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35 両方とも心配だもの
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翌朝。外へ出ると、どんよりとした空が広がっていた。
「雨が降るのかな……」
空気に湿気を感じないからすぐに降ることはなさそうだけれど。
温泉へ向かうと、すでに多くの魔物でにぎわっていた。
一日中温かいお湯を保てるようになったので、夜行性の魔物も入れるようになり、常に誰かしら入っているそうだ。
溺れたりしないか不安だったけど、魔物たちもだいぶ温泉というものに慣れたらしく、その心配はないとアルバンさんが言っていた。
(本当に、いい光景だなあ)
ほわほわとした湯気と、気持ちよさそうに温泉に入る魔物たち。
この平和な時間を守りたいなあと思っていると、バサリと大きな音が聞こえた。
「あ……フェニックス」
頭を上げると大きくて真っ赤な身体がくるりと弧を描いて、温泉の側に降りてきた。
「温泉を飲みにきたの?」
そう声をかけると、フェニックスは首を伸ばして口にくわえているものを私の目の前に差し出した。
「……ヒナ?」
それは小さな、といっても私の顔くらいの大きさだけれど、フェニックスのヒナだった。
ヒナはぐったりとしていてピクリとも動かない。
慌てて受け取ってヒナを抱きかかえると魔力を注いだ。
ヒナを包み込んだ光が消えると、腕に心臓の鼓動が伝わってきた。
「大丈夫?」
声をかけるともぞもぞと動いてヒナが顔をあげるとピィ!と大きな声で鳴いた。
「よかった」
可愛い。とっても可愛い。
ヒナだからまだ毛も短くてふわふわだし、あったかくて抱っこしてると気持ちいい!
しばらくモフモフを堪能していると、やがてヒナは親らしきフェニックスに向かってピイピイと鳴き始めた。
名残惜しいけれど、親に返してあげないとね。
そう思って親に渡そうと手を伸ばしかけると、突然フェニックスが鋭い声を上げた。
同時に温泉にいた魔物が一斉にお湯から飛び出す。
「えっ何?」
警戒するようにフェニックスの毛がぶわっと膨らんだ。
「おい、あれフェニックスじゃないか?」
「本物か?」
「山にいるんじゃないのか」
声が聞こえてきた。
(人間……?)
「おっきい鳥! モフモフじゃない!」
リンちゃんの声が聞こえた。
(え、もう来ちゃったの?)
そっとフェニックスの後ろから顔を出すと、確かにそこにいたのは勇者一行だった。
「うかつに近づくな。相手は聖獣だ」
王子様が一行を制した。
(どうしよう……見つからずに逃げられるかな)
思わずヒナをぎゅっと抱きしめると、ピィ! と大きな声でヒナが鳴いた。
「あ、赤ちゃんがいる?」
「リン!」
誰かが駆け寄ってくる音が聞こえた。
「赤ちゃん……」
フェニックスの周りをくるりとまわってきたリンちゃんと目が合った。
「あ……」
とっさに人差し指を立てて口をあてて、しーっと声を出さずに言うとヒナをリンちゃんの腕に押しつけた。
「ピィ! ピィ!」
「ええ、可愛い!」
リンちゃんに向かって鳴くヒナに声を上げると、そのままリンちゃんはまた向こうへと走っていった。
「見て、鳥の赤ちゃん!」
「だめだよリン! 返してこいって!」
「ええ、少しくらいモフモフしてもいいじゃない」
「……少しだけあの子を貸してあげて」
そっとフェニックスに言うと、同意してくれたのか小さく羽を動かした。
「フェニックスは怒らせると危険なんだぞ」
「早く返してこい!」
向こうで騒いでいる声が聞こえる。
「分かったわよ」
足音が近づいてきた。
「はい、可愛い子ね。……ヒナノさん、ここにあるお城って本物ですか」
リンちゃんの声が近くで聞こえた。
「うーん……一応」
「一応?」
「今、魔王さんたちがいるよ」
魔王さんたちも昨日はここに泊まっていったのだ。多分まだいるだろう。
「分かりました」
そう言って、リンちゃんが離れていく気配を感じた。
「返してきました! さっさと行きましょう」
「――おい、あの湯気が出ているのはなんだ」
誰かが言うのが聞こえた。
(しまった)
魔物たちは逃げたけれど、温泉はそのままだ。
「明らかに人の手で作られているな」
「罠ではないのか」
「近づいてみるぞ」
(まずい)
こちらへ向かってくる? と焦っていると、フェニックスが威嚇するように声を上げた。
「離れろ!」
「戻れ!」
「……フェニックスは火を食らう鳥だから、あの湯気が出ている泉もフェニックスのものかもしれないな」
「先に城へ向かうぞ」
口々に言い合う声が聞こえると、やがて静かになり人の気配も消えた。
そっと顔を出すと、一行が城へ入っていくのが見えた。
「良かった……?」
城へ向かえば魔王さんたちがいるから、良かったかは分からないけれど。
とりあえず私は見つからなかったようだ。
「ピィ!」
足下を見るとヒナがこちらを見上げていた。
「びっくりしたね。ごめんね、急にあの女の子に渡しちゃって」
かがんでヒナの頭をなでると、ピィピィと小さく鳴きながら手にすり寄ってきた。
「ふふっ、いい子だねえ」
「ヒナノ」
背後からエーリックの声が聞こえた。
「エーリック! 今勇者たちが……」
「ああ。ヒナノは奴らに見つからなかったか」
「リンちゃんには見られたけど、ごまかしてくれたから」
振り返って立ち上がる。
「魔王さんたち、まだ中にいるんだよね」
「ああ。向こうも気づいている。ヒナノが温泉にいるかもしれないと思ってここへきた」
エーリックは私を抱き寄せた。
「このフェニックスとともに山に避難しているか」
「え?」
少し考えて、私は首を振った。
「ううん、私も城へ行く。両方とも心配だもの」
さっきは一人だったから隠れたけれど。
魔王さんと勇者一行が会ったら――どうなるか。
戦うようなことになったら困るし……それに、一番心配なのはリンちゃんだ。
「俺から離れるな」
「うん」
差し出された手を取り、私たちは城へ向かった。
「雨が降るのかな……」
空気に湿気を感じないからすぐに降ることはなさそうだけれど。
温泉へ向かうと、すでに多くの魔物でにぎわっていた。
一日中温かいお湯を保てるようになったので、夜行性の魔物も入れるようになり、常に誰かしら入っているそうだ。
溺れたりしないか不安だったけど、魔物たちもだいぶ温泉というものに慣れたらしく、その心配はないとアルバンさんが言っていた。
(本当に、いい光景だなあ)
ほわほわとした湯気と、気持ちよさそうに温泉に入る魔物たち。
この平和な時間を守りたいなあと思っていると、バサリと大きな音が聞こえた。
「あ……フェニックス」
頭を上げると大きくて真っ赤な身体がくるりと弧を描いて、温泉の側に降りてきた。
「温泉を飲みにきたの?」
そう声をかけると、フェニックスは首を伸ばして口にくわえているものを私の目の前に差し出した。
「……ヒナ?」
それは小さな、といっても私の顔くらいの大きさだけれど、フェニックスのヒナだった。
ヒナはぐったりとしていてピクリとも動かない。
慌てて受け取ってヒナを抱きかかえると魔力を注いだ。
ヒナを包み込んだ光が消えると、腕に心臓の鼓動が伝わってきた。
「大丈夫?」
声をかけるともぞもぞと動いてヒナが顔をあげるとピィ!と大きな声で鳴いた。
「よかった」
可愛い。とっても可愛い。
ヒナだからまだ毛も短くてふわふわだし、あったかくて抱っこしてると気持ちいい!
しばらくモフモフを堪能していると、やがてヒナは親らしきフェニックスに向かってピイピイと鳴き始めた。
名残惜しいけれど、親に返してあげないとね。
そう思って親に渡そうと手を伸ばしかけると、突然フェニックスが鋭い声を上げた。
同時に温泉にいた魔物が一斉にお湯から飛び出す。
「えっ何?」
警戒するようにフェニックスの毛がぶわっと膨らんだ。
「おい、あれフェニックスじゃないか?」
「本物か?」
「山にいるんじゃないのか」
声が聞こえてきた。
(人間……?)
「おっきい鳥! モフモフじゃない!」
リンちゃんの声が聞こえた。
(え、もう来ちゃったの?)
そっとフェニックスの後ろから顔を出すと、確かにそこにいたのは勇者一行だった。
「うかつに近づくな。相手は聖獣だ」
王子様が一行を制した。
(どうしよう……見つからずに逃げられるかな)
思わずヒナをぎゅっと抱きしめると、ピィ! と大きな声でヒナが鳴いた。
「あ、赤ちゃんがいる?」
「リン!」
誰かが駆け寄ってくる音が聞こえた。
「赤ちゃん……」
フェニックスの周りをくるりとまわってきたリンちゃんと目が合った。
「あ……」
とっさに人差し指を立てて口をあてて、しーっと声を出さずに言うとヒナをリンちゃんの腕に押しつけた。
「ピィ! ピィ!」
「ええ、可愛い!」
リンちゃんに向かって鳴くヒナに声を上げると、そのままリンちゃんはまた向こうへと走っていった。
「見て、鳥の赤ちゃん!」
「だめだよリン! 返してこいって!」
「ええ、少しくらいモフモフしてもいいじゃない」
「……少しだけあの子を貸してあげて」
そっとフェニックスに言うと、同意してくれたのか小さく羽を動かした。
「フェニックスは怒らせると危険なんだぞ」
「早く返してこい!」
向こうで騒いでいる声が聞こえる。
「分かったわよ」
足音が近づいてきた。
「はい、可愛い子ね。……ヒナノさん、ここにあるお城って本物ですか」
リンちゃんの声が近くで聞こえた。
「うーん……一応」
「一応?」
「今、魔王さんたちがいるよ」
魔王さんたちも昨日はここに泊まっていったのだ。多分まだいるだろう。
「分かりました」
そう言って、リンちゃんが離れていく気配を感じた。
「返してきました! さっさと行きましょう」
「――おい、あの湯気が出ているのはなんだ」
誰かが言うのが聞こえた。
(しまった)
魔物たちは逃げたけれど、温泉はそのままだ。
「明らかに人の手で作られているな」
「罠ではないのか」
「近づいてみるぞ」
(まずい)
こちらへ向かってくる? と焦っていると、フェニックスが威嚇するように声を上げた。
「離れろ!」
「戻れ!」
「……フェニックスは火を食らう鳥だから、あの湯気が出ている泉もフェニックスのものかもしれないな」
「先に城へ向かうぞ」
口々に言い合う声が聞こえると、やがて静かになり人の気配も消えた。
そっと顔を出すと、一行が城へ入っていくのが見えた。
「良かった……?」
城へ向かえば魔王さんたちがいるから、良かったかは分からないけれど。
とりあえず私は見つからなかったようだ。
「ピィ!」
足下を見るとヒナがこちらを見上げていた。
「びっくりしたね。ごめんね、急にあの女の子に渡しちゃって」
かがんでヒナの頭をなでると、ピィピィと小さく鳴きながら手にすり寄ってきた。
「ふふっ、いい子だねえ」
「ヒナノ」
背後からエーリックの声が聞こえた。
「エーリック! 今勇者たちが……」
「ああ。ヒナノは奴らに見つからなかったか」
「リンちゃんには見られたけど、ごまかしてくれたから」
振り返って立ち上がる。
「魔王さんたち、まだ中にいるんだよね」
「ああ。向こうも気づいている。ヒナノが温泉にいるかもしれないと思ってここへきた」
エーリックは私を抱き寄せた。
「このフェニックスとともに山に避難しているか」
「え?」
少し考えて、私は首を振った。
「ううん、私も城へ行く。両方とも心配だもの」
さっきは一人だったから隠れたけれど。
魔王さんと勇者一行が会ったら――どうなるか。
戦うようなことになったら困るし……それに、一番心配なのはリンちゃんだ。
「俺から離れるな」
「うん」
差し出された手を取り、私たちは城へ向かった。
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