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サキSide 3
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サキSide 3
弟の病気の正体は分からなかった。それがとても残念であると同時に、私自身の甘さも知った。私は三内に行けばすべてが解決すると、根拠も無しに思っていたのだ。
それでも、収穫はあった。弟に友達が出来たのだ。弟の足は、日を追うごとに悪くなっていた。その事を一番気にしているのは弟自身だ。他の子供から彌われることもあって、元気がなくなってきていたのだ。唯一、ハムという子供だけぶっきら棒に『よせ』と言い、他の子どもを威圧する事があった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
弟に尋ねられ、私は「何でもないわ。交易品の干しキノコをどう調理しようか考えていただけよ」と言った。弟の首や身体には、是川の貝の装飾品が巻きつけてある。
「そういえば、熊の胆石がどんな病気にも効くって秋田の人は言っていたけど・・」
私は自分の呟きを、口の中に留めた。入江周辺の山に、時たまヒグマは出る。ただ、ものすごく凶暴なので、すすんで狩ろうとする人は少なかった。
自分は弓を扱うことは出来る。でも、私の力じゃ思いっきり弦を引くことは出来ず、ヒグマの毛皮さえ貫くことは出来ないだろう。それに、もし自分の身に何かが起きたら、誰が弟を守ってやれるのだろう。
今はまだ、焦る時じゃない。私の心配し過ぎで、干しキノコと、もうすぐ遡上してくる鮭を一緒に煮込んで食べさせれば、弟の足は良くなるかもしれない。
「帰ったら、土器造りだからな」
櫂を漕いでいる父さんの言葉に、私は頷いた。弟は冬に備え、木の実を採ることになるだろう。冬の前の秋は、誰もが忙しく働き、考える暇などなくなるだろう。
それでも、弟の足が心配で無くなることは無かった。
弟の病気の正体は分からなかった。それがとても残念であると同時に、私自身の甘さも知った。私は三内に行けばすべてが解決すると、根拠も無しに思っていたのだ。
それでも、収穫はあった。弟に友達が出来たのだ。弟の足は、日を追うごとに悪くなっていた。その事を一番気にしているのは弟自身だ。他の子供から彌われることもあって、元気がなくなってきていたのだ。唯一、ハムという子供だけぶっきら棒に『よせ』と言い、他の子どもを威圧する事があった。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
弟に尋ねられ、私は「何でもないわ。交易品の干しキノコをどう調理しようか考えていただけよ」と言った。弟の首や身体には、是川の貝の装飾品が巻きつけてある。
「そういえば、熊の胆石がどんな病気にも効くって秋田の人は言っていたけど・・」
私は自分の呟きを、口の中に留めた。入江周辺の山に、時たまヒグマは出る。ただ、ものすごく凶暴なので、すすんで狩ろうとする人は少なかった。
自分は弓を扱うことは出来る。でも、私の力じゃ思いっきり弦を引くことは出来ず、ヒグマの毛皮さえ貫くことは出来ないだろう。それに、もし自分の身に何かが起きたら、誰が弟を守ってやれるのだろう。
今はまだ、焦る時じゃない。私の心配し過ぎで、干しキノコと、もうすぐ遡上してくる鮭を一緒に煮込んで食べさせれば、弟の足は良くなるかもしれない。
「帰ったら、土器造りだからな」
櫂を漕いでいる父さんの言葉に、私は頷いた。弟は冬に備え、木の実を採ることになるだろう。冬の前の秋は、誰もが忙しく働き、考える暇などなくなるだろう。
それでも、弟の足が心配で無くなることは無かった。
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