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サキSide 5
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サキSIDE 5
何だか何もかも上手くいきすぎて、怖いくらいであった。いや、心配する必要はもう無いのかもしれない。レイの足はもう動かないけれど、そこからはほとんど、悪化しているようには見えなかった。腰を少し動き辛そうにしているけれど、それは足を動かしていないために、筋肉が硬直してしまったからだろう。
「久しぶりに、揉んであげるわね」
私は弟に言い、弟も素直に私のそばに横になってくれた。
「きっと、大丈夫ね」
私が呟くと、弟は「何か言った?」と、不思議そうな声で尋ねてきた。
「何でも無いわ」
私が言うと、レイは思い出すように言った。
「そう言えば、カラはよくお姉ちゃんを見ていたよ」
弟は、私を少し揶揄に言った。
「偶然でしょ?」
私は『あり得ない』という気持ちでいた。しかし、ナホさんと話し合った事もあり、自分が『女性』であると再認識させられたような気がした。
「偶然だし。私はカラの事を何とも思っていないわよ」
私がそう言うと、弟は「何とも思っていないのは嘘でしょ?」と言ってきた。
「少なくとも、結婚しようなんて考えていないわ」
私がきっぱり言うと、何だか弟は身体を固くさせた。
「どうしたの?」
「もし、お父さんかお姉ちゃんに何かあったら、僕、どうしようかなって思って」
そうだ。私は自分自身の幸せもそうだけど、弟は自分自身の幸せをつかむ事は出来るのだろうか。私と父以外に、ずっと弟といてくれる人はいるのだろうか。
私は急に、先ほどまでの高揚感が沈んでいくのを感じた。
「お姉ちゃん」
「何かしら?」
「何かあったら僕にも、お父さんにも、みんなにも相談してね」
「そうね」
私は、自分の性格が何だかカラに似ている気がした。自分の考えで、自分自身を縛ってしまう。
「さ、カラと会うまで長い時間があるから、これから何をするか、一緒に考えていきましょう」
「うん」
私は弟の言葉で、少しだけ高揚感が戻ってきた気がした。
「それと、カラと一緒に来たキドさんはどう思った?」
「どう思ったって、どういう事?」
私が弟に聞き返すと、弟は「男性的な魅力について」と、からかうように言った。
「無理ね。なんて言うか、野性的すぎるわ」
「僕から見ると、小さな子供にも優しい人に見えたけどな」
私と弟の考えには、男女の違いもあるんだろうなと思った。
何だか何もかも上手くいきすぎて、怖いくらいであった。いや、心配する必要はもう無いのかもしれない。レイの足はもう動かないけれど、そこからはほとんど、悪化しているようには見えなかった。腰を少し動き辛そうにしているけれど、それは足を動かしていないために、筋肉が硬直してしまったからだろう。
「久しぶりに、揉んであげるわね」
私は弟に言い、弟も素直に私のそばに横になってくれた。
「きっと、大丈夫ね」
私が呟くと、弟は「何か言った?」と、不思議そうな声で尋ねてきた。
「何でも無いわ」
私が言うと、レイは思い出すように言った。
「そう言えば、カラはよくお姉ちゃんを見ていたよ」
弟は、私を少し揶揄に言った。
「偶然でしょ?」
私は『あり得ない』という気持ちでいた。しかし、ナホさんと話し合った事もあり、自分が『女性』であると再認識させられたような気がした。
「偶然だし。私はカラの事を何とも思っていないわよ」
私がそう言うと、弟は「何とも思っていないのは嘘でしょ?」と言ってきた。
「少なくとも、結婚しようなんて考えていないわ」
私がきっぱり言うと、何だか弟は身体を固くさせた。
「どうしたの?」
「もし、お父さんかお姉ちゃんに何かあったら、僕、どうしようかなって思って」
そうだ。私は自分自身の幸せもそうだけど、弟は自分自身の幸せをつかむ事は出来るのだろうか。私と父以外に、ずっと弟といてくれる人はいるのだろうか。
私は急に、先ほどまでの高揚感が沈んでいくのを感じた。
「お姉ちゃん」
「何かしら?」
「何かあったら僕にも、お父さんにも、みんなにも相談してね」
「そうね」
私は、自分の性格が何だかカラに似ている気がした。自分の考えで、自分自身を縛ってしまう。
「さ、カラと会うまで長い時間があるから、これから何をするか、一緒に考えていきましょう」
「うん」
私は弟の言葉で、少しだけ高揚感が戻ってきた気がした。
「それと、カラと一緒に来たキドさんはどう思った?」
「どう思ったって、どういう事?」
私が弟に聞き返すと、弟は「男性的な魅力について」と、からかうように言った。
「無理ね。なんて言うか、野性的すぎるわ」
「僕から見ると、小さな子供にも優しい人に見えたけどな」
私と弟の考えには、男女の違いもあるんだろうなと思った。
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