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3―2
 漁から戻ってきた大人たちは、「まあまあだった」と言いつつ、魚が傷む前に切り分けた。いくつかは保存用に燻すよう、僕たち子どもに指示をした。
「燻製用の穴を使って、ハムとカラは燻してくれ」
 トウさんに指示され、ハムさんは僕を一瞥してから切り分けられた魚を手に取り、僕と共に燻製用の穴に向かった。
 この穴は、以前落とし穴に使った穴で、ハムさんが「燻製の穴に使える」と言った場所でもある。
「枯れ木を集めておいて、よかったですね」
 僕がハムさんに話しかけると、ハムさんは「まあ、食料はたくさんあって困ることは無いしな」と返答した。
「ハムさんは・・、いえ。何でもないです」
 僕は尋ねよとした言葉を、口の中に押しとどめた。
「おい、最後まで言えよ」
 僕は少し迷ってから、口を開いた。
「ハムさんはお父さんとは、今どうなんでしょうか?」
 僕自身、『どうなんでしょうか』という聞き方はおかしいと思ったが、それ以外の言葉は思いつかなかった。そして、他人の僕があまり聞いてはいけない事だとも思っていた。
「何ともない。ただ、入江で自給自足できるくらいの食料と、保存方法の技術は必要だって話したくらいだ」
 ハムさんはぶっきらぼうに言い、枯れ木に火を点けた。
「この方法を、ハムさんのお父さんのハウさんが教えてくれたんですよね?」
「だからといって、父さんが交流を進めようと考えを変えたわけじゃないからな。僕も、必要以上にする必要はないと考えている」
枯れ木が燃え、僕のいるもう片方の穴に煙が立ち昇ってきた。
すでに、魚は僕が紐で結び、煙に当たるようにしてある。
「是川との交流は、必要以上でしょうか?」
 僕が尋ねると、ハムさんは「不要なら、僕はお前をとっくに海に捨てているさ」と答えた。
 燻し終わるまで時間がかかるので、僕たちはいったん村に戻った。すると、なんと寝込んでいたはずのヌイさんがいたのだ。
「酋長、身体はもう大丈夫なんですか?」
 誰かがヌイさんに尋ね、ヌイさんは「サキのアレを食べたら、一発で治ったわい」と、豪快に笑った。
「さてと、子供には荷が重い問題を解決するかのう」
 ヌイさんはそう言って、リウさんを見つめた。おそらく、レイを神様扱いし、道具を神聖視する事を話すのだろう。
「リウよ、レイが怖いのか?」
 ヌイさんは、僕の考えもしなかった言葉をリウさんにぶつけた。
 
 
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