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あとがき
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長いです。興味のないかたは、次ページから『番外編』がありますので、ここは読み飛ばしてください。
番外編は『一応書いたけど本編に入れなかったエピソード』で内容は——
5.5 死者之書
『混沌の森 - 邪神と呼ばれる少女 -』とのリンク。
19.5 ババロア
その後のババロア。
——となっております。
『片腕の聖女』(『暗黒の森 - ロリコン王子と片腕の聖女 -』改題)を読んでいただきありがとうございました。
楽しんでいただけたらさいわいです。
以前書いた『混沌の森 - 邪神と呼ばれる少女 -』が一万文字程度だったので、それくらいでもうひとつ……と思っていたらどんどん長くなってしまいました。
そしてまた、クトゥルフ神話です。
『混沌の森』同様、もともとそんなに詳しいわけではないのに、出しても出さなくてもいいような——しかも、『混沌の森』以上に出す必然性がない——ものを登場させたため、調べものにだいぶ時間を費やしました。
調べものは大変なのになぜこれが楽しいのか考えてみると、「これはつかえそう」とか「こうすればつかえるかも」と材料を工夫してつかうのが楽しいのかもしれません。歴史ものなんかもそうですが、自分が作ったストーリーに史実を矛盾がないように当てはめていくのがパズル感覚でピタッとはまったときが気持ちいいからなんでしょうね。あるいはつみ木を積み上げて作っていく楽しさというか。つみ木ひとつひとつのパーツは自分の創作ではないのでかたちを変えることはできないんだけど、それを合わせて理想のかたちが組み上がると嬉しい、みたいな感覚です。
ただし、クトゥルフものってコズミックホラーと呼ばれる独特の雰囲気が核になっているので、ただ邪神を出せばいいってことではないなあとあらためて思いました。
でも、もう一本くらいは書きたいなあと思ってます。今度こそ短めで。
キャラクターの名前
作中では「学校で付けられたふざけた名前」ということになっていますが、もちろん作者が「短編だからいいや」とテキトーに付けたものです。(こんなに長くなるとは思っていなかったので)
ナタ・デ・ココ(nata de coco)、ブッシュ・ド・ノエル(bûche de Noël)ときて、モン・ザ・ババロア(monza bavarois)の「モンザ」とはなんぞや、ということですが、これも作者がテキトーに考えたものでそういうお菓子はありません(ただのババロアならありますが)。「モン・ザ」は「モンザレッド」という色があるのでそれから取りました。ちなみにモンザ(モンツァ)はイタリアの町の名前です。ババロア(バヴァロワ)はフランス語で「バイエルンの」と言う意味。ドイツの南部にあったバイエルン王国のフランス人シェフが貴族のために作ったのが起源らしいです。
登場人物のババロアまでお菓子の名前にすると「この子もお菓子の名前だから実は孤児なのかな」とミスリードを誘ってしまうためよくないかなと思ったのですが、ほかに名前が思いつかなかったのでそのままにしました。
人名にせよ地名にせよ名前を付けるのがとにかく苦手です。
ヴァンバルシア王国はなんかちょっと面白い響きにしようと思って「ばんばるしあ」と付けました。(短編だからいいやと……)
あと、歌手のケイト・ブッシュさん(『嵐が丘』などで有名)の息子さんの名前がアルバートということを先日知りました。本編でもアルバートのお母さんはケイトですが、これはただの偶然です。
クトゥルフ神話について
クトゥグア
クトゥルフ神話に登場する旧支配者に分類される神。
拙著『混沌の森』の「風」のハスターにつづき「火」のクトゥグアの登場です。
クトゥグアはラヴクラフトではなくオーガスト・ダーレスが創作した神です。ダーレスはクトゥルフ神話の諸神格を四元素に分類したのだけど、フランシス・T・レイニーに「火の元素が無いじゃん」と言われて、作り出されたのがクトゥグアだそう。
おなじ旧支配者に「ツァトゥグァ」という似た名前のがいるので、もう少し名前は捻ってほしかったところ。(なんかやっつけ感がある)
ウガイの森
作中の舞台のひとつであるウガイの森はクトゥルフ神話の中では「ンガイの森」として登場します。読みづらいので「ウガイ」としました。架空の土地ですが、場所は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州の北部中央のリック湖周辺の森だそうです。クトゥルフ神話ではわりと有名なナイアーラトテップ(ナイアラトホテップ、ニャルラトホテプなどとも。栗本薫先生の『魔界水滸伝』でクトゥルー神話に触れた筆者としてはナイアルラトホテップという呼び名が馴染み深いです。たしか「ラ」は小文字だったかと。以降「ルラ」は「ラ」と表記)の地球での拠点でしたが、1940年にクトゥグアの部下である炎の精によって焼き払われたそうです。(かわいそう)
這いよる混沌ことナイアラトホテップの拠点ということで、こちらのほうが『混沌の森』というタイトルにふさわしい気がします。
今回登場した龍のような魔物「忌まわしき狩人(または駆り立てる恐怖とも)」はナイアラトホテップの奉仕種族(パシリ)です。
カダス教団
教団は筆者の創作ですが、クトゥルフ神話ではカダスという異世界があってナイアラトホテップの庇護の下、神族が住んでいる場所です。ナイアラトホテップ関係ということで名前を借りました。
召喚呪文
クトゥグアを召喚する呪文内の「こるゔぁず」のところは本来「ほまるはうと」です。クトゥグアは25光年以上離れた南魚(みなみのうお)座のα星フォーマルハウトにいることになっています。フォーマルハウトというのはアラビア語の「大魚の口」ファム・アル・フートが由来となっているのですが、「呪文がアラビア語成立以前からあるのにアラビア語由来なのはおかしい」という意見は前々からあったようです。
コルヴァズはフォーマルハウトの近くの星、あるいは別名という設定なので、今回呪文の一部を入れ替えてみました。
25光年以上離れた場所からいきなり呼び出されたら、腕の一本でも食わせろってなるかな。
ちなみに、おなじ炎の神ヤマンソはクトゥグアと召喚呪文が似ていて、クトゥグア召喚に失敗したとき誤召喚されることがあるそうです。(かわいそう)
ヤマンソ「呼ばれて飛び出て……」
召喚師「あっ、まちがえちゃった!」
ヤマンソ「食事中だったので慌てて食って出てきたんだけど」
召喚師「……スマンソ」
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
またべつのお話でお会いできればさいわいです。
番外編は『一応書いたけど本編に入れなかったエピソード』で内容は——
5.5 死者之書
『混沌の森 - 邪神と呼ばれる少女 -』とのリンク。
19.5 ババロア
その後のババロア。
——となっております。
『片腕の聖女』(『暗黒の森 - ロリコン王子と片腕の聖女 -』改題)を読んでいただきありがとうございました。
楽しんでいただけたらさいわいです。
以前書いた『混沌の森 - 邪神と呼ばれる少女 -』が一万文字程度だったので、それくらいでもうひとつ……と思っていたらどんどん長くなってしまいました。
そしてまた、クトゥルフ神話です。
『混沌の森』同様、もともとそんなに詳しいわけではないのに、出しても出さなくてもいいような——しかも、『混沌の森』以上に出す必然性がない——ものを登場させたため、調べものにだいぶ時間を費やしました。
調べものは大変なのになぜこれが楽しいのか考えてみると、「これはつかえそう」とか「こうすればつかえるかも」と材料を工夫してつかうのが楽しいのかもしれません。歴史ものなんかもそうですが、自分が作ったストーリーに史実を矛盾がないように当てはめていくのがパズル感覚でピタッとはまったときが気持ちいいからなんでしょうね。あるいはつみ木を積み上げて作っていく楽しさというか。つみ木ひとつひとつのパーツは自分の創作ではないのでかたちを変えることはできないんだけど、それを合わせて理想のかたちが組み上がると嬉しい、みたいな感覚です。
ただし、クトゥルフものってコズミックホラーと呼ばれる独特の雰囲気が核になっているので、ただ邪神を出せばいいってことではないなあとあらためて思いました。
でも、もう一本くらいは書きたいなあと思ってます。今度こそ短めで。
キャラクターの名前
作中では「学校で付けられたふざけた名前」ということになっていますが、もちろん作者が「短編だからいいや」とテキトーに付けたものです。(こんなに長くなるとは思っていなかったので)
ナタ・デ・ココ(nata de coco)、ブッシュ・ド・ノエル(bûche de Noël)ときて、モン・ザ・ババロア(monza bavarois)の「モンザ」とはなんぞや、ということですが、これも作者がテキトーに考えたものでそういうお菓子はありません(ただのババロアならありますが)。「モン・ザ」は「モンザレッド」という色があるのでそれから取りました。ちなみにモンザ(モンツァ)はイタリアの町の名前です。ババロア(バヴァロワ)はフランス語で「バイエルンの」と言う意味。ドイツの南部にあったバイエルン王国のフランス人シェフが貴族のために作ったのが起源らしいです。
登場人物のババロアまでお菓子の名前にすると「この子もお菓子の名前だから実は孤児なのかな」とミスリードを誘ってしまうためよくないかなと思ったのですが、ほかに名前が思いつかなかったのでそのままにしました。
人名にせよ地名にせよ名前を付けるのがとにかく苦手です。
ヴァンバルシア王国はなんかちょっと面白い響きにしようと思って「ばんばるしあ」と付けました。(短編だからいいやと……)
あと、歌手のケイト・ブッシュさん(『嵐が丘』などで有名)の息子さんの名前がアルバートということを先日知りました。本編でもアルバートのお母さんはケイトですが、これはただの偶然です。
クトゥルフ神話について
クトゥグア
クトゥルフ神話に登場する旧支配者に分類される神。
拙著『混沌の森』の「風」のハスターにつづき「火」のクトゥグアの登場です。
クトゥグアはラヴクラフトではなくオーガスト・ダーレスが創作した神です。ダーレスはクトゥルフ神話の諸神格を四元素に分類したのだけど、フランシス・T・レイニーに「火の元素が無いじゃん」と言われて、作り出されたのがクトゥグアだそう。
おなじ旧支配者に「ツァトゥグァ」という似た名前のがいるので、もう少し名前は捻ってほしかったところ。(なんかやっつけ感がある)
ウガイの森
作中の舞台のひとつであるウガイの森はクトゥルフ神話の中では「ンガイの森」として登場します。読みづらいので「ウガイ」としました。架空の土地ですが、場所は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州の北部中央のリック湖周辺の森だそうです。クトゥルフ神話ではわりと有名なナイアーラトテップ(ナイアラトホテップ、ニャルラトホテプなどとも。栗本薫先生の『魔界水滸伝』でクトゥルー神話に触れた筆者としてはナイアルラトホテップという呼び名が馴染み深いです。たしか「ラ」は小文字だったかと。以降「ルラ」は「ラ」と表記)の地球での拠点でしたが、1940年にクトゥグアの部下である炎の精によって焼き払われたそうです。(かわいそう)
這いよる混沌ことナイアラトホテップの拠点ということで、こちらのほうが『混沌の森』というタイトルにふさわしい気がします。
今回登場した龍のような魔物「忌まわしき狩人(または駆り立てる恐怖とも)」はナイアラトホテップの奉仕種族(パシリ)です。
カダス教団
教団は筆者の創作ですが、クトゥルフ神話ではカダスという異世界があってナイアラトホテップの庇護の下、神族が住んでいる場所です。ナイアラトホテップ関係ということで名前を借りました。
召喚呪文
クトゥグアを召喚する呪文内の「こるゔぁず」のところは本来「ほまるはうと」です。クトゥグアは25光年以上離れた南魚(みなみのうお)座のα星フォーマルハウトにいることになっています。フォーマルハウトというのはアラビア語の「大魚の口」ファム・アル・フートが由来となっているのですが、「呪文がアラビア語成立以前からあるのにアラビア語由来なのはおかしい」という意見は前々からあったようです。
コルヴァズはフォーマルハウトの近くの星、あるいは別名という設定なので、今回呪文の一部を入れ替えてみました。
25光年以上離れた場所からいきなり呼び出されたら、腕の一本でも食わせろってなるかな。
ちなみに、おなじ炎の神ヤマンソはクトゥグアと召喚呪文が似ていて、クトゥグア召喚に失敗したとき誤召喚されることがあるそうです。(かわいそう)
ヤマンソ「呼ばれて飛び出て……」
召喚師「あっ、まちがえちゃった!」
ヤマンソ「食事中だったので慌てて食って出てきたんだけど」
召喚師「……スマンソ」
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
またべつのお話でお会いできればさいわいです。
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