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4―10
入江から戻ってから、僕はお兄ちゃんと、あまり家出をした話をしなかった。
「実は、ロウを止めたこともあったんだ」
お母さんの話を聞く前に、お兄ちゃんから聞いた話だ。
「ロウは何処かに行きたがっていて、俺は何時もロウといたから、すぐに止められた。でも、今回はお前の家出を見抜けなかった。俺にも、お前が飛び出した原因がある」
お兄ちゃんはそう言って、僕はあまり大きな叱りを受けなかった。
「お父さんとシキさんは、どうなったの?」
僕が尋ねると、お兄ちゃんは「変わらないさ」と答えた。
お父さんは村のみんなに、12年前の真実を話したそうだ。その時の皆の反応は、お父さんが思っていたものとは違い、『何だ、そんなことで悩んでいたのか』程度だったそうだ。
「今だから、そんなに気にする人がいないだけかもしれないけどな」
お兄ちゃんが少し、意地悪く言った。
「お兄ちゃんは、どう思ったのさ?」
「どうも思わないさ。確かに、少しずるいなとは思ったけど、もう終わった事にとやかく言っていたら、生き辛くなる」
僕はお兄ちゃんの言葉に「それは、そうだけど」と言い、何だか心は晴れなかった。
「じゃあ、毎日カラに『お前はどうして家出をしたんだ?』って尋ねてもいいのか?」
僕はお兄ちゃんの問いに答えることが出来ず、頭がぼーっとしてきた。
「ほら、まだ病み上がりなんだから、寝ていろ」
僕はお兄ちゃんに言われ、また寝た。そして、朝にはお兄ちゃんの足が僕の頭に乗っかっていた。それが、少し嬉しかった。
入江から戻ってから、僕はお兄ちゃんと、あまり家出をした話をしなかった。
「実は、ロウを止めたこともあったんだ」
お母さんの話を聞く前に、お兄ちゃんから聞いた話だ。
「ロウは何処かに行きたがっていて、俺は何時もロウといたから、すぐに止められた。でも、今回はお前の家出を見抜けなかった。俺にも、お前が飛び出した原因がある」
お兄ちゃんはそう言って、僕はあまり大きな叱りを受けなかった。
「お父さんとシキさんは、どうなったの?」
僕が尋ねると、お兄ちゃんは「変わらないさ」と答えた。
お父さんは村のみんなに、12年前の真実を話したそうだ。その時の皆の反応は、お父さんが思っていたものとは違い、『何だ、そんなことで悩んでいたのか』程度だったそうだ。
「今だから、そんなに気にする人がいないだけかもしれないけどな」
お兄ちゃんが少し、意地悪く言った。
「お兄ちゃんは、どう思ったのさ?」
「どうも思わないさ。確かに、少しずるいなとは思ったけど、もう終わった事にとやかく言っていたら、生き辛くなる」
僕はお兄ちゃんの言葉に「それは、そうだけど」と言い、何だか心は晴れなかった。
「じゃあ、毎日カラに『お前はどうして家出をしたんだ?』って尋ねてもいいのか?」
僕はお兄ちゃんの問いに答えることが出来ず、頭がぼーっとしてきた。
「ほら、まだ病み上がりなんだから、寝ていろ」
僕はお兄ちゃんに言われ、また寝た。そして、朝にはお兄ちゃんの足が僕の頭に乗っかっていた。それが、少し嬉しかった。
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