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二人の初めて
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いつにも増して、触れる肌が熱いように感じる。彼の熱か自分の熱か、いまは混じってよくわからない。それでも触れ合う肌が心地良くて、雄史はうっとりと目を細めた。
「志織さん、好き、大好き。もう可愛くて、全部食べてしまいたい。なんか志織さんって、どこもかしこも甘いよね。お菓子を食べてるみたいな気分になる」
まだ触れてもいないのに、ツンと立ち上がっていた胸の尖り。それをきゅっと指先で摘まんで、もう片方を舌先で撫でる。
味わうように何度もそこを舐めると、舌に感じる甘さよりも、もっと甘い声が漏れ聞こえてきた。
それを誘うように肌を舐め尽くせば、腰をくねらせて身をよじる。
「もうトロトロですね。はあ、……でも、もっと欲しい。いいんですよね?」
しつこいくらいの愛撫に力なく横たわる彼は、熱のこもった雄史の目に小さく頷く。そして身体を撫でる手を滑らせて、デニムに手をかければ、それを促すように腰を上げた。
「なんだか、またなにかがぶち切れそうです」
何度も触れたことがあるのに、今日はさらに恋人がおいしそうに見えてくる。いまにも襲いかかりたい衝動をこらえて、雄史はたっぷりと手にこぼしたローションを温めた。
「ねぇ、志織さん。もしかして、ここ……初めてだったりする?」
目前にある小さな窄まりに、目が釘付けになるけれど、あまりにも綺麗なそこに雄史は首を傾げた。
男性経験はまったくないが、それに関しての予備知識は仕入れてある。そこが一度も使われていないだろうことは、容易く想像できた。
ちらりと視線を上げて彼の様子を窺えば、完全防備と言えるくらい腕や手で表情を隠している。けれど耳や首筋は真っ赤で、羞恥をこらえているのはよくわかった。
「……ねぇ、志織さん?」
「い、いまは、……いいだろ。そんな、こと」
「よくない。よくないです。大事なことだよ」
ローションをまとわせた指で、ゆるりと円を描くようにフチを撫でて、繰り返し刺激すると立てた膝が小さく震える。柔らかくなってきた頃に指先を押し込むと、少しばかり腰が逃げた。
「やっぱり、やめよう。志織さん、気持ちが追いついてないんじゃない? 受け手に回るの初めてですよね? ……おかしいなって思ってたんだ。いくら俺が押してばかりいるからって」
「……面倒、くさいのか」
「えっ? ちがっ! そうじゃない。そうじゃないです! って、……もう! そんな風に言われたら、ほんとに俺、止まれない! いまのは絶対に志織さんが悪い!」
「んぁ……っ」
逃げる腰を掴んで、ゆっくりと挿し入れた指を根元まで押し込む。
中の狭さを確かめるように内壁をなぞれば、さらに逃げ出そうとするけれど、ぎゅっとシーツを握る手がそれをこらえようとしていた。
そんな仕草を見てしまうと少しも乱暴には扱えない。酷くしないように、なるべく優しく、心の中でそう繰り返し唱えながら、雄史は小さな反応を確かめて指を動かしていく。
するとこらえるようなか細い声が少しずつ、湿り気を帯びてくる。
「ぁっ、あ……んっ」
「ああっ、もう、やばい、やばい」
指を増やして拡げたそこを見て何度も喉が鳴った。張り詰めた熱はかなり限界に近い。いま挿れたら一瞬ではないか、そう思うとぶんぶんと煩悩を払うみたいに首を振ってしまう。
「も、いい……いいから」
「え?」
「はやく、それ、挿れろ」
「んんっ、……ごめんなさい、志織さん! もう、我慢の利かない俺のことは、あとでなじっても殴ってもいいですっ」
ここは紳士的にもっとゆっくり、そう思っても遠慮や躊躇いを見せている余裕がない。慌ただしくゴムを付けると、雄史は暴発しそうな熱を小さな窄まりに押しつけた。
それでもなけなしの理性が無理矢理に押し開くのだけはこらえた。
「あっ、あぁっ、……雄史っ、もっと、もっと奥、早く」
「ちょっと待って、なにこれ、中、熱いし狭いし、やば、い。駄目です! あんまり煽られると、……っ」
「……っ、んっ、あっ、ぁっ」
甘く上擦った声――それが耳の奥にじわりじわりと染み込んで来る。それに気づくと、馬鹿みたいに腰を振っている自分にも気づく。ローションが粘る音に、余裕のない切羽詰まった彼の声が混じって、頭の中が真っ白になる。
泣き縋るような甘やかな声。それがもっと聞きたくなって、激しく穿つと志織はあられもなく喘いで、身体をビクビクと跳ね上げた。
「志織さん、志織さんっ、もっと、もっと啼いて、たまんない」
「んっ、……ぁっ、ぁっ、んんっ」
「駄目、口噛んじゃ駄目。声、聞きたい」
身体をのけ反らせてシーツをきつく握る、その手に手を重ねて引き結んだ唇を舌先で撫でた。さらに催促するように雄史が顎先を舐めると、うっすらと開かれた唇からまた甘い声が漏れ出してくる。
「ねぇ、志織さん、気持ちいい?」
「……ぅんっ、いい、……気持ち、いいっ、あっぁっ」
見下ろす先にある、熱を孕んだ瞳からこぼれ落ちるものに、雄史は一気に感情が噴出するような気分になった。荒々しく腰を鷲掴み、より一層、激しく突き上げる。
見開かれた瞳から、ぼろぼろとこぼれる雫が儚くて綺麗で、もっと泣かせたくなった。自分にこんな加虐心があったのかと驚く。
「あっ、あっ、ゆ、……ゆう、しっ、雄史っ、あっ、やっ……駄目だっ、イク、いぁっ、イクっ、待って、……や、ぁあっ!」
「ぁ、……んっ」
狭いそこが締めつけるように、ますますきゅうっと収縮して熱に絡みつく。それに刺激されて限界まで押し込めていたものが弾けた。快感が尾を引いて、ドクドクと欲が吐き出されていくのが感じられる。
ゴムを付けていなかったら、彼の中に溢れるくらい注ぎ込んでいた。
「……やばい、すごい気持ち良かった。……あっ、志織さんっ」
ずるりと萎えたものを勢いよく引き抜くと、ピクンと身体が跳ねた。慌てて顔をのぞき込めば、涙を溢れさせた瞳に見つめ返される。
「ごめんなさい! 加減ができなかったです!」
薄く開いた唇からこぼれる呼気も弱々しく、とっさに涙を拭えばさらに溢れ出してくる。
けれどそれに慌てふためいていたら、伸ばされた両手に引き寄せられた。唇が重なって、熱を感じる舌に口の中を撫でられる。
くちゅくちゅと水音が鳴るくらい、唾液を滴らせて口づけを交わし、唇が離れた時には二人分の唾液が糸を引く。
まだ熱っぽい目をしている恋人に、目を奪われながら雄史は息を飲んだ。
「大丈夫ですか? すみません、俺、やっぱり我慢できなくて。初めてなのに、めちゃくちゃ乱暴にしちゃって」
いまだに息の整わない彼を見ていると、どんどんと雄史の中に焦りが湧いてくる。
あたふたとタオルで体液やローションで汚れた身体を拭いて、冷蔵庫から持ち出してきた水を彼の口に含ませる。
そして汗ばんだ髪を撫で、頬をさすっていると、ふっと彼は息を吐くみたいに笑った。その表情の変化に目を瞬かせれば、さらに小さく声を上げて笑う。
「大丈夫、だ。そんなに柔じゃないから、このくらいは平気だ」
「で、でも、どっか痛いとこないですか?」
「ない。……だけど」
「だけど?」
「ちょっと想像以上に気持ち良かったから、身体に力が入らない」
「んんっ! 志織さん、それ反則」
ふわっと綻ぶようにはにかんだ、その顔があまりにも可愛くて、感情を通り越してまた鼻血が噴出しそうになる。とっさに鼻を押さえた雄史の反応に、志織は再び声を上げて笑った。
「雄史、悶えてるとこ悪いけど、少し手を貸して」
「あっ、はい! お風呂に入ります?」
「うん」
身体を起こした彼の背に手を回せば、床へ足を下ろす。しかしその時、右足が少し跳ねたことに雄史は気づいた。そっと手を伸ばして足首を撫でたら、ばつが悪い顔をする。
「抱っこします?」
「いいよ、そこまでじゃない」
「えー、したいです」
「いいって、肩貸して」
志織の前に立って両手を広げると、笑ってその手を押し退けられた。それにわざとらしく頬を膨らませれば、小さなリップ音を立てて口先に口づけられる。
たったそれだけで、気持ちが容易くなだめすかされてしまう自分が情けないが、へらりと笑みをこぼすと雄史は彼の腕を担いだ。
「志織さん、好き、大好き。もう可愛くて、全部食べてしまいたい。なんか志織さんって、どこもかしこも甘いよね。お菓子を食べてるみたいな気分になる」
まだ触れてもいないのに、ツンと立ち上がっていた胸の尖り。それをきゅっと指先で摘まんで、もう片方を舌先で撫でる。
味わうように何度もそこを舐めると、舌に感じる甘さよりも、もっと甘い声が漏れ聞こえてきた。
それを誘うように肌を舐め尽くせば、腰をくねらせて身をよじる。
「もうトロトロですね。はあ、……でも、もっと欲しい。いいんですよね?」
しつこいくらいの愛撫に力なく横たわる彼は、熱のこもった雄史の目に小さく頷く。そして身体を撫でる手を滑らせて、デニムに手をかければ、それを促すように腰を上げた。
「なんだか、またなにかがぶち切れそうです」
何度も触れたことがあるのに、今日はさらに恋人がおいしそうに見えてくる。いまにも襲いかかりたい衝動をこらえて、雄史はたっぷりと手にこぼしたローションを温めた。
「ねぇ、志織さん。もしかして、ここ……初めてだったりする?」
目前にある小さな窄まりに、目が釘付けになるけれど、あまりにも綺麗なそこに雄史は首を傾げた。
男性経験はまったくないが、それに関しての予備知識は仕入れてある。そこが一度も使われていないだろうことは、容易く想像できた。
ちらりと視線を上げて彼の様子を窺えば、完全防備と言えるくらい腕や手で表情を隠している。けれど耳や首筋は真っ赤で、羞恥をこらえているのはよくわかった。
「……ねぇ、志織さん?」
「い、いまは、……いいだろ。そんな、こと」
「よくない。よくないです。大事なことだよ」
ローションをまとわせた指で、ゆるりと円を描くようにフチを撫でて、繰り返し刺激すると立てた膝が小さく震える。柔らかくなってきた頃に指先を押し込むと、少しばかり腰が逃げた。
「やっぱり、やめよう。志織さん、気持ちが追いついてないんじゃない? 受け手に回るの初めてですよね? ……おかしいなって思ってたんだ。いくら俺が押してばかりいるからって」
「……面倒、くさいのか」
「えっ? ちがっ! そうじゃない。そうじゃないです! って、……もう! そんな風に言われたら、ほんとに俺、止まれない! いまのは絶対に志織さんが悪い!」
「んぁ……っ」
逃げる腰を掴んで、ゆっくりと挿し入れた指を根元まで押し込む。
中の狭さを確かめるように内壁をなぞれば、さらに逃げ出そうとするけれど、ぎゅっとシーツを握る手がそれをこらえようとしていた。
そんな仕草を見てしまうと少しも乱暴には扱えない。酷くしないように、なるべく優しく、心の中でそう繰り返し唱えながら、雄史は小さな反応を確かめて指を動かしていく。
するとこらえるようなか細い声が少しずつ、湿り気を帯びてくる。
「ぁっ、あ……んっ」
「ああっ、もう、やばい、やばい」
指を増やして拡げたそこを見て何度も喉が鳴った。張り詰めた熱はかなり限界に近い。いま挿れたら一瞬ではないか、そう思うとぶんぶんと煩悩を払うみたいに首を振ってしまう。
「も、いい……いいから」
「え?」
「はやく、それ、挿れろ」
「んんっ、……ごめんなさい、志織さん! もう、我慢の利かない俺のことは、あとでなじっても殴ってもいいですっ」
ここは紳士的にもっとゆっくり、そう思っても遠慮や躊躇いを見せている余裕がない。慌ただしくゴムを付けると、雄史は暴発しそうな熱を小さな窄まりに押しつけた。
それでもなけなしの理性が無理矢理に押し開くのだけはこらえた。
「あっ、あぁっ、……雄史っ、もっと、もっと奥、早く」
「ちょっと待って、なにこれ、中、熱いし狭いし、やば、い。駄目です! あんまり煽られると、……っ」
「……っ、んっ、あっ、ぁっ」
甘く上擦った声――それが耳の奥にじわりじわりと染み込んで来る。それに気づくと、馬鹿みたいに腰を振っている自分にも気づく。ローションが粘る音に、余裕のない切羽詰まった彼の声が混じって、頭の中が真っ白になる。
泣き縋るような甘やかな声。それがもっと聞きたくなって、激しく穿つと志織はあられもなく喘いで、身体をビクビクと跳ね上げた。
「志織さん、志織さんっ、もっと、もっと啼いて、たまんない」
「んっ、……ぁっ、ぁっ、んんっ」
「駄目、口噛んじゃ駄目。声、聞きたい」
身体をのけ反らせてシーツをきつく握る、その手に手を重ねて引き結んだ唇を舌先で撫でた。さらに催促するように雄史が顎先を舐めると、うっすらと開かれた唇からまた甘い声が漏れ出してくる。
「ねぇ、志織さん、気持ちいい?」
「……ぅんっ、いい、……気持ち、いいっ、あっぁっ」
見下ろす先にある、熱を孕んだ瞳からこぼれ落ちるものに、雄史は一気に感情が噴出するような気分になった。荒々しく腰を鷲掴み、より一層、激しく突き上げる。
見開かれた瞳から、ぼろぼろとこぼれる雫が儚くて綺麗で、もっと泣かせたくなった。自分にこんな加虐心があったのかと驚く。
「あっ、あっ、ゆ、……ゆう、しっ、雄史っ、あっ、やっ……駄目だっ、イク、いぁっ、イクっ、待って、……や、ぁあっ!」
「ぁ、……んっ」
狭いそこが締めつけるように、ますますきゅうっと収縮して熱に絡みつく。それに刺激されて限界まで押し込めていたものが弾けた。快感が尾を引いて、ドクドクと欲が吐き出されていくのが感じられる。
ゴムを付けていなかったら、彼の中に溢れるくらい注ぎ込んでいた。
「……やばい、すごい気持ち良かった。……あっ、志織さんっ」
ずるりと萎えたものを勢いよく引き抜くと、ピクンと身体が跳ねた。慌てて顔をのぞき込めば、涙を溢れさせた瞳に見つめ返される。
「ごめんなさい! 加減ができなかったです!」
薄く開いた唇からこぼれる呼気も弱々しく、とっさに涙を拭えばさらに溢れ出してくる。
けれどそれに慌てふためいていたら、伸ばされた両手に引き寄せられた。唇が重なって、熱を感じる舌に口の中を撫でられる。
くちゅくちゅと水音が鳴るくらい、唾液を滴らせて口づけを交わし、唇が離れた時には二人分の唾液が糸を引く。
まだ熱っぽい目をしている恋人に、目を奪われながら雄史は息を飲んだ。
「大丈夫ですか? すみません、俺、やっぱり我慢できなくて。初めてなのに、めちゃくちゃ乱暴にしちゃって」
いまだに息の整わない彼を見ていると、どんどんと雄史の中に焦りが湧いてくる。
あたふたとタオルで体液やローションで汚れた身体を拭いて、冷蔵庫から持ち出してきた水を彼の口に含ませる。
そして汗ばんだ髪を撫で、頬をさすっていると、ふっと彼は息を吐くみたいに笑った。その表情の変化に目を瞬かせれば、さらに小さく声を上げて笑う。
「大丈夫、だ。そんなに柔じゃないから、このくらいは平気だ」
「で、でも、どっか痛いとこないですか?」
「ない。……だけど」
「だけど?」
「ちょっと想像以上に気持ち良かったから、身体に力が入らない」
「んんっ! 志織さん、それ反則」
ふわっと綻ぶようにはにかんだ、その顔があまりにも可愛くて、感情を通り越してまた鼻血が噴出しそうになる。とっさに鼻を押さえた雄史の反応に、志織は再び声を上げて笑った。
「雄史、悶えてるとこ悪いけど、少し手を貸して」
「あっ、はい! お風呂に入ります?」
「うん」
身体を起こした彼の背に手を回せば、床へ足を下ろす。しかしその時、右足が少し跳ねたことに雄史は気づいた。そっと手を伸ばして足首を撫でたら、ばつが悪い顔をする。
「抱っこします?」
「いいよ、そこまでじゃない」
「えー、したいです」
「いいって、肩貸して」
志織の前に立って両手を広げると、笑ってその手を押し退けられた。それにわざとらしく頬を膨らませれば、小さなリップ音を立てて口先に口づけられる。
たったそれだけで、気持ちが容易くなだめすかされてしまう自分が情けないが、へらりと笑みをこぼすと雄史は彼の腕を担いだ。
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