上 下
9 / 15
世界冒険編/第一章

第八話 習得

しおりを挟む

UT2400の首を刈っ切ろうとする。刃は首に当たる。しかし─

『硬化装甲負荷43%。軽破。直ちにカウンターを発動。対象へ攻撃をします』

「しまっ…!」

『略式、流派暴廃戦争ファイネル

斬撃がルルを襲う。ルルの体にあたり、臓物が飛び出ようとしている。がその時─

「し…死なな…い…っ!」

吐血しながらも最後の力を振り絞る。

「超絶…再生…」

それは魔法を唱えようとしたが、ルルは無意識に術式を発動していた。

…来た…!ルルの至高術式オーソリティクション…!

「よし…」と言いルルに近づくUT2400を一撃で破壊するディル。

『そ、そそそ…損傷…り、率97.9%…ききき、きの、機能てい…し…』

「上出来だルル。それをまた再現し習得しろ…」

ルルの傷は全て治り、目を覚ます。

「ディル!私できた!?」

「あぁ。出来た。あとはそれを何回もし完全に扱えるようにするだけだ」

「えぇ…キツすぎない…?」

「なぁに、俺が攻撃し瀕死状態の時に発動しできないなら俺が再生するまでだ。安心しろ一応痛覚無効化はしておく」

至高術式を完全に扱えるようにする方法で1番手っ取り早いのは、何回も試し何回も死ぬことである。稀にできる術式発動のコツを掴み扱うという方法である。だとしても一般人は死んだら復活出来ないのでこの方法はおすすめしない。

そして─

気づけば、1ヶ月の月日が流れていた。

「うん。いいだろう。完璧だ」

この1ヶ月の間に超絶再生・Iに加え、もうひとつの至高術式オーソリティクションである、騎士道・Iを習得していた。

「やっと…やっと終わった…、、もう無理しぬ…」

ルルは地面に横たわっていた。

「死んだらまた蘇生してあげるぞ」

「ありがたいけど、もう死なないし……ってか、ディルは術式どれくらい持ってるの…?」

ルルは重い体を起こしディルに質問する。

「あぁーそうだな。軽く見積もっても200以上はあるだろう」

「にっ、200っ…!?やっぱG級おかしいよ…」

「ルルもいずれそんくらい習得できる」

「そうだといいけどね。あそうだ試しにひとつ見せてよ!」

この願いはなんとも危険な頼みである。それはディルが現役魔王ディスタ・ロスタであるためだ。魔王じゃなく八神王級の強さを誇るものは、同じ術式でも訳が違う。より鍛えられ洗練された術式の重みは人類の術式が叶うわけが無いのだ。そんな魔王の術式を見たいというのは死にに行くようなものと言っても過言である。例えばルルが光属性の至高術式オーソリティクションの最上級術式の一つである、神越流星群・IIIをディルに使ったとしてもディルが最下級術式である光星雲海・Iと天界雲影・Iどちらかを使用したら絶対と言ってルルが負けるという程の差である。

「まぁいいか、どうなっても知らんぞ」

「だいじょぶだいじょぶ!私には超絶再生があるから!」

「強すぎるとあれだから最低火力の最下級術式を使うとするか…」

「えー、せっかくなら本気でやってよ!」

本気…か…。最後に本気出したのはいつだろうか。

「はぁ…俺の本気は恐らく全ての人類が死滅する。だから3割でいいだろ?」

「うーんそこまでいうなら…」

「決まりだな…モード=オビリティル《壊滅形態》…」

ディルは魔王単体での出力の形態モード=オビリティルに変化した。それは通常時のディルの約12万倍の力を誇る。

「神越流星群…」

その時、ディルを中心に世界中の人間誰しもが目にできる程の大きさの魔法陣が空に現れる。そこからは数多の流星が振り注ごうと光をともしていた。しかし…あまりにも強力な流星群のため、到達は愚か、空に現れるだけで重力で惑星の近くが崩壊し始める。そしてそのすぐあと、惑星中にある活火山が噴火をし、空は直ぐに火山灰に覆われ、火山灰が地面に降り始める。

「え…?ディルこれってどういうこと…!?」

「俺の術式は回復系以外発動させたら98%の確率で惑星が破壊される。それほど強力だということだ…」

「え……」

まぁこんなとこにしておくか。

「時空再生」

すると壊れていた地殻など進んでいた時間が逆行を始めた。

「記憶還元、テウニュートヘブン」

ディスタの上に門が現れる。非常におおきく、その門は天国正門《アストラル》であった。

門が開くと光が差し、世界を照らす。そして全世界の生命体の記憶を吸収し、天国へと誘った。

そして破壊された木々などが全て治っていく。

「タイムスタート」

時間が数分巻き戻った。

「─持ってるの?」

ルルは重い体を起こし質問をした。

「秘密だ。ルルが強くなったら教えてやるさ」

「えぇ~!なにそれ~、、」

「まあまあ。至高術式オーソリティクションを習得できたんだからいいじゃんか」

ディルは必死に話をそらす。

「そうじゃん!習得したんだった!よし!今ならS級にも勝てる気がする!そうとなればすぐにでも!」

「…は…?」



王都──

決闘場の控え室にいた、ルルとディル。

「あのなぁ。習得してすぐ決闘なんぞ聞いたことないぞ。すこしは学習しようぜ?」

「気持ちが上がってる今がチャンスじゃん!」

『さぁーて!次の試合は!A級16位ルル・ヘイドシッタ対A級7位ノルモフ・バロホウの決闘です!!』

司会者が大きな声で選手紹介をし、決闘が始まろうとしていた。

「それじゃ…行ってくるね…!」

「あぁ…せめて勝ってこいよ」

S級って言ってたのに、相手はA級かよ…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【R18】スライムにマッサージされて絶頂しまくる女の話

白木 白亜
ファンタジー
突如として異世界転移した日本の大学生、タツシ。 世界にとって致命的な抜け穴を見つけ、召喚士としてあっけなく魔王を倒してしまう。 その後、一緒に旅をしたスライムと共に、マッサージ店を開くことにした。卑猥な目的で。 裏があるとも知れず、王都一番の人気になるマッサージ店「スライム・リフレ」。スライムを巧みに操って体のツボを押し、角質を取り、リフレッシュもできる。 だがそこは三度の飯よりも少女が絶頂している瞬間を見るのが大好きなタツシが経営する店。 そんな店では、膣に媚薬100%の粘液を注入され、美少女たちが「気持ちよくなって」いる!!! 感想大歓迎です! ※1グロは一切ありません。登場人物が圧倒的な不幸になることも(たぶん)ありません。今日も王都は平和です。異種姦というよりは、スライムは主人公の補助ツールとして扱われます。そっち方面を期待していた方はすみません。

最強魔力を手に入れ 魔王と呼ばれたぼっちは 人生をやり直すため 未来へ転生しました 〜来世の世界は魔法が衰退していたようです〜

夢咲 天音
ファンタジー
偶然と勘違いの連鎖で、人々に魔王と呼ばれ恐れられていた男がいた。 「魔王サクヤ!! お前を滅ぼし世界の平和を取り戻してやる!!」 勇者クロウはそう言い、曇り一つないミスリルの剣を振り、その剣先をサクヤに向けた。 だからどうしたというのだ。 誰かと関わるのが苦手で、ぼっちな人生を過ごしていた。 しかも魔王と呼ばれて、勇者に命を狙われる日々だ。 サクヤは、それに嫌気が差していた。 どうやら、生涯をかけて開発した、転生魔法を使う時が来たようだな。 この状況こそ、人生をやり直す大きなチャンスになるのだ。 勇者と戦う気の無いサクヤは、考えを行動に移した。 そして、サクヤは勇者との死闘の最中に、どさくさに紛れて転生魔法を発動する。 サクヤは勇者によって、消滅させられたかのように見せかけて、密かに生まれ変わったのだ。 今度こそ、人と関わって幸せな人生を過ごすという願いを込めて。 だが、そんなに上手くいくわけが無かった……。 「魔力が減ってる!! しかも、前世の半分も残っていないではないか……」 転生には成功したのだが、サクヤの魔力を含めた、全ての魔法の力が衰退した世界に生まれてしまったのだ!! さらに、転生した世界に存在する男によって、サクヤの人生は大きく変化するのだった! サクヤは本来の力を取り戻して、幸せな人生を掴む事ができるのだろうか!? ※習作ですが、よろしくお願いします。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

処理中です...