10 / 37
第10話
しおりを挟む
さすが公爵家。
我が家と比べるのもおこがましいほど広大な敷地を囲う長い壁に、感嘆のため息が出る。
「……あれ?」
けれど門をくぐる時に違和感を覚えた。
「どうした」
「……壊れた結界は張り直したんですよね」
「そのはずだが」
「隙間があります」
「結界の隙間?」
「隙間なのかズレなのか、ちゃんと調べてみないと分かりませんが……」
結界というのは魔法による膜で、目には見えないが魔力を持つ者には感じることができる。
穏やかな水面のように滑らかなのだが、妙にでこぼこした感じがあったのだ。
(壊れた部分だけ直した? いやでも綺麗に直すはず)
「公爵に聞いてみよう」
「できればその場所に行ってみたいのですが」
「ああ」
頷いて、ルーカス様はくすりと笑った。
「レベッカは、魔法のことになるとそういう顔つきになるんだな」
「え?」
「子供のようにふにゃふにゃした顔が、キリッとするのは面白い」
ふにゃふにゃ!?
「……普段と戦闘時のギャップが大きいとはギルドでも言われていましたが。ふにゃふにゃって……」
最年少だったこともあって、子供扱いされることも多かった。
でも「ふにゃふにゃ」は初めて言われたんだけど!?
「ギルドか。……そこは男が多かったのか?」
「え? そうですね……魔術師は女性もいましたが、戦士は男性が多かったです」
「その中で親しくしていた男はいたのか」
「親しく……? 皆さんによくしていただいていましたが……特に師匠と……あ、あとよく面倒を見てくれた兄のような人がいました」
「兄?」
「剣士で、五歳年上で……多分、元貴族の人です」
「元貴族……」
「食べ方なんかも上品で、紳士的というか優しかったので」
粗野な戦士が多い中で彼は明らかに他と雰囲気が浮いていた。
「……レベッカは優しい男が好きなのか」
「はい?」
馬車が止まる音と衝撃で、ルーカス様の声が聞こえなくて聞き返す。
「いや、なんでもない」
そう言ってルーカス様は開かれた馬車のドアから先に降りると、私へ向かって手を差し出した。
「殿下。ようこそいらっしゃいました」
馬車を降りると、目の前に壮年の男性が立っていた。
その後ろいたドリス様が、私を見てその顔に微笑を浮かべた。
「レベッカさん、いらっしゃい。待っていたわ」
「本日はお招きありがとうございます」
「お父様、こちらがレベッカさんよ」
「初めまして。娘を助けて頂いたこと感謝します」
公爵は胸に手を当てて会釈をした。
「あ、いえ……」
「それで公爵。彼女が言うにはこの屋敷の結界に隙間があるそうだ」
「隙間?」
ルーカス様の言葉に公爵は眉をひそめた。
「どういう意味です」
「ここの結界は、壊れていたのを直したんですよね」
ルーカス様に目線で説明するよう促されたので、私は公爵に尋ねた。
「ああ。教会の魔術師に来てもらった」
「先ほど門を抜ける時に、結界に違和感を感じたんです。その壊れていたという場所を見せていただいていいでしょうか」
「お父様、私が案内しますわ」
ドリス様が歩み寄って言った。
「お父様は来客のお迎えをお願いします」
「ああ、そうだな。頼んだよ」
「はい。どうぞこちらへ」
ドリス様は私たちを促した。
「あ……そういえば忙しいですよね」
主催者として、ドリス様も色々やることがあるはずだ。
「すみません……」
「いいのよ、夜会なんて疲れるだけでつまらないわ」
ドリス様は微笑んだ。
王太子の婚約者である公爵令嬢がそんなことを言っていいのか不安になったが、出会ったのもドリス様が夜会を抜け出したからだと思い出した。
「ここが壊されていた箇所よ」
ドリス様が案内したのは、屋敷の裏手にある一角だった。
「ああ……やっぱり隙間がありますね」
「見て分かるのか?」
「見えるのではなくて感じるんです」
ルーカス様にそう答えて、ドリス様を見た。
「これは魔物ではなく、人間を通すための隙間ですね」
「人間?」
魔法による結界は、魔物以外の生き物にも効果がある。
貴族の屋敷など個人の敷地に結界を張るのは主に対人用で、無理に通ろうとすると衝撃で弾かれてしまうのだ。
結界の隙間は、壁の下に感じられた。
上は塞がっているから、魔力を感じることのできる魔物は結界が壁全てにあると思うだろう。
このように不自然に隙間ができるのは明らかに意図的だ。
「……つまり、ここから出入りできると?」
ルーカス様が言った。
「はい。……おそらくですが、抜け穴がありますね」
私は髪に挿していた魔法の杖を抜いた。
魔力を杖の先に流して慎重に正確な場所を探ると、レンガを積み重ねた壁の手前にある植え込みが途切れた部分を示した。
「ここ、多分地面に穴があると思います」
「……探してみて」
ドリス様が一緒にいた護衛に声をかけると、彼は鞘をつけたまま剣で私が示した部分を刺した。
軽い音を立ててあっさりと、人が一人通れるくらいの穴が空いた。
「この穴は壁の向こうに向かっているようです」
護衛は穴を覗き見ながら言った。
「……つまり、ここから侵入可能ということか」
「はい」
ルーカス様の言葉に頷く。
「教会の魔術師が結界を直したと言ったな。……買収されたか、その者自身も加担しているか」
「だいぶマシになったと思っていたけれど、まだ腐敗は続いているようね」
ルーカス様とドリス様がため息をついた。
「腐敗?」
「この国の教会は司祭たちによる汚職や不正が多くて。改革するよう指導はしているのだけれど……そう簡単には治らないということね」
「そうなんですか……」
そういえば、ゲームでも悪徳司祭を倒して教会を健全にするというクエストがあったっけ。
プレイヤーが王太子から直接依頼を受けていたのも、聖女となったのも、教会が役に立たなかったからだったのよね。
「信用できる水の魔術師はいないんですか?」
「水の魔術師に依頼するには教会を通さないとならないの。ギルドに直接頼むと立場がどうとか色々うるさくて」
つまり、この結界を直すよう依頼してもまた同じことが起きる可能性があるということか。
ゲームプレイヤーである聖女が現れればいいけど、そもそもきっかけになる赤竜を倒しちゃったからな……王都に来る目的がなくなったのよね。
(あれ? これ、まずいのでは?)
私が倒さなければ……でもそうしたら、ドリス様は死んでいたかもしれないし……。
「レベッカは、この結界を塞げるのか?」
悶々としているとルーカス様の声が聞こえた。
「いいえ」
私は火の魔術師だから、結界を壊すことはできても直すことはできない。
「結界は塞げませんけれど……罠を仕掛けることはできます」
「罠?」
「外から穴を通り、こちらに出た瞬間に燃やすとか、雷を落として麻痺させるとか……」
「燃やす……人を?」
ドリス様が顔を引きつらせた。
「死なない程度に火傷を負わせるか、黒焦げにするか、程度も選べますが」
「……聴取もしなければならないからな。話ができる程度にして捕まえた方がいいだろうな」
ルーカス様が言った。
「それじゃあ雷で痺れさせる方向で。すみませんが、穴を埋め戻してもらえますか」
護衛が穴を埋めると、その上に魔法をかける。
青い光が土に吸い込まれて消えていった。
「これで大丈夫です」
「今ので魔法がかかったの? 不思議ねえ」
ドリス様が光の消えた跡を見つめてそう言うと振り返った。
「それじゃあ後は警備に任せて、夜会へ行きましょう」
「夜会……」
「すっかり忘れていただろう」
ルーカス様が呆れたようにそう言って、私へ手を差し出した。
我が家と比べるのもおこがましいほど広大な敷地を囲う長い壁に、感嘆のため息が出る。
「……あれ?」
けれど門をくぐる時に違和感を覚えた。
「どうした」
「……壊れた結界は張り直したんですよね」
「そのはずだが」
「隙間があります」
「結界の隙間?」
「隙間なのかズレなのか、ちゃんと調べてみないと分かりませんが……」
結界というのは魔法による膜で、目には見えないが魔力を持つ者には感じることができる。
穏やかな水面のように滑らかなのだが、妙にでこぼこした感じがあったのだ。
(壊れた部分だけ直した? いやでも綺麗に直すはず)
「公爵に聞いてみよう」
「できればその場所に行ってみたいのですが」
「ああ」
頷いて、ルーカス様はくすりと笑った。
「レベッカは、魔法のことになるとそういう顔つきになるんだな」
「え?」
「子供のようにふにゃふにゃした顔が、キリッとするのは面白い」
ふにゃふにゃ!?
「……普段と戦闘時のギャップが大きいとはギルドでも言われていましたが。ふにゃふにゃって……」
最年少だったこともあって、子供扱いされることも多かった。
でも「ふにゃふにゃ」は初めて言われたんだけど!?
「ギルドか。……そこは男が多かったのか?」
「え? そうですね……魔術師は女性もいましたが、戦士は男性が多かったです」
「その中で親しくしていた男はいたのか」
「親しく……? 皆さんによくしていただいていましたが……特に師匠と……あ、あとよく面倒を見てくれた兄のような人がいました」
「兄?」
「剣士で、五歳年上で……多分、元貴族の人です」
「元貴族……」
「食べ方なんかも上品で、紳士的というか優しかったので」
粗野な戦士が多い中で彼は明らかに他と雰囲気が浮いていた。
「……レベッカは優しい男が好きなのか」
「はい?」
馬車が止まる音と衝撃で、ルーカス様の声が聞こえなくて聞き返す。
「いや、なんでもない」
そう言ってルーカス様は開かれた馬車のドアから先に降りると、私へ向かって手を差し出した。
「殿下。ようこそいらっしゃいました」
馬車を降りると、目の前に壮年の男性が立っていた。
その後ろいたドリス様が、私を見てその顔に微笑を浮かべた。
「レベッカさん、いらっしゃい。待っていたわ」
「本日はお招きありがとうございます」
「お父様、こちらがレベッカさんよ」
「初めまして。娘を助けて頂いたこと感謝します」
公爵は胸に手を当てて会釈をした。
「あ、いえ……」
「それで公爵。彼女が言うにはこの屋敷の結界に隙間があるそうだ」
「隙間?」
ルーカス様の言葉に公爵は眉をひそめた。
「どういう意味です」
「ここの結界は、壊れていたのを直したんですよね」
ルーカス様に目線で説明するよう促されたので、私は公爵に尋ねた。
「ああ。教会の魔術師に来てもらった」
「先ほど門を抜ける時に、結界に違和感を感じたんです。その壊れていたという場所を見せていただいていいでしょうか」
「お父様、私が案内しますわ」
ドリス様が歩み寄って言った。
「お父様は来客のお迎えをお願いします」
「ああ、そうだな。頼んだよ」
「はい。どうぞこちらへ」
ドリス様は私たちを促した。
「あ……そういえば忙しいですよね」
主催者として、ドリス様も色々やることがあるはずだ。
「すみません……」
「いいのよ、夜会なんて疲れるだけでつまらないわ」
ドリス様は微笑んだ。
王太子の婚約者である公爵令嬢がそんなことを言っていいのか不安になったが、出会ったのもドリス様が夜会を抜け出したからだと思い出した。
「ここが壊されていた箇所よ」
ドリス様が案内したのは、屋敷の裏手にある一角だった。
「ああ……やっぱり隙間がありますね」
「見て分かるのか?」
「見えるのではなくて感じるんです」
ルーカス様にそう答えて、ドリス様を見た。
「これは魔物ではなく、人間を通すための隙間ですね」
「人間?」
魔法による結界は、魔物以外の生き物にも効果がある。
貴族の屋敷など個人の敷地に結界を張るのは主に対人用で、無理に通ろうとすると衝撃で弾かれてしまうのだ。
結界の隙間は、壁の下に感じられた。
上は塞がっているから、魔力を感じることのできる魔物は結界が壁全てにあると思うだろう。
このように不自然に隙間ができるのは明らかに意図的だ。
「……つまり、ここから出入りできると?」
ルーカス様が言った。
「はい。……おそらくですが、抜け穴がありますね」
私は髪に挿していた魔法の杖を抜いた。
魔力を杖の先に流して慎重に正確な場所を探ると、レンガを積み重ねた壁の手前にある植え込みが途切れた部分を示した。
「ここ、多分地面に穴があると思います」
「……探してみて」
ドリス様が一緒にいた護衛に声をかけると、彼は鞘をつけたまま剣で私が示した部分を刺した。
軽い音を立ててあっさりと、人が一人通れるくらいの穴が空いた。
「この穴は壁の向こうに向かっているようです」
護衛は穴を覗き見ながら言った。
「……つまり、ここから侵入可能ということか」
「はい」
ルーカス様の言葉に頷く。
「教会の魔術師が結界を直したと言ったな。……買収されたか、その者自身も加担しているか」
「だいぶマシになったと思っていたけれど、まだ腐敗は続いているようね」
ルーカス様とドリス様がため息をついた。
「腐敗?」
「この国の教会は司祭たちによる汚職や不正が多くて。改革するよう指導はしているのだけれど……そう簡単には治らないということね」
「そうなんですか……」
そういえば、ゲームでも悪徳司祭を倒して教会を健全にするというクエストがあったっけ。
プレイヤーが王太子から直接依頼を受けていたのも、聖女となったのも、教会が役に立たなかったからだったのよね。
「信用できる水の魔術師はいないんですか?」
「水の魔術師に依頼するには教会を通さないとならないの。ギルドに直接頼むと立場がどうとか色々うるさくて」
つまり、この結界を直すよう依頼してもまた同じことが起きる可能性があるということか。
ゲームプレイヤーである聖女が現れればいいけど、そもそもきっかけになる赤竜を倒しちゃったからな……王都に来る目的がなくなったのよね。
(あれ? これ、まずいのでは?)
私が倒さなければ……でもそうしたら、ドリス様は死んでいたかもしれないし……。
「レベッカは、この結界を塞げるのか?」
悶々としているとルーカス様の声が聞こえた。
「いいえ」
私は火の魔術師だから、結界を壊すことはできても直すことはできない。
「結界は塞げませんけれど……罠を仕掛けることはできます」
「罠?」
「外から穴を通り、こちらに出た瞬間に燃やすとか、雷を落として麻痺させるとか……」
「燃やす……人を?」
ドリス様が顔を引きつらせた。
「死なない程度に火傷を負わせるか、黒焦げにするか、程度も選べますが」
「……聴取もしなければならないからな。話ができる程度にして捕まえた方がいいだろうな」
ルーカス様が言った。
「それじゃあ雷で痺れさせる方向で。すみませんが、穴を埋め戻してもらえますか」
護衛が穴を埋めると、その上に魔法をかける。
青い光が土に吸い込まれて消えていった。
「これで大丈夫です」
「今ので魔法がかかったの? 不思議ねえ」
ドリス様が光の消えた跡を見つめてそう言うと振り返った。
「それじゃあ後は警備に任せて、夜会へ行きましょう」
「夜会……」
「すっかり忘れていただろう」
ルーカス様が呆れたようにそう言って、私へ手を差し出した。
1,209
お気に入りに追加
2,191
あなたにおすすめの小説
婚約者を譲れと姉に「お願い」されました。代わりに軍人侯爵との結婚を押し付けられましたが、私は形だけの妻のようです。
ナナカ
恋愛
メリオス伯爵の次女エレナは、幼い頃から姉アルチーナに振り回されてきた。そんな姉に婚約者ロエルを譲れと言われる。さらに自分の代わりに結婚しろとまで言い出した。結婚相手は貴族たちが成り上がりと侮蔑する軍人侯爵。伯爵家との縁組が目的だからか、エレナに入れ替わった結婚も承諾する。
こうして、ほとんど顔を合わせることない別居生活が始まった。冷め切った関係になるかと思われたが、年の離れた侯爵はエレナに丁寧に接してくれるし、意外に優しい人。エレナも数少ない会話の機会が楽しみになっていく。
(本編、番外編、完結しました)
〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です
hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。
夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。
自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。
すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。
訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。
円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・
しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・
はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるエルミナ・サディードは、両親や兄弟から虐げられて育ってきた。
その結果、彼女の性格は最悪なものとなり、主人公であるメリーナを虐め抜くような悪役令嬢となったのである。
そんなエルミナに生まれ変わった私は困惑していた。
なぜなら、ゲームの中で明かされた彼女の過去とは異なり、両親も兄弟も私のことを溺愛していたからである。
私は、確かに彼女と同じ姿をしていた。
しかも、人生の中で出会う人々もゲームの中と同じだ。
それなのに、私の扱いだけはまったく違う。
どうやら、私が転生したこの世界は、ゲームと少しだけずれているようだ。
当然のことながら、そんな環境で歪むはずはなく、私はただの公爵令嬢として育つのだった。
王太子エンドを迎えたはずのヒロインが今更私の婚約者を攻略しようとしているけどさせません
黒木メイ
恋愛
日本人だった頃の記憶があるクロエ。
でも、この世界が乙女ゲームに似た世界だとは知らなかった。
知ったのはヒロインらしき人物が落とした『攻略ノート』のおかげ。
学園も卒業して、ヒロインは王太子エンドを無事に迎えたはずなんだけど……何故か今になってヒロインが私の婚約者に近づいてきた。
いったい、何を考えているの?!
仕方ない。現実を見せてあげましょう。
と、いうわけでクロエは婚約者であるダニエルに告げた。
「しばらくの間、実家に帰らせていただきます」
突然告げられたクロエ至上主義なダニエルは顔面蒼白。
普段使わない頭を使ってクロエに戻ってきてもらう為に奮闘する。
※わりと見切り発車です。すみません。
※小説家になろう様にも掲載。(7/21異世界転生恋愛日間1位)
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる