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 彼らはこの近くの、沼津という村から来たそうだ。
「急に大量の煙や湯気みたいなものが見えたから、本当に呪いか何かが起きているのかと思ったんだ」
 トイと名乗った男性が、何やら呪術的な小型の土偶を持ちつつ、僕たちに言った。
「これは呪いではありません。出来れば、この人たちを助ける手助けをしてくれませんか?」
 下痢の世話を終わらせたハムさんが、彼らに懇願した。
「それは構わないが。見たところ病気か何かなんだろう。精の付く薬草はあまり持っていないんだが」
 トイさんが困った様に言うと、ハムさんは「それは要りません」と言い、トイさんらを驚かせた。
「なら、何が必要なんだ?」
「なるべく、森で採れた食物が欲しいです」
 ハムさんの言葉に、トイさんは「わかったが、本当にそれだけでいいのか?」と聞き返してきた。
「はい。あと、他にこの村で呪いにかかったと言われた人がいたら、連れて来て下さい。それと、この辺りの池や川などの水の扱い方について口伝されている事があったら、教えてください」
「わかった。水は、そうだな。よく沸かすようには言われていたな。呪いと言えば、近くまで漁に来ていた奴が腹の調子がおかしいって言っていたが、すでに治っている。そいつも連れてきた方がいいか?」
「念のため、お願いします」
 ハムさんが言うと、トイさんは「夕方頃に、また来る」と言い、海岸にある船で帰っていった。
「呪いが恐くはなかったのかな?」
 ロウさんが呟くように言うと、ハムさんは「好奇心は時に危険で、時には良い事もあるのさ」と言い、また水を運んでくるよう僕とロウさんに指示を出した。

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