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カラSide 2-14
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カラSide
2―14
僕はゴウさんの家の前で、一人で佇んでいる。
「ごめんなさい。少し、四人で話し合いたいことがあるの」
サキさんに言われ、僕は仕方なく外に出た。冬に、どう過ごしていたのか思い出すそうだ。
「僕がいても、いいと思うんだけどなー」
僕は何となくつまらなくなり、空を見上げた。夕暮れ時で、家々の近くでは炉で土器などを使って夕食を作っている。
「カラ、仲間外れにされているのか?」
ハムさんが近づいてきて、僕に話しかけてきた。
「仲間外れなんかじゃない」
僕が口を尖らせて言うと、ハムさんは「ごめんごめん」と、少し煮え切らない謝り方をした。
「僕はお前と、どう接していいのかよくわからないんだ」
僕には、ハムさんは本心でそう言っているように見えた。
「カラ、お前は帰った方がいい」
ハムさんに言われ、僕は「そんなに嫌いなんですか?」と、口を尖らせた。
「違う。嫌いなのは本当だが、生きている世界からいなくなって欲しいほど嫌いじゃないさ」
ハムさんの口が悪いのは知っていたが、それが癖になっていて、自分の言いたい事を上手く伝えられないのではないだろうかと、僕はふと思った。
「今のお前が、寂しそうに見えたんだ。父さんが、母さんを亡くした時みたいにさ」
ハムさんは思い出すように言い、空を見上げた。
「でも、まだ僕は帰れません」
「グエさんに頼めば、船ならいつでも出せるぞ?」
「いえ、まだ解決していない問題があるんです」
僕が力強く言うと、ハムさんは「リウさんの事か」と言い、口を開いた。
「トウさんから聞いたよ。二つの派を無くそうとしているんだってな。そんな事をして、お前に何かいい事でもあるのか?」
ハムさんに言われ、僕は自分の思いをまとめてから、口を開いた。
「僕は、自分勝手な考えで是川から飛び出しました。僕は帰るために、自分勝手な自分を無くし、相手の意見を聞き、自分の意見も言い、互いにわかり合う経験が必要なんです」
僕が言うと、ハムさんは「僕とは、わかり合えたのかい?」と、茶化すように言ってきた。
「わかり合えたと思っています。今も、僕自身はハムさんに自分の考えを、本心を伝える事が出来ました。ハムさんも、僕にハムさん自身の考えで『帰った方がいい』って言ってくれました。僕とハムさんは、少しだけわかり合えたと思っています」
僕が話し終えると、ハムさんは少し笑顔となり、「やっぱり、僕はお前が嫌いだ。あと、レイに『ごめんな』って言っておいてくれ」と言い、自分の家へ帰っていった。
2―14
僕はゴウさんの家の前で、一人で佇んでいる。
「ごめんなさい。少し、四人で話し合いたいことがあるの」
サキさんに言われ、僕は仕方なく外に出た。冬に、どう過ごしていたのか思い出すそうだ。
「僕がいても、いいと思うんだけどなー」
僕は何となくつまらなくなり、空を見上げた。夕暮れ時で、家々の近くでは炉で土器などを使って夕食を作っている。
「カラ、仲間外れにされているのか?」
ハムさんが近づいてきて、僕に話しかけてきた。
「仲間外れなんかじゃない」
僕が口を尖らせて言うと、ハムさんは「ごめんごめん」と、少し煮え切らない謝り方をした。
「僕はお前と、どう接していいのかよくわからないんだ」
僕には、ハムさんは本心でそう言っているように見えた。
「カラ、お前は帰った方がいい」
ハムさんに言われ、僕は「そんなに嫌いなんですか?」と、口を尖らせた。
「違う。嫌いなのは本当だが、生きている世界からいなくなって欲しいほど嫌いじゃないさ」
ハムさんの口が悪いのは知っていたが、それが癖になっていて、自分の言いたい事を上手く伝えられないのではないだろうかと、僕はふと思った。
「今のお前が、寂しそうに見えたんだ。父さんが、母さんを亡くした時みたいにさ」
ハムさんは思い出すように言い、空を見上げた。
「でも、まだ僕は帰れません」
「グエさんに頼めば、船ならいつでも出せるぞ?」
「いえ、まだ解決していない問題があるんです」
僕が力強く言うと、ハムさんは「リウさんの事か」と言い、口を開いた。
「トウさんから聞いたよ。二つの派を無くそうとしているんだってな。そんな事をして、お前に何かいい事でもあるのか?」
ハムさんに言われ、僕は自分の思いをまとめてから、口を開いた。
「僕は、自分勝手な考えで是川から飛び出しました。僕は帰るために、自分勝手な自分を無くし、相手の意見を聞き、自分の意見も言い、互いにわかり合う経験が必要なんです」
僕が言うと、ハムさんは「僕とは、わかり合えたのかい?」と、茶化すように言ってきた。
「わかり合えたと思っています。今も、僕自身はハムさんに自分の考えを、本心を伝える事が出来ました。ハムさんも、僕にハムさん自身の考えで『帰った方がいい』って言ってくれました。僕とハムさんは、少しだけわかり合えたと思っています」
僕が話し終えると、ハムさんは少し笑顔となり、「やっぱり、僕はお前が嫌いだ。あと、レイに『ごめんな』って言っておいてくれ」と言い、自分の家へ帰っていった。
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