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第2章 友達と相棒編

29秒 vsダラン ①

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「エレナ、今ほどく」

 縛られたエレナの縄に切れ目を入れると、パサリと拘束が解かれ
涙目のまま彼女は兄に自身の身体について説明しようとするが、

「お兄ちゃん……私……!!」

「今は話し合ってる余裕がない、逃げてくれ。えーっと、アマリアさん?」

「アマリアで構いません」

「わかった。アマリア、妹を頼む」

 アマリアはコクリと頷くと、エレナの手を掴み、
洞窟の入り口の方へと走る、妹は何かを言いたそうだったけど、
 今は……一人でも多く生き延びる事が、一番大事だ。

 不思議とこのフードを被った二人は追うことはなく、アマリア達を見逃す、
後から余裕で追いつくからなのか、それとももう用は無くなったのか。

 エウベーナは洞窟の入り口から目線を俺に戻すと、
首を少し傾け、俺達二人をあざ笑うように問う

「で、あんた達だぁ~れ?」

「誰だっていいだろ? お前達が勇者の側近か?」

「キャハ、そうだけど、だったらどうだって言うの?」

「俺の知らない事、全部話してもらう」

 短剣を抜くネリス。スヴェインもそれに合わせるように剣を構えた
鼻で一回笑うと、エウベーナはフードを取り、自身の顔を晒す

 片耳にはリングを付け、俺達をジロリと見ると、玩具を手にした子供のように
楽しそうに顔を歪ませた、こいつ、何かやばい。生まれ持った悪というか、
 純粋な気持ちを持ったまま、大人になったような……そんな印象をまず感じた
グレアに近いが、あいつは頭の中にどこか一線があって、彼女にはそれが
 無いような、「悪」というそのものに近い、危ない存在だ。

「へえ~、クソガキの仲間なんだ……じゃあ、仲間同士でやり合ってもらおうかな!? キャハハ!!」

「ネリス! 見ろ!!」

 スヴェインが叫びながら一匹の魔物を指差した、あれは……?
ラウレッタ……さん……? いや、ラウレッタさんじゃない。
 牙も口からはみ出し、虚ろな目でどこかを見ている、目の焦点が合っておらず
俺達の恐怖をさらにかき立てる。彼女はもう、人と呼べるかわからない化け物だ。

 ――生態実験、本当の意味は「人間を魔物化させる」でも……どうして?
いや、どうだっていい、人を実験動物みたいに扱ってるのが、許さない

 同時に不快な感情を抱き、ネリスは歯を強くかみ合わせ、切ない表情で、
姿勢を低くし、剣を逆手に構えた。先程まで話していた仲間を殺す。
 これがネリスにとって辛く……握った短剣から迷いが生まれてしまう

 ガァアア……アアアッ――!!

 魔物の形をしたラウレッタさんは一歩、一歩と近寄ってきて、
一瞬、張り詰めた空気の中。口を開け、スヴェインに向かって飛びかかった

「スヴェイン! そっちに来るッ!!」

 名前をつい叫んだせいか、それとも迷いが生まれたせいか
ネリスは動作が遅れ、短剣を構えるのが遅れてしまうが、
 スヴェインは避ける事もなく、ラウレッタの攻撃を肩で受け止め――

 ガアアアッ!!

「ブラッド・リストア!!」

 スヴェインは強化魔法を使い、自身の血を固める、すると、
ラウレッタは肩に噛みついたまま歯に何かくっついたかのように
 噛みちぎる事も、離れる事も出来なくなり硬直してしまい、驚きの声をあげる

「ラウレッタ、辛かっただろ? ……いま、楽にしてやるからな」

 一言呟くと、スヴェインは両手でラウレッタの首を掴み、
ギリ……ギリ……と腕に強く力を入れる。しばらくすると、
 ラウレッタの小さな「ギッ……」という一言のみが聞こえ――

 スヴェインの手には生暖かい温もりが残った、最後の声はしっかりと
彼の耳に残り、胸を締め付けられたような、一瞬悲しい表情を浮かべ、
 すぐに決意した顔に変わると、手にさらに力を込めた。

「悔しかったよな。俺達が……俺達が必ずかたきをとってやる」

 ラウレッタさんが絶命する最後の瞬間まで、俺は目を逸らさなかった。
スヴェインはゆっくりと彼女の死体を置くと、エウベーナを睨み付ける

「やだ怖い~、ダラン助けて~」

 エウベーナは棒読みで助けを求める、しかしすぐに玩具が壊れてしまった事が
残念だったのか、両手を広げ「やれやれ」という素振りをする。恐らくエウベーナに
 とって、ただのペットのような感覚だったのだろう、スヴェインは魔力が
尽きたのか「リライズ」と言って血の固さを元に戻すと、

「ネリス、俺も戦わせてくれ」

「ああ、頼むぜ

 俺もスヴェインと同じで、神経を逆撫でされた事に激怒していた、
息を荒くし、怒りで震えている、どうして、どうしてこんな事が平気で
 出来るんだ、絶対に許さない。こいつらだけは許してはいけない。

 すると、ダランがエウベーナの前に立ち、

「いいぜ、エウベーナ。こいつらは俺にやらせろ」

 ダランはその後、フードとローブを脱ぐと、鋼のように鍛えられた
肉体を晒した、顔には右の頬から頭へ向かって、何か模様のような物を
 入れているのが特徴として捉えやすく、かなり強そうなのが覗える

「キャハハ」

 冗談で言ったつもりだったのか、止められた事に不満だったエウベーナは
ダランに若干苛立ちの感情を抱きながら――

「じゃ、私見てるから。頑張ってね~」

 「ふぅ」とため息一つダランは吐くと、ローブから金8枚を取り出し
指の間に金貨を1枚ずつ挟んでいくと、ギュッと握って拳を作る。
 それはまるで、現代でいうメリケンサックのようだった。

 その様子を見ていたネリスは――

「(拳……近距離専門か? だったら、逆手より順手のがいいな)」

「オラ、二人同時でもいいから来いよ」

 ダランはクイクイと手でかかってくるように招くが、ネリスは威圧され、
距離を詰める事が出来ず、姿勢を低くした状態から動かない

「(こいつ……強い、ハッキリとわかる。勇者の側近は伊達じゃないって事か……)」

 フードの男は確かダランだったか……、どうイメージしても、
俺が返り討ちされてしまう想像しか出来ない、でも、負ければ死ぬんだ。
 だったら、相手が強いとか関係ない、ただ目の前の敵を殺す事だけを考えろ。

 俺は短剣を持っていない右手を、ゆらゆらと上下に動かして、
ダランの目線を右手に集める、これはグレアから教わった戦い方の一つだ。

 人は無意識に動くモノに目がいく、それを利用して、意識を集中させ
俺はダガーを死角に隠し、刺突しとつでの一撃を通りやすくする

 短剣というのは剣とは違い、鎧の間接部分を狙う事が出来たり、
力を入れやすく、近接での殺傷能力が高い、順手にしたのは鎧を
 身につけていないあいつの身体に刺さりやすくする為だ。

 「使う武器の利点と欠点、それをまず知る事だ」と、
一つ一つ、グレアに戦い方を教えてもらった事を思い出していく

「(俺の短剣は、普通の剣よりリーチが短いけど、刃筋はすじが読み辛い攻撃を出す事が出来るし、至近距離まで近づいてしまえば最速の剣が振れる)」

 だが敵は拳で挑んでくる、それなら出してきた拳をカウンターで
斬りつけるしかない、幸いにもこの洞窟は壁の辺りに沢山の松明が
 ゆらゆらと燃えている、火を消して俺の姿だけ暗くすれば、
時間停止能力も使えるはずだ、当然洞窟なので数秒しか出来ないが……。

「どうした? 来いよオラ」

 ダランは挑発するように拳を構えながら一歩前に近寄ってくると、
ネリスは負けじと前へ一歩。お互いの距離が狭まる。

 それを見たスヴェインは剣を抜いて構える、勇者の側近、
8人の能力者……こいつも能力者の可能性もある、決して油断は出来ないな。

 一瞬間が空き、覚悟を決めたのか、スヴェインは剣を抜いて
ダランに向かって叫びながら剣を振り上げ、走る

「うおおおおおおお!!」

「スヴェイン!! 待て! 能力が何なのかわからない限り危険だ!!」

 仲間をやられた怒りからか、俺の制止を無視してスヴェインは
ダランの目の前で剣を振り下ろした。

 しかし慌てることなくダランは冷静に、振り下ろされた剣に合わせるように
右拳を突き上げるように前に出すと、指の隙間に挟んでいた金貨に剣が当たる
 ニヤリと笑うダランは余裕そうな表情で、

「真っ直ぐ向かってくんのか、つまんねえなあおい」

「くっ……!!」

 その時信じられない事が起きた。金貨、いや拳にガードされていた
スヴェインの剣はまるで、油でズルリと滑ったように空振ってしまう、
 最悪な事に振り下ろした際の勢いが止められず、地面へ剣先が刺さると、
ダランにとってスキだらけの格好になってしまった。

 ……空間のような間にような
そんな感覚だった、そのスキをダランは見逃さず、左の拳を素早く振り上げ、
 突き刺さるようにスヴェインの腹へめり込む、

「がっ……はっ……」

 そのまま身体が少し浮き上がり、口から血を吐くと、
沈むように地面へと倒れ込んだ。スヴェインは一時的に
 意識が飛んでしまったのか、起き上がる事はなく、
ピクリとも動かなくなり思わず俺は大声で叫ぶ

「おい!! スヴェイン!!」

「よそ見してる場合じゃねえぞぉ! コラ!」

「!!!」

 右へ左へ揺れるように身体を動かし、跳ねるようなステップをしながら、
ダランは距離を詰めてくると、ネリスに向かって右ストレートを放った。

「(はええ!! 旋毛つむじを使う余裕なんかない! くそ!!)」

 ネリスはカウンターを入れる事は諦め、右ストレートをかわし、
ダランより姿勢を低く、短剣を足に向かって刺そうとするが……

「(拳がメインなら、まず足だ! そこさえ封じてしまえば!!)」

 ズルッ――

「!!」

 しかし結果はスヴェインの時と同じで、短剣は一瞬ダランの足に当たるが、
すぐに何かの物体が、剣と皮膚の隙間に入り込んだように短剣は
 あらぬ方向へと弾かれてしまい、ネリスは前のめりに倒れそうになる

 まただ、これは一体……!? こいつの能力なんだろうか、
というか、やべえ――っ、ガードッッ!!

 ネリスは右足を前に出し、上体を反らして何とか姿勢を戻そうとする。
対照にダランは足を曲げ、左のショートアッパーから、ネリスの右脇腹を
 狙うように放たれる、とっさに右腕を畳んでネリスはガードをしたが、
ビリビリと全身を駆け巡るほど、想像してた以上の衝撃が腕を襲う。

 そのままアバラ骨がミシミシ、と響く音が耳に聞こえながら、
ダランが拳を振り抜くと、彼の身体は吹っ飛ばされ、ガリガリと地面を滑るが、
 それ以上の追撃をさせない為、身体が滑りながらも片手を地面につけ、
側転運動を行い全身が一回転すると、綺麗に両足で着地した。

 俺は頬を手の甲ですっ、と触れると皮膚が切れたのか、血がポタポタと垂れる。

「(くっそ……!! 何してんだ俺は!! グレアと実戦形式で稽古した時と一緒の事してるじゃねえか!!)」

 気圧けおされるな、勇者の側近がなんだ! 怯えるな……!!

 剣を鞘にしまい、俺は目を閉じて顔をパンッ!、と両手で叩き、身体の硬さを
ほぐすようにリラックスする、命がかかっているんだ。動作が鈍くてどうする、
 同時に深呼吸一つ――よし……いつもの稽古した時と同じ感じだ。

 自分だけじゃなくて、相手の行動も考えられる、例えるなら、
頭の中で川がゆっくりと流れてる感じ……緊張するな、落ち着け

「ユズリハ流精神術、和凪かずな!!」

「……面白ぇなテメェ」

 ダランは深呼吸するネリスの様子を見て、ようやく対等に戦える相手が
出来たのか、嬉しそうな顔でニヤリと笑う

「それはどうも」

 同時に俺も笑顔で答える、命のやり取りしてんのに、つい笑ってしまった。

「(さて……と)」

 しかし、一体どうすればいい? スピード自体は目で追えなくはないのだが、
振った攻撃が全く当たらない、あの剣と皮膚の間に生まれた空間みたいな感覚、
 これがわからない限りダメージは与えられない、どうする……どうする。

 エウベーナは戦いを見て、つまらなさそうな表情で呟く

「あ~あ、ダランの磁力にみんな触れちゃった。もう勝負はついちゃったかな?」

「(あ……? 磁力……?)」

 ダランはネタばらしされた事に対し舌打ちをし、エウベーナをチラリと見る、
すると、能力について説明をし出した。

「俺は磁力を使う、勇者の側近8人の1人。磁気者《じきしゃ》だ」

 エウベーナはこれから俺がいたぶられるのを理解したのか、
隠す事もなくケラケラと楽しそうに笑って、地面に立て膝をついて座り込んだ。
 その後、膝に肘を乗せ、手を頬に当てながらじーっ、と顔を斜めにして、
俺達の戦いを見つめていた。

「(磁力……アマリアが言ってた、8人のうちの|磁気者はこいつか。剣、つまり鉄や鋼鉄に反応して反発してるのか……? となると、剣での攻撃は無意味に近いな)」

「オラ、どうしたぁ!? 超能力を見てビビったのかコラ!!」

 ふと、俺は背中に何か熱気を感じたので、チラッと後ろを見ると、
壁付近まで吹っ飛ばされたからか、灯火がついていた、数秒だけど仕方ない、
 あいつを殺す事が出来るなら、やるしかない。

「それなら、俺の能力も見せてやるよ」

「あぁ?」

「1秒の、を教えてやる――」

「お前、まさか!?」

 ダランは一瞬大きく目を見開いたが、それよりも速く、
俺は後ろにあった灯火に向かって短剣を素早く振った。

 ブンッ、という風を貫くような音が洞窟内に響き、突風のような風が生まれる。
火は風に絶えきれず消失すると、全員がネリスの姿を見失う。

 世界よ止まれ、ダイヤルウォッチ――!!

 ……全ての時が止まった。俺はギリギリ自分の手で持てる大きな石を
見つけると、オブジェクトムーブ物体よ動け!を発動させ、
 ダランに向かって投げつける、さらに俺は後ろへと回り込んだが、
信じられない光景を俺は目の当たりにする

「(時間停止した世界では俺しか動けないはずだ。なのにどうして、どうしてこいつは……!!)」

 ダランは両腕をピッタリとくっつけ、止まった時の中で身体を動かした――
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