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本編
ハートのカフェラテ side 幸太
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フラれること前提に勇気を振り絞って告げた告白をした時、つぐみは目を瞠って驚いた表情で俺を見つめていた。
早々につぐみにフラれると思っていた、俺の告白…。
切なそうに笑みを浮かべたあと、つぐみは何か思い当たった様子で、まずカレシの存在を否定した。
どういう訳か、つぐみの会社の先輩に俺は煽られ、騙されていたらしい。
俺はつぐみにカレシが居ないことに、少し安心した。
ささやかだけど…つぐみの側にまだ居られるかも知れない期待が生まれた。
しかし…つぐみが話し始めた過去の出来事に、俺は今まで感じたことのない怒りを覚えた。
つぐみは好きだった男に愚弄されて傷ついていた。
今までつぐみに合うたび、少し緊張した様な一歩引いた雰囲気は、その男によってつけられた心の傷が原因だった。
(強引に抱き締めたり、キスを迫ったりしなくて良かった…。)
そう思ったと同時に、俺は自分が発した言葉が彼女を悩ませていたことと、彼女の俺に対する想いの片鱗を彼女の言葉から拾い上げた。
“お試し”という言葉が彼女をどれだけ苦しめたのかを理解し、泣きながら話す彼女の姿を見て更に後悔すると同時に、彼女の“好きになっちゃいけないと思っていた。”という言葉は、ハッキリとした好意を示すではないにしろ、先程までフラれる覚悟しかなかった俺にとって、その言葉は歓喜でしかなかった。
「ゴメン…ちょっと…待ってね…」
そう言って泣き止もうと彼女は、俺に背を向けた。
つぐみは一人で泣いて、一人で立ち直ろうとしていた。
俺はそんなつぐみを、躊躇しながら後ろからそっと抱き寄せた。
驚いて身動ぎするつぐみの頭をあやすように撫でた。
「一人で泣かないで…一人で立ち直ろうとしないで…俺が側にいるから…」
「幸太…くん…」
「俺のこと…嫌い?」
つぐみは横に首を振る。
「俺、許されるならつぐみの側に居たい。もう独り善がりでつぐみを傷付けたりしない。もう一度…今度は“お試し”なんかじゃなくて、ちゃんと正式な俺の彼女になって?」
俺の言葉に、彼女は振り返り俺と向き合った。
泣き止もうとしていた彼女の大きな瞳から、また大粒の涙が零れ落ちる。
「…私で…いいの?」
「つぐみじゃないとダメなんだ。今までだってつぐみにしか心が動かなかった。恋愛初心者のヘタレだけど…一緒に居て欲しいのは、つぐみだけだよ。」
「…私も素直じゃない可愛いげのない女だよ?」
つぐみの顔に両手を添えて、額を合わせる。
「お互い様だよ…恋愛は一人じゃ出来ない。つぐみ好きだから俺は頑張りたい。」
「…じゃあ…私も頑張る。」
俺は額を離し、目を瞠ってつぐみを見つめた。
「私も…幸太くんが好きだから…素直になれるように頑張る。」
その言葉は、歓喜でしかなかった。
飢えていた心が、つぐみの言葉で息を吹き返す。
腕の中にスッポリ入ってしまうつぐみの身体を、強く抱きしめてカッコ悪くも俺は泣いていた。
恥も外聞も知ったこっちゃない。
やっと…俺の腕の中に取り戻した初恋の人だ。
それを喜び、愛しいと泣いて何が悪い!
…ただし、弱った身体には過ぎた喜びだったらしくその後、貧血で倒れてつぐみに大変な心配をさせてしまったことは、反省しようと思う。
今、いつかの俺たちと逆で、つぐみが甲斐甲斐しく俺の看病をしてくれている。
直ぐに体調は回復するだろう。
どんな薬でも治らない恋の病は、つぐみという特効薬が居れば悪化することはない。
溺愛という副作用つきだけど…。
早々につぐみにフラれると思っていた、俺の告白…。
切なそうに笑みを浮かべたあと、つぐみは何か思い当たった様子で、まずカレシの存在を否定した。
どういう訳か、つぐみの会社の先輩に俺は煽られ、騙されていたらしい。
俺はつぐみにカレシが居ないことに、少し安心した。
ささやかだけど…つぐみの側にまだ居られるかも知れない期待が生まれた。
しかし…つぐみが話し始めた過去の出来事に、俺は今まで感じたことのない怒りを覚えた。
つぐみは好きだった男に愚弄されて傷ついていた。
今までつぐみに合うたび、少し緊張した様な一歩引いた雰囲気は、その男によってつけられた心の傷が原因だった。
(強引に抱き締めたり、キスを迫ったりしなくて良かった…。)
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“お試し”という言葉が彼女をどれだけ苦しめたのかを理解し、泣きながら話す彼女の姿を見て更に後悔すると同時に、彼女の“好きになっちゃいけないと思っていた。”という言葉は、ハッキリとした好意を示すではないにしろ、先程までフラれる覚悟しかなかった俺にとって、その言葉は歓喜でしかなかった。
「ゴメン…ちょっと…待ってね…」
そう言って泣き止もうと彼女は、俺に背を向けた。
つぐみは一人で泣いて、一人で立ち直ろうとしていた。
俺はそんなつぐみを、躊躇しながら後ろからそっと抱き寄せた。
驚いて身動ぎするつぐみの頭をあやすように撫でた。
「一人で泣かないで…一人で立ち直ろうとしないで…俺が側にいるから…」
「幸太…くん…」
「俺のこと…嫌い?」
つぐみは横に首を振る。
「俺、許されるならつぐみの側に居たい。もう独り善がりでつぐみを傷付けたりしない。もう一度…今度は“お試し”なんかじゃなくて、ちゃんと正式な俺の彼女になって?」
俺の言葉に、彼女は振り返り俺と向き合った。
泣き止もうとしていた彼女の大きな瞳から、また大粒の涙が零れ落ちる。
「…私で…いいの?」
「つぐみじゃないとダメなんだ。今までだってつぐみにしか心が動かなかった。恋愛初心者のヘタレだけど…一緒に居て欲しいのは、つぐみだけだよ。」
「…私も素直じゃない可愛いげのない女だよ?」
つぐみの顔に両手を添えて、額を合わせる。
「お互い様だよ…恋愛は一人じゃ出来ない。つぐみ好きだから俺は頑張りたい。」
「…じゃあ…私も頑張る。」
俺は額を離し、目を瞠ってつぐみを見つめた。
「私も…幸太くんが好きだから…素直になれるように頑張る。」
その言葉は、歓喜でしかなかった。
飢えていた心が、つぐみの言葉で息を吹き返す。
腕の中にスッポリ入ってしまうつぐみの身体を、強く抱きしめてカッコ悪くも俺は泣いていた。
恥も外聞も知ったこっちゃない。
やっと…俺の腕の中に取り戻した初恋の人だ。
それを喜び、愛しいと泣いて何が悪い!
…ただし、弱った身体には過ぎた喜びだったらしくその後、貧血で倒れてつぐみに大変な心配をさせてしまったことは、反省しようと思う。
今、いつかの俺たちと逆で、つぐみが甲斐甲斐しく俺の看病をしてくれている。
直ぐに体調は回復するだろう。
どんな薬でも治らない恋の病は、つぐみという特効薬が居れば悪化することはない。
溺愛という副作用つきだけど…。
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