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私、サマンサは昨夜の夢にてここがとあるアニメの世界であることを知った。しかも自分は悪役、それも主人公と1回だけ戦うゲストキャラの悪役だ。RPGでいうなら中ボスといったところであろう。
私は今魔導施設を作るため、部下たちを使って町の人間を働かせ、施設を作らせている。しかもかなりの強制労働だ。
私はこれまでの自分の行いを思い出し、ズ~ンと暗くなった。……まずい。確実に町の人たちから恨まれている……このままではあのアニメの通りに……私は昨夜見た夢を思い出した。その夢の中で、サマンサは旅の途中この町に寄った主人公パーティにやっつけられていた。そして町は救われめでたし、めでたし。サマンサの末路はどうなったのかよくわからなかったが、おそらく処刑されたか牢屋に入れられたんだと思う。
私はゾッとした。こんな悪事はすぐやめなければ!このままだと私の将来が大変なことになるし、なにより町の人たちに苦しい思いをさせてはいけない!このままではこの先みんな病気になったり、死人だって出てしまうだろう!そう決心したが、いや、待てよ……?ふと、思い出す。たしかこの町が救われたあと、主人公の善行を見ていた妖精だかなんかが主人公の前に現れ、主人公にアイテムを渡すんじゃなかったか?そしてそのアイテムはラスボスを倒すのに必要なもののひとつなのだ。……つまり、それがないと世界は滅んでしまうわけで、私はこの悪事を続けなければいけない……?そんな考えに行き着き、私はしばらくの間ショックで寝込んだ。
そして深く考えた。自分の将来か、この世界の平和か。
仕方ない、やろう。そして、私はこのまま悪役を続け、世界を主人公たちに救ってもらうことに決めた。サマンサの将来だって、みんなに必死に頼んだり、反省していることをアピールすれば処罰は軽くなるかもしれない。そう前向きに思うことにした。
朝の支度をする。クローゼットからいつも着ている衣装を着る。……悪役の衣装というのはどうしてこう奇抜で妖艶なのだろう。ピタピタなので、かなりグラマーな胸が丸わかりである。私は自分の姿を鏡で見て顔を赤らめため息をついた。
職場に出勤。
「おはようございます、サマンサ様」
(やはり)全身タイツみたいな変な制服を着た部下たちが次々と挨拶をしてくる。
「おはよう」いつものように、廊下を歩き、執務室の自分の椅子に座った。これまでのサマンサとしての記憶はちゃんと持っていたし、習慣も身についていたのよ。
「これが、昨日の作業の報告書です」
「そう」
私は部下から書類を受け取って眺めてみた。そしてそのなかの、奴隷、懲罰という単語を見て、ハッとした。「そうだ!町のみんな……」いくら悪役を続けようと決めたといって、町の人たちをあまり辛い目にあわせるのは嫌だ。
私は報告書を読み、その後、町の人たちが働く様子を直接見にいった。すると町の人たちはきつそうな労働していて、失敗したり、遅いものはムチで打たれ、ケガをしても手当てもしてもらえず、与えられる食事も少しだけ、長い労働時間……とひどい有様だった。いくらなんでもこれはあんまりだ……!!私はすぐさま部下に命じて、ムチで叩くことをやめさせ、ケガをしたものは手当てをさせるよういった。1日の労働時間も減らさせ、休憩も与え、食事もバランスのとれたものを与えるようにした。そんなふうに改革していき、1ヶ月ほどがたった。町の人たちを見ると、1ヶ月前とは違い、みな苦しそうな顔は消え、体の動きもはつらつとした感じだ。私はそれを見て、よかったと満足していた。部下たちからはわけがわからなそうな顔で見られ、自分の行いを止められたりもしたが、みな私の魔力のもとには誰も逆らえなかったので、それ以上私にたてつくものはいなかった。
さてそんなある日のこと……仕事のないとき散歩に出かけた私はふと、見慣れぬ3人組を見て驚いた。
(主人公パーティだー!!)
間違いない!アニメで見たまんまだ!ツンツンした髪のまだあどけなさの残る元気そうな少年に(ちなみに主人公で名前はアレンという)、明るくて可愛いらしいポニーテールの魔道士っぽい少女(名前はセシリア)、がっしりした体の無骨な戦士の青年(名前はガルド)。
ついにこのときがきたか……私は息を飲んだ。アニメ通りなら、私は彼らの攻撃によって倒されるはずだ……。私は自分が攻撃され、倒されるところを想像し、ゾッとした。
痛いのはやだなー。なるべく楽に負けられないだろうか。例えばわざとやられたふりすればそこで攻撃が終わるかも……私はあれこれ考えながらそっと主人公たちに見つからないよう引き返した。
私は今魔導施設を作るため、部下たちを使って町の人間を働かせ、施設を作らせている。しかもかなりの強制労働だ。
私はこれまでの自分の行いを思い出し、ズ~ンと暗くなった。……まずい。確実に町の人たちから恨まれている……このままではあのアニメの通りに……私は昨夜見た夢を思い出した。その夢の中で、サマンサは旅の途中この町に寄った主人公パーティにやっつけられていた。そして町は救われめでたし、めでたし。サマンサの末路はどうなったのかよくわからなかったが、おそらく処刑されたか牢屋に入れられたんだと思う。
私はゾッとした。こんな悪事はすぐやめなければ!このままだと私の将来が大変なことになるし、なにより町の人たちに苦しい思いをさせてはいけない!このままではこの先みんな病気になったり、死人だって出てしまうだろう!そう決心したが、いや、待てよ……?ふと、思い出す。たしかこの町が救われたあと、主人公の善行を見ていた妖精だかなんかが主人公の前に現れ、主人公にアイテムを渡すんじゃなかったか?そしてそのアイテムはラスボスを倒すのに必要なもののひとつなのだ。……つまり、それがないと世界は滅んでしまうわけで、私はこの悪事を続けなければいけない……?そんな考えに行き着き、私はしばらくの間ショックで寝込んだ。
そして深く考えた。自分の将来か、この世界の平和か。
仕方ない、やろう。そして、私はこのまま悪役を続け、世界を主人公たちに救ってもらうことに決めた。サマンサの将来だって、みんなに必死に頼んだり、反省していることをアピールすれば処罰は軽くなるかもしれない。そう前向きに思うことにした。
朝の支度をする。クローゼットからいつも着ている衣装を着る。……悪役の衣装というのはどうしてこう奇抜で妖艶なのだろう。ピタピタなので、かなりグラマーな胸が丸わかりである。私は自分の姿を鏡で見て顔を赤らめため息をついた。
職場に出勤。
「おはようございます、サマンサ様」
(やはり)全身タイツみたいな変な制服を着た部下たちが次々と挨拶をしてくる。
「おはよう」いつものように、廊下を歩き、執務室の自分の椅子に座った。これまでのサマンサとしての記憶はちゃんと持っていたし、習慣も身についていたのよ。
「これが、昨日の作業の報告書です」
「そう」
私は部下から書類を受け取って眺めてみた。そしてそのなかの、奴隷、懲罰という単語を見て、ハッとした。「そうだ!町のみんな……」いくら悪役を続けようと決めたといって、町の人たちをあまり辛い目にあわせるのは嫌だ。
私は報告書を読み、その後、町の人たちが働く様子を直接見にいった。すると町の人たちはきつそうな労働していて、失敗したり、遅いものはムチで打たれ、ケガをしても手当てもしてもらえず、与えられる食事も少しだけ、長い労働時間……とひどい有様だった。いくらなんでもこれはあんまりだ……!!私はすぐさま部下に命じて、ムチで叩くことをやめさせ、ケガをしたものは手当てをさせるよういった。1日の労働時間も減らさせ、休憩も与え、食事もバランスのとれたものを与えるようにした。そんなふうに改革していき、1ヶ月ほどがたった。町の人たちを見ると、1ヶ月前とは違い、みな苦しそうな顔は消え、体の動きもはつらつとした感じだ。私はそれを見て、よかったと満足していた。部下たちからはわけがわからなそうな顔で見られ、自分の行いを止められたりもしたが、みな私の魔力のもとには誰も逆らえなかったので、それ以上私にたてつくものはいなかった。
さてそんなある日のこと……仕事のないとき散歩に出かけた私はふと、見慣れぬ3人組を見て驚いた。
(主人公パーティだー!!)
間違いない!アニメで見たまんまだ!ツンツンした髪のまだあどけなさの残る元気そうな少年に(ちなみに主人公で名前はアレンという)、明るくて可愛いらしいポニーテールの魔道士っぽい少女(名前はセシリア)、がっしりした体の無骨な戦士の青年(名前はガルド)。
ついにこのときがきたか……私は息を飲んだ。アニメ通りなら、私は彼らの攻撃によって倒されるはずだ……。私は自分が攻撃され、倒されるところを想像し、ゾッとした。
痛いのはやだなー。なるべく楽に負けられないだろうか。例えばわざとやられたふりすればそこで攻撃が終わるかも……私はあれこれ考えながらそっと主人公たちに見つからないよう引き返した。
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