29 / 29
第29話 眠り姫の目覚め
しおりを挟む
しばらくしてホールのほうへ戻ると、テーブルの上は誕生日仕様になっていた。
たくさんの料理が並んでいるが、優哉が作ったものと、弥彦の持ち込みもあるようだ。
料理と言えば、この二人だ。
あずみは料理が得意ではなく、主婦になって、いくらかするようになったらしいが、今回は食べる専門。
なんのためにここへ来ていたのか、忘れそうな出来事があったものの、希壱の表情が明るいので一真はほっとする。
とはいえ戻った途端、西岡を除く同級生三人組にニヤニヤされて、思わず舌打ちしてしまった。
「希壱はややこしくて面倒くさい男を、ほんとよく落としたよね」
「一真さんは、諦めたらそこで終了、って感じの人だし」
「ああ、そういうやつよね。去る者は追わないタイプ」
向かい側に座るあずみが希壱の言葉にうんうん、と大きく頷く。それに対し、一真はビールの入ったグラスを手にぽつんと呟く。
「追いかけるほど情があれば、話は別だな」
「えー、じゃあさ。希壱がもう別れるって言ったら?」
「……考える、かもしれない」
あずみの問いに一真の胸はツキンと痛んだが、出てきた言葉は非常に中途半端だった。
「えっ? 一真さん。俺を追いかけてくれないの?」
隣の希壱は一真の言葉を聞いて、驚愕、と言った表情で振り向く。
想像どおりの反応ではあるけれど、やはりいくら考えても「追いかける」と断言できない。
「あれじゃないか? 峰岸は希壱くんが本当に嫌で言ったのなら、無理に追いかけて引き止めたくないって思ったんじゃ」
「ああ、なるほど」
口を噤んだままの一真を代弁するみたいに、あずみの隣にいた西岡が補足をする。
萎れかけていた希壱は、彼の意見に納得して頷いた。のだが――
「でも俺から言う可能性はないかな。どっちかと言えば俺が一真さんにフラれそう」
「希壱はそいつにフラれるようなこと、やらかしてるのか?」
「えーと、色々? そのへんはあまり深く聞かれると」
優哉のからかいを含む問いかけに、希壱は急にごにょごにょしだす。
そうするとあずみと優哉がまたニヤニヤし始め、下世話な話が疎い、西岡と弥彦が頭に疑問符を浮かべる。
「希壱は体力が有り余ってるもんねぇ」
「峰岸は色々大変だな」
含みのありすぎるあずみと優哉の台詞に、あいだに挟まれる西岡はしばし首を傾げていたものの、思い当たったらしく苦笑いした。
「え? なんの話だ?」
一人だけ蚊帳の外な、弥彦がきょとんとする。しかし弟は隣の兄を振り返らない。
「希壱?」
「兄ちゃん、聞いていいことと駄目なことがあるんだ」
顔を赤くしながら言っても、まったく説得力がない。だというのに、弥彦にはピンと来ないらしく「わからないの俺だけ?」と嘆いて、笑いを誘った。
「あっ、一真さん」
「ん? どうした」
和やかに、誕生会と言う名の飲み会が進む中、希壱がスマートフォンを手に体を寄せてくる。画面を指さすので、一真は彼の手元を覗いた。
そこには誕生日おめでとうの文字と「付き合うことにしました」の文字。送信者の名前を見ると夏樹からだ。
希壱と一真が顔を見合わせていたら、今度は写真が送信されてきて、笑みを浮かべた夏樹と彬人が写っている。
「少し前に相談されてたんだけど。今日はめでたい日だから、だって」
「どうせ、俺たちも付き合うか。くらいの勢いだろ」
「え? 一真さん、なんでわかるの」
「わからないほうがおかしい」
二人が揃った場面を初めて見た一真でさえ気づいたのだから、ほかの者も気づいていそうだ。
夏樹の相手がなかなか見つからなかったのは、そのせいではないだろうか。
あとから聞いた話では、なにかと二人は一緒にいる機会が多いのだとか。
希壱と彬人が二人で会っていたのかと思ったあれも、夏樹を含めた三人だったらしい。
二人の雰囲気に気づいていなかったのは、当人たちと、希壱くらいに違いない。
「そういえば指輪の交換しないの?」
「は?」
「お揃いの指輪を買ったって、希壱に聞いたわよ~」
「希壱?」
「怒らないでよ。嬉しくてつい、いつもの調子であずみ姉に口が滑ったんだよ」
指輪は一真がここへ来る前に、確かに引き取ってきた。ただ今日、家に帰ってからゆっくり、と思っていたのだ。
「希壱はあずみに口が軽いの、気をつけろ。こいつはなんでもかんでも、話のネタにしてくるぞ」
「一真さんに迷惑をかけるなら気をつける」
大仰に一真がため息をついたら、希壱は指先で唇にバッテンを作る。しかしとっさに一真はその手を掴み、下ろさせた。
「そういう可愛いのここではやめろ」
「ええ? 一真さん理不尽だな」
「誕生会って言うより、バカップルを見守る会だな」
「こら、優哉」
「兄ちゃんは少し複雑だ」
なんとものんびりした雰囲気だ。
去年の今頃は、こんな状況になるとは想像もしなかった。希壱に対し弟みたいな感情しか抱いておらず、誕生日も把握していない。
それがいまは、誰よりも大切にしたい相手へ変わっている。
「一真さんは出来上がった指輪、見た?」
「受け渡しの時に確認した」
「どうだった?」
「仕方ねぇな。ちょっと待ってろ」
一度、存在が気になりだすと、なかなか頭から離れないものなのだろう。そわそわし始めた希壱に、一真は折れた。
荷物を置いていた椅子まで歩いて行き、紙袋からラッピングされた箱を二つ取り出す。シルバーとブルーシルバーの二色。
片方を希壱に向かって放り投げる真似をしたら、彼は跳ね上がるように驚いた。
「か、一真さん! 脅かさないで」
「いまの希壱の顔」
「そうやってすぐ、意地悪する」
ムッとした顔をする恋人の傍へ戻り、頬をつまむと、急に横を向いた希壱に手を囓られた。
わずかに一真が片眉を上げると、ふふんと笑いそうな、得意気な表情を浮かべる。
「ほら、こっちが俺の」
「え! 指輪をはめさせてくれるの?」
「ギャラリーの視線がうるせぇから、しょうがない。ぜってぇのちのちまで、文句を言うんだぜ。特にあずみ」
ブルーシルバーの箱を手渡すと、希壱の目がキラキラ輝き出す。理由はなんであれ、嬉しいものは嬉しいらしい。
「お姉ちゃんに感謝しなさい」
「あずみ姉、ありがとう!」
「得意気に感謝されてるなよ」
誇らしげなあずみの顔が、先ほどの希壱の顔とよく似ていた。
この二人は前世かなにかで、姉弟だったのではとたまに感じる。
「わあ、綺麗に出来上がったね。ひねりのところ注文どおり、光の反射でグラデーションができてる」
箱を開けると、V字のウェーブデザインの指輪。細かく指示しただけあって、非常に繊細な加工がされている。
装飾はつけなかったが、プラチナの輝きにプラスし、味わい深い色合いになった。
「一真さん早く!」
「めでたい曲でもかけてやろうか?」
「やめろ」
急かす希壱の声に、優哉が笑いながら天井のスピーカーを指さすので、一真は即座に言葉を返す。
「一真さん。俺が幸せにしてあげるからね」
「希壱、男前!」
「ギャラリーは黙っとけ」
一真の手を取った希壱は嬉しそうに、幸せそうにはにかんでいた。
これほどの表情を見ると、なぜいままで自分に自信が持てなかったのだろうと、一真は自分が情けなくなる。
希壱の気持ちは疑う部分など、欠片もなかった。最初から。
「仕方ねぇから、希壱の面倒は俺が一生見てやる。来年は引っ越しな」
「え? なにそれ、聞いてないよ! 峰岸」
「だから、外野は黙っとけ」
あずみの次に声を上げた、弥彦の焦った声に彼以外の全員がくすくすと笑う。
「はーい。二人の誓いを、時沢あずみが見届けまーす! 次は誓いのキスをどうぞ」
「はあ?」
「一真さん、しないの?」
「おーまーえーはっ、こんな時ばっかりその声、出しやがって」
希壱得意のおねだり声。
微妙なトーンの変化は、一真くらいしかわからないらしく、希壱はそれに気づいてから、ここぞという場面で駆使してくる。
「一真さん大好き」
そしてこの台詞で一真をやり込めるのだ。
「しょうがねぇな!」
ニコニコとしている、希壱のTシャツの襟首を掴むと、ぐいと引き寄せた一真は、勢いのまま彼の唇にキスをする。
周りから「おー」「やったな」とはやし立てる声と拍手が響くけれど、仕返しをしてきた希壱に捕まり、しばらくキスタイムが終わらなかった。
「今度、一真さんのお母さんにご挨拶、行こうね」
「いまさらかよ」
「だって恋人ができたら紹介してね、って言われてるんでしょ? 俺、いつ来るの、って聞かれた」
ようやくキスが終わったら、開口一番、親へのご挨拶宣言。
いつの間に母親とまで連絡先を交換していたのか。
一真は額を押さえて上を向くと、盛大なため息を吐いた。
「夏休みのうちにな」
「やった!」
喜びで万歳をする希壱に、一真の口元がほころぶ。彼が喜ぶなら、なんでもしてしまいそうな自分に、呆れつつも嬉しくなる。
長く止まっていた時間が動きだした。
恋や愛から逃げ、心の時間を止めていた一真は、ようやく自然と呼吸ができるようになった気がする。
それは長く眠りについていたお姫さまが、王子様のキスで目覚める瞬間。
end
たくさんの料理が並んでいるが、優哉が作ったものと、弥彦の持ち込みもあるようだ。
料理と言えば、この二人だ。
あずみは料理が得意ではなく、主婦になって、いくらかするようになったらしいが、今回は食べる専門。
なんのためにここへ来ていたのか、忘れそうな出来事があったものの、希壱の表情が明るいので一真はほっとする。
とはいえ戻った途端、西岡を除く同級生三人組にニヤニヤされて、思わず舌打ちしてしまった。
「希壱はややこしくて面倒くさい男を、ほんとよく落としたよね」
「一真さんは、諦めたらそこで終了、って感じの人だし」
「ああ、そういうやつよね。去る者は追わないタイプ」
向かい側に座るあずみが希壱の言葉にうんうん、と大きく頷く。それに対し、一真はビールの入ったグラスを手にぽつんと呟く。
「追いかけるほど情があれば、話は別だな」
「えー、じゃあさ。希壱がもう別れるって言ったら?」
「……考える、かもしれない」
あずみの問いに一真の胸はツキンと痛んだが、出てきた言葉は非常に中途半端だった。
「えっ? 一真さん。俺を追いかけてくれないの?」
隣の希壱は一真の言葉を聞いて、驚愕、と言った表情で振り向く。
想像どおりの反応ではあるけれど、やはりいくら考えても「追いかける」と断言できない。
「あれじゃないか? 峰岸は希壱くんが本当に嫌で言ったのなら、無理に追いかけて引き止めたくないって思ったんじゃ」
「ああ、なるほど」
口を噤んだままの一真を代弁するみたいに、あずみの隣にいた西岡が補足をする。
萎れかけていた希壱は、彼の意見に納得して頷いた。のだが――
「でも俺から言う可能性はないかな。どっちかと言えば俺が一真さんにフラれそう」
「希壱はそいつにフラれるようなこと、やらかしてるのか?」
「えーと、色々? そのへんはあまり深く聞かれると」
優哉のからかいを含む問いかけに、希壱は急にごにょごにょしだす。
そうするとあずみと優哉がまたニヤニヤし始め、下世話な話が疎い、西岡と弥彦が頭に疑問符を浮かべる。
「希壱は体力が有り余ってるもんねぇ」
「峰岸は色々大変だな」
含みのありすぎるあずみと優哉の台詞に、あいだに挟まれる西岡はしばし首を傾げていたものの、思い当たったらしく苦笑いした。
「え? なんの話だ?」
一人だけ蚊帳の外な、弥彦がきょとんとする。しかし弟は隣の兄を振り返らない。
「希壱?」
「兄ちゃん、聞いていいことと駄目なことがあるんだ」
顔を赤くしながら言っても、まったく説得力がない。だというのに、弥彦にはピンと来ないらしく「わからないの俺だけ?」と嘆いて、笑いを誘った。
「あっ、一真さん」
「ん? どうした」
和やかに、誕生会と言う名の飲み会が進む中、希壱がスマートフォンを手に体を寄せてくる。画面を指さすので、一真は彼の手元を覗いた。
そこには誕生日おめでとうの文字と「付き合うことにしました」の文字。送信者の名前を見ると夏樹からだ。
希壱と一真が顔を見合わせていたら、今度は写真が送信されてきて、笑みを浮かべた夏樹と彬人が写っている。
「少し前に相談されてたんだけど。今日はめでたい日だから、だって」
「どうせ、俺たちも付き合うか。くらいの勢いだろ」
「え? 一真さん、なんでわかるの」
「わからないほうがおかしい」
二人が揃った場面を初めて見た一真でさえ気づいたのだから、ほかの者も気づいていそうだ。
夏樹の相手がなかなか見つからなかったのは、そのせいではないだろうか。
あとから聞いた話では、なにかと二人は一緒にいる機会が多いのだとか。
希壱と彬人が二人で会っていたのかと思ったあれも、夏樹を含めた三人だったらしい。
二人の雰囲気に気づいていなかったのは、当人たちと、希壱くらいに違いない。
「そういえば指輪の交換しないの?」
「は?」
「お揃いの指輪を買ったって、希壱に聞いたわよ~」
「希壱?」
「怒らないでよ。嬉しくてつい、いつもの調子であずみ姉に口が滑ったんだよ」
指輪は一真がここへ来る前に、確かに引き取ってきた。ただ今日、家に帰ってからゆっくり、と思っていたのだ。
「希壱はあずみに口が軽いの、気をつけろ。こいつはなんでもかんでも、話のネタにしてくるぞ」
「一真さんに迷惑をかけるなら気をつける」
大仰に一真がため息をついたら、希壱は指先で唇にバッテンを作る。しかしとっさに一真はその手を掴み、下ろさせた。
「そういう可愛いのここではやめろ」
「ええ? 一真さん理不尽だな」
「誕生会って言うより、バカップルを見守る会だな」
「こら、優哉」
「兄ちゃんは少し複雑だ」
なんとものんびりした雰囲気だ。
去年の今頃は、こんな状況になるとは想像もしなかった。希壱に対し弟みたいな感情しか抱いておらず、誕生日も把握していない。
それがいまは、誰よりも大切にしたい相手へ変わっている。
「一真さんは出来上がった指輪、見た?」
「受け渡しの時に確認した」
「どうだった?」
「仕方ねぇな。ちょっと待ってろ」
一度、存在が気になりだすと、なかなか頭から離れないものなのだろう。そわそわし始めた希壱に、一真は折れた。
荷物を置いていた椅子まで歩いて行き、紙袋からラッピングされた箱を二つ取り出す。シルバーとブルーシルバーの二色。
片方を希壱に向かって放り投げる真似をしたら、彼は跳ね上がるように驚いた。
「か、一真さん! 脅かさないで」
「いまの希壱の顔」
「そうやってすぐ、意地悪する」
ムッとした顔をする恋人の傍へ戻り、頬をつまむと、急に横を向いた希壱に手を囓られた。
わずかに一真が片眉を上げると、ふふんと笑いそうな、得意気な表情を浮かべる。
「ほら、こっちが俺の」
「え! 指輪をはめさせてくれるの?」
「ギャラリーの視線がうるせぇから、しょうがない。ぜってぇのちのちまで、文句を言うんだぜ。特にあずみ」
ブルーシルバーの箱を手渡すと、希壱の目がキラキラ輝き出す。理由はなんであれ、嬉しいものは嬉しいらしい。
「お姉ちゃんに感謝しなさい」
「あずみ姉、ありがとう!」
「得意気に感謝されてるなよ」
誇らしげなあずみの顔が、先ほどの希壱の顔とよく似ていた。
この二人は前世かなにかで、姉弟だったのではとたまに感じる。
「わあ、綺麗に出来上がったね。ひねりのところ注文どおり、光の反射でグラデーションができてる」
箱を開けると、V字のウェーブデザインの指輪。細かく指示しただけあって、非常に繊細な加工がされている。
装飾はつけなかったが、プラチナの輝きにプラスし、味わい深い色合いになった。
「一真さん早く!」
「めでたい曲でもかけてやろうか?」
「やめろ」
急かす希壱の声に、優哉が笑いながら天井のスピーカーを指さすので、一真は即座に言葉を返す。
「一真さん。俺が幸せにしてあげるからね」
「希壱、男前!」
「ギャラリーは黙っとけ」
一真の手を取った希壱は嬉しそうに、幸せそうにはにかんでいた。
これほどの表情を見ると、なぜいままで自分に自信が持てなかったのだろうと、一真は自分が情けなくなる。
希壱の気持ちは疑う部分など、欠片もなかった。最初から。
「仕方ねぇから、希壱の面倒は俺が一生見てやる。来年は引っ越しな」
「え? なにそれ、聞いてないよ! 峰岸」
「だから、外野は黙っとけ」
あずみの次に声を上げた、弥彦の焦った声に彼以外の全員がくすくすと笑う。
「はーい。二人の誓いを、時沢あずみが見届けまーす! 次は誓いのキスをどうぞ」
「はあ?」
「一真さん、しないの?」
「おーまーえーはっ、こんな時ばっかりその声、出しやがって」
希壱得意のおねだり声。
微妙なトーンの変化は、一真くらいしかわからないらしく、希壱はそれに気づいてから、ここぞという場面で駆使してくる。
「一真さん大好き」
そしてこの台詞で一真をやり込めるのだ。
「しょうがねぇな!」
ニコニコとしている、希壱のTシャツの襟首を掴むと、ぐいと引き寄せた一真は、勢いのまま彼の唇にキスをする。
周りから「おー」「やったな」とはやし立てる声と拍手が響くけれど、仕返しをしてきた希壱に捕まり、しばらくキスタイムが終わらなかった。
「今度、一真さんのお母さんにご挨拶、行こうね」
「いまさらかよ」
「だって恋人ができたら紹介してね、って言われてるんでしょ? 俺、いつ来るの、って聞かれた」
ようやくキスが終わったら、開口一番、親へのご挨拶宣言。
いつの間に母親とまで連絡先を交換していたのか。
一真は額を押さえて上を向くと、盛大なため息を吐いた。
「夏休みのうちにな」
「やった!」
喜びで万歳をする希壱に、一真の口元がほころぶ。彼が喜ぶなら、なんでもしてしまいそうな自分に、呆れつつも嬉しくなる。
長く止まっていた時間が動きだした。
恋や愛から逃げ、心の時間を止めていた一真は、ようやく自然と呼吸ができるようになった気がする。
それは長く眠りについていたお姫さまが、王子様のキスで目覚める瞬間。
end
17
お気に入りに追加
96
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
オメガ社長は秘書に抱かれたい
須宮りんこ
BL
芦原奏は二十九歳の若手社長として活躍しているオメガだ。奏の隣には、元同級生であり現在は有能な秘書である高辻理仁がいる。
高校生の時から高辻に恋をしている奏はヒートのたびに高辻に抱いてもらおうとするが、受け入れてもらえたことはない。
ある時、奏は高辻への不毛な恋を諦めようと母から勧められた相手と見合いをする。知り合った女性とデートを重ねる奏だったが――。
※この作品はエブリスタとムーンライトノベルスにも掲載しています。
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~
ちろる
BL
白鳳出版に勤める風間伊吹(かざまいぶき)は
付き合って一年三ヶ月になる恋人、佐伯真白(さえきましろ)の
徐々に見えてきた異常な執着心に倦怠感を抱いていた。
なんとか元の真白に戻って欲しいと願うが──。
ヤンデレ先輩×ノンケ後輩。
表紙画はミカスケ様のフリーイラストを
拝借させて頂いています。
Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました
葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー
最悪な展開からの運命的な出会い
年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。
そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。
人生最悪の展開、と思ったけれど。
思いがけずに運命的な出会いをしました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる