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カラSide 2-1
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カラSide
2―1
僕はお母さんや他の大人の女性、あまり話す機会の無かった女の子たちと一緒に土器を造っている。いや、壊していると言った方がいいのかもしれない。
「カラ君のへたっぴー」
そんな、女の子の声が響き渡った。僕が混ぜ合わせて、ひも状に積み上げた粘土を平たくしていた時、土器がぐにゃりと曲がったのだ。まるで、陸に揚げられたタコのようにぐちゃぐちゃになった。
「粘土に水分を入れすぎたのよ。ほら、こっちの粘土を使って、もう一度やってみなさい」
僕は大人の女性から粘土を受け取り、またひも状に伸ばし始めた。
土器は主に、女性が造る役割だ。男性はその間に狩猟や採集をするのだが、男性も狩猟に必要な矢じりなどの石器を造る必要がある。
その作業の一環として、土器作りも習っている。
「カラ君、あまり力を込めすぎないようにね」
二種類の粘土を混ぜ合わせて、土器は造られる。僕は粘土を捏ね合わせ、混ぜ込んだ粘土をひも状にすることは簡単だった。でも、その粘土を積み上げて、平らにしていく作業が不得意であった。
土器は凸凹があると、焼いている時に壊れやすくなってしまう。そのため、木の棒などを使って平らにしていくのだが、僕はその前段階の、手で側面を平らにする作業で手間取ってしまっている。
「思いっきり、パンパンって叩けばいいのよ」
ミイという名前の女の子はそう言うが、僕がパンパンと叩くと、その場所は凸凹になってしまう。
僕は今まで、出来上がっている土器を何度か落として、割ってしまったことがある。その度に、大人の女性らが新しい土器を造り、男性も混じって焼いていてくれた。
「誰にだって、落として割ってしまう事はあるわよ」
産まれてから、僕は何度土器を壊しただろうか。その度に、村の人たちが新しく土器を造ってくれていた。
「今度は、僕がやらないと」
僕は自分を叱咤するように呟き、また土器を叩き始めた。
「もっと、強くてもいいと思うよー」
ミイに言われ、僕は少し力を込めた。すると、土器はまたぐにゃりと曲がってしまった。
僕は声の主であるミイを睨みつけようとしたけど、ミイは自分で造った土器の陰に隠れて見えなくなっていた。座って造っているので、身体の小さな女の子なら土器の方が大きくなって、顔がほとんど見えなくなる。
僕は睨みつける相手がいない事にもどかしさを感じつつも、また粘土を練り直して、慎重に平らにする作業に戻った。
2―1
僕はお母さんや他の大人の女性、あまり話す機会の無かった女の子たちと一緒に土器を造っている。いや、壊していると言った方がいいのかもしれない。
「カラ君のへたっぴー」
そんな、女の子の声が響き渡った。僕が混ぜ合わせて、ひも状に積み上げた粘土を平たくしていた時、土器がぐにゃりと曲がったのだ。まるで、陸に揚げられたタコのようにぐちゃぐちゃになった。
「粘土に水分を入れすぎたのよ。ほら、こっちの粘土を使って、もう一度やってみなさい」
僕は大人の女性から粘土を受け取り、またひも状に伸ばし始めた。
土器は主に、女性が造る役割だ。男性はその間に狩猟や採集をするのだが、男性も狩猟に必要な矢じりなどの石器を造る必要がある。
その作業の一環として、土器作りも習っている。
「カラ君、あまり力を込めすぎないようにね」
二種類の粘土を混ぜ合わせて、土器は造られる。僕は粘土を捏ね合わせ、混ぜ込んだ粘土をひも状にすることは簡単だった。でも、その粘土を積み上げて、平らにしていく作業が不得意であった。
土器は凸凹があると、焼いている時に壊れやすくなってしまう。そのため、木の棒などを使って平らにしていくのだが、僕はその前段階の、手で側面を平らにする作業で手間取ってしまっている。
「思いっきり、パンパンって叩けばいいのよ」
ミイという名前の女の子はそう言うが、僕がパンパンと叩くと、その場所は凸凹になってしまう。
僕は今まで、出来上がっている土器を何度か落として、割ってしまったことがある。その度に、大人の女性らが新しい土器を造り、男性も混じって焼いていてくれた。
「誰にだって、落として割ってしまう事はあるわよ」
産まれてから、僕は何度土器を壊しただろうか。その度に、村の人たちが新しく土器を造ってくれていた。
「今度は、僕がやらないと」
僕は自分を叱咤するように呟き、また土器を叩き始めた。
「もっと、強くてもいいと思うよー」
ミイに言われ、僕は少し力を込めた。すると、土器はまたぐにゃりと曲がってしまった。
僕は声の主であるミイを睨みつけようとしたけど、ミイは自分で造った土器の陰に隠れて見えなくなっていた。座って造っているので、身体の小さな女の子なら土器の方が大きくなって、顔がほとんど見えなくなる。
僕は睨みつける相手がいない事にもどかしさを感じつつも、また粘土を練り直して、慎重に平らにする作業に戻った。
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