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第一章

第九話 首都へ

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「なんだ。エンベロフ」

「先程。大統領閣下より命をさずかりました。敵国の王都を襲撃せよと」

「がどうした。命に従って進軍せよ」

「総軍で進軍せよと…」

共和国内で言う総軍とは、共和国軍と近衛軍を指す。

「そういうことか…では私が」

「命にはこうもありました。以後、全軍指揮はエンベロフに任せるとす…とそこであなたは─」

「なぜ我が貴様に命令を受けんとならんのだ!」

「そうなると思い貴方にはここで死んでいただくことにいたします。やれ」

部下の軍人は腰に着けていた剣を抜き上級元帥デオに迫る。

「お、おい貴様何をする!」

「今までお疲れ様でしたデオ上級元帥閣下」

その言葉をあいづに剣がデオの心臓を貫く。

「がぁっ…はっ…!」

床に這いつくばるように倒れるデオ。

「閣下を棺桶へお入れなさい。私は総軍司令室に向かう」



アーポスト共和国総軍司令室に入るエンベロフ。

「閣下入られます!」

司令室にいる軍人たちが総出で敬礼をする。

「総員。第一種戦闘配置。予備役の将兵達も総力を尽くせ。非番の者にも武器を配布せよ。大統領命令だ」

「閣下。本作戦副司令官に任官しました。アンボルト・エッケンバース上級大将です」

「あぁ。よろしく頼む。レオタルド王国への進軍準備はあと何分かかる」

「はい。およそ2時間です」

2時間か…。王国に我が軍の基地を攻められなければいいがな。



この戦争で荒廃した都市を歩くルイス達。

「はぁ…ルイス!ちょっとまってよ…!」

「時間がない。アーポスト共和国が王国に全軍で進軍するって言う情報が伝わってきた」

「はぁ!?ど、どゆことよ!」

「まんまだ!東部方面軍の連隊も出撃している。帝国軍は本格介入する気だ!」

「な、なんでまた、こんな戦争に首を突っ込むのよ!本当、上層部の考えることは意味わからない!」

それはそうだろうな…こんな…100年振りの戦争、首を突っ込まずにただ見ればいいものを…。

「もうすぐ首都圏だ…より警戒しろよアリア!」

「うん…!」

しかし…ペルシア准将からによると、首都圏には共和国軍兵士が10万人もいる…こっちは2人、分が悪すぎる。悪いどころじゃない。ふざけてるのかってレベル。そして…共和国軍最強の兵士…力だけで出世を重ねた共和国進撃軍進撃元帥…フリードリヒ・エンヴェルフム3世…魔力で限界まで強くなった人間。そいつとその部下に遭遇したらまじで死ぬな…

ちなみに、これまで世界が魔法による大災害が起きないのは国際魔導兵器禁止条約の効力があるためである。

「ルイス!300m先に敵兵の反応!数は100!」

「くっ…それでもきついんだよなぁ…っ…!?」

こ…この軍服…進撃軍!?

「侵入者発見。排除する着いてこいおまえら」

「はい!大佐!」

「誰だ貴様…」

ルイスは警戒しながら進撃軍に言葉を放つ。

「私はアーポスト共和国進撃軍大佐、グレールだ。逆に問う。貴様こそ誰だ」

「俺はヴィットスタン帝国陸軍少佐ルイスだ」

「へぇ…王国軍でもなければ帝国軍だったのか…そんなこと言っていいのか?」

「あぁ。どうせお前らは俺が倒すからな」

やべぇ…つい言っちまった。けど勝てばいい…………勝てるかな…

「ほぉ大口を叩くなぁ…」

一瞬でルイスに近づきみぞおちにグーパンを入れるグレール。銃を準備する間もなく、殴られ少し血を吐くルイス。

「知ってるか…先程我々アーポスト共和国は国際魔導兵器禁止条約を脱退した。のため魔法による殺害を許可されている…」

「な…ん、だと…」

「次は確実に殺すぞ…ルイスとやらという帝国軍人」
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