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猪の燻製は、入江のハムさんから習ったやり方で燻している。
「どうして、そのハムさんって人はカラさんを嫌っているんでしょうね?」
ヨウが少し口を尖らせつつ僕に言った。ヨウは蔦を編んで、風が出るように工夫した木の枝を使い、空気を穴の中に送り込んでいる。
「僕にもわからないさ。嫌われているって言うけど、僕はハムさんを嫌っていないから平気だよ」
僕は穴の中に木の枝を足しつつ、ヨウの問いに答えた。
「来年、カラさんは大人になるんですよね」
ヨウがすすで顔を黒くしながら、呟くように言った。
「そうだけど、それがどうしたの?」
「僕が、班長をやっていけるかなって。少し不安なんです」
僕はヨウなら、班長をやっていけると思っている。一人でやる必要は無いし、イケと共同でやればいい。一昨年には僕がいない代わりに、ザシさんに手伝ってもらいながらも、二人で班長の任を担っていた。
「何が不安なの?」
僕が率直に尋ねると、ヨウは「何処まで、自分で判断すればいいのかなって」と、答えた。
「何処までって、ヨウの出来る範囲でいいと思うよ?」
「そうなんですけど。僕がカラさんみたいに色々と出来るかなって考えると、出来ないと思うんです」
僕はヨウの言葉に、苦笑するしかなかった。
「みんなと相談して、やりたいことをやればいいと思うよ。ただ、僕みたいに勝手に家出さえしなければね」
僕は舌を出しつつ、少し俯いているヨウに言った。
「僕は何だか、カラさんが色々とやったせいで、僕のやることが無くなった気がするんですよ」
「そんな事は無いよ。今日の罠の仕掛けも、完璧じゃなかった。もっと尖らせた大きな石器を置いておけば猪も暴れずに、すぐに仕留められたんだ。そういう工夫を考えて、実践して、大人たちに成否を伝えるのも子供の仕事だと、僕は思うよ」
僕がそう言うと、ヨウは「そうですね」と呟いてから口を開いた。
「次は、イケの造った土偶でも置いてみましょうか?」
「え、土偶だと罠にならないんじゃないの?」
「だって、イケの造った土偶は顔つきがすごいじゃないですか。あれは猪でも驚いて、大人しくなりそうですよ」
ヨウは思い出すようにして笑い、僕もイケの造った土偶を思い出した。
あの土偶は何を思い、あの表情をしているかは、造ったイケにしかわからないだろう。造った当人のイケでさえ「見た人の、考え方次第ですよ」と言い、明言を避けているのだ。
猪の燻製は、入江のハムさんから習ったやり方で燻している。
「どうして、そのハムさんって人はカラさんを嫌っているんでしょうね?」
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「僕にもわからないさ。嫌われているって言うけど、僕はハムさんを嫌っていないから平気だよ」
僕は穴の中に木の枝を足しつつ、ヨウの問いに答えた。
「来年、カラさんは大人になるんですよね」
ヨウがすすで顔を黒くしながら、呟くように言った。
「そうだけど、それがどうしたの?」
「僕が、班長をやっていけるかなって。少し不安なんです」
僕はヨウなら、班長をやっていけると思っている。一人でやる必要は無いし、イケと共同でやればいい。一昨年には僕がいない代わりに、ザシさんに手伝ってもらいながらも、二人で班長の任を担っていた。
「何が不安なの?」
僕が率直に尋ねると、ヨウは「何処まで、自分で判断すればいいのかなって」と、答えた。
「何処までって、ヨウの出来る範囲でいいと思うよ?」
「そうなんですけど。僕がカラさんみたいに色々と出来るかなって考えると、出来ないと思うんです」
僕はヨウの言葉に、苦笑するしかなかった。
「みんなと相談して、やりたいことをやればいいと思うよ。ただ、僕みたいに勝手に家出さえしなければね」
僕は舌を出しつつ、少し俯いているヨウに言った。
「僕は何だか、カラさんが色々とやったせいで、僕のやることが無くなった気がするんですよ」
「そんな事は無いよ。今日の罠の仕掛けも、完璧じゃなかった。もっと尖らせた大きな石器を置いておけば猪も暴れずに、すぐに仕留められたんだ。そういう工夫を考えて、実践して、大人たちに成否を伝えるのも子供の仕事だと、僕は思うよ」
僕がそう言うと、ヨウは「そうですね」と呟いてから口を開いた。
「次は、イケの造った土偶でも置いてみましょうか?」
「え、土偶だと罠にならないんじゃないの?」
「だって、イケの造った土偶は顔つきがすごいじゃないですか。あれは猪でも驚いて、大人しくなりそうですよ」
ヨウは思い出すようにして笑い、僕もイケの造った土偶を思い出した。
あの土偶は何を思い、あの表情をしているかは、造ったイケにしかわからないだろう。造った当人のイケでさえ「見た人の、考え方次第ですよ」と言い、明言を避けているのだ。
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