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3―6
 崖下に戻ると、お父さんたちが倒した木をどう運んでいくかを決めた所だった。周りの枝を斬り払い、坂道を紐で引っ張りつつ滑り落としていけばいいという結論だった。
 地面はまだ濡れて滑りやすくなっており、木も上手く引っ張れば、そのまま下に向かって滑り落ちていくのだろう。
「カラ、お前の欲しがっていた石も『ついでに』とれたぞ」
 ジンさんは、わざと『ついでに』という言葉を使った。どういう意味なのかはよくわからなかったけど、これは『木をとる事』が目的であり、僕の石は『ついで』であった事を、僕に再認識させる言葉だったのだろうと思った。
 ジンさんの元へ行くと、崖下から見えていた石は思ったよりも細かった。栗みたいな形だと想像していたけれど、実物は細長いドングリのようだった。
 僕はその白い石を持ち上げようとしたけど、とても重かった。大きさは、大人の頭より少し大きいくらいだろうか。それでも、他の石よりも重さを感じた。
「周りに、同じような小さな石もいくつかあったし、大きい石は後から村に持って行くことにして、まずは小さな石で試してみるといい」
 ジンさんは泥をかき出した土器の中に、多くの白い石を集めておいてくれていた。
「ありがとうございます」
 僕がお礼を言い、ジンさんから土器を受け取ると、その土器はとてもずっしりと重かった。まるで、石の他にも泥が入っているのではないかと思うほどだった。
 木を運ぶのはお父さんら大人たちに任せ、僕とガイさんはガンさんと一緒に、先に村に戻った。村の外れではちょうど、お兄ちゃんと子供らが魚を焼いており、いい匂いが漂っていた。
「ワシらは先に、村に行くぞ」
 ガンさんは僕に言ったのか、それともガイさんに言ったのか分からないけど、僕を一人にさせて先に村の中に入っていった。

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