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序章:記憶の消失

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少年は目覚めた。そこは、小さな島だ。
月光がさし、島を囲んでいる海は月光により、珊瑚が星のように、煌めいている。まるで、それは星空の下にいるかのようだ。島の中心には、巨大な氷で出来た古木がそびえ立っている。
「ここは...何処だ。」
少年はそう言うと、自然に古木の方に
歩き出した。
  古木の根元まで来ると、そこには、
少女が一人立っていた。
髪の毛、一本一本が絹糸のように透き通って、綺麗な銀髪だった。
少年は、少女に問いかけた。
「ここは、何処なんだ。」
少し間をあけて、少女は細い声で、答えた。
「ここは...
        人間が....来ては..行けない所。」
少年は、まだ何も理解出来ていなかった。少年は、ふと思った。
「君は、一人で
            寂しくないの」
少女は、少年の方を見て言った。
「私は..ここから...
         離れられない。」
その言葉はどこかで、聞いたことある気がした。少年はそんなことを思いつつも、少女に問いかけた。
「君の、名前を聞いてもいいかな」
「私には...人間に名乗れる程の.....
         名は..持っていない。」
少女はそう答えると、少年の胸元に手をかざした。すると、何処からともなく氷が現れた。その氷は胸元に広がり、少年の体温を奪っていく。
「この....ままでは
             死んで...しまう。」
  パリン....
その瞬間、胸元を覆っていた氷が粉々
に散っていった。少年が気付いた時には
地面に倒れこんでいた。体はぴくりとも
動かない。地面には、大量の血液が染み込んでいた。
少女は、少年に近づいてこう言った。
「貴方に...私の..
                   力を...あげる。」
少年の傷口に、細かい雪が降り積もっていた。
「意識が.....もう...。」
手に何かを感じたが、それどころではなかった。ゆっくりと少年の意識は、遠のいていく。そして、雪のように消えていった。
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