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パフューム
06
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背中がぴりぴりとするほどに、快感が身体を駆け巡る。その感覚に身震いしながら俺は中を舐るみたいに腰を動かした。
何度も奥を擦られるのがたまらないのか、広海先輩は半開きにした口元から掠れた艶っぽい声を漏らす。
恍惚として瞳を潤ませるその表情も、いまは俺の気持ちを昂ぶらせることしかしない。
「好き、好きだよ広海先輩。もっと頂戴。全然足りない。ねぇ、先輩の全部、頂戴」
この人を腕に抱いていると貪欲な想いがひどく胸を支配する。爪の先、髪の先一本まで余すことなくすべてを飲み込んでしまいたくなる。
「先輩気持ちいい? 中がうねってる。俺のこと締めつけて離さないよ」
「うる、さい……少し、黙れ。あっ、んぁっ」
「無理だよ。先輩の中が気持ちよ過ぎてたまらない。ほら、またそうやって締めつける。俺、食べられちゃいそうだ」
言葉にされることが苦手なのは知っているが、それをすると反応がすごくよくなる。
気持ちいいと言葉するたびに、広海先輩の小さなすぼまりは俺のことを離すまいとするかのように締めつけてきた。
それがものすごく可愛くて愛しくて、頭の中がもうどうにかなりそうだ。
「あっ、瑛、治」
やんわりと首筋に噛みついたら、肩を震わせて無防備に喉元をさらす。
さらけ出された白い首筋が色っぽくて、輪郭を確かめるように指を滑らせた。
はぁと熱い吐息を吐き出す横顔に思わず見とれてしまう。
じっと見つめていたら視線がこちらを振り向き、その先をねだるように瞳を閉じた。誘われるままに唇を寄せて、色づいた甘い唇に重ねる。
「肌が薄桃色ですごく綺麗だ」
身体をベッドに横たえると、離れた熱を求めるみたいに少し寂しそうな目をする。
本人はまったく意識していないのだろうけど、そんな目をされると優しくしたいのに心に火がついてしまう。
正面からまたゆっくりと繋がって、瞳を見つめたまま何度も突き動かす。
すると絡み合う視線から逃れるように目を伏せて、小さく下唇を噛んだ。
声がもっと聞きたくて、ゆるりと火照った肌に手を這わせたら、それだけで肌がざわめくのか、甘やかな声と共に吐き出された吐息は熱かった。
「先輩、もっと欲しい?」
しばらくなだらかな肌を撫でていたら、焦れるみたいに腰が揺らめく。
乱雑にすると怒るけど、酷くされるのは嫌いじゃないようだ。俺が夢中になればなるほど、自分も我を忘れられるのかもしれない。
請うような眼差しに誘われて強く腰を引き寄せると、きゅっと俺のものを飲み込む孔がきつく締まった。
痺れるようなたまらないその感覚に、少し乱暴に突き上げて水音が響くように中をかき回す。
すると堪えきれなくなったのか、上擦った高い嬌声が広海先輩の口元からこぼれ出す。
その瞬間を逃さずにさらに攻め立てれば、卑猥な音に混じり甘い声が断続的に聞こえてきた。しかししばらくその声を堪能していたが、彼は再び唇を噛み締め始める。
「もっと声、出して」
目の前の首筋に口づけて、紅い印を刻む。しかし耳元に囁きかけた言葉に首は横に振られた。
けれどそれはいつものことで、その反応にこちらは唇を歪めて笑みを浮かべてしまう。
気持ちが昂ぶれば昂ぶるほど、頑なに口を閉ざすのは広海先輩の無意識の癖なのだ。
だからいまは、どんなに嫌がる素振りを見せても感じていることに間違いない。
「じゃぁ、声が出ちゃうくらい、もっとしちゃうから」
そう言って笑った俺にベッドに縫い止められ、広海先輩は肩を震わせた。
けれど瞳の熱は冷めていなくて、触れていないところがないと言えるくらいにその身体を余すことなく貪った。
だがそのあと、勢い任せに中へ出してしまい――思いきり蹴り飛ばされた。
それでもさらにもう一回、そそられるいやらしい身体に魅了され、それを堪能しまくった。
そして頑張り過ぎた俺のおかげで足腰立たなくなった広海先輩を抱えて、シャワーを浴びたが、そこでも思わず発情した俺は、嫌がる彼と無理やり繋がってしまった。
濡れそぼる上気した身体が、快感に打ち震える様は、何度思い出してもたまらない。
「……この駄犬がっ」
回想に浸っていたら、勢いよく枕が飛んできた。ぼすっと小さな音を立てて俺の顔に命中したそれは、すぐに正座した膝の上に転がる。
「反省してねぇだろ」
「ごめんなさい」
ここは広海先輩の自室――そしてベッドヘッドに背を預けて、ひどく不機嫌そうにこちらを見下ろす広海先輩と、床で正座をする俺。
風呂場での行為もこっぴどく怒られた。
彼がベッド以外でするのが本当に嫌なのを知っているのに、暴走してしまった罰だ。でも悔いはない。
「がっついていいって言ったのに」
「あ?」
「……う、気持ちよかったくせに」
「お前は今晩そこでずっと正座してろっ」
眉をひそめた広海先輩に口を曲げると、ふいと背を向け布団に潜られてしまった。
確かにがっついていいとは言われたけど、中に出していいとは言われてないし、風呂場でヤってもいいとも言われていないから、怒られて当然なのだけど、不服だ。
そろりと床を這いベッドに近づくと、その端から様子を窺う。俺の気配に気づいている背中は、どこか緊張したように固くなっていた。
「先輩、一緒に寝たいです」
「……」
「ねぇ、ぎゅっとしたい」
俺の声をことごとく無視して沈黙する背中――でも沈黙は肯定とみなして、俺はベッドの上に乗り、布団の端からその身を滑り込ませた。
そして石鹸の香りがする身体を背後から抱きしめて、柔らかな髪に顔を埋める。
やはりあの甘い香りは広海先輩の体臭なのだろうか。こうしていつもの香りを嗅いでいるのに、あの匂いがいまだに忘れられない。
「また発情したら外に締め出すぞ」
「あ、はい」
もぞもぞとした俺に気づいたのか、鋭い声が聞こえてきた。本当に寒空の下に放り出されかねないので、努めて冷静さを思い出し、むずむずと湧き上がってきた熱を収める。
「先輩?」
ふっと深いため息を吐き出されて、思わず身体を起こして顔を覗き込んでしまう。
するとちらりとこちらへ視線を向けるが、広海先輩はすぐにまた、ため息をついて顔をそらしてしまった。
「童貞臭、満載だったくせに」
「へ?」
いきなりポツリと呟かれた言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「それいつの話ですか、俺、いまそんなことないですよね?」
確かに出会ったばかりの頃はまさにそうだったのは否定しない。しかしここ数年で広海先輩に躾けられた分、自分で言うのもなんだがテクは上がったはずだ。
「だから呆れてんだよ」
「どうして!」
言われている意味が全然わからない。なぜそうじゃなくなって、呆れられなくてはいけないのだろうか。
昔の拙い感じの方がよかったとかそういうこと?
「お前がやたらと雄臭いから、変なのが寄ってくんだよ」
「……え?」
どういうことなのかと一人、悶々と考えていたら、ため息混じりの声が聞こえてきた。そしてその言葉に驚いてしまう。
それは昔よりも男として見られているということなのか。やっと男の色気みたいなのが出てきた?
色々寄ってこられるのは正直困るけれど、広海先輩にそう思われているならそれ以上に嬉しいことはない。
彼のわかりやすいヤキモチが、ひどく甘くて幸せを感じてしまった。
「先輩、好き」
「さっさと寝ろ」
「大好き、愛してる」
何度も耳元へそう囁いていたら、鬱陶しそうに眉をひそめて枕に顔を埋められてしまった。
けれど背中から回した腕にそっと温もりを感じた。
指先で微かに触れるその感触――それに気づいた途端、俺の顔はだらしなく緩んでしまっていた。
言葉なんてなくても、全身で好きと伝えてくれる、そんな彼に俺はひどく安心した。
[パフューム/end]
何度も奥を擦られるのがたまらないのか、広海先輩は半開きにした口元から掠れた艶っぽい声を漏らす。
恍惚として瞳を潤ませるその表情も、いまは俺の気持ちを昂ぶらせることしかしない。
「好き、好きだよ広海先輩。もっと頂戴。全然足りない。ねぇ、先輩の全部、頂戴」
この人を腕に抱いていると貪欲な想いがひどく胸を支配する。爪の先、髪の先一本まで余すことなくすべてを飲み込んでしまいたくなる。
「先輩気持ちいい? 中がうねってる。俺のこと締めつけて離さないよ」
「うる、さい……少し、黙れ。あっ、んぁっ」
「無理だよ。先輩の中が気持ちよ過ぎてたまらない。ほら、またそうやって締めつける。俺、食べられちゃいそうだ」
言葉にされることが苦手なのは知っているが、それをすると反応がすごくよくなる。
気持ちいいと言葉するたびに、広海先輩の小さなすぼまりは俺のことを離すまいとするかのように締めつけてきた。
それがものすごく可愛くて愛しくて、頭の中がもうどうにかなりそうだ。
「あっ、瑛、治」
やんわりと首筋に噛みついたら、肩を震わせて無防備に喉元をさらす。
さらけ出された白い首筋が色っぽくて、輪郭を確かめるように指を滑らせた。
はぁと熱い吐息を吐き出す横顔に思わず見とれてしまう。
じっと見つめていたら視線がこちらを振り向き、その先をねだるように瞳を閉じた。誘われるままに唇を寄せて、色づいた甘い唇に重ねる。
「肌が薄桃色ですごく綺麗だ」
身体をベッドに横たえると、離れた熱を求めるみたいに少し寂しそうな目をする。
本人はまったく意識していないのだろうけど、そんな目をされると優しくしたいのに心に火がついてしまう。
正面からまたゆっくりと繋がって、瞳を見つめたまま何度も突き動かす。
すると絡み合う視線から逃れるように目を伏せて、小さく下唇を噛んだ。
声がもっと聞きたくて、ゆるりと火照った肌に手を這わせたら、それだけで肌がざわめくのか、甘やかな声と共に吐き出された吐息は熱かった。
「先輩、もっと欲しい?」
しばらくなだらかな肌を撫でていたら、焦れるみたいに腰が揺らめく。
乱雑にすると怒るけど、酷くされるのは嫌いじゃないようだ。俺が夢中になればなるほど、自分も我を忘れられるのかもしれない。
請うような眼差しに誘われて強く腰を引き寄せると、きゅっと俺のものを飲み込む孔がきつく締まった。
痺れるようなたまらないその感覚に、少し乱暴に突き上げて水音が響くように中をかき回す。
すると堪えきれなくなったのか、上擦った高い嬌声が広海先輩の口元からこぼれ出す。
その瞬間を逃さずにさらに攻め立てれば、卑猥な音に混じり甘い声が断続的に聞こえてきた。しかししばらくその声を堪能していたが、彼は再び唇を噛み締め始める。
「もっと声、出して」
目の前の首筋に口づけて、紅い印を刻む。しかし耳元に囁きかけた言葉に首は横に振られた。
けれどそれはいつものことで、その反応にこちらは唇を歪めて笑みを浮かべてしまう。
気持ちが昂ぶれば昂ぶるほど、頑なに口を閉ざすのは広海先輩の無意識の癖なのだ。
だからいまは、どんなに嫌がる素振りを見せても感じていることに間違いない。
「じゃぁ、声が出ちゃうくらい、もっとしちゃうから」
そう言って笑った俺にベッドに縫い止められ、広海先輩は肩を震わせた。
けれど瞳の熱は冷めていなくて、触れていないところがないと言えるくらいにその身体を余すことなく貪った。
だがそのあと、勢い任せに中へ出してしまい――思いきり蹴り飛ばされた。
それでもさらにもう一回、そそられるいやらしい身体に魅了され、それを堪能しまくった。
そして頑張り過ぎた俺のおかげで足腰立たなくなった広海先輩を抱えて、シャワーを浴びたが、そこでも思わず発情した俺は、嫌がる彼と無理やり繋がってしまった。
濡れそぼる上気した身体が、快感に打ち震える様は、何度思い出してもたまらない。
「……この駄犬がっ」
回想に浸っていたら、勢いよく枕が飛んできた。ぼすっと小さな音を立てて俺の顔に命中したそれは、すぐに正座した膝の上に転がる。
「反省してねぇだろ」
「ごめんなさい」
ここは広海先輩の自室――そしてベッドヘッドに背を預けて、ひどく不機嫌そうにこちらを見下ろす広海先輩と、床で正座をする俺。
風呂場での行為もこっぴどく怒られた。
彼がベッド以外でするのが本当に嫌なのを知っているのに、暴走してしまった罰だ。でも悔いはない。
「がっついていいって言ったのに」
「あ?」
「……う、気持ちよかったくせに」
「お前は今晩そこでずっと正座してろっ」
眉をひそめた広海先輩に口を曲げると、ふいと背を向け布団に潜られてしまった。
確かにがっついていいとは言われたけど、中に出していいとは言われてないし、風呂場でヤってもいいとも言われていないから、怒られて当然なのだけど、不服だ。
そろりと床を這いベッドに近づくと、その端から様子を窺う。俺の気配に気づいている背中は、どこか緊張したように固くなっていた。
「先輩、一緒に寝たいです」
「……」
「ねぇ、ぎゅっとしたい」
俺の声をことごとく無視して沈黙する背中――でも沈黙は肯定とみなして、俺はベッドの上に乗り、布団の端からその身を滑り込ませた。
そして石鹸の香りがする身体を背後から抱きしめて、柔らかな髪に顔を埋める。
やはりあの甘い香りは広海先輩の体臭なのだろうか。こうしていつもの香りを嗅いでいるのに、あの匂いがいまだに忘れられない。
「また発情したら外に締め出すぞ」
「あ、はい」
もぞもぞとした俺に気づいたのか、鋭い声が聞こえてきた。本当に寒空の下に放り出されかねないので、努めて冷静さを思い出し、むずむずと湧き上がってきた熱を収める。
「先輩?」
ふっと深いため息を吐き出されて、思わず身体を起こして顔を覗き込んでしまう。
するとちらりとこちらへ視線を向けるが、広海先輩はすぐにまた、ため息をついて顔をそらしてしまった。
「童貞臭、満載だったくせに」
「へ?」
いきなりポツリと呟かれた言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「それいつの話ですか、俺、いまそんなことないですよね?」
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「だから呆れてんだよ」
「どうして!」
言われている意味が全然わからない。なぜそうじゃなくなって、呆れられなくてはいけないのだろうか。
昔の拙い感じの方がよかったとかそういうこと?
「お前がやたらと雄臭いから、変なのが寄ってくんだよ」
「……え?」
どういうことなのかと一人、悶々と考えていたら、ため息混じりの声が聞こえてきた。そしてその言葉に驚いてしまう。
それは昔よりも男として見られているということなのか。やっと男の色気みたいなのが出てきた?
色々寄ってこられるのは正直困るけれど、広海先輩にそう思われているならそれ以上に嬉しいことはない。
彼のわかりやすいヤキモチが、ひどく甘くて幸せを感じてしまった。
「先輩、好き」
「さっさと寝ろ」
「大好き、愛してる」
何度も耳元へそう囁いていたら、鬱陶しそうに眉をひそめて枕に顔を埋められてしまった。
けれど背中から回した腕にそっと温もりを感じた。
指先で微かに触れるその感触――それに気づいた途端、俺の顔はだらしなく緩んでしまっていた。
言葉なんてなくても、全身で好きと伝えてくれる、そんな彼に俺はひどく安心した。
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