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本編
最終話 パーティーを結成して、ご主人様のもとへ旅立ちます
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「はあ~癒される~~」
私は馬車の中で愛玩形態となり、カトレアに抱かれています。
鉱山入口の騒動に関しては、無事収束を迎えました。
イザークさんが私の発案を後押ししてくれたことにより、治安騎士団の方々も納得してくれたのです。私たちが魔族として指名手配される案は、自然消滅すると思います。ただ、上層部となるギルドマスターたちが納得してくれるかが鍵です。私たちが街からの逃走に成功したことを伝えれば、まず間違い無く採用されると思いますが不安ですね。
後はイザークさんたちに任せて、私たちはリットさんの生まれ故郷となるトリシャ村へ行きましょう。イザークさんたちが馭者の男性に、村までの料金を少し多めに支払ってくれたこともあり、私とカトレアは快適な旅をとれています。
「リコッタ、トリシャ村へ向かうのはいいけど、その後はどうするの?」
この馬車の中で、カトレアに今回の発端となった騒動について全て話したことにより、私と一緒に行動し、トリシャ村へ行くことに納得してくれたのですが、それは街の対応があまりにも自分勝手なせいで、怒りによる突発的行動による要因が大きいでしょう。それに、鉱山の施設責任者でもあるオーフェンさんに無許可で外に出ていますから、多少なりとも迷惑を掛けているはずです。鉱山に留まってもよかったのですが、どんな判断が下されるかわからない以上、私たちは隠れておいた方がいいと判断され、今の状況になっています。
「このまま何事も起きなければ、私たちは街で再び平穏に暮らせると思います。カトレアは、どうしたいですか?」
正直、冷静になった今でも、あの街に戻りたいと思いません。カトレアは、オルフェンさんのもとで雇われている立場のため、複雑な思いを抱いているはずです。
「オルフェンさんには悪いけど、街を出て行きたい。もう、街の上層部を信用できない。私とリコッタの名前を覚えられたし、もし私たちのチートスキルが明るみになったら、いつかまた冤罪を着せられるか、利用される‼︎」
それは、起こりえる事態です。
子供に罪を着せる街に、私だっていたくありませんから。
「リコッタ、私を仲間に入れてくれないかな? 今はまだ冒険者として役立てないかもしれない。人や魔物とも渡り合えるよう、身体を鍛える‼︎ 料理であなたを幸せにさせるわ、お願い‼︎」
私自身、戦闘用チートスキルがあるとはいえ、まだまだ未熟者です。カトレアのチートスキルは料理系、私は料理を作れませんから、そのお願いは非常に嬉しいです。
でも、私には大きな目的があります。
それを果たすには、この地を離れないといけません。
目的地まで3500キロ、カトレアが了承してくれるといいのですが。
「それは、私からもお願いしたかったことです。ただ、私には《ある目的》があるのです」
「目的?」
これを説明して承諾してもらえれば、カトレアと一緒に旅ができます。
「はい、まずは私の抱える事情を明かしますね。これを聞いたら、怒りが再発するかもしれないので、覚悟して聞いてください」
「わ…わかった」
私は始めに、前世と死後に出会った女神様のことを話しました。
「凄い、別世界の記憶を持っているんだ‼︎ しかも、こことは違う女神様と出会っていただなんて‼︎ だから、あんな強力なスキルを持っていたんだ‼︎」
私の話を全て信じ目を輝かせるカトレア、これは絶対勘違いしていますね。
「う~ん、それは少し違います。元々、安優香様を求めてここへ来たので、遠距離を安全に進める健康で丈夫な身体を求めただけなんです」
前世、パピヨンの時、災害訓練を1度だけ受けたことがあります。その場所は瓦礫の山と化しており、平たい箇所が殆どありませんでした。このエリアの何処かに要救助者がいるという設定で、私は安優香様の指示のもと、指定された地点までにある危険な箇所を回避して、怪我なく正確に辿り着けるかという訓練を施されたのですが、地面自体がボコボコで、あちこちに尖っている箇所があり、私は他の大型犬たちと違い、何度試みても指定された地点まで30分近くかかりました。
おまけに、必ず足を斬ってしまい、軽傷を負ってしまうのです。他の小型犬たちも私と同じく、悔しそうな表情をしていました。たった1度の訓練だけで、災害救助犬は無理だという挫折を味わいました。あんな屈辱を味わいたくないから、健康で丈夫な身体を望んだのに、いくらなんでも丈夫過ぎますよ、女神様。
「健康で丈夫? ある意味、合っているよね? どんな攻撃も受け付けないのだから」
そうなんです。
私の要望には、確かに応えてくれたのです。
でも、何か違いますよね‼︎
「あはは、まあこの力を持てたおかげで、今のご主人様を救うことに成功したのですが…」
私は転生してからの話を進めていき、マクガイン公爵家が私とアリアお嬢様に何をしたのか話していくと、カトレアの眉間がどんどん険しくなっていきます。
「身分の高い人や偉い人たちの殆どが、あんな自分勝手な連中なの?」
「マクガイン公爵やべクルトンのギルド支部の面々はそうなんでしょうけど、ヨークランド子爵家や鉱山の施設長オルフェンさんのような方々もいますから、一概に決めつけない方がいいです」
さて、問題はここからです。前世のご主人-安優香様のいる距離を理解しているのですが、場所が全くわかりません。今の時点で判明している北へ距離3500キロをカトレアに伝えると…
「3500!? …果てしなく遠いのはわかるけど、位置が全然掴めない」
そりゃあ、大声をあげますよね。
距離だけ言われても、ピンと来ませんよね。
私だって、分かりませんから。
元々、生活基盤が整い、落ち着いてから世界地図を購入して、安優香様の位置を確かようと思っていたのです。こんな突発的事故が起こり、街を早々に出ていくなんて思いもしませんでしたから、今の時点は不明瞭すぎて、北へ行くのも危険です。
「カトレア、どうします? かなり危険な旅ですよ?」
「行く‼︎ 確かに危険な旅路だけど、それだけの遠距離となると、数多くの国々に行けるから、そこの文化や料理を知ることができる。私のスキル《家庭菜園》と《料理大全》の幅も広がる‼︎」
『スキル《家庭菜園》と《料理大全》の幅が広がる』という意味がわからなかったので、私はカトレアに質問します。どうやらこの2つのチートスキル、100%の力を発揮すれば、その効果は絶大のようですが、今の時点ではその力の1%も引き出せていないようです。
スキル《家庭菜園》
・世界中に存在するあらゆる植物をスキルで育てることが可能。
・カトレア自身が育てたいものを入手し、スキルに登録しないといけない。
・植物のどの部位であっても、植物全体がスキルとして登録される。
・登録さえすれば、どの土地であっても、スキルの効果により育て上げることが可能。
・菜園として使用できるエリアは、レベルに依存する。
スキル《料理大全》
・これまでに開発されてきた料理の全てが詰め込まれている。カトレア自身は名前を閲覧できるが、通常そのレシピを見ることはできない。
・カトレアが料理を食べることで、最も美味いとされるレシピが公表される。
・食材や調味料を、スキル内に登録することが可能。
・今所持しているものだけで調理可能な料理と、そのレシピを教えてくれる。
・カトレア本人が調理技術を持っていないと、レシピがあっても意味がない。
この2つのスキルがチートに分類される理由はわかりましたが、完璧に使いこなすには、レベルの向上と、料理を調理するための調理技術を身につけないといけません。今の彼女には、その基本が何一つ備わっていない。だから、宝の持ち腐れ状態のようです。必要なのは、様々な国々を渡り歩き、レベルを上げてその地に存在する植物類を入手し、調理技術を身につけること、これができれば、チートスキルをフルに活かせるのです。
「私にとって、リコッタの目的はありがたいの。だから、私を旅のお供にして‼︎」
「どちらも、WIN WINの関係ですね。こちらからも宜しくお願いします‼︎」
私とカトレアは両手で握手しました。
今、一つのパーティーが結成されたのです‼︎
安優香様、待っていてくださいね。
リコッタは、必ずあなたのもとへ向かいます‼︎
○○○
ご愛読、ありがとうございました。
私は馬車の中で愛玩形態となり、カトレアに抱かれています。
鉱山入口の騒動に関しては、無事収束を迎えました。
イザークさんが私の発案を後押ししてくれたことにより、治安騎士団の方々も納得してくれたのです。私たちが魔族として指名手配される案は、自然消滅すると思います。ただ、上層部となるギルドマスターたちが納得してくれるかが鍵です。私たちが街からの逃走に成功したことを伝えれば、まず間違い無く採用されると思いますが不安ですね。
後はイザークさんたちに任せて、私たちはリットさんの生まれ故郷となるトリシャ村へ行きましょう。イザークさんたちが馭者の男性に、村までの料金を少し多めに支払ってくれたこともあり、私とカトレアは快適な旅をとれています。
「リコッタ、トリシャ村へ向かうのはいいけど、その後はどうするの?」
この馬車の中で、カトレアに今回の発端となった騒動について全て話したことにより、私と一緒に行動し、トリシャ村へ行くことに納得してくれたのですが、それは街の対応があまりにも自分勝手なせいで、怒りによる突発的行動による要因が大きいでしょう。それに、鉱山の施設責任者でもあるオーフェンさんに無許可で外に出ていますから、多少なりとも迷惑を掛けているはずです。鉱山に留まってもよかったのですが、どんな判断が下されるかわからない以上、私たちは隠れておいた方がいいと判断され、今の状況になっています。
「このまま何事も起きなければ、私たちは街で再び平穏に暮らせると思います。カトレアは、どうしたいですか?」
正直、冷静になった今でも、あの街に戻りたいと思いません。カトレアは、オルフェンさんのもとで雇われている立場のため、複雑な思いを抱いているはずです。
「オルフェンさんには悪いけど、街を出て行きたい。もう、街の上層部を信用できない。私とリコッタの名前を覚えられたし、もし私たちのチートスキルが明るみになったら、いつかまた冤罪を着せられるか、利用される‼︎」
それは、起こりえる事態です。
子供に罪を着せる街に、私だっていたくありませんから。
「リコッタ、私を仲間に入れてくれないかな? 今はまだ冒険者として役立てないかもしれない。人や魔物とも渡り合えるよう、身体を鍛える‼︎ 料理であなたを幸せにさせるわ、お願い‼︎」
私自身、戦闘用チートスキルがあるとはいえ、まだまだ未熟者です。カトレアのチートスキルは料理系、私は料理を作れませんから、そのお願いは非常に嬉しいです。
でも、私には大きな目的があります。
それを果たすには、この地を離れないといけません。
目的地まで3500キロ、カトレアが了承してくれるといいのですが。
「それは、私からもお願いしたかったことです。ただ、私には《ある目的》があるのです」
「目的?」
これを説明して承諾してもらえれば、カトレアと一緒に旅ができます。
「はい、まずは私の抱える事情を明かしますね。これを聞いたら、怒りが再発するかもしれないので、覚悟して聞いてください」
「わ…わかった」
私は始めに、前世と死後に出会った女神様のことを話しました。
「凄い、別世界の記憶を持っているんだ‼︎ しかも、こことは違う女神様と出会っていただなんて‼︎ だから、あんな強力なスキルを持っていたんだ‼︎」
私の話を全て信じ目を輝かせるカトレア、これは絶対勘違いしていますね。
「う~ん、それは少し違います。元々、安優香様を求めてここへ来たので、遠距離を安全に進める健康で丈夫な身体を求めただけなんです」
前世、パピヨンの時、災害訓練を1度だけ受けたことがあります。その場所は瓦礫の山と化しており、平たい箇所が殆どありませんでした。このエリアの何処かに要救助者がいるという設定で、私は安優香様の指示のもと、指定された地点までにある危険な箇所を回避して、怪我なく正確に辿り着けるかという訓練を施されたのですが、地面自体がボコボコで、あちこちに尖っている箇所があり、私は他の大型犬たちと違い、何度試みても指定された地点まで30分近くかかりました。
おまけに、必ず足を斬ってしまい、軽傷を負ってしまうのです。他の小型犬たちも私と同じく、悔しそうな表情をしていました。たった1度の訓練だけで、災害救助犬は無理だという挫折を味わいました。あんな屈辱を味わいたくないから、健康で丈夫な身体を望んだのに、いくらなんでも丈夫過ぎますよ、女神様。
「健康で丈夫? ある意味、合っているよね? どんな攻撃も受け付けないのだから」
そうなんです。
私の要望には、確かに応えてくれたのです。
でも、何か違いますよね‼︎
「あはは、まあこの力を持てたおかげで、今のご主人様を救うことに成功したのですが…」
私は転生してからの話を進めていき、マクガイン公爵家が私とアリアお嬢様に何をしたのか話していくと、カトレアの眉間がどんどん険しくなっていきます。
「身分の高い人や偉い人たちの殆どが、あんな自分勝手な連中なの?」
「マクガイン公爵やべクルトンのギルド支部の面々はそうなんでしょうけど、ヨークランド子爵家や鉱山の施設長オルフェンさんのような方々もいますから、一概に決めつけない方がいいです」
さて、問題はここからです。前世のご主人-安優香様のいる距離を理解しているのですが、場所が全くわかりません。今の時点で判明している北へ距離3500キロをカトレアに伝えると…
「3500!? …果てしなく遠いのはわかるけど、位置が全然掴めない」
そりゃあ、大声をあげますよね。
距離だけ言われても、ピンと来ませんよね。
私だって、分かりませんから。
元々、生活基盤が整い、落ち着いてから世界地図を購入して、安優香様の位置を確かようと思っていたのです。こんな突発的事故が起こり、街を早々に出ていくなんて思いもしませんでしたから、今の時点は不明瞭すぎて、北へ行くのも危険です。
「カトレア、どうします? かなり危険な旅ですよ?」
「行く‼︎ 確かに危険な旅路だけど、それだけの遠距離となると、数多くの国々に行けるから、そこの文化や料理を知ることができる。私のスキル《家庭菜園》と《料理大全》の幅も広がる‼︎」
『スキル《家庭菜園》と《料理大全》の幅が広がる』という意味がわからなかったので、私はカトレアに質問します。どうやらこの2つのチートスキル、100%の力を発揮すれば、その効果は絶大のようですが、今の時点ではその力の1%も引き出せていないようです。
スキル《家庭菜園》
・世界中に存在するあらゆる植物をスキルで育てることが可能。
・カトレア自身が育てたいものを入手し、スキルに登録しないといけない。
・植物のどの部位であっても、植物全体がスキルとして登録される。
・登録さえすれば、どの土地であっても、スキルの効果により育て上げることが可能。
・菜園として使用できるエリアは、レベルに依存する。
スキル《料理大全》
・これまでに開発されてきた料理の全てが詰め込まれている。カトレア自身は名前を閲覧できるが、通常そのレシピを見ることはできない。
・カトレアが料理を食べることで、最も美味いとされるレシピが公表される。
・食材や調味料を、スキル内に登録することが可能。
・今所持しているものだけで調理可能な料理と、そのレシピを教えてくれる。
・カトレア本人が調理技術を持っていないと、レシピがあっても意味がない。
この2つのスキルがチートに分類される理由はわかりましたが、完璧に使いこなすには、レベルの向上と、料理を調理するための調理技術を身につけないといけません。今の彼女には、その基本が何一つ備わっていない。だから、宝の持ち腐れ状態のようです。必要なのは、様々な国々を渡り歩き、レベルを上げてその地に存在する植物類を入手し、調理技術を身につけること、これができれば、チートスキルをフルに活かせるのです。
「私にとって、リコッタの目的はありがたいの。だから、私を旅のお供にして‼︎」
「どちらも、WIN WINの関係ですね。こちらからも宜しくお願いします‼︎」
私とカトレアは両手で握手しました。
今、一つのパーティーが結成されたのです‼︎
安優香様、待っていてくださいね。
リコッタは、必ずあなたのもとへ向かいます‼︎
○○○
ご愛読、ありがとうございました。
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物語に関してはここで一区切り付いたこともあり、一旦完結とさせて頂きます。
すいかさん、本作品をここまで読んで頂き、誠にありがとうございます( ◠‿◠ )