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新・第一章 月ノ氷結花編

第三話 キルトスvsガルヴァトス①

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「くそが、痛い目見とけ星王、っ!」

「近づくなよ、大炎帝術式、大炎宝っ!」

月の1/1000程度の範囲に炎が放たれた。宇宙空間のため音が伝わらずに無音で近づいてくる炎は実に不気味だ。

「星団彗星術式、王鳳!」

ガルヴァトスの四肢の魔力が吸い取られていく。

「貴様は、このまま活動停止し、一時的に封印される。貴様の負け─っ…」

「ひとつ言う。私は星王。星の王だ。そんなものに魔力の底があると思うか、否。底なしの魔力、永遠とわの天帝により任命された星王の魔力量は無限大、よって貴様の勝ち目は0…となった」

「なるほど…大星団彗星!」

無数の彗星がガルヴァトスに降り注ぐ。

「おいおい、そんなもの聞くわけねぇだろ?」

すべての彗星がガルヴァトスを避けどこかへいえていく。

「やむを得ないか…」

「…ん?」

水色に光り輝く球体を食べるキルトス。

「貴様何食べたんだ?」

「ガガガ…ァァァ…がァ…、我らが惑星アポロンの魂だ…」

「なるほど…貴様は、今アポロンの長である星王アークトゥルスとなっているわけだな、いや…正確には擬似的に力を借りているものか。本物の星王アークトゥルスは私より強い、しかし貴様は擬似的であるため私よりよーわーい、、ハハッ、雑魚がでしゃばんな」

ガルヴァトスがキルトスの顔を目掛けて腕を、拳を動かす。

「……大王、神呪の結び…」

「ほぉーそれをするか。一時撤退って訳か」

ガルヴァトスの体に神を呪う鎖が巻き付けられ始める。

「その術式は効くのに随分時間がかかる。それと比例するかのように魔力が多いだけより多くの時間縛られる。悪魔の術式だな。だが貴様は擬似的になっているだけだ。よって効力はたかが数日とやらだろう、なら今のうちに貴様を殺すまでだな」

ガルヴァトスは凄まじい速さでキルトスに近づく。

「お前には魔法を使うのももったいない」

笑顔で拳を振りキルトスの顔を殴る。

空気がないので音はしないがとてつもない音が鳴ったであろう程の威力であった。

キルトスはアポロンの衛星の月にぶつかった。

「くくく、弱い弱い…実に面白い…くくく…」

「…、星王術式がまだ体に馴染んでないな…」

キルトスは地面から立ち上がると術式を唱えた。

「星団彗星術式、大星団彗星」

キルトスが両腕を上げガルヴァトスがいる方に腕を振る。

すると後ろから無数の彗星が向かってくる。

「また星団彗星術式…人類の術式か…所謂下等術式か、……はぁ…反転リミテッド…」

彗星が一気に止まり、キルトスに向かう。

「星王が使う術式とやらはなんでもありだな。めんどくさい」
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