク様、シェリル、お久しぶりです。しばらくの間ですが、こちらに滞在させて頂きます」
リリアナは両手でスカートの裾を掴み、少し持ち上げ、片足を1歩後ろに下げ、軽くお辞儀をした。
凄い、なんて綺麗な所作。
僕もリリアナの動きを真似して、皆に挨拶すればいいってことだね。
「アキトと言います。貴族の礼儀を知らないので、ご迷惑をお掛けすると思いますが宜しくお願いします」
僕も拙い所作でリリアナと同じ動きをすると、前方にいる人たち全員がポカンとし、その中にいるシェリル様だけが、僕を見てふふと笑い、それを見た人たちはかなり驚き、再び僕を見る。というか、シェリル様は何故笑っているの?
「ちょっとアキト!! それはカーテシーといって、貴族令嬢が行うもので、男性は普通にお辞儀するだけでいいの!!」
「え!?」
だから、皆が変な目で僕を見て、シェリル様も笑っていたの!?
初めの挨拶が肝心なのに、いきなりやらかした~~。
「え~と、僕はこのようなに貴族の礼儀を全く知りませんので、今のままでは来客の方々にもご迷惑をお掛けすると思います。何方か、僕に礼儀を教えて頂けないでしょうか」
「はい、私が教えます」
その場凌ぎで言った一言なのに、シェリル様が手を挙げてくれた。その瞬間、何故か皆の視線が彼女に集まる。嫌な感じではなく、何処か温かく見守るかのような視線だ。どうして、そんな視線になるのだろう?
というか、飛んでいる最中、全部が倒れるんじゃないのと疑問に思い、アーサム様に質問すると、全てが魔法で空間固定されていて、中の食器類に関しては、人が触れている時のみ、魔法も解除される仕組みらしい。
ほんと、魔法って便利だよね。
籠の中にいる間は暇なので、僕は飲み物を飲みながら、山1つで分けられている両国の辺境伯領の関係性について、アーサム様から簡単に聞いていく。
テンブルク王国とソマルトリア王国は同盟を結んでいて、貿易も盛んに行われている。ここティムランド辺境伯領とセルザスパ辺境伯領を挟む山間は、道も整備されているため、商人さんや冒険者さんたちが毎日行き来している。そのため、辺境伯同士も密に連絡を取り合っていることから、家族間で仲が良いみたいだ。
アーサム様の家族構成は、妻ミランダ様、長男で10歳のアレク様、長女で6歳のシェリル様となっている。リリアナは、同い年のシェリル様と親友同士だけど、その話をした際、アーサム様もリリアナも暗い表情をしていたのが気にかかる。
「アキト君、領都が見えてきたぞ」
出発してから15分しか経過していないのに、もう到着って早過ぎるよ。アーサム様が椅子を窓の下へと動かしてくれたので、僕はトウリと一緒に窓を覗き、地上を見ると、そこには綺麗な家々が建ち並び、大勢の人々が行き交う光景が目に入る。僕の住む街と同等か、それ以上の活気さを感じる。
『綺麗な景色。私も、早く自分の翼で飛びたい』
トウリが悲しそうに呟くものだから、僕は励ます。
『辺境伯様の家に到着したら、トウリは言語の勉強だけでなく、飛ぶ練習もしないとね』
『え…あ、そっか!! 私の身体、治っているんだから飛べるんだ。そっか、そっか。ふふふ』
トウリが明るくなって、僕にすりすりしてきた。モフモフして気持ちいい。
大きな城壁に囲まれた領都、こうやって人の住む地域を上空から眺めるのは初めてだ。ここからだと、人が蟻のように見えてしまう。
「このまま私の邸へと向かう」
え、ガルーダ様ってかなりの大きさだけど、どうやって着陸するの? 羽のせいで、周囲に迷惑を与えるのでは? あ、一際大きな邸が見えてきた。広い中庭があり、誰かがガルーダ様のことに気づき、駆け足で邸内へと入っていく。
「ここからはガルーダ様の風魔法で、この籠だけが着陸地点となる中庭へ下ろされるんだ」
アーサム様の言葉を聞いて一安心。
僕は今日から、あの邸でお世話になるのか。
初めの挨拶が肝心だから、嫌われないようにしないとね。
籠がガルーダ様の足から離れたせいか、部屋全体が少し動く。
○○○
籠が着陸したので、僕たちが扉を開けると、そこには大勢の人々が勢揃いしていて、僕たちを出迎えてくれた。既に事情を聞いているのか、誰も僕とリリアナに対して、変な目で見ている人はいなかった。出迎えてくれた人々の中でも、貴族服を着た3名の人たちが他の人たちよりも前にいたので、その人たちがアーサム様の妻ミランダ様、長男アレク様、長女シェリル様と理解できた。その中でも、シェリル様は古めかしい眼鏡をかけているせいか、凄く印象的だ。
「あなた、ご無事で何よりです。ガルーダ様、夫を護衛して頂き、ありがとうございます」
なんて優雅で綺麗な所作、これが貴族なんだ。横にいるアレク様とシェリル様の佇まいも立派で、平民の僕と何か違う。ただ、この凛とした佇まいは、リリアナも持っているものだ。
「ミランダ、今帰った。ジークハルトから連絡はあったか?」
ジークハルト? ミランダ様がリリアナを見て、何故か苦笑いを浮かべているから、多分リリアナのお父さんのことだ。
「あったわ……6度もね」
連絡が6度もあるということは、それだけリリアナを心配している証拠だ。
「あいつは…心配する気持ちもわかるが、今日ここを出発する前にも、連絡を入れただろうに」
今は昼前だから……え、2~3時間しか経過していないのに、6回も連絡を入れたの?
「アレク、シェリル。リリアナ嬢は、無事だ。誘拐に巻き込まれたアキト君もな。それと、ここにいる全員に言っておく。アキト君は、霊鳥族ガルーダ様と白虎族マグナリア様の恩人に値する人物だ。リリアナ嬢と同じく、丁重に迎えるように」
全員の視線が、僕に集まる。こういう時、何を言えば良いんだろう? 僕が困っていると、リリアナが先に動いてくれた。
「ミランダ様、アレク様、シェリル、お久しぶりです。しばらくの間ですが、こちらに滞在させて頂きます」
リリアナは両手でスカートの裾を掴み、少し持ち上げ、片足を1歩後ろに下げ、軽くお辞儀をした。
凄い、なんて綺麗な所作。
僕もリリアナの動きを真似して、皆に挨拶すればいいってことだね。
「アキトと言います。貴族の礼儀を知らないので、ご迷惑をお掛けすると思いますが宜しくお願いします」
僕も拙い所作でリリアナと同じ動きをすると、前方にいる人たち全員がポカンとし、その中にいるシェリル様だけが、僕を見てふふと笑い、それを見た人たちはかなり驚き、再び僕を見る。というか、シェリル様は何故笑っているの?
「ちょっとアキト!! それはカーテシーといって、貴族令嬢が行うもので、男性は普通にお辞儀するだけでいいの!!」
「え!?」
だから、皆が変な目で僕を見て、シェリル様も笑っていたの!?
初めの挨拶が肝心なのに、いきなりやらかした~~。
「え~と、僕はこのようなに貴族の礼儀を全く知りませんので、今のままでは来客の方々にもご迷惑をお掛けすると思います。何方か、僕に礼儀を教えて頂けないでしょうか」
「はい、私が教えます」
その場凌ぎで言った一言なのに、シェリル様が手を挙げてくれた。その瞬間、何故か皆の視線が彼女に集まる。嫌な感じではなく、何処か温かく見守るかのような視線だ。どうして、そんな視線になるのだろう?
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