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第2章 友達と相棒編

19秒 国王

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 入り口に着くと、二人の騎士団員が警備の為か辺りを見渡しながら立っていた、
うーん、どうやって中に入るか? 普通にズカズカと入ろうとしても、
 中には入れてくれないだろうなあ……。

 俺とエレナは腕を組んで考えてから、

「入れると思う?」

 と俺は耳打ちするように相談してみた、するとエレナは困った顔で、

「うーん、無理そう……」

 前回イリナとダンジョンに行った時は、副団長という事で
簡単に外に出れたが、今回は出るための許可書が必要だ……。

 さてどうするか、騎士団の甲冑でも盗んで見るか?
と悩んでいると、エレナは閃いたようにハッとした顔をして、俺を見る。

「ここで悩んでも仕方ないし、正面突破しちゃおっか」

「えっ? おいエレナ!」

 そう言うと彼女はスタスタと歩き、騎士団員たちが警備してる入り口へと
行ってしまった……ああいう大胆な行動をするというのが、
 今の俺に足りないモノなのかもしれない。

 突然というか必然と言うか、騎士団員の二人は「ダメだ」と
首を横に振っていて、エレナの口調が強くなっていく、
 揉めたらもっと入れなくなるな……仕方ない、俺も行くか。

「ダメだ! 民間人の立ち入りは許可できない!」

「いいじゃないケチ!」

 俺は手で割り込むようなイメージで、エレナと騎士団員の会話の間に入る

「あー、ちょっとすいません」

「誰だ、貴様もこの女の仲間か!」

「うーん、まあそうなんですけども、パーティギルドの申請書だけ受け取りたいんですよ」

「ダメだ! 魔物騒動の原因がまだ未解決である限り、しばらく新規団体の許可は出来ない!」

 エレナはイライラを加速させ、腕を上下にぶんぶんと振り、

「もーっケチ! 鉄仮面! 鋼材!」

 鋼材は悪口なのだろうか、でも騎士団の人も段々腹が立ってきている素振りだ
いや、仲良く会話出来ないのかみんな、喧嘩になる前に俺が仕切らないと……
 エレナが怒ってくれているからなのか、意外と俺の頭は氷河のように冷静で、
思考を巡らし、騎士団員をなだめる事にした、とにかく同情を誘ってみよう。

「まあまあ、俺たちトルム地区育ちなんですよ。で、ある日魔物に家族を奪われましてね……だからせめて、敵討ちというか、自分たちで身を守りたいと思いまして、それでパーティギルドを作ろうと思ったんですよ」

「ふむ……」

「あなた達も市民を守る為に騎士団を志願して、ここに配属されているんでしょう? それと同じですよ、みんな……誰かを守りたい、街の平和を守りたいという気持ちは変わらない」

 騎士団の二人は俺の話に納得したのか、押し黙る

「だからほら、中へ入るだけでも出来ませんか? 見学だけでも、ね?」

 それを聞いた騎士団員たちは顎に手を当て、下を向いて考え込んだ。

 本来、貧民育ちの者は国王に気に入られない限りシュテッヒ騎士団員に
なる事は出来ない、必ず、何かしらの実績や学校に通う事が必要であり、
 それ以外は希である、力のない者はまずなれないと思って良い。

 だからこそ自らを守る為にはパーティギルドを設立するしか道は残っていない、
確実に兵士達の気持ちは揺らいだと思うが……さて、どう返ってくる?

「お前たちが生き残った貧民だったのか……それはすまなかったな」

「ああ、すまなかった。……だが、それでもダメだ、中へ入る事も、パーティギルドの許可はできない、これは国王が決めたルールだ」

 まあこいつらの判断で、こればっかりは決めれる事じゃないと思うからな……
こういう時、行商でいつも人と話してて良かったなと地味に思ったが、
 さすがに同情という商品を売り払っただけでは、中へは入れてくれなさそうだ。

 俺は次なる一手を考えていると突然――

「すいません、なんの騒ぎですか?」

 白い甲冑をまとった人が、騎士団員に話しかける、腰には剣を持っており、
どこか落ち着いたような声色は、強そうな風格を周りに感じさせる、
 彼は……ひょっとして騎士団の偉い人なんだろうか?
 
「だ、団長! その、この者達がパーティギルドの申請に来まして!」

 団長と呼ばれた人は指でバイザーを開き、少年のような
清らかな顔を覗かせると、俺達をじっくりと観察する。

「なるほどなるほど……じゃあ、中へ入れてあげましょうか」

 ……え、マジか? よくわからないけどラッキーだ。
当たり前と言わんばかりに、騎士団員の二人は慌てた様子で
 団長に再度確認するが、「本気ですよ?」とコクリと団長が頷くと、

「……お、おい! 彼らをお通ししろ!」

「あ、ああ!」

 それを聞いた二人の騎士団員は、右腕を折りたたみ、胸元近くの位置で曲げ
「どうぞお通りください!」と敬礼を行った後、扉を開けてくれた。

「さ、どうぞ、ネリスさん、エレナさん」

「は、はあ」

 俺達はポカンとした表情で団長と呼ばれた人に続く、あれ、
でもこの人なんで俺達の事知ってるんだ? それよりも、団長って言ったか?
 という事は白い甲冑の人がシュテッヒ騎士団の最高権力者で、同時に副団長、
イリナの上司って事か……尋ねたらイリナがどこに行ったか、聞けるかな?

       ◇    ◇    ◇

「わー! 広いっ!」

 エレナの声が反響して遠くまで響く、それぐらい騎士団の中はとても広かった、
壁には明らかに高そうな絵が飾られており、昔の貧民生活では一生体験
 出来ないだろう、と思うほど豪華な内装で固められていた。

 俺はまず、団長と呼ばれていた彼になぜ名前を知っていたのか尋ねる。

「あの、一つ聞いてもいいですか?」

「なんですか?」

「どうして、俺たちの名前を知っていたんですか?」

「ああ、イリナさんからいつも伺ってますよ、のネリスさんと、確かクスリを依頼した、エレナさんですよね?」

 エレナは右手を天井に向かって大きくあげ、

「はい! 今は見習い魔法使いエレナです!」

 それを聞いた団長は、微笑ましい顔をエレナに伝える、
ちょっと待て、スリーエヌ広めるなよあのバカ女。
 大体俺は、働きたくない訳ではない、
仕事が俺の方へ来ないからしないだけだ。

 すると今度は白い甲冑の人から話を振られた

「ネリスさん」

「はい」

 白い甲冑の人は喋り辛かったのか、パカッと兜を取ると、
そこには女性にモテそうな見た目で、青い髪の好青年が出てきた

「わあ、かっこいい」

 エレナは素顔に一瞬驚いて、なぜか俺の方を見る、なんでしょうかエレナさん。
そりゃ、この人と比べたらかっこよくないけど……人は顔だけじゃないだろ、
 最後は心が人を動かすんだぞ、顔じゃないからな、ぐすん。

「ネリスさん、あなたはこの国の重罪者リストに入っています」

「マジですか」

「なので、名前を改名をした方が宜しいでしょう、何か……他家たけの名前とかはありますか?」

 そういや過去に、納税を4回ほど未納にした事があったな
でもまだ4回だぞ、それだけで国外追放ってのは納得出来ない、
 国王がおかしい、俺は悪くない、と考えているとつんつん、と
エレナが俺の横腹を指で突き、耳打ちをするような小声で、

「ネリス兄ちゃん」

「ん?」

「私の名前借りる?」

「エレナを?」

「ううん、アルメリア家の」

「ああ、なるほど。えーっと、団長……さん?」

 団長は「カルロ」と名乗り、名前の変更手続きをしてもらう事にした。
なんだか色々やってもらって申し訳ないけど、イリナが裏で動いて
 くれてたのだろうか、なんか話が上手く進みすぎて怖い。

 廊下を歩きながら俺達はカルロさんの後ろへついていくと、
角を曲がった先には階段があり、一歩一歩と昇る、やがて階段を登り終えると、

「なんか手すりに変なボタンが一個あるんだけど、これなに?」

 エレナはボタンがどうしても気になったのか、ポチッと指で押してみる

「待ってください! それは――!」

 カルロさんが制止したが間に合わず、急に警報音が鳴り響き、
辺りが赤い背景に染まる、なんだどうした? キョロキョロとエレナは慌て、

「な、なに!?」

「エレナ!!」

 名前を叫ばれ、エレナはネリスの近くへと寄る、ネリスは鞘に手を当て、
いつでも戦闘出来る体勢になって警戒していると、天井が開き、
 三人が開いた天井の穴を見上げると、本のような物体が落ちてきたので、
エレナを守ろうと、迷わずネリスは時間停止能力を発動した――

「世界よ止まれ、ダイヤルウォッチ!! ……ん? なんだ、これ?)」

 地面に落ちた本を見る、「ドワーフ20歳学生、青春の白パンティーレビュー」
「人妻エルフのいけない浮気~旦那の股間はショートソード~」
 「女騎士、部下の聖剣で快楽に墜ちる。」「一騎当千、イケメン獣族特集」
そこで見たのはただの大量のエロ本だった、ネリスは首を傾げて、
 とりあえずドワーフの一冊だけ懐にしまい、本を一カ所にまとめる事にした。

「(この騎士団、闇が深いなあ……大体これ、侵入者用とかなのかな?)」

 この仕掛けを作った奴は何を考えてエロ本が落ちる罠にしようと
思ったんだろうな、いやまあ、俺ならありがたく集めてしまいそうだが……
 一応角とかに当たるとそこそこ痛いので、回収しようと思ったが、
どうしても手が届かないところで止まっているエロ本もあったので、

「(オブジェクトムーブ!物体よ、動けッ!!)」

 この二年、稽古ばかりでムラムラしていたので、
街の人たちのパンツを見るために能力を乱用していたら
 偶然編み出してしまった、罪が深い俺の新技である。

 ついでにかっこいい技名もつけてみた、でも、時間停止の間は誰も動かないし、
技名を叫んでも声にならない、好き放題出来る俺のプライベート空間だ。
 ……酸素が徐々に無くなるという点だけつぶれば、強い能力なんだけどなあ。

「(お、動いた動いた)」

 バタバタと天井から落ちてきたエロ本を拾い集める、お、これもエッチだな、
ちなみに物体の質量はほぼゼロなので、思いっきり投げると多少の放物線も
 無視して、フリスビーみたいにどこか遠くへ飛んでいく。

 一見便利そうな能力だと思うけど、当然というか、お約束のように
制限があって、「自分が持てる重量」以上の物体は動かす事ができない。

 「引力」と「重力」が残って大気が消えていくって状況、
誰も信じられないしどうなるか想像も出来ないし、今考えると怖いな……。

「(うーん、まあ深くは考えないようにするか)」

 この超能力はいつになったら使い物になるんだろうか、
酸欠への時間が迫り、俺はそろそろ頭が回らなくなってきたので、

「(世界よ動け!!)よっ、と」

「きゃあ!……ってあれ?」

「これは……?」

 驚いた二人に「時間停止して落ちたエロ本を集めました、
ドワーフもらいますね」なんて言うともう前と後ろの文章が滅裂なので、

「超スピードで本を集めました」

 そう言うとエレナは納得した表情で、

「ネリス兄ちゃん帽子取ってくれた時も素早かったよね」

「まあ、うん」

 ネリスとエレナが話していると、何やらカルロは顎に手を当て考えていた。

「(私の目でも追えないほどのスピード……瞬間移動の類か、いやそんな魔法は存在しない)」

 その様子にネリスはチラッと目線をやるが、すぐに目を逸らし、
誤魔化すようにエレナと会話を続け、急かすようにカルロを案内させた。

 三人は階段を登り二階を歩いていると、やがて大きな扉へ辿り着いた、
カルロは「ここです」と言い、国王がいる部屋の扉をコンコン、と
 数回ノックして開けると、カルロが中へと入ったのでネリスとエレナは
ムカデのように後に続き、緊張した表情を浮かばせる。

「国王、失礼します」

 大きいドアを開けると、国王と呼ばれる者がふんぞり返るように座っていた、
中は100人ぐらいなら余裕で入れそうだ、周りには騎士団員が数人ほど、
 国王を守るように並んでいて、ここで悪さをしようものなら
すぐに捕まって殺されてしまいそうな、そんな張り詰めた空気に気圧けおされ、
 俺たちは黙って国王の前へと座り込んだ、この人と俺、どれくらい違いが
あるのか、この国を思う気持ちは、どれくらい差が開いているのだろうか。

 最初に見た感じは、国王はかなり太っていて、横には切った状態のりんごが
数個台座に置かれてあった、カルロさんは目の前へ立つとサッ、と膝を地面につき
 屈んだので、俺たちも見様見真似みようみまねで屈んでみる

「国王、こちらのお二人がパーティギルドを設立したいそうです」

「ほう、そちらの二人、顔をあげよ」

「はい」

 国王は俺たちをじーっと見つめると、何やら頭をひねり、考え込んでいた
まずい、俺が重罪者である事がバレたのだろうか……焦る気持ちからか、
 全身から冷や汗が溢れ出る、頼むバレないでくれと願っていると――

「君たちは冒険者の者かね?」

 ここは下手に嘘は言わない方がいいな

「はい、トルム地区で過ごし、自分たちで身を守りたいと思いまして、それでその……パーティギルドを作りたいとここまで来たんです」

 国王は頭を手で抑え、小さいうなり声をあげながら深く考え込むと、

「そうか……」

 俺の思考とは全く別の考えを国王は持っていて、
助かったと胸をなで下ろした、というかトルム地区の人達なんて
 ロクに見てないんだな……と俺はかなりこの国に対して
言いたい事が山ほどあったが、今は混乱を招くだけなのでやめておく事にした。

「わかった、申請を許可しよう。ただし条件がある」

「条件とは?」

「それはだな――」

 国王の出した条件とは、魔物にこの街が襲われた原因を探ってきてもらい、
証拠があれば持ってきてほしいとの事だった。

 ……原因、それは深く考えなければ俺とイリナがダンジョンへ行った事だが、
襲われた原因ではなく、一つの結末を持ってくるのなら、別の答えを用意出来る。

「わかりました、襲われた原因が何かはわかりませんが、魔物に関しては私怨があります、ぜひその任務、やらせて頂きます」

 国王は了承したように頷き、

「では、配下を数人ほど付けよう」

「いえ、俺達二人で結構です」

「君たち二人でか? 見たところ強そうには見えないが……」

「国王、俺も剣術では自信があり、彼女も初級ですが魔法を唱える事が出来ます。魔物の首一つ取ってくる事ぐらい、訳ない事でしょう」

 国王はりんごを手に取るとむしゃりと口にする。

「ふむ……大した自信だな、宜しい、やってみせよ」

 これで魔物の首を持ってくれば国王も疑う事なく、一つの事件の形として
終わるだろう、トルム地区のみんな、これで許してくれ……。

「君たち二人の名前は?」

「ネリス・アルメリアです」

「同じく兄妹けいまいのエレナ・アルメリアです!」

 そう答えると、国王は紙を取り出し、判子を押した。
俺たち三人は「失礼しました」と国王の部屋を出ると、
 この紙をギルド本部に持って行けばパーティギルドを設立出来るそうだ。
とりあえず第一関門はクリアってところだな……俺はエレナを見ると、

「よかったねネリス兄ちゃん!」

 と、嬉しそうに喜びの表情を向けた、あそうそう、ちなみにギルド支部は
イリナの家にした、もちろん本人がいないので無許可である。

「(こっちも家勝手に売られたしこれぐらいはいいだろう、本人が帰ってきて何か言われたらパーティギルドの解散申請すればいいしな……)」

 しかしなぜ、4人と定められていて、他の街や村にもチェックが
入るのだろうか、そもそもなんで4人なんだ……?

 そんな疑問を抱きつつ、俺たちは騎士団の建物を出ると、
カルロさんは手を振って見送ってくれた。

「僕が力になれるのはここまでです、それじゃあ後は頑張ってください」

「はい、色々とありがとうカルロさん」

 俺が深々とお辞儀をすると、エレナも素早い動きでお辞儀をした。

「カルロさんありがとう!」

「いえいえ(イリナさん、これで良かったんでしょうか……?)」

 団長さんがいてくれてよかった、正直この人がいなかったら
パーティギルドの設立は不可能だっただろう、俺とエレナはカルロさんに
 再度お礼を言って、ギルド本部へと足を動かした。

       ◇    ◇    ◇

 ギルド本部の扉を開けると、そこにはかつて溢れていた
冒険者の人達は見る影も無く、ただ数人の冒険者が椅子に座っては
 酒を飲んだくれ、中には店員に絡んだりする人や、テーブルに突っ伏して
寝てる人や、戦いで仲間を失ったのだろうか、ただ案山子のように
 悲しい表情で立っている者がいた。

 俺は受付の一方的に説明してくるお姉さんに声をかけ、
パーティギルドを設立する話をした、するとお姉さんは
 「名前を決めてください」と、棒読みのような説明口調で
淡々と俺達に伝える、このお姉さんもちょっと苦手かも知れない。

「名前かあ……」

 と考えていると、エレナが思いついたように手でポン、と
判子のように手の平を叩いて、ピコーンと閃いたかのような顔をした。
 ……お兄ちゃん時々思うけど、こういう時のエレナは何か嫌な予感がする。

「成り上がり決死隊ってどう?」

 かっこ悪い。

「うーん……ごめん、正直微妙」

「なっ! じゃあお兄ちゃん何か考えてみてよ!!」

 エレナは否定されて怒ったのか、ぷくーっと顔を膨らませた。

「受付のお姉さん、なんかいい名前ありませんかね?」

「……」

「いや、そこまでキャラに徹底しなくてもいいじゃないですか」

「ああいえ、考えてたんですよ」

 無表情で考えられてもなあ、と俺は思ったが
少し悩んでお姉さんは「天上天下龍球伝説」はどう? と言われた
 いや、どう? ……と言われてもなあ、どっちも嫌だ。

「もう適当に決めるか」

 俺は一応考え、「イストワール」と書いた紙と、
受付のお姉さんとエレナが提案してくれたギルド名を書き、
 三枚の紙を作って折りたたんで適当にシャッフルした。

「これで引いたやつにしよう」

 エレナは納得がいかなかったのか不機嫌そうに、

「いいけど……」

 俺が一枚を引き、開くとそこには「イストワール」と
書かれてあった「じゃあこれで」と設立書に書こうと思ったら――

「できた!」

 エレナが既に成り上がり決死隊で書いてしまっていた、
こういうとこの強引さは俺も見習わないといけないのかもしれない
 でも自分で適当に考えた割には「イストワール」は気に入っていたので、
目線を逸らしたエレナのスキを突いて小さく()をつけ書いておいた。

 これでパーティギルドの件もクリアだ、
装備は「ここに置いてある物を使っていいですよ」と
 受付のお姉さんに言われたので、個室に入って着替える事にする。

 俺が手に取った物は、少々の物が入る腰に付けるポーチと、
腰ぐらいの短いマントと一応多少の衝撃には耐えれる軽い胸当てだ、
 適当に目にとまった物を選んだ割には中々どうして、
貴族の服よりかは似合ってるのかもしれない。

「ネリス兄ちゃん行くよ~」

 エレナの声が聞こえる、ドアを開けるとエレナは魔法使いらしく、
手には杖、そして黒のローブを着ていて、うん、こちらも中々似合っている。

「どう?」

「似合ってるよ」

 俺は親指を立ててそう言うと、「えへへ」と微笑んだ、
何年経ってもこの笑顔、守りたい。

 支度も済んでギルド本部を飛び立ち、国王が納得するぐらいの
魔物の首を持ってくる為、二年前イリナと攻略したボスが潜むダンジョンへと、
 俺達は歩を進めた、今度は絶対にお荷物にはならない。

 青年は心に誓う、側には大切な妹を連れて――。
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