25 / 34
本編
23話 《カトレアとの別れ》と《次なる任務》
しおりを挟む
今日で7日目、私の任務も午前中の業務で全て終了となります。
本来であれば、金属の分別作業を実施したいのですが、鉱石から錬成された金属も少ないので、今日は従業員のみんなと共に、業務用仮説大型テント内に、大小様々な機材を運んでいます。
「うんしょ、うんしょ、結構重いです」
あの大きな瓦礫を楽に動かせたのに、今はこんな小さな物でも普通に重く感じます。あのスキルを、早く使いこなしたいです。
「うん、重い」
あの騒動以降、外で作業を続けていることもあり、カトレアから挙動不審さも無くなり、普通に会話もできています。テント内の所定の場所へ機材を置き、私たちがテントを出ると、午前の業務終了となる鐘が鳴り響きます。鐘の音を聞いたカトレアは、私との別れに気づいたのか、顔色が悪くなっていきます。
「カトレア、私の任務はこれにて終了です。街に戻らないといけません」
「うん……今日で7日目、寂しくなる。せっかく友達になれたのに」
カトレアは奴隷、その身分から脱却するには、主人に認められなければならない。彼女の主人はオルフェンさんですが、鉱山で大きな貢献を果たすとなると、今の年齢では不可能です。
「リコッタは、明日からどうするの?」
「冒険者に戻って、自分に見合った依頼を受けて生活していきます。まだ、Fランクですから」
「あの戦いを見ているから、Fランクとは思えない。ランク、上がらないの?」
「裏事情を知る人は少ないので、ランクは上がりません。でも、受付係のリットさんが『色々と優遇するわ』と言ってくれました」
というか、冒険者になってから、ずっとスキルに見合った依頼を探してくれているので、ずっと優遇されているような気がします。
「そっか…リコッタ、あのね…私にはチートスキル《家庭菜園》と《料理大全》があるの。私の夢は、このスキルで自分の店を持つこと」
全く聞いたことのないスキル名です。しかもチートスキル、そんな大事なことを私に教えてくれるということは、それだけ信頼されているのですね。
「自分の店、凄い夢じゃないですか!? カトレアが店を持ったら、絶対行きます‼︎ でも、そんな凄いスキルを持っているのに、どうして虐められていたの?」
そんなスキルがあれば、奴隷商人の人たちだって利用するはずです。
「私の家族は、みんな良い人ばかり。村全体が生活苦になったから、私は村の人たちに自分のスキルの価値を話し、奴隷として志願したの。私の価値も認められて、村には大金が入った。その一方で奴隷になった私は、そこから転落の一途だった。奴隷商人の持ち物になり、その人の屋敷で生活することになったけど、その翌日に盗賊達に侵入され、当時のご主人様が私の目の前で殺されたの。奴隷たちは盗賊の手引きで別の奴隷商人たちに次々と売られていった。私もその1人なんだけど、まだ私の資料をまとめていない事もあって、チートスキルのことを知られないまま、次のご主人様のもとへ売られたの。そこ以降は、スキルを隠しながら生き残るのに必死だった」
思った以上に、カトレアは過去に悲惨な経験をしているようです。
「スキルを隠すことばかり考えていたせいなのか、スキル《隠蔽》に目覚めたの。そのおかげで、チートスキルに関しては誰にもバレていないわ。でも、毎日毎日仲間から虐められ、信用できる人が誰1人いない状況になってしまったの。誰も信じられないからこそ、チートスキルのことを言えなかった」
下手に言ってしまうと、奴隷仲間から嫉妬され殺されていたかもしれません。
《言わない》が正しいと思います。
「でも、リコッタとオルフェンさんだけは信用できる。もう……話しているんだ。リコッタが帰った後、私は彼と今後のことで話し合うことになっているの」
あの人なら、私も信用できると思います。
「今からオルフェンさんに会いに行きますので、私からも言っておきます。時間が空いたらここへ来たりもしますから、何か困ったことがあれば、いつでも言ってください」
私は、日常生活に関わるスキルを一つも持っていませんから、店を開くことなんて無理でしょう。カトレアのスキルにどんな効果があるのか知りませんが、夢を持っているのなら協力させてもらいます。
「ありがとう」
カトレアの笑顔が眩しいです。夢を持つということは、人を輝かせるのですね。
「一旦お別れになりますが、また何処かでお会いしましょう」
「うん」
私は彼女と握手を交わし笑顔で手を振りながら、業務用大型テントの中にいるオルフェンさんの元へ向かいました。私がテントの中に入り、彼を見ると、今日もまた笑顔なので、機嫌が良いようです。私が席に座り、テーブルに置かれているものを見ると、それは依頼達成書でした。既に印鑑も押されており、記載されている報酬額を確認すると、予定額の2倍増しとなっていたので、私はその箇所を再度見直しました。
「オルフェンさん……報酬額が多過ぎるのですが?」
「あの騒動で、君とカトレアはスライムの囮になり、時間を稼いでくれたと聞いている。君たちが尽力してくれたおかげで、利益の一部が鉱山の責任者でもある私にも入ってくる。私的にはこの報酬額でも少ないが、ギルドの規定でランクの相場を超える報酬額を出せないんだ」
そうか、矛盾が生じないように、《獣人ゴルドさん》か《リットさん》のどちらかが、私とカトレアがあの戦いで貢献したことを彼に言ってくれたんだ。時間稼ぎをしたのは、本当だもの。
「そういうことでしたら受け取ります。あの…カトレアにはどういったご褒美を?」
彼女からスキルを聞いていますので、今後の事がどうしても気になります。
「彼女のスキルと夢を聞いているが、今の年齢では無理だろう。それに店を開くには、経営に関わる知識も必要となる。そこで、私は彼女に《奴隷解放》と《従業員採用》をプレゼントすることに決めた。従業員としての役割は、料理人の補助だ」
おお‼︎
そのご褒美なら、カトレアもきっと喜びます‼︎
「ありがとうございます‼︎」
「いいんだよ。君たちは命懸けで、この鉱山と冒険者たちを守ってくれたんだ。この程度の恩返しは当然だ。リコッタ、君は冒険者だから、これからも危ない橋を渡ることもある。気をつけて行動するように」
「はい、7日間ありがとうございました‼︎」
依頼内容によっては、依頼者自身が時に冒険者を裏切ることもあると聞きます。今回の依頼人でもあるオルフェンさんは、私やカトレアのことをきちんと考えてくれていますから、カトレアの今後の生活も安心でしょう。私は彼にお別れの挨拶を告げ、鉱山入口の馬車に乗り、街へと戻りました。
○○○
「え、次の依頼をもう用意してくれているのですか!?」
私がべクルトンの街の冒険者ギルドに到着すると、リットさんが手招きしてくれたので、依頼達成書を渡し報酬を貰った直後に、次の依頼を言われました。通常、Fランク冒険者は、壁に貼られている掲示板から依頼を選ぶか、受付係の人にお願いして依頼を選んでもらうの2択なのですが、私の場合、ずっと後者ばかりです。
次の依頼は、どんな内容なのでしょう?
「祝賀祭の警備よ」
リットさんから告げられた内容に、私はとても驚きました。
「警備? どう考えても、場違いなのですが?」
普通、警備って屈強な冒険者や騎士たちがやりますよね? 私のような子供が参加したら、他の冒険者方も怒ると思います。
「あなたにお願いするのは、食材や食器類の警備よ」
ますます、意味がわかりません。
「どういう意味でしょう?」
「ふふ、今から説明するわね。今回、冒険者たちが80年ぶりに出現したメタルリキッドゴーレムを、見事掌握し討伐してくれた。しかも、その大きさは国内一で、多大な利益がもたらされることが確定している。その祝賀祭が、この街に存在する全てのギルド公認で7日後に開催されるわけ」
それってつまり、あのスライムの液体金属が全ギルドで使用されるってことですか!?
「この騒動は、既に新聞で全国に報道されているわ。今後、大勢の人々が液体金属を目当てに、この街や王都などに押し寄せてきて、忙しい毎日が始まる。その前祝いをやろうということになったの」
新聞……あ、一面にデカデカとスライム討伐の件が掲載されていましたね。王家への献上品や各ギルドへの配分が決まったら、液体金属自体も分割されて、それぞれの担当場所へ運ばれ、そこからオークションなどに利用され、莫大な利益が生まれるとも書かれていました。
「液体金属の保管場所を警備するならともかく、前祝いで使用される食器類などを警備する必要性はあるのですか? あったとしても、スキル《鑑定》を持つ人々にやらせるべきでは?」
多分、リットさんの意図しているのは、毒物のことですよね。
「リコッタは賢いね。それが正当な意見なんだけど、ギルドマスターによると、過去2例の討伐において、冒険者側の方でいつも殺人事件が起きているのよ」
「殺人事件!?」
リットさんから話を聞くと、これまで警備が徹底されているギルド側の方では、警護する騎士たちの活躍で、大きな事件に発展していません。ですが、冒険者側の方で必ず殺人事件が起きています。犯人の目的は、冒険者側に配分された液体金属の独り占めです。莫大な利益をもたらすと確定している以上、討伐メンバーの誰かが必ず欲望に負けてしまう。しかも、まだ配分されていない状況でも起こるそうです。
ゴタゴタが起こらないよう、事前に冒険者側へ渡る配分量は決められているのですが、誰かが死んだ場合であっても、その大元の配分量は減りません。つまり、今回は5人いましたから、それが1人になってしまったら、5人分の配分量が全てその人のもとへいくということになります。リットさんは、討伐メンバーたちが祝賀祭で毒殺されることを恐れているのです。
「祝賀祭で毒殺されないよう、5人の冒険者たちを警備しろってことですか?」
「そういうこと。ただ、リコッタはそこまで気負う必要はないわ。獣人の私を含めたスキル《鑑定》持ちの者を5人雇うから」
祝賀祭の真っ最中に、賊が侵入することは、まず起こりえません。一番起こりえる事件は、毒殺です。鑑定持ちが5人いるのであれば、私は念のため配備されたということでしょう。
本来であれば、金属の分別作業を実施したいのですが、鉱石から錬成された金属も少ないので、今日は従業員のみんなと共に、業務用仮説大型テント内に、大小様々な機材を運んでいます。
「うんしょ、うんしょ、結構重いです」
あの大きな瓦礫を楽に動かせたのに、今はこんな小さな物でも普通に重く感じます。あのスキルを、早く使いこなしたいです。
「うん、重い」
あの騒動以降、外で作業を続けていることもあり、カトレアから挙動不審さも無くなり、普通に会話もできています。テント内の所定の場所へ機材を置き、私たちがテントを出ると、午前の業務終了となる鐘が鳴り響きます。鐘の音を聞いたカトレアは、私との別れに気づいたのか、顔色が悪くなっていきます。
「カトレア、私の任務はこれにて終了です。街に戻らないといけません」
「うん……今日で7日目、寂しくなる。せっかく友達になれたのに」
カトレアは奴隷、その身分から脱却するには、主人に認められなければならない。彼女の主人はオルフェンさんですが、鉱山で大きな貢献を果たすとなると、今の年齢では不可能です。
「リコッタは、明日からどうするの?」
「冒険者に戻って、自分に見合った依頼を受けて生活していきます。まだ、Fランクですから」
「あの戦いを見ているから、Fランクとは思えない。ランク、上がらないの?」
「裏事情を知る人は少ないので、ランクは上がりません。でも、受付係のリットさんが『色々と優遇するわ』と言ってくれました」
というか、冒険者になってから、ずっとスキルに見合った依頼を探してくれているので、ずっと優遇されているような気がします。
「そっか…リコッタ、あのね…私にはチートスキル《家庭菜園》と《料理大全》があるの。私の夢は、このスキルで自分の店を持つこと」
全く聞いたことのないスキル名です。しかもチートスキル、そんな大事なことを私に教えてくれるということは、それだけ信頼されているのですね。
「自分の店、凄い夢じゃないですか!? カトレアが店を持ったら、絶対行きます‼︎ でも、そんな凄いスキルを持っているのに、どうして虐められていたの?」
そんなスキルがあれば、奴隷商人の人たちだって利用するはずです。
「私の家族は、みんな良い人ばかり。村全体が生活苦になったから、私は村の人たちに自分のスキルの価値を話し、奴隷として志願したの。私の価値も認められて、村には大金が入った。その一方で奴隷になった私は、そこから転落の一途だった。奴隷商人の持ち物になり、その人の屋敷で生活することになったけど、その翌日に盗賊達に侵入され、当時のご主人様が私の目の前で殺されたの。奴隷たちは盗賊の手引きで別の奴隷商人たちに次々と売られていった。私もその1人なんだけど、まだ私の資料をまとめていない事もあって、チートスキルのことを知られないまま、次のご主人様のもとへ売られたの。そこ以降は、スキルを隠しながら生き残るのに必死だった」
思った以上に、カトレアは過去に悲惨な経験をしているようです。
「スキルを隠すことばかり考えていたせいなのか、スキル《隠蔽》に目覚めたの。そのおかげで、チートスキルに関しては誰にもバレていないわ。でも、毎日毎日仲間から虐められ、信用できる人が誰1人いない状況になってしまったの。誰も信じられないからこそ、チートスキルのことを言えなかった」
下手に言ってしまうと、奴隷仲間から嫉妬され殺されていたかもしれません。
《言わない》が正しいと思います。
「でも、リコッタとオルフェンさんだけは信用できる。もう……話しているんだ。リコッタが帰った後、私は彼と今後のことで話し合うことになっているの」
あの人なら、私も信用できると思います。
「今からオルフェンさんに会いに行きますので、私からも言っておきます。時間が空いたらここへ来たりもしますから、何か困ったことがあれば、いつでも言ってください」
私は、日常生活に関わるスキルを一つも持っていませんから、店を開くことなんて無理でしょう。カトレアのスキルにどんな効果があるのか知りませんが、夢を持っているのなら協力させてもらいます。
「ありがとう」
カトレアの笑顔が眩しいです。夢を持つということは、人を輝かせるのですね。
「一旦お別れになりますが、また何処かでお会いしましょう」
「うん」
私は彼女と握手を交わし笑顔で手を振りながら、業務用大型テントの中にいるオルフェンさんの元へ向かいました。私がテントの中に入り、彼を見ると、今日もまた笑顔なので、機嫌が良いようです。私が席に座り、テーブルに置かれているものを見ると、それは依頼達成書でした。既に印鑑も押されており、記載されている報酬額を確認すると、予定額の2倍増しとなっていたので、私はその箇所を再度見直しました。
「オルフェンさん……報酬額が多過ぎるのですが?」
「あの騒動で、君とカトレアはスライムの囮になり、時間を稼いでくれたと聞いている。君たちが尽力してくれたおかげで、利益の一部が鉱山の責任者でもある私にも入ってくる。私的にはこの報酬額でも少ないが、ギルドの規定でランクの相場を超える報酬額を出せないんだ」
そうか、矛盾が生じないように、《獣人ゴルドさん》か《リットさん》のどちらかが、私とカトレアがあの戦いで貢献したことを彼に言ってくれたんだ。時間稼ぎをしたのは、本当だもの。
「そういうことでしたら受け取ります。あの…カトレアにはどういったご褒美を?」
彼女からスキルを聞いていますので、今後の事がどうしても気になります。
「彼女のスキルと夢を聞いているが、今の年齢では無理だろう。それに店を開くには、経営に関わる知識も必要となる。そこで、私は彼女に《奴隷解放》と《従業員採用》をプレゼントすることに決めた。従業員としての役割は、料理人の補助だ」
おお‼︎
そのご褒美なら、カトレアもきっと喜びます‼︎
「ありがとうございます‼︎」
「いいんだよ。君たちは命懸けで、この鉱山と冒険者たちを守ってくれたんだ。この程度の恩返しは当然だ。リコッタ、君は冒険者だから、これからも危ない橋を渡ることもある。気をつけて行動するように」
「はい、7日間ありがとうございました‼︎」
依頼内容によっては、依頼者自身が時に冒険者を裏切ることもあると聞きます。今回の依頼人でもあるオルフェンさんは、私やカトレアのことをきちんと考えてくれていますから、カトレアの今後の生活も安心でしょう。私は彼にお別れの挨拶を告げ、鉱山入口の馬車に乗り、街へと戻りました。
○○○
「え、次の依頼をもう用意してくれているのですか!?」
私がべクルトンの街の冒険者ギルドに到着すると、リットさんが手招きしてくれたので、依頼達成書を渡し報酬を貰った直後に、次の依頼を言われました。通常、Fランク冒険者は、壁に貼られている掲示板から依頼を選ぶか、受付係の人にお願いして依頼を選んでもらうの2択なのですが、私の場合、ずっと後者ばかりです。
次の依頼は、どんな内容なのでしょう?
「祝賀祭の警備よ」
リットさんから告げられた内容に、私はとても驚きました。
「警備? どう考えても、場違いなのですが?」
普通、警備って屈強な冒険者や騎士たちがやりますよね? 私のような子供が参加したら、他の冒険者方も怒ると思います。
「あなたにお願いするのは、食材や食器類の警備よ」
ますます、意味がわかりません。
「どういう意味でしょう?」
「ふふ、今から説明するわね。今回、冒険者たちが80年ぶりに出現したメタルリキッドゴーレムを、見事掌握し討伐してくれた。しかも、その大きさは国内一で、多大な利益がもたらされることが確定している。その祝賀祭が、この街に存在する全てのギルド公認で7日後に開催されるわけ」
それってつまり、あのスライムの液体金属が全ギルドで使用されるってことですか!?
「この騒動は、既に新聞で全国に報道されているわ。今後、大勢の人々が液体金属を目当てに、この街や王都などに押し寄せてきて、忙しい毎日が始まる。その前祝いをやろうということになったの」
新聞……あ、一面にデカデカとスライム討伐の件が掲載されていましたね。王家への献上品や各ギルドへの配分が決まったら、液体金属自体も分割されて、それぞれの担当場所へ運ばれ、そこからオークションなどに利用され、莫大な利益が生まれるとも書かれていました。
「液体金属の保管場所を警備するならともかく、前祝いで使用される食器類などを警備する必要性はあるのですか? あったとしても、スキル《鑑定》を持つ人々にやらせるべきでは?」
多分、リットさんの意図しているのは、毒物のことですよね。
「リコッタは賢いね。それが正当な意見なんだけど、ギルドマスターによると、過去2例の討伐において、冒険者側の方でいつも殺人事件が起きているのよ」
「殺人事件!?」
リットさんから話を聞くと、これまで警備が徹底されているギルド側の方では、警護する騎士たちの活躍で、大きな事件に発展していません。ですが、冒険者側の方で必ず殺人事件が起きています。犯人の目的は、冒険者側に配分された液体金属の独り占めです。莫大な利益をもたらすと確定している以上、討伐メンバーの誰かが必ず欲望に負けてしまう。しかも、まだ配分されていない状況でも起こるそうです。
ゴタゴタが起こらないよう、事前に冒険者側へ渡る配分量は決められているのですが、誰かが死んだ場合であっても、その大元の配分量は減りません。つまり、今回は5人いましたから、それが1人になってしまったら、5人分の配分量が全てその人のもとへいくということになります。リットさんは、討伐メンバーたちが祝賀祭で毒殺されることを恐れているのです。
「祝賀祭で毒殺されないよう、5人の冒険者たちを警備しろってことですか?」
「そういうこと。ただ、リコッタはそこまで気負う必要はないわ。獣人の私を含めたスキル《鑑定》持ちの者を5人雇うから」
祝賀祭の真っ最中に、賊が侵入することは、まず起こりえません。一番起こりえる事件は、毒殺です。鑑定持ちが5人いるのであれば、私は念のため配備されたということでしょう。
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説


冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る
拓海のり
ファンタジー
階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。
頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。
破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。
ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。
タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。
完結しました。ありがとうございました。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる