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幕間2
一番上の姉
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日和の別荘で過ごし終えた翌日。
ゴールデンウィーク最終日とはいえ、3日間遊び尽くしたために動く気にはなれない。日和の別荘ではよく眠っていたはずだが、普段とは違う環境だったので眠りの質が良くなかったのだろう。
ベッドに寝転びながらスマホをいじっていたらいつの間にかお昼時になっていた。このまま何もせず、時間が過ぎるのを待つという日があっても良いだろう。ご飯は小腹が空いてから食べることにしよう。
そんなだらしない考え方をしていると、一件のメッセージが上画面から流れてきた。
『すまない。不甲斐ない姉を許してくれ』
送り主は桐花姉さんからだった。
僕は何を謝られているんだ。記憶を辿ってみるが、特に思い当たることはない。もしかすると、結花と間違えて送ってしまったのかもしれない。
ピーンポーン。
返信文を書いている最中、家のインターホンが鳴る。
一体誰だろうか。今日届く予定の荷物はない。日和が遊びに来たか。あるいは天音さんが遊び足りなくて来たか。
まあ、出ればわかることだろう。寝巻き姿だが、二人は別荘で見慣れたはずだから何も思うまい。
ベッドから起き上がる。あれだけ起きるのに苦労していたのに、来客が来た途端にすぐ起き上がれるとは。人間の習性の賜物だな。
起き上がった瞬間、もう一度チャイムが鳴る。僕はすこい早歩きで玄関に向かった。向かう間にもチャイムは二、三回鳴る。とても鬱陶しい相手だ。
「はーあ……」
扉を開け、外にいる人物に声をかける。だが、全く想像していなかった人を前にしたため僕は声が出なくなった。
茶髪のロングヘア。毎日欠かさず手入れをしているからか癖のない艶のある綺麗な髪だ。膨よかな胸、引き締まった腹回りによってスタイルは抜群だ。結花が成長したらこんな感じになるのだろうと思わせられる。
「綾花姉さん。どうしてここに?」
僕は目を見開きながら彼女を見る。
彼女は瞳を潤しながら僕をまじまじと見ていた。
「文くーん、会いたかったよ!」
それから僕の元に飛びついてくる。扉から手を離し、二人して玄関に倒れ込んだ。尻を強打すると共に押し潰される。同じように綾花姉さんの胸が僕の身体に押し潰される。
地獄のような天国のような空間だ。
「一ヶ月、いえ、一ヶ月半ぶりの文くんの匂いだ。寝巻きということは夜に掻いた汗の匂いかしら? うーん、そそるわぁ……」
首元に顔を当て、徐に匂いを嗅ぐ。立場が逆だったら完全にアウトなシチュエーションだ。
「綾姉、少しは自重してくれ」
扉が再び開かれると桐花姉さんの姿が見える。
「嫌よ! 一ヶ月半も我慢したんだよ! その分吸引できなかった文くんの匂いをこのタイミングで嗅いでおかないと私死んじゃうかもしれない!」
とんだ暴論だ。
「一ヶ月半も我慢してないだろ。普通に文也の部屋に行って服の匂いを嗅いでただろうに」
本人のいないところで何やってるんだ、この人は。
「洗濯した服の匂いなんてたかが知れてるの。ベッドに置かれた枕の匂いも、いつも握っていた中学の教科書の匂いも嗅いだけど全然物足りなかった」
否定しないどころか詳細に話し始めたぞ、この人。
「やっぱり、本人が一番よね」
綾花姉さんはそう言って僕の胸に顔を埋める。綾花姉さんの奇行を見かねた桐花姉さんが彼女の両脇に腕を巻いて僕から無理やり引き剥がす。
三つ年上とはいえ、流石に毎日鍛えている人間には敵わないらしい。
「ちょっと桐花なにするのよ。まだ全然吸引しきれてないんだよ!」
綾花姉さんは両手を前に出して必死に僕に近づこうとする。その姿はまるでゾンビのようだった。
「桐花ぁ……離しなさぁい……」
「今の綾姉の言動を見て離せるわけないだろ」
一進一退の攻防が続く。先ほどまで完全に抑えられていた綾花姉さんがここに来て徐々に動き始める。欲望に飢えた人間の力は凄まじい。
「ちっ。仕方ない。文也! 少し下がってろ」
取り押さえても無駄だと分かった桐花姉さんは僕に声をかける。言われたとおり、立ち上がって綾花姉さんから距離をとった。
「あぁ……文くん、私を置いていかないで」
離れていく僕を見て、綾花姉さんは涙を浮かべた。
その隙をついてか、桐花姉さんが綾花姉さんを膝で前に押す。綾花姉さんは体勢を崩し、前のめりになる。だが、それは一瞬で桐花姉さんに腕を引っ張られ、元の体勢に戻る。
桐花姉さんは持った綾花姉さんの両手の手首同士をくっつけると、片手持ちに変えてもう一方の手をポケットに入れる。そして、取り出した『手錠』を彼女にかけた。
「これでもう大丈夫だ」
桐花姉さんはそう言って汗を拭う。綾花姉さんは先ほど浮かべた涙を滝のように流し、地面に崩れ去った。まさに犯人と警察の構図だ。
「すまない。文也、安全な場所に移したつもりだったのだが、綾花姉さんが想像を上回る行動をしたがために見つかってしまった」
なるほど。だからさっき謝罪のメールを送ったのか。
「どうやってここが特定されたの?」
桐花姉さんに尋ねると、下から「ふっふっふ」と魔女のような笑い声が響いてくる。
「文くんが教えてくれたんだよ」
満面の笑みを浮かべながら僕に顔を向ける。魔女のような笑い声なのに、彼女の笑みは女神のようだった。情緒は一体どうなっているんだ。
「僕が教えたってどういうこと?」
「文くん、私に自分のいる場所を教えために『最上』の表札をつけてくれたんでしょ」
「表札……いや、あれはネット注文を良くするから配達員に分かりやすいようにつけただけだけど」
「恥ずかしがって嘘つかなくてもいいのに。私、ちゃんと文くんの信号をキャッチしたよ」
勝手に理由を捏造されて話を進められた。
「でも、僕が表札を入れただけで何で居場所が分かったの? だってどこに住んでいるかなんて誰も教えてないでしょ?」
「そうね。誰も教えてくれなかったわ。だから一ヶ月半もかかったのよ」
「だから一ヶ月半もかかった? まさか!」
脳裏に浮かんだ一つの方法。それはあまりにも現実離れしていた。だが、こうして綾花姉さんに会った今となってはありうる話だと思ってしまう。
「綾姉は文也の通っている高校周辺のアパート全てを回っただよ」
桐花姉さんがため息混じりに理由を告げた。話を聞けば聞くほど、今手錠で身柄を拘束されている姉さんがそれっぽく見えてくる。
「私から文くんを引き離そうと考えたのは良いけど詰めが甘すぎたわね。文くんの通っている高校は知っていたから、高校周辺で我が家の家計的に引越しができそうな場所の検討をつけ、実際に赴くことで誰が住んでいるかを確認したわ。そして、ようやくここに辿り着くことができた。試しに桐花に住所を告げたら、微かな動揺を浮かべていたから確実になったわけよ」
手錠に似合わず、彼女の口調は推理を述べる探偵のようだ。
「ということで、これからは毎日文くんの家にお邪魔させてもらうからね」
「ま、毎日?」
「良いでしょ? あ、もしかして、学校で彼女作ったわけではないよね?」
女神のような笑みを浮かべる綾花姉さんだが、彼女の背後には凄まじい負のオーラが漂っていた。一方の答えを封じられたような聞き振る舞いだ。
僕は桐花姉さんの方を向く。彼女は呆れた表情で首を横に振っていた。諦めろということらしい。
「う、うん」
「やはっ、じゃあ毎日お邪魔しても大丈夫そうだね」
負のオーラは一瞬のうちにして消え、神々しいオーラだけが残ったのだった。
ゴールデンウィーク最終日とはいえ、3日間遊び尽くしたために動く気にはなれない。日和の別荘ではよく眠っていたはずだが、普段とは違う環境だったので眠りの質が良くなかったのだろう。
ベッドに寝転びながらスマホをいじっていたらいつの間にかお昼時になっていた。このまま何もせず、時間が過ぎるのを待つという日があっても良いだろう。ご飯は小腹が空いてから食べることにしよう。
そんなだらしない考え方をしていると、一件のメッセージが上画面から流れてきた。
『すまない。不甲斐ない姉を許してくれ』
送り主は桐花姉さんからだった。
僕は何を謝られているんだ。記憶を辿ってみるが、特に思い当たることはない。もしかすると、結花と間違えて送ってしまったのかもしれない。
ピーンポーン。
返信文を書いている最中、家のインターホンが鳴る。
一体誰だろうか。今日届く予定の荷物はない。日和が遊びに来たか。あるいは天音さんが遊び足りなくて来たか。
まあ、出ればわかることだろう。寝巻き姿だが、二人は別荘で見慣れたはずだから何も思うまい。
ベッドから起き上がる。あれだけ起きるのに苦労していたのに、来客が来た途端にすぐ起き上がれるとは。人間の習性の賜物だな。
起き上がった瞬間、もう一度チャイムが鳴る。僕はすこい早歩きで玄関に向かった。向かう間にもチャイムは二、三回鳴る。とても鬱陶しい相手だ。
「はーあ……」
扉を開け、外にいる人物に声をかける。だが、全く想像していなかった人を前にしたため僕は声が出なくなった。
茶髪のロングヘア。毎日欠かさず手入れをしているからか癖のない艶のある綺麗な髪だ。膨よかな胸、引き締まった腹回りによってスタイルは抜群だ。結花が成長したらこんな感じになるのだろうと思わせられる。
「綾花姉さん。どうしてここに?」
僕は目を見開きながら彼女を見る。
彼女は瞳を潤しながら僕をまじまじと見ていた。
「文くーん、会いたかったよ!」
それから僕の元に飛びついてくる。扉から手を離し、二人して玄関に倒れ込んだ。尻を強打すると共に押し潰される。同じように綾花姉さんの胸が僕の身体に押し潰される。
地獄のような天国のような空間だ。
「一ヶ月、いえ、一ヶ月半ぶりの文くんの匂いだ。寝巻きということは夜に掻いた汗の匂いかしら? うーん、そそるわぁ……」
首元に顔を当て、徐に匂いを嗅ぐ。立場が逆だったら完全にアウトなシチュエーションだ。
「綾姉、少しは自重してくれ」
扉が再び開かれると桐花姉さんの姿が見える。
「嫌よ! 一ヶ月半も我慢したんだよ! その分吸引できなかった文くんの匂いをこのタイミングで嗅いでおかないと私死んじゃうかもしれない!」
とんだ暴論だ。
「一ヶ月半も我慢してないだろ。普通に文也の部屋に行って服の匂いを嗅いでただろうに」
本人のいないところで何やってるんだ、この人は。
「洗濯した服の匂いなんてたかが知れてるの。ベッドに置かれた枕の匂いも、いつも握っていた中学の教科書の匂いも嗅いだけど全然物足りなかった」
否定しないどころか詳細に話し始めたぞ、この人。
「やっぱり、本人が一番よね」
綾花姉さんはそう言って僕の胸に顔を埋める。綾花姉さんの奇行を見かねた桐花姉さんが彼女の両脇に腕を巻いて僕から無理やり引き剥がす。
三つ年上とはいえ、流石に毎日鍛えている人間には敵わないらしい。
「ちょっと桐花なにするのよ。まだ全然吸引しきれてないんだよ!」
綾花姉さんは両手を前に出して必死に僕に近づこうとする。その姿はまるでゾンビのようだった。
「桐花ぁ……離しなさぁい……」
「今の綾姉の言動を見て離せるわけないだろ」
一進一退の攻防が続く。先ほどまで完全に抑えられていた綾花姉さんがここに来て徐々に動き始める。欲望に飢えた人間の力は凄まじい。
「ちっ。仕方ない。文也! 少し下がってろ」
取り押さえても無駄だと分かった桐花姉さんは僕に声をかける。言われたとおり、立ち上がって綾花姉さんから距離をとった。
「あぁ……文くん、私を置いていかないで」
離れていく僕を見て、綾花姉さんは涙を浮かべた。
その隙をついてか、桐花姉さんが綾花姉さんを膝で前に押す。綾花姉さんは体勢を崩し、前のめりになる。だが、それは一瞬で桐花姉さんに腕を引っ張られ、元の体勢に戻る。
桐花姉さんは持った綾花姉さんの両手の手首同士をくっつけると、片手持ちに変えてもう一方の手をポケットに入れる。そして、取り出した『手錠』を彼女にかけた。
「これでもう大丈夫だ」
桐花姉さんはそう言って汗を拭う。綾花姉さんは先ほど浮かべた涙を滝のように流し、地面に崩れ去った。まさに犯人と警察の構図だ。
「すまない。文也、安全な場所に移したつもりだったのだが、綾花姉さんが想像を上回る行動をしたがために見つかってしまった」
なるほど。だからさっき謝罪のメールを送ったのか。
「どうやってここが特定されたの?」
桐花姉さんに尋ねると、下から「ふっふっふ」と魔女のような笑い声が響いてくる。
「文くんが教えてくれたんだよ」
満面の笑みを浮かべながら僕に顔を向ける。魔女のような笑い声なのに、彼女の笑みは女神のようだった。情緒は一体どうなっているんだ。
「僕が教えたってどういうこと?」
「文くん、私に自分のいる場所を教えために『最上』の表札をつけてくれたんでしょ」
「表札……いや、あれはネット注文を良くするから配達員に分かりやすいようにつけただけだけど」
「恥ずかしがって嘘つかなくてもいいのに。私、ちゃんと文くんの信号をキャッチしたよ」
勝手に理由を捏造されて話を進められた。
「でも、僕が表札を入れただけで何で居場所が分かったの? だってどこに住んでいるかなんて誰も教えてないでしょ?」
「そうね。誰も教えてくれなかったわ。だから一ヶ月半もかかったのよ」
「だから一ヶ月半もかかった? まさか!」
脳裏に浮かんだ一つの方法。それはあまりにも現実離れしていた。だが、こうして綾花姉さんに会った今となってはありうる話だと思ってしまう。
「綾姉は文也の通っている高校周辺のアパート全てを回っただよ」
桐花姉さんがため息混じりに理由を告げた。話を聞けば聞くほど、今手錠で身柄を拘束されている姉さんがそれっぽく見えてくる。
「私から文くんを引き離そうと考えたのは良いけど詰めが甘すぎたわね。文くんの通っている高校は知っていたから、高校周辺で我が家の家計的に引越しができそうな場所の検討をつけ、実際に赴くことで誰が住んでいるかを確認したわ。そして、ようやくここに辿り着くことができた。試しに桐花に住所を告げたら、微かな動揺を浮かべていたから確実になったわけよ」
手錠に似合わず、彼女の口調は推理を述べる探偵のようだ。
「ということで、これからは毎日文くんの家にお邪魔させてもらうからね」
「ま、毎日?」
「良いでしょ? あ、もしかして、学校で彼女作ったわけではないよね?」
女神のような笑みを浮かべる綾花姉さんだが、彼女の背後には凄まじい負のオーラが漂っていた。一方の答えを封じられたような聞き振る舞いだ。
僕は桐花姉さんの方を向く。彼女は呆れた表情で首を横に振っていた。諦めろということらしい。
「う、うん」
「やはっ、じゃあ毎日お邪魔しても大丈夫そうだね」
負のオーラは一瞬のうちにして消え、神々しいオーラだけが残ったのだった。
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