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第7部 カラSIDE 1―1

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第7部
 カラSIDE
 1―1
 僕はウドさんとジンさんに手伝ってもらい、穴を掘っている。雪が溶け、土が柔らかくなっているため、少しだけ掘り易かった。
「あとは、カラの造った石器を置けばいいだけか」
 ウドさんが汗をぬぐいながら、僕が背負ってきた籠を見つめた。
「はい、穴は去年の秋と同じようにすればいいと思います」
 僕は去年、入江に行った時に学んだ落とし穴などの罠を、去年の秋から付近の山に造り始めた。今年の春からは冬の間に造った石器を、穴の下に置く事にした。
「それにしても、間違って落ちたら大変じゃすまないな」
 ジンさんが僕の造った石器を手に取りつつ呟いた。その石器は、以前レイが造った石器を模して、僕が造った物だ。
「泥濘と違って、落ちたら助けられませんね」
「そんな事を言っていると、またコシが怒るぞ?」
 僕とウドさんはジンさんから石器を受け取りつつ、ジンさんの声を上から聞きながら、穴の下に埋め込むようにして並べていった。
「人が落ちないように、何か目印を付けておかないとな」
 上にいるジンさんが、近くにある木の枝に貝殻の装飾品を結び付けた。その貝殻の装飾品を造ったナホさん曰く『失敗作』だそうだ。
「人間には好まれなくても、獣になら好まれるかもな」
「貝に残っているわずかな匂いで、獣が来るかもしれませんね」
僕とウドさんはそう話しつつ、穴の外に這い出た。
「じゃあ、編んだ蔦に軽く土と葉っぱを撒くぞ」
 僕たちは三人で、見た目が普通の獣道になるように地面を均した。
「前の年は村々との食料の交換をすることもあったが、今年はちゃんと獲物が獲れるといいな」
 ウドさんは石斧を軽く振りつつ、獲物が落ちるように祈っていた。
僕がいなかった時、獲物が多く獲れた村は交易品で溢れかえっていたと、後からお父さんから聞かされた。
「そうですね。でも、保存に回す方を多くした方が良いと僕は思います。今年は何の兆候もありませんが、もしもの時のために。そして、食料を交換してもらった村に何かがあった時のために」
 僕が言うと、二人とも頷いてくれた。

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