6 / 64
06「友人として、これからよろしくお願いいたします」
しおりを挟む
「――これをもって入学祝いの言葉とする」
校長の挨拶が終わると会場から拍手が湧き上がった。
「長かったわ……」
隣のルイーザが小さくため息をついた。
「ふふ、そうね」
校長の言葉は、一字一句前世と同じように思えた。
入学式の様子もヴェロニカの記憶にある通りだ。
(これから未来に起きた出来事通りのことがあるならば、一年後にアリサが現れるのよね)
ヴェロニカの望みは前世の過ちを繰り返さないこと。そのためにはこの一年が大事だと思っている。
(嫉妬なんてしない。皆と仲良くするの)
そう自分に言い聞かせていると、新入生代表を呼び出す声が聞こえた。
記憶にあるまばゆい金色の髪が視界に入った。
直接最後に会ったのは六年以上前だ。
その時よりもすっかり大人びて――そして前世の記憶通りに凛々しく成長したフィンセントの姿が壇上にあった。
(殿下……)
その顔を見た瞬間、胸の奥にズキリとした痛みを感じた。
六年前に会った時は感じなかった苦しみや悲しみ……前世、この学校で過ごした二年間の記憶や感情が、一瞬、身体中を駆け巡った。
(ああ……嫌な感覚だわ)
まだ忘れていなかったのか。
ヴェロニカは改めて思い知らされた。
「大丈夫? 顔色があまり良くなさそうだけど」
「ええ。大丈夫よ」
心配そうなルイーザにヴェロニカは笑顔を向けた。
顔色が良くないように見えるのは、おそらく入学式で六年ぶりにフィンセントの顔を見て前世を思い出してしまったせいだろう。
(これから……うまくやっていけるかしら)
不安を感じながらヴェロニカは手元の構内図に視線を落とした。
入学式後、二人は校内を散策していた。
新入生は構内図を渡され、各自で歩いて施設の配置を確認することになっている。
爵位の高い生徒はなんでも使用人が仕切ってくれるが、学校では自分自身で行動することを求められる。
自分で地図を見て位置を確認することもその練習の一環だ。――ヴェロニカはどこになにがあるか全て知っているから必要のないことだけれど。
「この先が図書館ね」
構内図を見ながらルイーザが言った。
「行ってみましょう」
「ええ」
「君たち、新入生だよね」
不意に声が聞こえて二人は振り返った。
青いタイを首に巻いた、三人の二年生が立っていた。
「僕たちが校内を案内してあげるよ」
「分からない場所はある?」
ヴェロニカとルイーザは顔を見合わせた。
昨日、入寮式で注意を受けたのだ。新入生を狙って男子生徒が声をかけてくることがあるから気をつけるようにと。
在学中に婚約者を探す生徒も多い。
良い出会いならいいけれど、中には遊び相手を探そうとする者もいるから安易に誘いには応じないようにと寮母から言われていた。
「いえ、自分たちで行くので大丈夫です」
ルイーザが男子生徒たちに言ったのでヴェロニカもうなずいた。
「そんなこと言わずにさ、一緒に行こうよ」
「遠慮しなくていいから」
そう言いながら一人がヴェロニカの腕をつかもうとした。
「やめてください……」
「ヴェロニカ!」
名前を呼ぶ声にヴェロニカは振り返った。
「……殿下」
「探したよ」
大股で歩み寄ってきたフィンセントは、ヴェロニカに手を伸ばしていた男性生徒を見た。
「お、王太子殿下⁉︎」
「彼女になにか用か」
冷たい声に男子生徒は見る間に顔を青ざめさせ、大きく首を振ると他の二人と共に慌ててその場を立ち去っていった。
「ディルク。あとであの三人の素性を調べておけ」
「は」
控えるように後ろに立っていた男子生徒に小声でそう言うと、フィンセントはヴェロニカに向いた。
「大丈夫か」
「……はい」
「変なことをされなかったか」
「はい……ありがとうございます」
ヴェロニカは頭を下げた。
「おかげで助かりました」
「ならば良かった」
うなずいて、フィンセントはルイーザを横目で見た。
「ルイーザ・バンニンクと申します」
フィンセントの視線に気づいたルイーザは、スカートの裾をつまんで膝を折り名乗った。
「バンニンク嬢。ヴェロニカに話があるのだが」
「……かしこまりました」
もう一度ルイーザは頭を下げた。
「それでは私は失礼いたします」
「ディルク、バンニング嬢を送っていってくれ」
「いえ、大丈夫です」
「今の者たちがまだいるかもしれないだろう」
「――それではお願いいたします」
断ろうとしたルイーザは、フィンセントの言葉にうなずくとディルクと呼ばれた男子生徒に頭を下げた。
(ディルク・コーレイン様……)
前世でも彼はフィンセントの側近候補としていつも側にいた。
侯爵家の次男で、生真面目な性格だ。
「ヴェロニカ」
ディルクとルイーザが立ち去るのを見送ると、フィンセントは振り向いた。
「会うのはあの時以来だな」
「……はい。お久しぶりです」
(良かった……普通に話せる)
入学式で見た時は前世の感情で心が揺れたけれど。
こうして直接向かい合い、落ち着いて受け答えできることにヴェロニカは安堵した。
「元気そうで良かった」
ヴェロニカの顔を見つめてそう言うと、フィンセントは少し迷ったように視線をそらし、再び口を開いた。
「……傷痕は」
「一生消えないそうです」
額に手を当ててヴェロニカは答えた。
「ですが、普段はこうして前髪で隠せますから」
「そうか。……それは、良かった」
フィンセントは改めてヴェロニカに向いた。
「六年前の君への言葉は……本当に申し訳なかった」
ヴェロニカは目を見開いた。
「……その件は……もう謝罪をいただきました」
「手紙だろう。直接謝ってはいない」
フィンセントは自嘲するように口元をゆがませた。
「子供だったとはいえ、言っていい言葉ではなかった。君は大怪我を負い心身共に辛かったというのに」
(あの殿下が……後悔するなんて)
ヴェロニカの知るフィンセントは、自分の言動には絶対の自信を持っていたのに。
「……ありがとうございます」
フィンセントを見てヴェロニカは微笑んだ。
「王太子殿下から直接謝罪をいただけるなんて、光栄です」
「……『光栄』か」
どこか寂しげに聞こえる声でフィンセントはつぶやいた。
「領地での生活は充実していたか」
「はい」
「退屈ではなかったか」
「いえ。刺繍をしたり本を読んだりしていましたから」
「刺繍か。たしかに年々複雑になっていたな」
毎年誕生日にフィンセントから贈り物が届くので、ヴェロニカはそのお礼に刺繍したハンカチやタイなどを送っていた。
「それに、今一緒にいたルイーザもですが。友人もできましたので退屈はしませんでした」
今のところ、前世と比べてとても穏やかに過ごせている。
この先社交界に出たらこの傷がどう影響するかは分からないけれど、この傷ができて良かったとヴェロニカは思っていた。
「そうか、友人か……」
つぶやいてフィンセントは再び視線をそらせ、ヴェロニカを見た。
「私とも友人になってもらえないだろうか」
「……はい?」
思いも寄らない言葉にヴェロニカはその目を丸くした。
「私がこういうことを言える立場ではないことは分かっている。だが……君のことを知る前に一方的に婚約破棄を求めてしまったことを後悔している。――私は、君を婚約者としてなにも理解できていなかったと」
言葉を選ぶように口ごもりながらフィンセントは言った。
「このままでは、また新たな婚約者を立てても同じことを繰り返すかもしれないと思っている。それで……まずは君を知ることから始めたいんだ」
(殿下に婚約者がいないのは、私にしたことを後悔しているからということ?)
それは理解できたが、だから友人になってヴェロニカのことを知りたいというのはどういう意味なのだろう。
(それはよく分からないけれど……友人だったらいいのかな)
たとえフィンセントに新しい婚約者ができたり、アリサと親しくなったりしても。友人ならば嫉妬しないだろうし、むしろ祝福できるだろう。
「それに、私と婚約解消したことで色々言われることもあるだろう。その時に友人として君を守れればいいと思っている」
「ああ……」
入寮式でのことを思い出した。
なぜかヴェロニカがフィンセントの婚約者候補と思われているが、友人となればそんな誤解もされにくくなるだろう。
「分かりました」
ヴェロニカはうなずいた。
「友人として、これからよろしくお願いいたします」
「ああ」
フィンセントはほっとしたような笑顔を見せた。
(殿下が私に向ける作り笑いじゃない笑顔……初めて見たかもしれない)
ヴェロニカが手を差し出すと、フィンセントはその手をぎゅっと握りしめた。
校長の挨拶が終わると会場から拍手が湧き上がった。
「長かったわ……」
隣のルイーザが小さくため息をついた。
「ふふ、そうね」
校長の言葉は、一字一句前世と同じように思えた。
入学式の様子もヴェロニカの記憶にある通りだ。
(これから未来に起きた出来事通りのことがあるならば、一年後にアリサが現れるのよね)
ヴェロニカの望みは前世の過ちを繰り返さないこと。そのためにはこの一年が大事だと思っている。
(嫉妬なんてしない。皆と仲良くするの)
そう自分に言い聞かせていると、新入生代表を呼び出す声が聞こえた。
記憶にあるまばゆい金色の髪が視界に入った。
直接最後に会ったのは六年以上前だ。
その時よりもすっかり大人びて――そして前世の記憶通りに凛々しく成長したフィンセントの姿が壇上にあった。
(殿下……)
その顔を見た瞬間、胸の奥にズキリとした痛みを感じた。
六年前に会った時は感じなかった苦しみや悲しみ……前世、この学校で過ごした二年間の記憶や感情が、一瞬、身体中を駆け巡った。
(ああ……嫌な感覚だわ)
まだ忘れていなかったのか。
ヴェロニカは改めて思い知らされた。
「大丈夫? 顔色があまり良くなさそうだけど」
「ええ。大丈夫よ」
心配そうなルイーザにヴェロニカは笑顔を向けた。
顔色が良くないように見えるのは、おそらく入学式で六年ぶりにフィンセントの顔を見て前世を思い出してしまったせいだろう。
(これから……うまくやっていけるかしら)
不安を感じながらヴェロニカは手元の構内図に視線を落とした。
入学式後、二人は校内を散策していた。
新入生は構内図を渡され、各自で歩いて施設の配置を確認することになっている。
爵位の高い生徒はなんでも使用人が仕切ってくれるが、学校では自分自身で行動することを求められる。
自分で地図を見て位置を確認することもその練習の一環だ。――ヴェロニカはどこになにがあるか全て知っているから必要のないことだけれど。
「この先が図書館ね」
構内図を見ながらルイーザが言った。
「行ってみましょう」
「ええ」
「君たち、新入生だよね」
不意に声が聞こえて二人は振り返った。
青いタイを首に巻いた、三人の二年生が立っていた。
「僕たちが校内を案内してあげるよ」
「分からない場所はある?」
ヴェロニカとルイーザは顔を見合わせた。
昨日、入寮式で注意を受けたのだ。新入生を狙って男子生徒が声をかけてくることがあるから気をつけるようにと。
在学中に婚約者を探す生徒も多い。
良い出会いならいいけれど、中には遊び相手を探そうとする者もいるから安易に誘いには応じないようにと寮母から言われていた。
「いえ、自分たちで行くので大丈夫です」
ルイーザが男子生徒たちに言ったのでヴェロニカもうなずいた。
「そんなこと言わずにさ、一緒に行こうよ」
「遠慮しなくていいから」
そう言いながら一人がヴェロニカの腕をつかもうとした。
「やめてください……」
「ヴェロニカ!」
名前を呼ぶ声にヴェロニカは振り返った。
「……殿下」
「探したよ」
大股で歩み寄ってきたフィンセントは、ヴェロニカに手を伸ばしていた男性生徒を見た。
「お、王太子殿下⁉︎」
「彼女になにか用か」
冷たい声に男子生徒は見る間に顔を青ざめさせ、大きく首を振ると他の二人と共に慌ててその場を立ち去っていった。
「ディルク。あとであの三人の素性を調べておけ」
「は」
控えるように後ろに立っていた男子生徒に小声でそう言うと、フィンセントはヴェロニカに向いた。
「大丈夫か」
「……はい」
「変なことをされなかったか」
「はい……ありがとうございます」
ヴェロニカは頭を下げた。
「おかげで助かりました」
「ならば良かった」
うなずいて、フィンセントはルイーザを横目で見た。
「ルイーザ・バンニンクと申します」
フィンセントの視線に気づいたルイーザは、スカートの裾をつまんで膝を折り名乗った。
「バンニンク嬢。ヴェロニカに話があるのだが」
「……かしこまりました」
もう一度ルイーザは頭を下げた。
「それでは私は失礼いたします」
「ディルク、バンニング嬢を送っていってくれ」
「いえ、大丈夫です」
「今の者たちがまだいるかもしれないだろう」
「――それではお願いいたします」
断ろうとしたルイーザは、フィンセントの言葉にうなずくとディルクと呼ばれた男子生徒に頭を下げた。
(ディルク・コーレイン様……)
前世でも彼はフィンセントの側近候補としていつも側にいた。
侯爵家の次男で、生真面目な性格だ。
「ヴェロニカ」
ディルクとルイーザが立ち去るのを見送ると、フィンセントは振り向いた。
「会うのはあの時以来だな」
「……はい。お久しぶりです」
(良かった……普通に話せる)
入学式で見た時は前世の感情で心が揺れたけれど。
こうして直接向かい合い、落ち着いて受け答えできることにヴェロニカは安堵した。
「元気そうで良かった」
ヴェロニカの顔を見つめてそう言うと、フィンセントは少し迷ったように視線をそらし、再び口を開いた。
「……傷痕は」
「一生消えないそうです」
額に手を当ててヴェロニカは答えた。
「ですが、普段はこうして前髪で隠せますから」
「そうか。……それは、良かった」
フィンセントは改めてヴェロニカに向いた。
「六年前の君への言葉は……本当に申し訳なかった」
ヴェロニカは目を見開いた。
「……その件は……もう謝罪をいただきました」
「手紙だろう。直接謝ってはいない」
フィンセントは自嘲するように口元をゆがませた。
「子供だったとはいえ、言っていい言葉ではなかった。君は大怪我を負い心身共に辛かったというのに」
(あの殿下が……後悔するなんて)
ヴェロニカの知るフィンセントは、自分の言動には絶対の自信を持っていたのに。
「……ありがとうございます」
フィンセントを見てヴェロニカは微笑んだ。
「王太子殿下から直接謝罪をいただけるなんて、光栄です」
「……『光栄』か」
どこか寂しげに聞こえる声でフィンセントはつぶやいた。
「領地での生活は充実していたか」
「はい」
「退屈ではなかったか」
「いえ。刺繍をしたり本を読んだりしていましたから」
「刺繍か。たしかに年々複雑になっていたな」
毎年誕生日にフィンセントから贈り物が届くので、ヴェロニカはそのお礼に刺繍したハンカチやタイなどを送っていた。
「それに、今一緒にいたルイーザもですが。友人もできましたので退屈はしませんでした」
今のところ、前世と比べてとても穏やかに過ごせている。
この先社交界に出たらこの傷がどう影響するかは分からないけれど、この傷ができて良かったとヴェロニカは思っていた。
「そうか、友人か……」
つぶやいてフィンセントは再び視線をそらせ、ヴェロニカを見た。
「私とも友人になってもらえないだろうか」
「……はい?」
思いも寄らない言葉にヴェロニカはその目を丸くした。
「私がこういうことを言える立場ではないことは分かっている。だが……君のことを知る前に一方的に婚約破棄を求めてしまったことを後悔している。――私は、君を婚約者としてなにも理解できていなかったと」
言葉を選ぶように口ごもりながらフィンセントは言った。
「このままでは、また新たな婚約者を立てても同じことを繰り返すかもしれないと思っている。それで……まずは君を知ることから始めたいんだ」
(殿下に婚約者がいないのは、私にしたことを後悔しているからということ?)
それは理解できたが、だから友人になってヴェロニカのことを知りたいというのはどういう意味なのだろう。
(それはよく分からないけれど……友人だったらいいのかな)
たとえフィンセントに新しい婚約者ができたり、アリサと親しくなったりしても。友人ならば嫉妬しないだろうし、むしろ祝福できるだろう。
「それに、私と婚約解消したことで色々言われることもあるだろう。その時に友人として君を守れればいいと思っている」
「ああ……」
入寮式でのことを思い出した。
なぜかヴェロニカがフィンセントの婚約者候補と思われているが、友人となればそんな誤解もされにくくなるだろう。
「分かりました」
ヴェロニカはうなずいた。
「友人として、これからよろしくお願いいたします」
「ああ」
フィンセントはほっとしたような笑顔を見せた。
(殿下が私に向ける作り笑いじゃない笑顔……初めて見たかもしれない)
ヴェロニカが手を差し出すと、フィンセントはその手をぎゅっと握りしめた。
227
お気に入りに追加
2,545
あなたにおすすめの小説

死ぬはずだった令嬢が乙女ゲームの舞台に突然参加するお話
みっしー
恋愛
病弱な公爵令嬢のフィリアはある日今までにないほどの高熱にうなされて自分の前世を思い出す。そして今自分がいるのは大好きだった乙女ゲームの世界だと気づく。しかし…「藍色の髪、空色の瞳、真っ白な肌……まさかっ……!」なんと彼女が転生したのはヒロインでも悪役令嬢でもない、ゲーム開始前に死んでしまう攻略対象の王子の婚約者だったのだ。でも前世で長生きできなかった分今世では長生きしたい!そんな彼女が長生きを目指して乙女ゲームの舞台に突然参加するお話です。
*番外編も含め完結いたしました!感想はいつでもありがたく読ませていただきますのでお気軽に!

〖完結〗死にかけて前世の記憶が戻りました。側妃? 贅沢出来るなんて最高! と思っていたら、陛下が甘やかしてくるのですが?
藍川みいな
恋愛
私は死んだはずだった。
目を覚ましたら、そこは見知らぬ世界。しかも、国王陛下の側妃になっていた。
前世の記憶が戻る前は、冷遇されていたらしい。そして池に身を投げた。死にかけたことで、私は前世の記憶を思い出した。
前世では借金取りに捕まり、お金を返す為にキャバ嬢をしていた。給料は全部持っていかれ、食べ物にも困り、ガリガリに痩せ細った私は路地裏に捨てられて死んだ。そんな私が、側妃? 冷遇なんて構わない! こんな贅沢が出来るなんて幸せ過ぎるじゃない!
そう思っていたのに、いつの間にか陛下が甘やかして来るのですが?
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。
蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。
妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。
契約結婚の終わりの花が咲きます、旦那様
日室千種・ちぐ
恋愛
エブリスタ新星ファンタジーコンテストで佳作をいただいた作品を、講評を参考に全体的に手直ししました。
春を告げるラクサの花が咲いたら、この契約結婚は終わり。
夫は他の女性を追いかけて家に帰らない。私はそれに傷つきながらも、夫の弱みにつけ込んで結婚した罪悪感から、なかば諦めていた。体を弱らせながらも、寄り添ってくれる老医師に夫への想いを語り聞かせて、前を向こうとしていたのに。繰り返す女の悪夢に少しずつ壊れた私は、ついにある時、ラクサの花を咲かせてしまう――。
真実とは。老医師の決断とは。
愛する人に別れを告げられることを恐れる妻と、妻を愛していたのに契約結婚を申し出てしまった夫。悪しき魔女に掻き回された夫婦が絆を見つめ直すお話。
全十二話。完結しています。

夫に相手にされない侯爵夫人ですが、記憶を失ったので人生やり直します。
MIRICO
恋愛
第二章【記憶を失った侯爵夫人ですが、夫と人生やり直します。】完結です。
記憶を失った私は侯爵夫人だった。しかし、旦那様とは不仲でほとんど話すこともなく、パーティに連れて行かれたのは結婚して数回ほど。それを聞いても何も思い出せないので、とりあえず記憶を失ったことは旦那様に内緒にしておいた。
旦那様は美形で凛とした顔の見目の良い方。けれどお城に泊まってばかりで、お屋敷にいてもほとんど顔を合わせない。いいんですよ、その間私は自由にできますから。
屋敷の生活は楽しく旦那様がいなくても何の問題もなかったけれど、ある日突然パーティに同伴することに。
旦那様が「わたし」をどう思っているのか、記憶を失った私にはどうでもいい。けれど、旦那様のお相手たちがやけに私に噛み付いてくる。
記憶がないのだから、私は旦那様のことはどうでもいいのよ?
それなのに、旦那様までもが私にかまってくる。旦那様は一体何がしたいのかしら…?
小説家になろう様に掲載済みです。

【完結】惨めな最期は二度と御免です!不遇な転生令嬢は、今度こそ幸せな結末を迎えます。
糸掛 理真
恋愛
倉田香奈、享年19歳。
死因、交通事故。
異世界に転生した彼女は、異世界でエマ・ヘスティア・ユリシーズ伯爵令嬢として暮らしていたが、前世と同じ平凡さと運の悪さによって不遇をかこっていた。
「今世こそは誰かにとって特別な存在となって幸せに暮らす」
という目標を達成するために、エマは空回りしまくりながらも自分なりに試行錯誤し続ける。
果たして不遇な転生令嬢の未来に幸せはあるのか。

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる