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11、俺と大斗(完結)
しおりを挟むカフェに入るとすぐに店員がやってきた
「こちらへどうぞ」
そう声をかけられ、窓際の席に案内された
俺達は席に着くと店員はお冷を持ってきて置き「ごゆっくりどうぞ」と言った
俺と大斗はずっと沈黙だった
そんな沈黙をやぶったのは、俺だった
「あのさ、大斗」
「は、はい」
大斗は少し戸惑っていた
「俺は、お前のこと好きなんだと思う」
「え!?」
この前気づいた本当の気持ちを大斗に伝えた
大斗は驚いて俺の顔をまっすぐとみた
俺は恥ずかしくなって目をそらした
「でも、俺の過去を話しましたよね?」
大斗ははっとして顔を下げた
「それでも、俺はお前のこと好きなんだ」
俺がそう言うと大斗は俺から目を逸らした
「……っ。俺も、大好きです……っ」
大斗は涙をふかずに言った
涙がひっこんだ後、大斗は俺の顔をみて今までで一番の笑顔を見せ
「帰りましょうか、一緒に」
と言った
「あのさ、また前みたいにタメで話してよ」
「うん、ユート」
その日は雨の日でまるで大斗が初めて泣いた日に似ていた
7年後
「今日の天気は晴れ、気温は……」
テレビでアナウンサーが天気を伝える
「お、晴れたか。」
俺はそう言うとテレビを消して、靴を履いた
そして電車に乗り、1度乗り継ぐと電車をおりて教会に向かった
そこにはたくさんの知り合いがいた
なかには大斗のお兄さん、翔さんと少しお腹がふくらんだ香純さんがいた
2人はよりをもどし、結婚したそうだ
俺は席に着くと新郎新婦の入場を待った
先に入ってきたのは新郎で神父の前に立つと軽く息をはいて落ち着いているようだった
しばらくして、新婦が入ってきた
純白のドレスに身を包み、父親と腕を組んで入ってきた
新郎のもとまで歩いてくると父親の腕を離れ、新郎と腕を組んだ
神父は口を開いた
「新郎中西橙斗」
そう、これは大斗の結婚式だ
「あなたは平木結を妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「……誓います」
俺達は付き合って2年でお互いが忙しくなって別れた
別れを切り出してきたのは大斗で、別れた後は仕事相手として関わっていた
ただ、それを大斗に言われたのが少し傷ついた
「新婦平木結」
「あなたは中西大斗を夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
新婦の平木結さんとは大学で出会ったらしい
彼女から告白されて付き合い始め、大斗がプロポーズしたそうだ
「誓います」
彼女は綺麗というより可愛いが似合う人で、大斗はその笑顔が好きらしい
2人は誓いのキスをして、結婚式は終わった
その後の披露宴で俺は大斗と久しぶりに直接話した
「可愛い嫁さんだな」
俺がそう言うと大斗は結さんをみて
「でしょ」
と笑った
笑顔は全然変わってなかった
「……幸せに、なれよ」
「……!はい」
俺は披露宴が終わる前に教会を出た
「ほんと、いい天気だな」
そう呟き、俺は帰ることにした
その日の天気は雲ひとつない晴天だった
まるで大斗の過去は全て許されたかのような天気だった
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