79 / 81
2章:千丈真奈(部員を5人集めよ)
イベント予行演習
しおりを挟む
学校を出た僕らは最寄りのファミレスに足を運んだ。
店員さんにドリンクバーを注文する。千丈先輩だけは追加でパフェを頼んだ。
「へー、星宮さんはコーヒーを飲むんですね」
ドリンクコーナーでは、日和と僕と千丈先輩はジュースの出る機械を交代で使っていた。だが、星宮さんだけは隣の温かい飲み物に表示されたコーヒーを入れていた。
「カフェイン中毒ですから。とは言っても、ミルクと砂糖がないと飲めないんですけどね」
星宮さんはコーヒーを注いだカップを受け皿に乗せる。そこにさらに砂糖とミルクを加えた。コーヒーを持つ星宮さんの姿は様になっていた。
ふと、後ろから視線を感じる。振り向いて見ると日和の姿があった。穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ている。
「何かあった?」
「うんうん。ただ、二人の関係が不思議だなと思ってね。近そうに見えるし、遠そうにも見えるっていうか」
「……僕は日和のこと」
「皆まで言わなくても分かってる。だからこそ、星宮さんのことを気にかけてあげてね」
「……何かあった?」
日和は星宮さんに対して敵意を持っていると思っていた。しかし、今は全く敵意を全く感じない。何かがあったとしか思えない。
「あの子。きっと私たちと同じ気がするの。だから気を使ってあげたいというか、気を使ってほしいというか……」
気持ちが反映されたのか曖昧な言葉を並べる。
でも、なんとなく気持ちは察した。さっきの星宮さんの謝罪から何かを察知したようだ。
「分かった」
会話を終え、僕たちは席に戻った。
千丈先輩から「遅かったね」と言われたが、先ほどの話はせず、雑に誤魔化した。千丈先輩は気にしなかったが、星宮さんは訝しんだ。
「それで、今からは何をやるんですか?」
追求されるのは面倒だと考え、千丈先輩に話を促す。
「イベントの予行練習だよ」
うまく乗っかってもらえた。彼女は鞄から『イベント告知』の知らせを取り出してテーブルの上に置いた。
「ここにあるゲームの予行練習をしようと思ってね。まずは『NGワードゲーム』からやろうか」
タイムテーブルにある『ゲームコーナ』の一番上に記載された文字を指さして言う。
「定番のゲームですね」
星宮さんがボソッと呟く。
「ルールは一般的なやつと同じですか?」
「やることは一緒だね。違う点があるとすればポイント制ってところかな」
「「「ポイント制?」」」
『NGワードゲーム』では聞き慣れない制度だ。
「そんなに難しいルールじゃないよ。喋った人に1ポイント入るってだけ。例えば最上くんが喋ります。最上くんの話を受けてひよちゃんが喋ります。ひよちゃんの話を受けてさらに最上くんが喋ります。この場合、最上くんには2ポイント、ひよちゃんには1ポイントが入るって感じ。長々と話すんじゃなくて、如何に会話のキャッチボールができるかがポイントを増やすコツだよ。ただし、NGワードを言ってしまったら持ち点が0になってしまうので気をつけてね」
なるほど。このルールなら、必勝法である『喋らない』が通じない。よくできたルールだと思った。
「3ゲームやって一番ポイントを持っている人が勝ち。NGワードを決めるのは時計周りで自分の前の人ってことにしよう」
現在の座っている位置は僕の向かいに日和、隣に星宮さん、対角線上に千丈先輩となっている。つまり、僕→日和→千丈先輩→星宮さん→僕と言った形になる。
「あと、NGワードは代名詞を除く名詞ね。それと、NGワードが被ったらやり直しね」
『でも』や『私』と言った頻繁なワードは使えないわけか。
この四人で話す内容としては言遊部についてだろう。それもイベントあるいはポスターについてだと思われる。
だが、言遊部関連の単語が書かれることは察しがつくだろう。そのため、言遊部関連に出てくるが、予想がつかない単語を書く必要がある。
『杏子』
これだな。
飯塚先輩の名前であれば、察しがつきにくいし、言遊部の話題で上がる可能性も高い。それに誘導がしやすい。
全員決まったところで千丈先輩が用意してくれたルーズリーフにNGワードを書いて三角形に折ってから日和に渡す。
日和は『杏子』、千丈先輩は『結花』、星宮さんは『イベント』と書かれていた。僕の持っているスマホの画面を見た日和と千丈先輩は眉を上げた。驚いている様子だが、一体何が書かれているのだろうか。
星宮さんの方を見ると、彼女は笑みを浮かべて僕を見ていた。始まるのを楽しみにしている雰囲気がある。
「では、用意ができたので」
千丈先輩は咳払いをして一拍おく。それから陽気に声を発した。
「NGワードゲーム開始!」
店員さんにドリンクバーを注文する。千丈先輩だけは追加でパフェを頼んだ。
「へー、星宮さんはコーヒーを飲むんですね」
ドリンクコーナーでは、日和と僕と千丈先輩はジュースの出る機械を交代で使っていた。だが、星宮さんだけは隣の温かい飲み物に表示されたコーヒーを入れていた。
「カフェイン中毒ですから。とは言っても、ミルクと砂糖がないと飲めないんですけどね」
星宮さんはコーヒーを注いだカップを受け皿に乗せる。そこにさらに砂糖とミルクを加えた。コーヒーを持つ星宮さんの姿は様になっていた。
ふと、後ろから視線を感じる。振り向いて見ると日和の姿があった。穏やかな笑みを浮かべてこちらを見ている。
「何かあった?」
「うんうん。ただ、二人の関係が不思議だなと思ってね。近そうに見えるし、遠そうにも見えるっていうか」
「……僕は日和のこと」
「皆まで言わなくても分かってる。だからこそ、星宮さんのことを気にかけてあげてね」
「……何かあった?」
日和は星宮さんに対して敵意を持っていると思っていた。しかし、今は全く敵意を全く感じない。何かがあったとしか思えない。
「あの子。きっと私たちと同じ気がするの。だから気を使ってあげたいというか、気を使ってほしいというか……」
気持ちが反映されたのか曖昧な言葉を並べる。
でも、なんとなく気持ちは察した。さっきの星宮さんの謝罪から何かを察知したようだ。
「分かった」
会話を終え、僕たちは席に戻った。
千丈先輩から「遅かったね」と言われたが、先ほどの話はせず、雑に誤魔化した。千丈先輩は気にしなかったが、星宮さんは訝しんだ。
「それで、今からは何をやるんですか?」
追求されるのは面倒だと考え、千丈先輩に話を促す。
「イベントの予行練習だよ」
うまく乗っかってもらえた。彼女は鞄から『イベント告知』の知らせを取り出してテーブルの上に置いた。
「ここにあるゲームの予行練習をしようと思ってね。まずは『NGワードゲーム』からやろうか」
タイムテーブルにある『ゲームコーナ』の一番上に記載された文字を指さして言う。
「定番のゲームですね」
星宮さんがボソッと呟く。
「ルールは一般的なやつと同じですか?」
「やることは一緒だね。違う点があるとすればポイント制ってところかな」
「「「ポイント制?」」」
『NGワードゲーム』では聞き慣れない制度だ。
「そんなに難しいルールじゃないよ。喋った人に1ポイント入るってだけ。例えば最上くんが喋ります。最上くんの話を受けてひよちゃんが喋ります。ひよちゃんの話を受けてさらに最上くんが喋ります。この場合、最上くんには2ポイント、ひよちゃんには1ポイントが入るって感じ。長々と話すんじゃなくて、如何に会話のキャッチボールができるかがポイントを増やすコツだよ。ただし、NGワードを言ってしまったら持ち点が0になってしまうので気をつけてね」
なるほど。このルールなら、必勝法である『喋らない』が通じない。よくできたルールだと思った。
「3ゲームやって一番ポイントを持っている人が勝ち。NGワードを決めるのは時計周りで自分の前の人ってことにしよう」
現在の座っている位置は僕の向かいに日和、隣に星宮さん、対角線上に千丈先輩となっている。つまり、僕→日和→千丈先輩→星宮さん→僕と言った形になる。
「あと、NGワードは代名詞を除く名詞ね。それと、NGワードが被ったらやり直しね」
『でも』や『私』と言った頻繁なワードは使えないわけか。
この四人で話す内容としては言遊部についてだろう。それもイベントあるいはポスターについてだと思われる。
だが、言遊部関連の単語が書かれることは察しがつくだろう。そのため、言遊部関連に出てくるが、予想がつかない単語を書く必要がある。
『杏子』
これだな。
飯塚先輩の名前であれば、察しがつきにくいし、言遊部の話題で上がる可能性も高い。それに誘導がしやすい。
全員決まったところで千丈先輩が用意してくれたルーズリーフにNGワードを書いて三角形に折ってから日和に渡す。
日和は『杏子』、千丈先輩は『結花』、星宮さんは『イベント』と書かれていた。僕の持っているスマホの画面を見た日和と千丈先輩は眉を上げた。驚いている様子だが、一体何が書かれているのだろうか。
星宮さんの方を見ると、彼女は笑みを浮かべて僕を見ていた。始まるのを楽しみにしている雰囲気がある。
「では、用意ができたので」
千丈先輩は咳払いをして一拍おく。それから陽気に声を発した。
「NGワードゲーム開始!」
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
女を肉便器にするのに飽きた男、若返って生意気な女達を落とす悦びを求める【R18】
m t
ファンタジー
どんなに良い女でも肉便器にするとオナホと変わらない。
その真実に気付いた俺は若返って、生意気な女達を食い散らす事にする
学園中が俺をいじめで無視しているかと思ったら認識阻害されているだけでした。でも復讐はします
みずがめ
恋愛
学園中のみんなが俺を無視する。クラスメイトも教師も購買のおばちゃんでさえも。
これがいじめ以外の何だと言うんだ。いくら俺が陰キャだからってひどすぎる。
俺は怒りのまま、無視をさせてなるものかと女子にセクハラをした。変態と罵られようとも誰かに反応してほしかったのだ。そう考えるほどに俺の精神は追い詰められていた。
……だけど、どうも様子がおかしい。
そして俺は自分が認識阻害されている事実に思い至る。そんな状況になれば日々エロい妄想にふけっている年頃の男子がやることといえば決まっているよな?
※イラストはおしつじさんに作っていただきました。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
クラスで一人だけ男子な僕のズボンが盗まれたので仕方無くチ○ポ丸出しで居たら何故か女子がたくさん集まって来た
pelonsan
恋愛
ここは私立嵐爛学校(しりつらんらんがっこう)、略して乱交、もとい嵐校(らんこう) ━━。
僕の名前は 竿乃 玉之介(さおの たまのすけ)。
昨日この嵐校に転校してきた至極普通の二年生。
去年まで女子校だったらしくクラスメイトが女子ばかりで不安だったんだけど、皆優しく迎えてくれて ほっとしていた矢先の翌日……
※表紙画像は自由使用可能なAI画像生成サイトで制作したものを加工しました。
男女比:1:450のおかしな世界で陽キャになることを夢見る
卯ノ花
恋愛
妙なことから男女比がおかしな世界に転生した主人公が、元いた世界でやりたかったことをやるお話。
〔お知らせ〕
※この作品は、毎日更新です。
※1 〜 3話まで初回投稿。次回から7時10分から更新
※お気に入り登録してくれたら励みになりますのでよろしくお願いします。
ただいま作成中
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる