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家に戻ると、ランさんとお兄ちゃんもいた。
「ねえ、相談があるんだけど」
僕が言うと、ランさんは「私は、抜けた方がいいかしら?」と言い、気を利かせてくれたけど、僕は「ランさんも家族なんで、一緒に聞いてください」と言った。
僕が入江で、レイと冬を越したいという事を話すと、最初に口を開いたのはお母さんだった。
「私もお父さんも、初子を失ったわ。アラも仲のよかった従兄が、幼い時に怪我で無くしたわ。村の中では毎年、誰かしらが亡くなっているわ。でもカラは、カラに近い、私たち親族は亡くしていない。あなたにとって、レイと一緒にいた時間は短いけれど、たぶん親族と同じような気持ちでいると思う。レイは冬を越して、来年の春を無事に迎えられるかもしれないし、そうでないかもしれない。あなたは入江で、私たち是川の人たちがいなくて、もしもの時に耐えられるかしら?」
お母さんの口調に僕は圧倒されながらも、自分で口を開いた。
「僕は入江でも、一人じゃない。サキさんやハムさん。みんな僕が交流を始めて、互いに意見を受け入れられるようになったと思う。だから、僕は一人じゃないから、大丈夫」
僕の中に、不安が無いと言えば嘘になる。けれど、自分が一人ではないという確信めいたものがあった。
「留まりたいなら、俺はもう止めない。カラは来年から大人の仲間入りだ。もう、自分の意志で物事を決めてもいいだろう」
お父さんはそう言って立ち上がり、「他の大人には、俺がかけあってくる」と言った。
「お父さん、それは僕が」
「いや、お前は俺の息子だ。父親が息子のために行動して何が悪い?」
お父さんはそう言って、家から出ていった。
「私も、女性たちに話してこようかしら」
お母さんも立ち上がり、家から出ていった。家には僕とお兄ちゃん、ランさんが取り残された。
「カラ、本当に行くのか?」
お兄ちゃんが不安そうに、僕に尋ねてきた。
「行くよ。それと、僕はお兄ちゃんに謝らなくちゃいけない事があるんだ」
僕が言うと、お兄ちゃんは「そんな事あったっけ?」と言い、首をかしげた。
「僕はお兄ちゃんがランさんと結婚して、何となくランさんにお兄ちゃんが取られたような気がして、いつも通りに話せなかったんだ」
僕が言うと、お兄ちゃんは「まあ、そうだったかもな」と、口ごもった。
「カラ君は、私の事が嫌いなわけじゃなかったのよね?」
ランさんが少し緊張した口調で、僕に尋ねてきた。
「嫌いじゃありませんよ。よく、お兄ちゃんと結婚してくれたと安堵していますよ」
僕が冗談めかして言うと、お兄ちゃんは久しぶりに、僕の頭を叩いてきた。
「妹のリンが言っていた通りね。カラ君は恋愛沙汰からは遠い所にいるって」
僕を羽交い絞めにしているお兄ちゃんを見つめつつ、ランさんは笑った。
家に戻ると、ランさんとお兄ちゃんもいた。
「ねえ、相談があるんだけど」
僕が言うと、ランさんは「私は、抜けた方がいいかしら?」と言い、気を利かせてくれたけど、僕は「ランさんも家族なんで、一緒に聞いてください」と言った。
僕が入江で、レイと冬を越したいという事を話すと、最初に口を開いたのはお母さんだった。
「私もお父さんも、初子を失ったわ。アラも仲のよかった従兄が、幼い時に怪我で無くしたわ。村の中では毎年、誰かしらが亡くなっているわ。でもカラは、カラに近い、私たち親族は亡くしていない。あなたにとって、レイと一緒にいた時間は短いけれど、たぶん親族と同じような気持ちでいると思う。レイは冬を越して、来年の春を無事に迎えられるかもしれないし、そうでないかもしれない。あなたは入江で、私たち是川の人たちがいなくて、もしもの時に耐えられるかしら?」
お母さんの口調に僕は圧倒されながらも、自分で口を開いた。
「僕は入江でも、一人じゃない。サキさんやハムさん。みんな僕が交流を始めて、互いに意見を受け入れられるようになったと思う。だから、僕は一人じゃないから、大丈夫」
僕の中に、不安が無いと言えば嘘になる。けれど、自分が一人ではないという確信めいたものがあった。
「留まりたいなら、俺はもう止めない。カラは来年から大人の仲間入りだ。もう、自分の意志で物事を決めてもいいだろう」
お父さんはそう言って立ち上がり、「他の大人には、俺がかけあってくる」と言った。
「お父さん、それは僕が」
「いや、お前は俺の息子だ。父親が息子のために行動して何が悪い?」
お父さんはそう言って、家から出ていった。
「私も、女性たちに話してこようかしら」
お母さんも立ち上がり、家から出ていった。家には僕とお兄ちゃん、ランさんが取り残された。
「カラ、本当に行くのか?」
お兄ちゃんが不安そうに、僕に尋ねてきた。
「行くよ。それと、僕はお兄ちゃんに謝らなくちゃいけない事があるんだ」
僕が言うと、お兄ちゃんは「そんな事あったっけ?」と言い、首をかしげた。
「僕はお兄ちゃんがランさんと結婚して、何となくランさんにお兄ちゃんが取られたような気がして、いつも通りに話せなかったんだ」
僕が言うと、お兄ちゃんは「まあ、そうだったかもな」と、口ごもった。
「カラ君は、私の事が嫌いなわけじゃなかったのよね?」
ランさんが少し緊張した口調で、僕に尋ねてきた。
「嫌いじゃありませんよ。よく、お兄ちゃんと結婚してくれたと安堵していますよ」
僕が冗談めかして言うと、お兄ちゃんは久しぶりに、僕の頭を叩いてきた。
「妹のリンが言っていた通りね。カラ君は恋愛沙汰からは遠い所にいるって」
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