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23 描かれたシナリオ
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(クロヴィスside)
王都の外れにある、クロヴィスの仮住まいであるアパートメントの一室に三人は集まっていた。
もちろん防音魔法を厳重に掛けた上で。
「──エリク、アルノー、先日はご苦労だった。面倒をかけた。よくやってくれて感謝している」
クロヴィスは自分が除け者にされた、デボラとコリンヌとアルベルティーヌの感動の再会の日の出来事について改めて詳しく報告を受けていた。
気になってしまい待てずに軽く内容を聞いて、早速オーバン侯爵家に話をつけに行った帰りだった。
──二人はよくやってくれた。
あとは俺が父上に根回しをして、貴族裁判でセザールとアングラードを地獄に落とすだけだ……!
まず、主犯であるアルベルティーヌの叔父セザール、セザールを嗾かけ資金援助、また王宮のメイドを買収し王妃殿下の殺害を間接的に行った軍務副長官のアングラード侯爵の二名は確実に死刑、家取り潰しになるだろう。
伯爵夫妻の殺害、王妃殿下の殺害、違法植物の栽培、アルベルティーヌの殺害計画、それらの殺害を教唆、幇助した罪。
問題はデボラの処罰である。
アルベルティーヌは、義母デボラを救うため、エリクとアルノーに出来る限り減刑にもっていけるよう懇願した。
そこで、デボラを守るため、エリクはその場でシナリオを作り上げた。
「──まぁ、実話混じりとはいえ、上手いこと話を作れて良かった良かった」
エリクは満足気に大きく頷いた。
「クロヴィス、オーバン家に行ってきたんだろ?反応はどうだった?」
「まぁ、予想通り先代のクレール殿はかなり憤っていたが、現当主のシリル殿は『喜んで養女に迎える』と言ってくれた。アルベルティーヌに関しては、もう心配ないだろう」
──怒り狂ったクレール殿を宥めるのは本当に……本当に骨が折れた……!
『──なぁにぃぃぃぃぃい!!??セレスティーヌは病死じゃなかったのかね!?流行病に見せかけて毒殺だと!!??』
『──養女!?当たり前じゃろ!そんなところに置いてはおけん!!!!今すぐ孫を迎えに行くぞ!ほれ!お前、すぐに馬車を出さんか!!!!!!』
『──死刑!?そんな早くにくたばられてたまるか!セレスティーヌがじわじわと痛めつけられたように、奴らもじわじわと痛めつけてやらねば俺は気がすまん!!!!!』
『──こうしちゃおれん!陛下に磔の刑にしてもらうぞ!!!!嘆願に行くぞ!陛下も王妃殿下を亡くされたから、この怒り分かってくださるじゃろ!!!!先触れを出すぞ!ほれ便箋を持ってこい!!!!』
オーバン侯爵家での出来事を思い出し、クロヴィスは眉間に寄った皺をグリグリと揉んだ。
───クレール殿は相変わらず熱い、いや熱すぎるお方だった……
だが、磔の刑は残酷だが良い案だと思う。父上もそうするだろう……
「デボラの件は父上にも今晩伝える。きっと母の殺害が絡んでいるから、すぐに話が通るはずだ。おそらく研究結果や治療薬の功績でデボラは叙爵されるだろう」
──父上の事だ。
優秀な人材をシュメルに渡すくらいなら、国王直属の薬学研究員に任命するだろう。
デボラの研究結果は他国との外交の交渉材料にできるし、まぁデボラは無罪になるように父上が上手く揉み消すに違いない。
結局、最後は父上に頼るっていうのも情けない話だが。こればかりはアルベルティーヌの願いを叶えるためだからな……
「コリンヌ嬢も平民落ちすることなく過ごせそうで良かったですね!普通に家族思いの良い妹さんでしたし!」
「コリンヌ嬢も15歳だというのにしっかりしていて賢いからな。平民に落とすには惜しいもんなぁ」
アルノーとエリクはコリンヌ嬢の将来を心配していたようで、嬉しそうに笑った。
「──裁判で一気にケリをつけるぞ。二人が上手く纏めてくれた。あとの根回しは俺の仕事だ」
王都の外れにある、クロヴィスの仮住まいであるアパートメントの一室に三人は集まっていた。
もちろん防音魔法を厳重に掛けた上で。
「──エリク、アルノー、先日はご苦労だった。面倒をかけた。よくやってくれて感謝している」
クロヴィスは自分が除け者にされた、デボラとコリンヌとアルベルティーヌの感動の再会の日の出来事について改めて詳しく報告を受けていた。
気になってしまい待てずに軽く内容を聞いて、早速オーバン侯爵家に話をつけに行った帰りだった。
──二人はよくやってくれた。
あとは俺が父上に根回しをして、貴族裁判でセザールとアングラードを地獄に落とすだけだ……!
まず、主犯であるアルベルティーヌの叔父セザール、セザールを嗾かけ資金援助、また王宮のメイドを買収し王妃殿下の殺害を間接的に行った軍務副長官のアングラード侯爵の二名は確実に死刑、家取り潰しになるだろう。
伯爵夫妻の殺害、王妃殿下の殺害、違法植物の栽培、アルベルティーヌの殺害計画、それらの殺害を教唆、幇助した罪。
問題はデボラの処罰である。
アルベルティーヌは、義母デボラを救うため、エリクとアルノーに出来る限り減刑にもっていけるよう懇願した。
そこで、デボラを守るため、エリクはその場でシナリオを作り上げた。
「──まぁ、実話混じりとはいえ、上手いこと話を作れて良かった良かった」
エリクは満足気に大きく頷いた。
「クロヴィス、オーバン家に行ってきたんだろ?反応はどうだった?」
「まぁ、予想通り先代のクレール殿はかなり憤っていたが、現当主のシリル殿は『喜んで養女に迎える』と言ってくれた。アルベルティーヌに関しては、もう心配ないだろう」
──怒り狂ったクレール殿を宥めるのは本当に……本当に骨が折れた……!
『──なぁにぃぃぃぃぃい!!??セレスティーヌは病死じゃなかったのかね!?流行病に見せかけて毒殺だと!!??』
『──養女!?当たり前じゃろ!そんなところに置いてはおけん!!!!今すぐ孫を迎えに行くぞ!ほれ!お前、すぐに馬車を出さんか!!!!!!』
『──死刑!?そんな早くにくたばられてたまるか!セレスティーヌがじわじわと痛めつけられたように、奴らもじわじわと痛めつけてやらねば俺は気がすまん!!!!!』
『──こうしちゃおれん!陛下に磔の刑にしてもらうぞ!!!!嘆願に行くぞ!陛下も王妃殿下を亡くされたから、この怒り分かってくださるじゃろ!!!!先触れを出すぞ!ほれ便箋を持ってこい!!!!』
オーバン侯爵家での出来事を思い出し、クロヴィスは眉間に寄った皺をグリグリと揉んだ。
───クレール殿は相変わらず熱い、いや熱すぎるお方だった……
だが、磔の刑は残酷だが良い案だと思う。父上もそうするだろう……
「デボラの件は父上にも今晩伝える。きっと母の殺害が絡んでいるから、すぐに話が通るはずだ。おそらく研究結果や治療薬の功績でデボラは叙爵されるだろう」
──父上の事だ。
優秀な人材をシュメルに渡すくらいなら、国王直属の薬学研究員に任命するだろう。
デボラの研究結果は他国との外交の交渉材料にできるし、まぁデボラは無罪になるように父上が上手く揉み消すに違いない。
結局、最後は父上に頼るっていうのも情けない話だが。こればかりはアルベルティーヌの願いを叶えるためだからな……
「コリンヌ嬢も平民落ちすることなく過ごせそうで良かったですね!普通に家族思いの良い妹さんでしたし!」
「コリンヌ嬢も15歳だというのにしっかりしていて賢いからな。平民に落とすには惜しいもんなぁ」
アルノーとエリクはコリンヌ嬢の将来を心配していたようで、嬉しそうに笑った。
「──裁判で一気にケリをつけるぞ。二人が上手く纏めてくれた。あとの根回しは俺の仕事だ」
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