僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護

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最終章 アキト、隣接する2つの辺境伯領の架け橋となる

20話 ティムランド辺境伯家へ向けて出発です

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出発まで1時間あるので、僕たちは身なりを整えることにした。幸い、アーサム様が僕たちの服を用意してくれていたので着替えると、この服ってどう見ても高級品だから、動くだけで気を使ってしまう。

全ての準備が整い家を出ると、周囲には数多くの騎士様たちがいた。皆が駐屯に関わることで話し合っている中、3名がアーサム様のもとへ来て、そのまま護衛されながら、村入口へと移動すると、大勢の村人たちが既に集まっている。

ここでお別れとなるのか、村長様が代表して、アーサム様に話しかける。

「アーサム様、こちらに駐屯してくれる騎士団の方々と情報を共有し、気になる情報が見つかれば、すぐに魔道具を使い、ご連絡いたします」

「騎士たちがいるとはいえ、呉々も油断するな」

僕たち3人がここへ滞在した以上、その情報が何処からか漏れて、あいつらが襲撃してくる可能性もあるから、アーサム様はこの村を守るため、騎士団を駐屯させてくれるのか。

「勿論です。我々とて日々の生活をしながら、多少なりとも鍛えております。騎士様方の邪魔をしないよう、行動していきます」

これが大人たちの会話なんだ。
僕も、領主様のような頼れる大人になりたいな。

「周囲の街や村にも通達しているから、連携を怠るなよ」
「はい」

村長様たちが、こっちに来る。

「アキト君、リリアナ様。君たちは、呉々も辺境伯様の家から出ないように。仮に出るにしても、必ず護衛を付けなさい」

「は…はい」「わかりました」

村長様のあまりの真剣な物言いに、僕も頷くしかなかった。僕たちは村長様たちに御礼を言い、村を離れ歩いていく。どこに向かっているのか疑問を抱いていると、唐突に歩みが止まる。

「馬がいないのに、なんで止まるの?」

今、僕の右肩にトウリが乗っていて、左横にマグナリア、右横にリリアナがいる。僕の質問に対して、リリアナが口を開く。

「アキト、ここから領都[ミルベール]まで、かなりの距離があるの。馬車だと何日もかかるから、ここからはガルーダ様が私たちを運んでくれるわ。距離的なことも考慮すれば、私たちの家へ向かった方が速いけど、国同士の絡みもあって行けないの」

国が異なるせいで、空から入っても無断侵入に該当するから密入国になっちゃうってことかな? それなら仕方ないよね。それにしても、あの小さなガルーダ様が、僕たちを運んでくれるの?

「アキト、我々精霊は人に崇拝されているが、その分悪意にも晒されやすい。故に、人に変化したり、大きさを変化させることができる。このようにな」

ガルーダ様が、見たことのないがっしりした筋肉質な体躯をした鳥へと巨大化していく。小さくても存在感や威厳を感じていたのに、それが大幅に増している。あれが、高位精霊・霊鳥族族長ガルーダ様の本来の姿なんだ。

そんな方を、僕たちの運搬役にさせてもいいの?
神様から、罰が当たらないかな?
僕の心の声が表に出ていたのか、アーサム様が苦笑いを浮かべる。

「ガルーダ様は初代ラルク・ティムランドと契約を結んで以降、家を継ぐ者と代々契約している。本来敬うべき存在なのたが、当の本人が『暇だ。荷物持ちでも構わんから召喚しろ』と、結構な頻度で言ってきてね。私たち家族は、そのお言葉に甘えて、何度もお世話になっているんだ」

高位精霊が、そんな扱いを受けていいのかな?

「里でのんびり暮らすなど、私の性に合わん。それより出発するのだから、アーサムは収納鞄から籠を出せ」  

「わかりました」

アーサム様は苦笑いを浮かべながら、鞄から何かを取り出した。それは、縦横6m、高さ3m程の巨大な丸籠だ。

「リリアナ、あの小さな鞄から、なんであんな巨大な籠が出てくるの?」

「あれは収納鞄よ。収納系スキルが付与されている魔石が縫い付けられていて、鞄の中は異空間に繋がっているの。付与されているスキルと所持者の魔力次第で、容量も変化するわ。アーサム様の持つ鞄だと、1000万ゴルド以上の価値があると思う。簡単に言うと、あれ1個で、平民の家1軒を余裕で購入できるってこと」

あの鞄が、僕の住む家以上の価値があるの!?
世の中には、僕の知らない物品がまだまだ沢山あるんだな。
籠には扉が付けられていて、アーサム様はその扉から中へ入っていく。

「アキト、私たちも行きましょう」
「騎士様たちの護衛は?」
「ここからは、ガルーダ様が全て担ってくれるわ」

あ、そういうこと。ガルーダ様が護衛してくれるのなら、百人力だ。

「騎士たちよ、私がお前たちの主人を守る代わりに、お前たちは我が傘下を使い、今から、周囲の索敵を始めろ。精霊を誘拐する連中には、我々も怒り狂っている。そいつらを察知し捕縛した者には、私から1つ褒美を与えよう」

ガルーダ様が言い放つと、霊鳥5体が出現する。それに伴い、騎士様たちの表情にも、変化が現れる。

「マグナリア、これってどういうこと?」
「ガルーダ様程の高位精霊の褒美となると、かなり貴重。稀有なスキルや魔法の取得、場合によっては希少武器の進呈もありえるから、皆もやる気になってる」

なるほど、騎士様たちの目つきも変わるわけだ。
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