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第2章 もふもふ鳥の抱える苦悩
19話 隣国の辺境伯家でお世話になります
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トウリに懐かれたのは嬉しいけど、ピッタリとくっつきすぎだよ。
モフモフで気持ちいいけど。
「アキト、そろそろ1階の話し合いも終わる頃合いだ。今のうちに、これを授けておこう」
ガルーダ様が魔法を使ったのか、僕の目の前で何か光ったと思ったら、1つの綺麗な石が出現する。薄青色の鳥型の石で、チェーンによって首に付けられるよう配慮されている。
「ガルーダ様、これは?」
「マグナリアやトウリと契約している以上、君は今後も精霊と出会う可能性が高い。君の背後には白虎族だけでなく、霊鳥族もいると示すための御守りだ。これを見せれば、精霊たちも君を信じ、有用な情報を与えてくれる」
そんな良い物を貰っていいの?
「また、この御守りには、鑑定や魅了といった悪意あるスキルを弾く効果を持っている。君のギフトを、この目で見たからこそわかる。そのギフトは扱い方次第で、化ける。今の時点で、私でも驚くレベルなんだ。今後、君の価値に気づいた悪意ある者共に襲われる危険性もゼロではない。だから、この御守りを肌身離さず身につけておきなさい。これは、トウリを救ってくれた御礼でもある」
そこまで言われたら、断るのもかえって失礼だよね。これがあれば、マグナリアやトウリだって安心してくれるはず。
「御守り、ありがとうございます。これで良いですか?」
僕が御守りを首にかけると、御守り自体が仄かに青白く輝く。
「それでいい。御守りも君を装備者と認識したことで、たとえ盗まれたとしても、誰にも装備できず、君のもとへ帰ってくるだろう」
凄いな、この御守り。
誰にも触れられないよう、常時首にかけて見えないようにしておこう。
マグナリアがタイミングを見計らってくれていたのか、丁度良いところでドアのノック音が聞こえてきた。
「アーサムか、入っていいぞ」
アーサム?
ガルーダ様と契約している人だ!!
ガルーダ様が声をかけたことで、ドアが開く。
そこには、マグナリア、リリアナ、見知らぬ大人の男性がいた。僕のお父さんより厳格な雰囲気で、少し歳上な感じがする。
「ガルーダ様、マグナリア様からアキト君のギフトや転生者のことを聞きましたが、トウリ様の抱える事情を本当に解決させたのですか?」
「アーサム、1つ言っておく。アキトは我々霊鳥族の恩人だ。100年に1度咲くとされる精霊花から生まれし精霊トウリ、あのまま放置していれば、あと数年生きられたかどうか。彼は、役目を与えられし精霊を死の淵から救ってくれた。たとえ、誰であろうとも、彼を害することは許さん」
死の淵って、トウリの身体って、そこまで危険な状態だったの!?
もしかして、トウリも薄々勘付いていたのかな?
あれ、なんだろう?
ガルーダ様の身体から何かが放たれているような?
アーサム様もそんなガルーダ様を見て、かなり驚いている。
「わかりました、貴方様がそこまで言うのであれば、私も彼を信じ、影ながら支援しましょう。誘拐による密入国の件に関しては、2人ともお咎めなしです。ただ、誘拐の件に関しては不明点も多いので、5歳の彼にはこれ以上関らわせません。落ち着くまでは、リリアナ嬢と共に、我が辺境伯家に滞在してもらいます」
「誘拐犯の狙いが不明な以上、それが無難だろう」
辺境伯家に滞在? それって、貴族様の家に滞在するってこと!?
僕、貴族の礼儀なんて知らないよ!!
僕の動揺を察してくれたのか、リリアナが僕の右手を握ってくる。
「アキト、大丈夫よ。私が、礼儀を教えてあげるから」
「ありがとう。アーサム様、礼儀などで怒らせることもあると思いますが、今日からよろしくお願いします」
僕がお辞儀すると、彼はふっと優しく微笑んでくれた。
「君たちは落ち着くまで、ゆっくりと寛いでいなさい。昨日の時点で、リリアナ嬢のご両親に誘拐の件を報告しているから、アキト君の両親にも伝わっているはずだ」
「アーサム様、ありがとうございます!!」
アーサム様、やることが速い!!
突然いなくなったから、絶対騒がれているよ。
連絡さえとれれば、両親も安心してくれると思う。
「アキト、貴方の横にいる可愛い霊鳥がトウリ様なの?」
「そうだよ、リリアナ。この霊鳥がトウリ、新たに精霊契約した仲間さ」
昨日と今日で、モフモフ仲間が2体になった。
「精霊契約って……あはは。トウリ様、私はリリアナ、よろしくお願いしますね」
トウリは言語を理解できないので、首をクイっと横に傾げる。
『彼女は僕の友達でリリアナと言うんだ。さっきのは、自己紹介だよ』
『自己紹介? 私もやりたいけど、話せないわ。アキトの友達なら、私も彼女と仲良くしたい』
『僕から言っておくから安心して』
会話ができない以上、僕がフォローしないとね。
「リリアナ、トウリが私のお友達になって下さいだって。今の時点で、この子は日本語でしか会話できないんだ」
「日本語? そんな言語あったかしら?」
「僕の夢の話はしたでしょ? そこで交わされているのが日本語。この子は、手違いで日本語を覚えて生まれちゃったんだ」
「どんな手違いで、そうなったのよ!!」
鋭い、ツッコミをありがとう。
僕も、神様に問いただしたいよ。
「トウリ様、改めて宜しくお願いします」
リリアナが握手を求めると、トウリも意図を察したのか、右の羽根を動かし、握手を交わす。
ふう、これで落ち着ける。
とりあえず、僕たちは辺境伯家でお世話になるわけか。
お父さんとお母さんと会えるのは、いつ頃になるのだろう?
モフモフで気持ちいいけど。
「アキト、そろそろ1階の話し合いも終わる頃合いだ。今のうちに、これを授けておこう」
ガルーダ様が魔法を使ったのか、僕の目の前で何か光ったと思ったら、1つの綺麗な石が出現する。薄青色の鳥型の石で、チェーンによって首に付けられるよう配慮されている。
「ガルーダ様、これは?」
「マグナリアやトウリと契約している以上、君は今後も精霊と出会う可能性が高い。君の背後には白虎族だけでなく、霊鳥族もいると示すための御守りだ。これを見せれば、精霊たちも君を信じ、有用な情報を与えてくれる」
そんな良い物を貰っていいの?
「また、この御守りには、鑑定や魅了といった悪意あるスキルを弾く効果を持っている。君のギフトを、この目で見たからこそわかる。そのギフトは扱い方次第で、化ける。今の時点で、私でも驚くレベルなんだ。今後、君の価値に気づいた悪意ある者共に襲われる危険性もゼロではない。だから、この御守りを肌身離さず身につけておきなさい。これは、トウリを救ってくれた御礼でもある」
そこまで言われたら、断るのもかえって失礼だよね。これがあれば、マグナリアやトウリだって安心してくれるはず。
「御守り、ありがとうございます。これで良いですか?」
僕が御守りを首にかけると、御守り自体が仄かに青白く輝く。
「それでいい。御守りも君を装備者と認識したことで、たとえ盗まれたとしても、誰にも装備できず、君のもとへ帰ってくるだろう」
凄いな、この御守り。
誰にも触れられないよう、常時首にかけて見えないようにしておこう。
マグナリアがタイミングを見計らってくれていたのか、丁度良いところでドアのノック音が聞こえてきた。
「アーサムか、入っていいぞ」
アーサム?
ガルーダ様と契約している人だ!!
ガルーダ様が声をかけたことで、ドアが開く。
そこには、マグナリア、リリアナ、見知らぬ大人の男性がいた。僕のお父さんより厳格な雰囲気で、少し歳上な感じがする。
「ガルーダ様、マグナリア様からアキト君のギフトや転生者のことを聞きましたが、トウリ様の抱える事情を本当に解決させたのですか?」
「アーサム、1つ言っておく。アキトは我々霊鳥族の恩人だ。100年に1度咲くとされる精霊花から生まれし精霊トウリ、あのまま放置していれば、あと数年生きられたかどうか。彼は、役目を与えられし精霊を死の淵から救ってくれた。たとえ、誰であろうとも、彼を害することは許さん」
死の淵って、トウリの身体って、そこまで危険な状態だったの!?
もしかして、トウリも薄々勘付いていたのかな?
あれ、なんだろう?
ガルーダ様の身体から何かが放たれているような?
アーサム様もそんなガルーダ様を見て、かなり驚いている。
「わかりました、貴方様がそこまで言うのであれば、私も彼を信じ、影ながら支援しましょう。誘拐による密入国の件に関しては、2人ともお咎めなしです。ただ、誘拐の件に関しては不明点も多いので、5歳の彼にはこれ以上関らわせません。落ち着くまでは、リリアナ嬢と共に、我が辺境伯家に滞在してもらいます」
「誘拐犯の狙いが不明な以上、それが無難だろう」
辺境伯家に滞在? それって、貴族様の家に滞在するってこと!?
僕、貴族の礼儀なんて知らないよ!!
僕の動揺を察してくれたのか、リリアナが僕の右手を握ってくる。
「アキト、大丈夫よ。私が、礼儀を教えてあげるから」
「ありがとう。アーサム様、礼儀などで怒らせることもあると思いますが、今日からよろしくお願いします」
僕がお辞儀すると、彼はふっと優しく微笑んでくれた。
「君たちは落ち着くまで、ゆっくりと寛いでいなさい。昨日の時点で、リリアナ嬢のご両親に誘拐の件を報告しているから、アキト君の両親にも伝わっているはずだ」
「アーサム様、ありがとうございます!!」
アーサム様、やることが速い!!
突然いなくなったから、絶対騒がれているよ。
連絡さえとれれば、両親も安心してくれると思う。
「アキト、貴方の横にいる可愛い霊鳥がトウリ様なの?」
「そうだよ、リリアナ。この霊鳥がトウリ、新たに精霊契約した仲間さ」
昨日と今日で、モフモフ仲間が2体になった。
「精霊契約って……あはは。トウリ様、私はリリアナ、よろしくお願いしますね」
トウリは言語を理解できないので、首をクイっと横に傾げる。
『彼女は僕の友達でリリアナと言うんだ。さっきのは、自己紹介だよ』
『自己紹介? 私もやりたいけど、話せないわ。アキトの友達なら、私も彼女と仲良くしたい』
『僕から言っておくから安心して』
会話ができない以上、僕がフォローしないとね。
「リリアナ、トウリが私のお友達になって下さいだって。今の時点で、この子は日本語でしか会話できないんだ」
「日本語? そんな言語あったかしら?」
「僕の夢の話はしたでしょ? そこで交わされているのが日本語。この子は、手違いで日本語を覚えて生まれちゃったんだ」
「どんな手違いで、そうなったのよ!!」
鋭い、ツッコミをありがとう。
僕も、神様に問いただしたいよ。
「トウリ様、改めて宜しくお願いします」
リリアナが握手を求めると、トウリも意図を察したのか、右の羽根を動かし、握手を交わす。
ふう、これで落ち着ける。
とりあえず、僕たちは辺境伯家でお世話になるわけか。
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