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サキSide 6

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サキSIDE 6
 誰かから聞いたのかは忘れたけれど、カマキリがいつもより低い所に卵を産んでいるそうだ。今年の雪は少ないかもしれない。
「今年は、少し北に行って漁をすることになるかもしれんな」
 父がモリの手入れをしつつ、私たちに言った。そのモリの先に付いている石器は、レイの造った物だ。
「なら、氷の大地に住んでいる人と出会うかもしれないの?」
弟の問いに、父は「かもしれないな」と答えた。
「なら、その人たちが使っている石器や釣り具を見てきてほしい」
「わかった。ただ、彼らの使う石器は大きな物だ。入江では使う機会があまりないものかもしれないぞ?」
 父はそう言って、またモリを磨き始めた。 
「あと、お姉ちゃんの作っているものが何なのかも聞いて来てくれない?」
 急に、私の名が出て私は戸惑った。
「わかった。臭すぎなくする方法が無いか聞いてくるさ」
父は苦笑いをしながら答えた。私の作るあれは、今でも賛否両論であった。美味しいと賛美するか、臭くて無理だと言う人で分かれている。でも、確かに臭みを抑える事が出来れば、もっと多くの人に食べてもらえるようになると思うし、もしかしたら交易品に使えるかもしれないと思った。
「レイ、ありがとうね」
「え、何か言った」
 私は弟にも聞こえないような小声で、お礼を言った。
 
 第4部 了 
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