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8、中宮高校の体育祭ver.2
しおりを挟む「中西のお題は、」
みんなが息をのんだように黙った
「前の恋人もしくは前好きだった人……だ。合ってるか、下田?」
「は、はい」
大斗は少し気まずそうな顔をして俯いていた
「え、」
「え、」
「えぇー!?」
みんな驚いていた
当然か。俺も驚いた
けど俺は“驚いた”よりも強い気持ちがあった
なんだ?すごい心臓が痛い
モヤモヤする
「えっ、どういう関係なの?2人は」
「え、元恋人どうし?」
「いや、もしかしたら中西が好きなだけかもよ!」
「それだけはないだろ」
みんなざわついている
大斗は俺の方にかけよってきた
「あのっ!ユート……」
「ごめん!また後でな」
俺はそう言って帰ろうとした
「ユート、待ってくれ!」
大斗は俺の腕を掴んで引き止めた
「離せよ」
「嫌だ」
「離せ!」
大斗は俺の大声に手を離した
「お前、あの子のとこ行けよ」
「ユート、俺の話を聞いて……」
大斗は多分事情を話そうとした
「いいから行けって!」
でも俺は聞こうとしなかった
「……分かりました」
大斗はそう答えて走って行った
……良いのか?俺
本当にこのまま行かせて良いのか?
だがそんな俺の思いとは裏腹に、大斗は走って行った
「下田先輩」
「中西くん、」
下田先輩には悪い事をした
今回、こんな事に巻きこんでしまって悪かったと思ってる
「すみませんでした。巻き込んで」
「ううん、大丈夫だよ。ちょっと嬉しかったし」
「え?」
今下田先輩なんて言った?
“嬉しい”って言ったのか?
「あ、あのね、中西くん。じゃなくて、橙斗くん」
「は、はい?」
先輩の顔が少し赤くなっている
「私、ずっと言いたいことがあって……」
「大斗!」
後ろから聞きなれた声が聞こえた
振りかえるとやっぱりユートだった
「大斗、すまん。さっきは言いすぎた」
めちゃくちゃ息きれてる
あー、可愛いな
「別に俺、怒ってないっすよ」
良かった。大斗は怒ってないみたいだ
「大斗、そろそろ俺帰るわ」
「あ、また明日会いに行きます。その時、話しますね」
多分あの子のことだろう
「あぁ、分かった」
そう言って俺は帰った
翌日
「ユート、こっちだ」
「あ、大斗!お待たせ!」
俺達はカフェで待ち合わせをしていた
「あ、すみません。俺はコーヒーをお願いします」
大斗は俺がコーヒーを飲んでたのをみて、大斗もコーヒーを頼んだ
「昨日はすみませんでした」
「いや、俺の方こそ」
結局あの子は誰だったのか、それを聞きにきた
「コーヒーです。」
「あ、ありがとうございます」
店員さんがコーヒーを持ってきて大斗の前に置いた
大斗は1口コーヒーを飲むと少し俯いて口を開いた
「昨日のあの人は、俺の中学の頃の先輩でした」
「うん。」
俺は反応しながら聞いた
「それで、その、」
大斗は言いづらそうにしていた
「大丈夫だ、大斗。ちゃんと最後まで聞く。それに、話したくなかったら話さなくていい」
俺は大斗にそう声をかけた
「でも、ユートに誤解されたままなのは嫌だ」
「うん、ありがとう」
俺はそう言って話の続きを待った
「それで、あの人は俺の兄貴の、彼女でした」
「……え?」
どういうことだ?
つまり大斗は兄貴の恋人を好きになったってことか?
「じゃああの子はお前の好きだった人なのか?」
「好きになれなかった人、です」
じゃあお題に沿ってないじゃないのか
でもあの子はそうだって答えてたぞ?
「順を追って話しますね」
そう言って大斗は話し始めた
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