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22 もう一人ぼっちじゃない
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(アルベルティーヌside)
「──えー……さてさて、三人とも長年の誤解が解けたところで、今後の話をしようじゃないか。ほら涙を拭いて」
わんわんと泣きながら抱きしめ合い続ける私たちに、ラクール様はハンカチをそっと三枚差し出した。
「グスッ……ありがとうございます、ラクール様……随分と準備がよろしいのですね……!ふふっ、こちらに連れてきて下さってありがとうございました!」
「いいえー。僕とアルノーはあくまで代理だからねえ。お礼を言うならクロヴィス殿下に言ってやってね~」
「お姉さま!私も殿下と話したことで今回に繋がったんです!たかっ……うっ……!あの、殿下はお姉さまを助けようと本当に心を砕いておられました!」
──クロヴィス殿下が……?
殿下には知られたくなかったけど、こうして心を砕いていただけるなんて、どうしよう……慣れていないから……やっぱり少し嬉しいわ……!
「いつか……また殿下にお会い出来るなら、直接お礼を言いたいわ」
────
その後は、今後のことを打ち合わせた。
誤解が解けた今、デボラに重い罪を背負わせるのは酷だと思った。
──このままでは、デボラ様もコリンヌもどうなるか分からない。デボラ様は被害者だし、コリンヌだって心配してくれていた……
「あの……ラクール様、ポートリエ様、なんとかデボラ様の罪を軽くすることはできませんか?デボラ様は被害者です!」
「うん、アルベルティーヌ嬢が言うならいいよ。幸い夫人は極秘で研究していたから、ここにいる僕たち以外は知らないしね?まぁ、シナリオを作ってしまえばいいさ」
そう言うと、ラクール様はあっという間にさらさらと話を作り上げていった。
時々ポートリエ様も提案しながら、話はまとめられていった。
「──どう?これなら夫人はそこまで咎められない。まぁちょっとクロヴィスの方で根回ししてもらわないといけないし、本番の裁判を乗り越えなきゃいけないから、まだこれで一件落着って訳にはいかないけど」
──ラクール様、すごいです……!
「あ、そうだ、このシナリオはアルベルティーヌ嬢をオーバン侯爵家に養女に出すって前提なんだけど。オーバン前侯爵はかなり娘たちを溺愛していたから、喜んで孫娘のアルベルティーヌ嬢を保護すると思うよ?それについてはいい?」
──お母様の実家……おじい様の所に行くの?
私、また前のような生活に戻れるの?
「それはいいのですが、あの、ラクール様……これでは私はアルベルティーヌの軟禁以外、無罪になってしまうではありませんか!」
「デボラ様!私はこれ以上あなたに苦しんでほしくありません!ラクール様、ポートリエ様!本当に、本当にありがとうございます……!」
ラクール様とポートリエ様は私たちを見て満足そうに頷くと言った。
「というわけで、マニエ夫人にはまだやってもらいたいことがありますよ~」
「私に出来ることでしたら、何でも致しますわ」
「根回しはこちらでやっておくので、こちらが合図を出したらすぐにオーバン侯爵にアルベルティーヌ嬢を養女に出す手続きをすること。それと、この件がセザールに漏れないよう、別邸の使用人はアルベルティーヌ嬢の予算の着服の件で全員速やかに罰して邸を追放させること」
「ええ、もちろんです。元は私の演技のせいとはいえ、好き勝手にやられてアルベルティーヌに酷い扱いをするなんて……私が責任を持って罰します。マニエ家の事を口外出来ないように制約魔法をかけて追い出しますわ!」
──そうだわ!邸といえば、鳥たちはどうましょう!餌もだけど、あの子たちは飼われていたから野生には帰せないわ……!
おじい様の所に鳥たちを連れていくのは……御迷惑でしょうね……
「あの、ラクール様、邸の鳥たちはどうなるのでしょうか……?私はあの子たちに救われました。でも侯爵様のところへ連れていくのはきっと御迷惑ですよね……」
「あぁ!鳥たちは僕たちが預かってもいいかな?アルベルティーヌ嬢がまた飼える状況になるまで責任を持って預かる。餌や、何か飼うにあたって必要なことがあればメモしておいてもらえると助かる」
「まぁ!ラクール様、何から何までありがとうございます!鳥たちをまた飼えるようになりましたら引き取りに伺いますわ……!それまでどうかよろしくお願い致します」
──きっとラクール様たちなら、鳥たちもしっかり面倒を見てくださるわ。
色々あって不安だけど……私、もう一人ぼっちじゃないのね?
どうしましょう!不安なのになんだかわくわくしてしまうわ……!とても嬉しいわ……!
「──えー……さてさて、三人とも長年の誤解が解けたところで、今後の話をしようじゃないか。ほら涙を拭いて」
わんわんと泣きながら抱きしめ合い続ける私たちに、ラクール様はハンカチをそっと三枚差し出した。
「グスッ……ありがとうございます、ラクール様……随分と準備がよろしいのですね……!ふふっ、こちらに連れてきて下さってありがとうございました!」
「いいえー。僕とアルノーはあくまで代理だからねえ。お礼を言うならクロヴィス殿下に言ってやってね~」
「お姉さま!私も殿下と話したことで今回に繋がったんです!たかっ……うっ……!あの、殿下はお姉さまを助けようと本当に心を砕いておられました!」
──クロヴィス殿下が……?
殿下には知られたくなかったけど、こうして心を砕いていただけるなんて、どうしよう……慣れていないから……やっぱり少し嬉しいわ……!
「いつか……また殿下にお会い出来るなら、直接お礼を言いたいわ」
────
その後は、今後のことを打ち合わせた。
誤解が解けた今、デボラに重い罪を背負わせるのは酷だと思った。
──このままでは、デボラ様もコリンヌもどうなるか分からない。デボラ様は被害者だし、コリンヌだって心配してくれていた……
「あの……ラクール様、ポートリエ様、なんとかデボラ様の罪を軽くすることはできませんか?デボラ様は被害者です!」
「うん、アルベルティーヌ嬢が言うならいいよ。幸い夫人は極秘で研究していたから、ここにいる僕たち以外は知らないしね?まぁ、シナリオを作ってしまえばいいさ」
そう言うと、ラクール様はあっという間にさらさらと話を作り上げていった。
時々ポートリエ様も提案しながら、話はまとめられていった。
「──どう?これなら夫人はそこまで咎められない。まぁちょっとクロヴィスの方で根回ししてもらわないといけないし、本番の裁判を乗り越えなきゃいけないから、まだこれで一件落着って訳にはいかないけど」
──ラクール様、すごいです……!
「あ、そうだ、このシナリオはアルベルティーヌ嬢をオーバン侯爵家に養女に出すって前提なんだけど。オーバン前侯爵はかなり娘たちを溺愛していたから、喜んで孫娘のアルベルティーヌ嬢を保護すると思うよ?それについてはいい?」
──お母様の実家……おじい様の所に行くの?
私、また前のような生活に戻れるの?
「それはいいのですが、あの、ラクール様……これでは私はアルベルティーヌの軟禁以外、無罪になってしまうではありませんか!」
「デボラ様!私はこれ以上あなたに苦しんでほしくありません!ラクール様、ポートリエ様!本当に、本当にありがとうございます……!」
ラクール様とポートリエ様は私たちを見て満足そうに頷くと言った。
「というわけで、マニエ夫人にはまだやってもらいたいことがありますよ~」
「私に出来ることでしたら、何でも致しますわ」
「根回しはこちらでやっておくので、こちらが合図を出したらすぐにオーバン侯爵にアルベルティーヌ嬢を養女に出す手続きをすること。それと、この件がセザールに漏れないよう、別邸の使用人はアルベルティーヌ嬢の予算の着服の件で全員速やかに罰して邸を追放させること」
「ええ、もちろんです。元は私の演技のせいとはいえ、好き勝手にやられてアルベルティーヌに酷い扱いをするなんて……私が責任を持って罰します。マニエ家の事を口外出来ないように制約魔法をかけて追い出しますわ!」
──そうだわ!邸といえば、鳥たちはどうましょう!餌もだけど、あの子たちは飼われていたから野生には帰せないわ……!
おじい様の所に鳥たちを連れていくのは……御迷惑でしょうね……
「あの、ラクール様、邸の鳥たちはどうなるのでしょうか……?私はあの子たちに救われました。でも侯爵様のところへ連れていくのはきっと御迷惑ですよね……」
「あぁ!鳥たちは僕たちが預かってもいいかな?アルベルティーヌ嬢がまた飼える状況になるまで責任を持って預かる。餌や、何か飼うにあたって必要なことがあればメモしておいてもらえると助かる」
「まぁ!ラクール様、何から何までありがとうございます!鳥たちをまた飼えるようになりましたら引き取りに伺いますわ……!それまでどうかよろしくお願い致します」
──きっとラクール様たちなら、鳥たちもしっかり面倒を見てくださるわ。
色々あって不安だけど……私、もう一人ぼっちじゃないのね?
どうしましょう!不安なのになんだかわくわくしてしまうわ……!とても嬉しいわ……!
応援ありがとうございます!
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