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新・第一章 月ノ氷結花編

第十話 帝謁総会②

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月光帝、またの名を奸雄エンティーゼ・ライズムース。英雄奸雄の中で唯一月人の彼が起こした事は、ほぼ全て歴史に載っている。旧大陸メイスピを破壊し当時の世界人口の1/5を虐殺、アポロン第2衛星の裏月の破壊、その影響で地表には裏月の破片が降り注ぎまたしても多大な被害をこうむった。誰も彼に勝てない、そう思っていた。その時

彼は1000年前の英雄王エザルティ・ヴェンシストによって敗北を知らされる。

敗北を知ったエンティーゼは、祖国へ戻った。エンティーゼの祖父は先代月光帝のクラシェーズ・ライズムース9世である。エンティーゼ幼い頃から世話をしてくれた恩人とも言える。ほんなクラシェーズをエンティーゼ自らに手で殺害し、月光帝になった。生まれつきの絶望眼と絶声を巧みに使い、月人立ちを支配していった。

その後、帝謁総会は数時間にも及ぶ話し合いが行われた。主に英雄王リアク・ガルディアの対処法についてだ。月光帝エンティーゼは英雄王を強く嫌う。なんせ、唯一負けた相手だからだ。

「陛下、珍しく怒っていたわね」

とリフェルが言う。なにかしてしまったのかと、心配をしている様子だ。

「因縁の相手に、部下が殺られたんだから、当然だろう」

ベネフェクトは、エンティーゼとの付き合いは長く、200年以上の仲である。

「しかしパレッツが居なくなった損害は大きいぞ…」

11位の冥府ノ土産「テスタロッサ」が言う。女だけれど、男勝りな性格をしている。男装をすれば男と見分けがつかないくらいだ。

「神速の能力が欠けたとて、変わらん。俺の能力極意で光速として復元すれば良い」

「まぁ、てめぇの能力はなんでもありだからな、クソ喰らえだ…」

「ふっ。悪いな、陛下から頂いた能力は強いもんでな」

「能力が強くても、使用者が弱けりゃ意味はねぇ、ははっ」

「貴様の挑発に乗るとでも思ってるのか、いつになっても─」

ベネフェクトとテスタロッサの口論に割って入るものがいた。ラーゼウスである。

「お前ら、いい加減にしろ」

「ちっ…」

お互いの熱は納まったようだ。

「次また同じことをしたら問答無用で命を絶つからな」

「わーたっよ!じゃ、私はもう行くからな!」

そう言ってテスタロッサは消えた。

「もう全員解散しろ」

ラーゼウスがそう言う。こうして帝謁総会は幕を閉じた。



同時刻。月面。クレーターがポツポツとある場所にリアクはいた。

「英雄ナル我ガ唱エル。属性光。光速、顕現」

リアクの体がいくつもの残像にわかれる。次第にその残像は光の粒子となり、消えていった。光はアポロンの方に向かっていった。
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